中韓通貨スワップ協定を過小評価している嫌韓バカたちには理解できないニュース

欧州中央銀行と中国が6兆円近い規模の通貨スワップ協定を締結しました。

2013年 10月 10日 17:46 JST
ECB、中国人民銀行通貨スワップ協定に合意
By BRIAN BLACKSTONE
 【ワシントン】欧州中央銀行(ECB)は10日、中国人民銀行中央銀行)との通貨スワップ枠を設けることを明らかにした。これは欧州の貿易と金融取引における中国の重要性が増している現れだ。
 この期間3年間の協定のもとで、ECBは最大3500億人民元(約5兆6000億円)、人民銀行は最大450億ユーロ(約5兆9000億円)をお互いに交換できる。
 通貨スワップ枠は、金融機関が予想外に外貨資金が必要となった場合の助けとなる。ECBはすでに、米国、英国、カナダ、スイスと通貨スワップ協定を結んでいる。
 ECBは声明で「スワップ取り決めは流動性の融通を補強し、ユーロ圏の銀行に対し中国人民元の継続的供給を再保証するためのものだ」と述べた。
 ECBのクーレ専務理事は、この新しい取り決めは「国際的金融動向における中国人民元の役割の急速な成長と、この国際化過程に伴う国際的協力の妥当性を認めたものだ」と語った。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303836304579126800945413212.html

中国経済には不安材料はあるものの、日本の極右論者が喚いているような“崩壊寸前”と言った印象とはほど遠いと言えるでしょうね。また、人民元を国際決済通貨ではないとか喚いている人もいますが、中国は通貨スワップ協定を結んだ相手国と通貨スワップ枠の貿易決済での利用を認めています。これは相手国に人民元建の外貨準備をするインセンティブになると同時に複数の相手国同士が中国を介さずに貿易を行った際の決済を人民元建で行うインセンティブにもなります。中国が二国間通貨スワップ協定を結んだ相手国は20ヶ国ほどになりますが*1、これらの国々の間で外貨準備や決済通貨としての人民元の位置づけが高まっていくと、人民元の国際化というのは成立するわけです。実際、人民元は国際決済通貨になりつつある、というのが正しい評価と言えるでしょう。
ウェブ上では、人民元を国際決済通貨ではないとか喚いている人が多くいますが、国際決済通貨の定義を理解していそうな人は見たことありません。

ところで、経済評論家と称する事実上のレイシストである三橋貴明氏は以下のように述べています。

 中国自体が「影の銀行(シャドーバンキング)」「理財商品」などの問題で、金融が混乱に陥りつつあるのに加え、そもそも、人民元はハードカレンシー(=国際決済通貨)ですらない。国際市場で他国通貨と容易に両替することができないローカル通貨と通貨スワップを締結して、韓国にとって何の意味があるのかさっぱりわからない。
 しかも、相手は中国である。実際に韓国が次なる通貨危機に見舞われたとき、中国はいつも通り、何だかんだと強弁しつつ、暴落する韓国ウォンと人民元の交換(スワップ)を拒否するだろう。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130803/frn1308031128003-n2.htm

この人の目には韓国を中心とした世界しか映っておらず、それも己自身の差別と偏見で異常に歪んだ形でしか見えていないようです。三橋氏による「評論」には経済的に学ぶところはほとんど無さそうですね。嫌韓バカの自慰のおかずくらいにしかならないのではないでしょうか。

*1:インドネシアは2012年に失効(期限切?)したものの2013年10月に再開。その他も失効した国があるかも知れませんが、失効はニュースになりにくいため確認できません。通貨スワップ協定自体が常時利用するものではなく、利用できるという状態に意味がありますので、貿易決済時に常用しない限りは失効期間の存在自体に大きな意味はありません。とは言え、インドネシアの場合は経済状態の他、対中外交・対日外交を天秤にかけて立ち回っている感がありますが。