中韓だけがアジアではないが、中韓を除いてアジアとは呼べない
差別感情に目が曇ると目の前の事実すらろくに認識できなくなるようです。
前回のエントリに対して、「中韓だけが東アジアか?」「日本人はインド、アフリカ、ロシアと関係を強化するべき今日この頃、東アジア経済圏の価値がどれほどあるのか」「東アジアでの日本の貿易相手は中韓だけじゃね〜しw。」とか、事実が認識できない方が群がりましたので、日本の貿易統計から日本にとってのアジア、特に中韓のプレゼンスを示してみましょう。
2011年日本の貿易統計(EXCEL)
(単位:1000ドル)
地域 | 輸出額 | 輸出シェア(%) | 輸入額 | 輸入シェア(%) |
---|---|---|---|---|
世界 | 820,793,168 | 100.0 | 853,069,793 | 100.0 |
アジア | 459,084,761 | 55.9 | 380,670,013 | 44.6 |
大洋州 | 22,330,820 | 2.7 | 61,336,616 | 7.2 |
北米 | 134,575,825 | 16.4 | 87,236,626 | 10.2 |
中南米 | 44,104,987 | 5.4 | 34,699,104 | 4.1 |
欧州 | 109,260,875 | 13.3 | 91,270,791 | 10.7 |
ロシア・CIS | 13,734,480 | 1.7 | 20,005,086 | 2.4 |
中東 | 24,533,943 | 3.0 | 160,685,712 | 18.8 |
アフリカ | 13,167,478 | 1.6 | 17,159,347 | 2.0 |
上記は大きな地域別の統計です。中東からの輸入シェア18.8%のほとんどは原油ですから、これを例外とみなすとアジアだけで輸出入とも半額以上と言えます*1。
アフリカ、ロシアのシェアはいずれも3%に満たず、日本にとってのプレゼンスは高くありません。
地域 | 輸出額 | 輸出シェア(%) | 輸入額 | 輸入シェア(%) |
---|---|---|---|---|
インド | 11,045,255 | 1.4 | 6,789,259 | 0.8 |
インドのシェアも上記の通り2%に満たない状況です。
一方、中国・韓国のシェアは以下の通りです。
地域 | 輸出額 | 輸出シェア(%) | 輸入額 | 輸入シェア(%) |
---|---|---|---|---|
中国 | 161,467,319 | 19.7 | 183,487,439 | 21.5 |
香港 | 42,827,694 | 5.2 | 1,539,049 | 0.2 |
台湾 | 50,691,858 | 6.2 | 23,168,714 | 2.7 |
韓国 | 65,862,897 | 8.0 | 39,701,959 | 4.7 |
中韓台計 | 320,849,768 | 39.1 | 247,897,161 | 29.1 |
見ての通り中国のシェアは圧倒的です。香港・台湾を除いても、輸出入共に約20%のシェアを持っています。経団連が日中関係の悪化を懸念するのも当然と言えるでしょう。
(「安倍総裁「強い経済を」 自民、経団連と懇談会」2012/10/9 中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201210090072.html
冒頭、米倉氏は「わが国はデフレ脱却やエネルギー政策の見直しなど多くの重要課題に直面している」と指摘。外交分野でも「日中、日韓関係は急速に緊張が高まり、特に中国との関係悪化は企業活動に大きな影響を及ぼしている」とした。
そう遠くないであろう安倍政権が、もし尖閣問題で本気で中国とやりあったら日本の財界は大混乱必至です。なので絶対本気でやらないでしょうね。
さて、韓国のシェアは中国に比べれば少ないものの、輸出8.0%、輸入4.7%と、インド、アフリカ、ロシアの2〜5倍で、インド、アフリカ、ロシアの輸出合計4.7%、輸入合計5.2%と比べても遜色ありません。
日本にとって中国や韓国が経済的に重要な相手国であることは、差別意識で目が曇ってなければ容易に理解できることです。
*1:輸入シェア44.6% ×100÷(100-18.8)=54.9%