自衛隊には性善説、中国軍には性悪説を適用する風潮

「干扰弹」=「干撹弾」=「フレア」と。「妨害弾」という言い方が一般的なのかどうかは調べてません。

空自機と中国機のあいだで何が起きていたのか

 防衛省は「近距離で妨害を行った」ことと、「妨害弾(フレア)によって安全を脅かした」ことは否定しましたが、「フレアの投下自体」は否定していません。よって、実際のところどのような状況であったのかは不明ですが、少なくとも中国国防部が主張する「フレアの射出によって安全が脅かされた」という点は、フレアの特性上、発生しようがないことは明白であると断定でき、中国国防部の発表は矛盾しています。
 もし仮に、本当に航空自衛隊F-15戦闘機からフレアが射出されていたとしたならば、それはF-15パイロットが何らかの脅威を認識したからであると推測されます。今回の中国空軍機の編隊には戦闘機が2機(防衛省はSu-30戦闘機と発表)、確認されています。おそらくこの中国軍の戦闘機が、F-15に対してレーダー追尾(ロックオン)を仕掛けたのではないでしょうか。
(略)
関 賢太郎(航空軍事評論家)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161213-00010003-norimono-bus_all

中国軍機の進路上にフレアをばら撒けば、妨害とみなされておかしくないと思うんですけどね。仮に中国軍機が自衛隊機の進路上にフレアをばら撒いても自衛隊機は何もせず突っ込んでいくのかな?
防衛省が「「フレアの投下自体」は否定していません」というのはいいんですが、日本国内のメディアはなぜフレアを使ったのかどうか確認しないのか、と思ってたら12月13日の防衛省記者会見で質問されてました。

Q:この件に関しては、日本側が妨害弾を発射したというふうに、その妨害弾の意味が分からないと大臣は先ほど仰ったのですが、日本側がその中国の飛行機に対して、フレアも含めて、警告射撃をした事実はなかったのでしょうか。

A:警告射撃をした事実はありません。

Q:フレアを含めていかがですか。

A:フレアは警告射撃ではないですよね。フレアは相手方から射撃をされたときにそれを散らす目的で行なうものですから、それは妨害弾にも警告射撃にも当たらないということでございます。

Q:フレアを使ったことは事実だったのでしょうか。

A:そういった細部について手の内を明らかにすることは差し控えたいと思います。重ねてになりますが、フレアは赤外線誘導ミサイルを欺まんするために用いる装置であって、航空機の飛行を妨害することを目的として使用することはあり得ません。

Q:中国の動きについてなのですが、中国側の飛行機が、特異な行動はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。

A:危険な行為として公表すべきような特異な事例という意味では、ありません。

Q:今の点なのですけれど、フレアとチャフは使ったのですか。それは中国には当然分かることだから隠す必要はないと思うのですけれど、フレアかチャフは使っていますか。

A:その点については、わが方の手の内を明らかにするおそれがあることから、お答えを差し控えたいと思います。

Q:相手の中国側は当然分かっているわけですが。

A:相手方も含めてそういった手の内については、お答えは差し控えたいと思います。

Q:答えられない理由にはならないと思いますけど、ちゃんと使っているわけですから、チャフでもフレアを使用した場合は相手は分かるわけですから、それを日本側が公表できない理由というのは全く理解できないのですけれども。

A:対応の詳細については、わが方、そして相手方も含めてお答えは差し控えさせていただきます。

Q:大臣が、妨害弾というのは意味不明と仰ったのは、そのことだと思うのですが、中国側がチャフかフレアを妨害弾という言い方をした可能性がありますが、そうすると、お互いに言うことが食い違うわけで、そこがチャフかフレアを使ったのかどうかというのをはっきり言っていただきたいと思うのですけれども。

A:お互いの具体的なことについて、わが方の手の内を明らかになることから、お答えは差し控えさせていただきますが、明らかに事実と異なることを発表された点について、今回、私達は抗議をしたということでございます。

