「フィリピンの日本軍「慰安婦」 性的暴力の被害者たち」(明石書店、1995/12/20)より
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日本軍侵略によるフィリピンの損害日本軍侵略によりフィリピンにどれだけの損害が生じたかに関しては種々の計算がある。一九四六年、ロハス政権が設置したフィリピン賠償委員会は、次のとおり算定した。
民間部門 24億5004万7000ペソ
政府部門 3億8080万9000ペソ
損害総額 28億3085万6000ペソ(約16億ドル)
また、一九四七年フィリピン政府は極東委員会に八十億ペソ(約四十一億ドル)を請求し、一九五〇年にはフィリピン外務省の賠償経済問題小委員会が損害総額一六一億五九二四万八〇〇〇ペソ(約八十億ドル)と報告した。
その後キリノ大統領が外務省に設けた対日平和条約委員会の賠償小委員会は、一九五一年五月二十三日付けで請求額を次のとおりとした。
[物損] 80億7154万9000ペソ
[人命損失] 44億4775万2000ペソ
[軍票支払いの供出財とサービス] 5億3522万ペソ
請求額合計 130億5452万1000ペソ(約65億ドル)
このうち物損は、ロハス政権下で調査した額を基礎に一九五〇年価格(四・八一九倍)での新規購入額として換算したもの、人命損失は最低補償額四千ペソ(二千ドル)とし、これに厚生省報告の民間人死亡者数百十一万千九百三十八人をかけたもの、軍票は軍政部と軍政監部の使用合計を算出したものであった。
これらの戦争損害算定で注目されるのは人命損失が計上されていたこと、しかし元「慰安婦」の被害等は脱落していたことである。
ちなみに日本政府はフィリピン政府の請求を値切りに値切って8億ドルにまで削っています。