今さら遅いとしか言いようのない指摘

この件。
田原総一朗:「イスラム国」人質事件で政府批判を許さないのは危険だ
この期に及んでなお、この程度の指摘しかできない言論状況を作り上げてきたのは誰なのか、と言いたいところですね。
日本政府を批判すれば、反日だの、中韓に媚びてるだの、散々、政府批判を許さない空気を作ってきたのは今のメディアそのものでしょうに。

人質事件で突如として現れた空気ではありませんよ。

ここ数年だけでも、橋下維新による週刊朝日弾圧、安倍自民によるNHK傀儡化と朝日新聞弾圧が立て続けに起こっており、それを補強する弾圧のための法体系が確立してきたのに、それにどれほど危機感を持っていたといえますかね。
むしろライバルを蹴落とすチャンスとばかりに、メディア同士で同士討ちにいそしんでいたのが実態ではないですか。

■政府に言うべきことは言わなければいけない

 第二次世界大戦中、日本の新聞は戦争批判をしなかった。政府批判をできなかったのはだらしなかったのだが、それを教訓とすれば、メディアも世論も言うべきことは言わなければならないのだ。「イスラム国」と「準戦争状態」に入ったということだけで、政府批判をしにくくなっているのは危ない状況といわざるを得ない。
 いま新聞もテレビも、安倍首相の言動を批判しにくくなっているように思える。2月4日付の産経新聞には、「『イスラム国寄り』?発言 野党・元官僚続々」といった記事や「産『法整備を』読『自己責任も』 朝・毎・日は政府の対応に疑義」といった記事が掲載された。つまり、政府批判をすれば「イスラム国」寄りだということになってしまうのである。
 「イスラム国」という卑劣極まりないテロ組織に対して、日本は国際社会と連携しながら毅然と対応していかなければいけない。
 同時に、政府に対して言うべきことは、きちんと言わなければいけない。そうしなければ、かつての大戦時のように日本のあり方を誤らせてしまうおそれがある。私はそのことをいま強調しておきたい。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150205-00000003-fukkou-bus_all

「政府に言うべきことは言わなければいけない」というのは確かにそのとおりですが、ならば田原氏はなぜ、言うべきことを自分自身でこの記事で言わないんですかね。「政府に対して言うべきことは、きちんと言わなければいけない。」「私はそのことをいま強調しておきたい。」という記述は、明らかに「政府に言うべきこと」ではなくメディアに向かって言ってることですよね。田原氏自身にメディア人であることの自覚がまったく感じられない、まるで他人事のような記述です。

結局、猫に鈴をつけるのは自分以外の誰かだと思っているから、他人事のような批評しかできないんでしょうね。