Q:チャフとフレアを中国側が妨害弾という言い方をしているのかもしれないので、そこははっきり中国側に分かっているわけですから隠す必要はないではないですか。

A:しかし、そういった仮定の、相手方の意図を忖度して何か申し上げる必要はないと思います。

Q:忖度するということではなくて、事実として、チャフとかフレアを7月の時、織田さんの時もそうですけれども、はっきりそれは言うべきではないですか。

A:わが方の手の内を明らかにするおそれがあるので、お答えは差し控えさせていただきますが、明らかに事実と異なることを発表された点については、抗議をさせていただいたということです。

(略)
Q:要するに、フレアを使うということは、危険を感じたからフレアを使って離脱するわけですよね。危険を回避するためのフレアを使用すると。それは特異な事案だから織田さんの時は特異な事案として発表する予定だったと。ところが織田さんが書いてしまったから発表しなかったと。特異な事案として今回は中国側が先に言ったから公表できないと。

A:いいえ。中国側は事実と異なることを発表されたので、その点については抗議をしたわけであります。

Q:フレアを使った、要するに危険を感じたからフレアを使ったわけですから、それは堂々と言えばいいじゃないですか。

A:そこは、中国側、また、こちら側の行動について、何か特異なものがあったとまでは考えていません。そして、細部について公表することがわが国の手の内も公表することになりますので、そこは申し上げないということです。

Q:フレアを使うということは、パイロットは危険を感じたわけですよね。それでフレアを撃って、離脱するわけですから、特異な事案に該当するんじゃないんですか。

A:防衛省の判断として特異な事例とは認識をしていないということでございます。

Q:今の件ですが、防衛省の方で、さらなる写真、あるいは当時の映像を公表する予定はありますでしょうか。

A:現時点で事実と異なるということを抗議申し上げているということでございます。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2016/12/13.html

フレアを使ったのかどうか、稲田防衛大臣は頑なに答えようとしません。警告射撃については即座に否定していますので、フレアに対する稲田防衛大臣の反応は少し異常に感じます。
まあ、ほぼ確実にフレアを使ったんでしょうね。

関賢太郎氏の「もし仮に、本当に航空自衛隊F-15戦闘機からフレアが射出されていたとしたならば、それはF-15パイロットが何らかの脅威を認識したからであると推測されます。」といった発言のように、自衛隊に好意的な性善説を適用した推測もできますが、中国軍機の進路上に嫌がらせにフレアをばら撒いた可能性だってあります。
関氏のように自衛隊性善説に基づく推測が広まれば、同時に中国に対する反感を政府の言動によらずに世間に広めることができますので、安倍政権としては明確に答えず匂わすという対応で世論誘導を謀っているんだろうなぁ、と私は思ってますけどね。
もし、あとで中国側から日本側に不利な証拠が公表されたとしても、政府自身の発言でない以上、発言に責任を負う必要もありませんし。

国防部就日本军机干扰中国军机正常训练表示严重关切

来源:国防部网责任编辑:李艳伟2016-12-10 19:44
国防部新闻发言人杨宇军12月10日向记者表示,12月10日上午,中国空军飞机经宫古海峡空域赴西太平洋进行例行性远海训练,日本自卫队出动1批2架F−15战斗机对中方飞机实施近距离干扰并发射干扰弹,危害中方飞机和人员安全。中方飞行员迅即采取必要应对措施,并继续开展相关训练。宫古海峡是公认的国际航道,中国空军此次远海训练是年度计划内的例行性安排,不针对任何特定国家和目标,符合相关国际法和国际实践。日本军机的行为是危险的、不专业的,破坏了国际法赋予的航行和飞越自由。中方对此表示严重关切并提出严正交涉。
需要指出的是,近年来日本舰机的多次干扰活动极易导致误解误判,引发海空摩擦甚至冲突。我们敦促日方从维护地区稳定和中日关系大局出发,切实采取有效措施,防止发生海空安全问题。

http://www.mod.gov.cn/info/2016-12/10/content_4766241.htm