うわぁ、JSF氏が火病ってるよ。


化学兵器禁止条約の表に白燐が記載されていないから、白燐弾化学兵器じゃない、と条約の意味を理解できずにデマを飛ばしていたJSF氏が私のコメントを取り上げてくだすったようです。わーい。

アムネスティを妄信する人による無理矢理な弁護の数々 : 週刊オブイェクト

ところで、氏は「化学兵器禁止条約の表に白燐が記載されていないから白燐弾化学兵器じゃない」と言った主張を未だに訂正はしてませんよね?信者どもも3年余りもろくに把握できなかったわけですよね?
3年間で多分、何万人もの軍オタが当該部分を見ていたはずですが、誰一人化学兵器禁止条約の条文を確認しなかったわけですか。ありえないですよ、普通。



それはさておき本題。


元はここ
はてなブックマーク - 照明弾と白燐弾を混同したアムネスティ報告書 : 週刊オブイェクト

これに対して、JSF氏はこんなエントリを上げました。

phosphorus の意味とは - 英和辞典 Weblio辞書

ギリシャ語の語源では「光を運ぶもの」という意味ですが、これは英語の報告書ですからそのような意味に解釈して翻訳する人は誰も居ないです。常識で考えて下さい、「光を発する物質」と言いたいなら「light」なり分かりやすい単語がある筈でしょう。間違えてしまった言い訳を無理矢理捻り出すにしても、あまりにも苦し過ぎて全くお話になりません。アムネスティ報告書は白燐弾の項目でも「white phosphorus」と書かずに「phosphorus」のみで書いている個所もあり、当然それは燐を意味し、白燐の事を指す表現です。報告書には白燐以外の別の燐の同素体は出て来ませんので、「phosphorus」と記載されてる箇所は全て白燐を指していると考えてよいでしょう。照明弾の項目で使われている個所だけギリシャ語の意味で表現されていると解釈するのは、とてもおかしな話です。

http://obiekt.seesaa.net/article/115344720.html


ギリシャ語の意味で表現されている」って・・・
ああ、やっぱり英和辞典(しかもネット版)だけ見てたわけね。そりゃわからんだろうな。

英英辞典だと、「phosphorus」の意味としてちゃんと、「phosphorescent substance」も記載されているんだが。

phos·pho·rus (fsfr-s)
n.
1. Symbol P A highly reactive, poisonous, nonmetallic element occurring naturally in phosphates, especially apatite, and existing in three allotropic forms, white (or sometimes yellow), red, and black. An essential constituent of protoplasm, it is used in safety matches, pyrotechnics, incendiary shells, and fertilizers and to protect metal surfaces from corrosion. Atomic number 15; atomic weight 30.9738; melting point (white) 44.1°C; boiling point 280°C; specific gravity (white) 1.82; valence 3, 5. See Table at element.
2. A phosphorescent substance.

http://www.thefreedictionary.com/phosphorus

「phosphorescent」というのは、継続的に発光するとかいう意味で、「phosphorescent lamp」だと蛍光灯の意。照明弾は蛍光灯のような弱い光じゃないとか言われそうだが、戦場で使用することを考慮すれば、爆発などの閃光ではない照明弾としての継続的な発光を「phosphorescent」と解釈して別に不思議じゃない。

もちろん、工業・農業などの化学的な表現中で用いれば、元素としてのリンであるわけだし、一般的にもリンは馴染みのある語ではあるので、「phosphorus」=「リン」と解する場面が多いのは確か*1だが、例えば、そうだね、時計の文字盤についている蛍光部分とかは「phosphorus」と表現したりする。他には釣りのルアーに使う蛍光塗料なんかでも「phosphorus」を使う。いずれも元素のリンとは関係ない。

参照:http://suppliers.jimtrade.com/107/106035/94504.htm
↑このサイトはギリシャ語かい?

大体、ギリシャ語がどうのなんて、俺は一言も言ってない。勝手に巨大な勘違いをして火病ってるだけ。


「「light」なり分かりやすい単語がある筈」と言うなら、自分でアムネスティに聞いてみりゃよかろうに*2

それに「phosphorus」とあるからアムネスティはM485を白燐弾と勘違いしているというのなら、「White phosphorus」と間違えようのない表現がある筈では?



アムネスティ報告書の本旨は何?

そもそも、アムネスティの報告書でも照明弾M485の部分は、M485が白燐弾だと言って非難している場所でもなんでもないわけで。


簡単に言えば、照明弾の弾殻が民家に落下して危険だ、という話。

http://www.amnesty.or.jp/uploads/mydownloads/Fuellingconflict-ForeignarmssuppliestoIsrael-Gaza.pdf

この話の中では、照明弾の中身が何だろうが関係ない。アムネスティにしても、M485の中身が何なのかを具体的に示す必要は何もないわけ。仮に中身が白燐だと勘違いしていたとしても論旨には全く影響しない。弾殻の話なんだから当たり前だが。

それともアムネスティは、M485は白燐弾だから非人道的だ、とでも言ってるのかな*3


それにしても、ちゃんと報告書を読んでるのかね?この人や信者どもはさ。「致命的な間違いも見付かっています」*4なんて大騒ぎするようなことじゃなかろうに。どう致命的なんだか・・・。
取り上げ方が、マッカーサーの議会証言を取り上げた渡部昇一なみ*5なんだけど・・・。

そんなに必死になって、M485は白燐なんて使ってない、と主張するなら、「phosphorus」を「発光体」と読めばいいだけの話なのに、「phosphorus」は「リン」以外にない、と断言しているのはJSF氏。勝手に断言して、勝手に間違っているとか言っているんだから、忙しい人だ。しかも、報告書の本旨に全く関係のない箇所なのに。

