saloth_sar氏(61氏)のコメントに対する反論3

またしてもエントリーにしました。

saloth_sar氏のオリジナルコメントは以下です。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20090124/1232814429



(saloth_sar氏)

クラスター爆弾の問題については詳しくは無いですけどね。クラスター爆弾に対する非難って、別に不発弾の割合を明らかにした後にされたわけじゃないのでは?クラスター爆弾を問題視する人権団体が各国政府に禁止を訴えていく中で調査された結果として、10%以上の不発弾率というのが提示されたのでは?

クラスター爆弾が問題とされたのは、実際に不発弾による被害が広く問題になるような頻度で起こっていたから。不発弾が出る可能性がある、ということそのものだけをもって規制が議論されてきたわけではなく、それが著しいものであることをもって議論されてきた。
まあ10%以上というような不発率が広く知られるようになったのは規制の議論がある程度力を持ってきてからかもしれないが(開発側などは、実用テストなどから不発率の定量的なデータは持っていただろうが)。
もちろん実質的な話にするならば、定量的なデータにこだわる必要はあるが。

「広く問題になるような頻度」とか「それが著しいものであること」とか定量的でない表現なので何ともですが、白燐弾については現に問題になってますよね*1
白燐弾の被害はほとんどない”的な主張をしているのは、国内ではネット上の一部軍オタのみと思いますが?あと、白燐弾を使用したイスラエル軍やアメリカ軍くらいですか*2

また、クラスター爆弾同様に白燐弾についてもその危険性、使用上の注意などについては、開発側が定量的に把握しているのでは?とは思いますね。自軍の兵士が普通に展開している状況で未酸化の白燐が兵士の体に降りかかるようなばら撒き方をして構わないようなものではないと思いますけど、どうなんでしょうねぇ。



(saloth_sar氏)
>saloth_sarさんは、白燐弾の攻撃(煙幕と置き換えても可)の際、未酸化の白燐が「生命活動に対する化学作用により、人又は動物に対し、死、一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし」ている可能性についてどう考えてますか?

まず「2.ほとんどありえない。」と「4.ありそうに思える。」を分ける基準が明確に分からないので非常に答えにくい。よってある程度主観的な判断も交えて書くことにする。
その5択で判断を示さなければならないというのならば2を選択する。理由は、これまでの報道で「未酸化の白燐が「生命活動に対する化学作用により、人又は動物に対し、死、一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし」ている」という事態に具体的に相当する報道があまり見られていないからである。
もちろん自分の報道チェックが足りないだけかもしれないし、また取材規制などの障害によって報道されていないだけかもしれない。しかし、「ありそうに思える」という判断が「白リン弾の規制」という問題とリンクして判断される場合、自分はその判断は最低でもクラスター爆弾の事例程度の被害が実際に存在していることをもって判断するべきと考える。そしてそのような頻度で被害が発生している場合、いくら報道管制などがあったとしてもそれで完全に隠し通すということは困難であると考える。

繰り返すが、自分はこれは可能性と蓋然性を区別して語られるべき問題であり、また個々の事例の問題ではなく、それが起こる頻度の問題だと考えている。


「「2.ほとんどありえない。」と「4.ありそうに思える。」を分ける基準が明確に分からない」
そーですか。臨床試験とかではよく使う分類なんですけどね。仰るとおり、主観に左右されますが、結果を判断する上では許容される程度だと思います。

で、「2.ほとんどありえない。」とのことで、理由は「具体的に相当する報道があまり見られていないから」ですね。ふーむ。

ま、時期にもよるでしょうが*3、現時点ではかなり白燐弾被害についての報道がされているはずですよ。

アムネスティの報道
2009/1/19
Everything you need to know about human rights. | Amnesty International
2009/1/21
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=583

ガーディアンの報道
2009/1/21
Gaza doctors struggle to treat deadly burns consistent with white phosphorus | World news | The Guardian


この程度の報道では信用できないというのも、まあ個人の主観の問題と言えなくはないと思いますけど・・・。
その場合、むしろそこまで報道を疑う理由が気になりますね。


もう一点。
「具体的に相当する報道があまり見られていない」ことを理由にして、”白燐弾被害がある(ありそう)”という主張を否定することはできますけど、逆に”白燐弾被害がない(なさそう)”と主張する根拠にはなりませんよ。

否定するには、そうですね、”白燐弾には人的被害を与える能力がない”という根拠でもあれば別ですが。そういう根拠を何かお持ちですか?

*1:国内外の各種報道を通じて

*2:まあ、ロシア軍とかも自軍の使用について非難されたらそう答えているとは思いますけど

*3:報道があまりされていなかった時点で、そう判断するのはそれなりに合理的とも言えますけど・・・