2013年のイギリス政府の統計として以下の情報を見つけました。
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/284564/uk-af-personnel-report-1-april-2013-revised.pdfTable 1 - UK Regular Forces Rank Structure at 1 April 2013
Rank Total Naval Army RAF 参考訳 Total 170710 33960 99730 37030 全体 Officers 29060 6940 13890 8230 将校 OF-9 9 2 5 2 大将 OF-8 28 9 10 9 中将 OF-7 97 30 44 23 少将 OF-6 300 80 150 80 准将 OF-5 1110 280 530 300 大佐 OF-4 3750 1020 1690 1040 中佐 OF-3 8650 2040 4340 2260 少佐 OF-2 11440 2770 4770 3890 大尉 OF-1/OF(D) 8650 710 2340 630 中尉・少尉/士官候補生 Other Ranks 141650 27020 85840 28790 下士卒 OR-9 3010 640 1390 980 准尉 OR-8 4720 730 3990 * 准尉 OR-7 11720 3300 5700 2720 曹長 OR-6 18650 3880 9270 5500 軍曹 OR-4 27540 5750 14420 7370 伍長 OR-3 16000 590 15190 220 上等兵 OR-1/OR-2 60010 12120 35880 12010 二等兵/一等兵 (参考訳は引用者による。陸海空で対訳が異なることがあるため、あくまで便宜上の訳。)
2014年防衛白書による自衛隊階級別人数と並べるとこんな感じになります*1。
階級 | 自衛隊 | 割合 | 英軍 | 割合 |
---|---|---|---|---|
合計 | 225,712 | 100% | 170,710 | 100% |
将校 | 42,784 | 19% | 29,060 | 17% |
下士官 | 142,199 | 63% | 65,640 | 38% |
兵卒 | 40,729 | 18% | 76,010 | 45% |
(自衛隊の場合、准尉を「下士官」としてカウント。英軍はOR-4〜OR-9を下士官としてカウント。)
日本と同じ島国で軍の規模も似通っている英軍と比べても、自衛隊の階級構成は異質に見えますね。総人数では自衛隊の方が多いにも関わらず、兵卒クラスでは英軍よりも自衛隊の方が少ないわけで、これで英軍と似たような海外任務を負うようになる*2と兵員数が不足するように思えます。
英軍は志願制で維持されているわけですが、任期が短いであろう兵卒クラスの人数を見る限り、志願者数自体が日本よりも多そうに思えます。おそらくはその背景として予備役の存在やそれらの社会的な位置づけなどに日本との違いがありそうですが、そのあたりは検討課題です。
自衛隊では兵卒志願者数自体が3万人程度であって、全て採用するとしても英軍と同規模を実現できるかすら怪しい感じです。
こういった現状と武力行使目的の海外派兵を可能にする戦争法案を考慮すると、「徴兵制あり得ない」とか言う安倍政権の弁明など、まあ信用できないんですよね。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082200203専守防衛は不変=「徴兵制あり得ない」−菅長官
菅義偉官房長官は22日、青森県弘前市で講演し、安全保障関連法案について「非常に誤解されている。わが国の平和国家としての歩み、非核三原則、専守防衛、こうした基本方針は全く変わっていない」と述べ、理解を求めた。
さらに菅長官は、「戦争法案だとか徴兵制復活だとか、全くありもしないことだ。そうしたことが一部野党やマスコミから宣伝されているが、日本の自衛のためであり、他国のために一緒に戦争するものではない」と説明した。
菅長官は緊張が高まる朝鮮半島情勢にも触れ、「北朝鮮は今年何回もミサイル実験をし、核開発も進んでいる。今は韓国との間でこの数日間、緊迫状況が続いている」と述べ、関連法案成立の必要性を訴えた。(2015/08/22-19:21)
ああ、ちなみに日本が武力攻撃を受けてもいないし、切迫もしていないにも関わらず、武力行使目的の自衛隊を海外派兵させることを、「専守防衛」というのは明らかにデマですね。“法理論上できるが、やるつもりはない”とかの答弁ばかりで、法理論上もできないように法案を修正することは一切拒絶しているような政権など、そもそも信用するに値しませんが。