ご苦労様です。


脳内補完

アムネスティ報告書は白燐弾の項目でも「white phosphorus」と書かずに「phosphorus」のみで書いている個所もあり、当然それは燐を意味し、白燐の事を指す表現です。

http://obiekt.seesaa.net/article/115344720.html

ざっと数えたけど、phosphorusと言う語は40回以上出てきて、そのうち30回以上は「white phosphorus」と書いてますな。

で、「phosphorus」のみで書いている個所も確かにありますが、それって「White Phosphorus」と題する節の中での表現ですよ*6。しかも医療上の話で使用しているのがほとんど。表題で「白燐」と書いてある節中で、「phosphorus」と書かれていれば、そりゃ「phosphorus」=白燐と解していいでしょうけど。

照明弾M485については、「White Phosphorus」とは別の節「Illuminating artillery shells」で書かれていて、この節中「phosphorus」という単語は1回のみ、「White Phosphorus」ではなく「phosphorus」とだけ書かれてますな。正直、この「Illuminating artillery shells」を書くにあたって、アムネスティは中身に対してほとんど興味がなかった、といってよいでしょう。主眼はあくまで弾殻です。

繰り返しますけど、「Illuminating artillery shells」節中には他に白燐についての言及は全くありません。
なので、「当然それは燐を意味し、白燐の事を指す表現」とまでは言えません。

脳内補完と言われないためには、もう少し根拠が必要ですね。

まして、「致命的な間違い」*7と指摘したいのならなおさら。

繰り返しだけど、どこがどう致命的なのかさっぱりわからん。JSF氏のこれまでの条約読み違いやトリミングの方がよほど致命的だろうにねぇ。


自己のスタンス

もちろん十分な根拠が示されれば、私の見解は「ああ、アムネスティ間違ってるね、論旨には全然影響しないけど」に変更しますよ。謙虚にね。

ただ現状では、

1.「照明弾」の節には、「phosphorus」としか書かれていない
2.M485には白燐は使用されていない
3.「phosphorus」には発光体という意味もある
4.アムネスティはM485を白燐弾として非難していない
5.アムネスティはM485の発光体ではなく、弾殻による被害を問題視している。

の5点から、アムネスティがM485を白燐弾と勘違いしているとは断言できないし、「phosphorus」を発光体と訳せば論旨に影響なく意味の通る文章になる、と判断しているわけですよ。


正直、よくこんなどーでもいい箇所でおおはしゃぎできるなあ、と感心してます。いつまでも少年の心を忘れない、見かけは大人、中身は子供、な人たちなんでしょうねぇ、きっと。

私としては、アムネスティの報告書作成者がどういう意図だったのかはわかりませんから、M485は白燐を使っていないという予備知識があるのなら「phosphorus」は発光体と訳せば論旨に影響なく、自然に訳せる、と思ってるだけなんだけどね。別にアムネスティを何が何でも擁護したいわけじゃないが、誰かみたいに何が何でも揶揄したいわけでもない。
重箱の隅にあんまり興味はないんで。

しかし、重箱の隅大好きってのは、軍オタらしいなあ、とは思う。
やんちゃ坊主が集まって、まるで軍司令官ごっこをやっているみたいで、実にほほえましいね、あのコメント欄。
すぐ勝利宣言するお子ちゃまも現れるだろうけど、その辺も子供っぽくて楽しい。



重箱の隅

ところで、重箱の隅といえば、こういうことがあったなあ。

(注意!)ここから下は、ちょっとかんちGUYな在宅軍事専門家には見えないテキストで構成されています。
彼らがここに記載されていることを無視したとしても、それはスルーしたのではなく、見えないからです。

白燐弾が戦場で使用され始めたこれまで100年以上、議論の対象物として俎上にも上がった事がありません。

http://obiekt.seesaa.net/article/112341990.html

とかつて書いた人がいました。

注目されるのは、スウェーデンの主張である。

スウェーデンもまた、あらゆる場合における「火炎弾薬」の使用を禁止すべしとの提案を含む作業文書(CDDH/IV/208)を提出した。この中で、火炎弾薬は、「主として、人間に火傷を負わせるよう設計されたものか、または、目標に向けて発射された物資の化学反応により生ずる火炎作用で、目的物に放火できるよう作られたすべての弾薬」と定義された。スウェーデンは、このような兵器の中には、火炎放射器、ナパーム爆弾、白燐手榴弾、及び散布型物資を含むその他の弾薬があると主張した。

(164頁)


すなわち、同国が禁止を主張する「火炎兵器」の一つに、「白燐手榴弾」*1が含まれているのである。

「白燐」を基剤とする弾薬の種類を手榴弾に限定しているのかどうかは、不明であるが、

同国の「火炎弾薬」の定義からすれば、「白燐」を基剤とするすべての種類の弾薬が、それに含まれるであろう。

http://d.hatena.ne.jp/higeta/20090218/p1


俎上に上がっているようですが?知らないのにテキトー言わない方がいいんじゃないですか?

ええ、重箱の隅ですけどね。

*1:辞書によっては(まれ)という条件付で蛍光体、発光体の意を載せているものもある。

*2:そもそも、phosphorusをlightと置き換えたら意味がより変になると思うが・・・。

*3:まあ、こう書けば、そんなことは主張していない、とか答えるだろうけどね〜。

*4:http://obiekt.seesaa.net/article/115154293.html

*5:securityを「安全保障」と誤訳したやつね

*6:ひとつだけ、P28の注釈で「phosphorus」と書いているが、注釈元には「White Phosphorus」と書いてある。

*7:http://obiekt.seesaa.net/article/115154293.html