日本の市民に台湾の学生・市民ほどの覚悟があるか

昨年、台湾では馬政権の対中融和*1に反対する学生・市民によるヒマワリ運動が起きました。

2015.3.18 20:06更新

台湾、続く対中警戒感 ヒマワリ学生運動から1年

 中国との貿易自由化をめぐる台湾立法院(国会)の審議に反発した学生らが、約3週間にわたり議場を占拠して市民の支持を広げた昨春の「ヒマワリ学生運動」から18日で1年。運動で鮮明となった中国への警戒感は衰えておらず、低迷する対中関係が来年の次期総統選を前に急速に好転する兆しは見えない。
 昨年の運動を主導した学生や、政権奪取を狙う野党・民主進歩党林義雄元主席ら市民団体メンバー数百人が18日、立法院前で訴えた。対中融和などの馬英九政権の政策で「民意は踏みにじられてきた」として運動継続を強調。議員罷免や住民投票の成立要件緩和を目指し、4月10日まで集会や署名集めを続け、政権に圧力をかける構えだ。
 学生運動は馬政権批判を高め、昨年の統一地方選での与党国民党の惨敗を招くとともに、30代以下の政治参加や、従来の与野党対立の枠組みを超えた「公民意識」の高まりを促したとされる。(共同)

http://www.sankei.com/world/news/150318/wor1503180059-n1.html

ヒマワリ運動は立法院占拠までする強硬な運動でしたが、日本の左派も結構支持していましたし、反中なら何でも賛成の極右も賛同していました。一方で、立法院占拠という強硬な手法に対する批判はほとんどありませんでした。日本国内のデモに対しては、騒音をもってテロ扱いするような人たちでさえ容認していました。


さて、安倍政権はやはり戦争法案の強行採決を企んでいるようです。

安保法案、強行採決の構え 政府、与党 会期延長で一致

2015年06月11日 00時17分
 新たな安全保障関連法案への「違憲」批判が広がる中、政府、与党は10日、今国会の会期を延長し、衆院の採決時期を探る動きを本格化させた。自民党谷垣禎一幹事長は安倍晋三首相と官邸で会談し、「そろそろ法案をどうしていくか、判断しなければならない」と伝えた。二階俊博総務会長は講演で「会期を延長し、結論を出すことが大事だ」と述べ、今国会で成立させるべきだとの考えを明言。政府、与党は、強行採決も辞さない構えだ。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/174736

憲法学者が何を言おうが、メディアがどう指摘しようが、世論調査で市民の反対がいかに多かろうが、現時点において圧倒的な議席数を持っている自公政権には強行採決という手段があります。強行採決したところでしばらく国政選挙はなく、一年もすればほとんどの有権者は戦争法案の強行採決など忘れ去り、戦争に巻き込まれて死傷者が出るまで記憶の片隅に放り込まれてしまうでしょう。

 いつ採決しても、野党が反発して「強行採決」となるのは避けられない。今国会なら、支持率がたとえ急落しても、首相を脅かす有力対抗馬はおらず、党総裁選と内閣改造でのリセットが望める。
 8月10日まで延期するなら、参院で1カ月の審議を見込み、衆院採決は6月末か7月上旬。政府高官は「強行採決も継続審議も、どっちを取ってもダメージはある。よりダメージが小さくて現実的なのは強行採決だ。何を言われても一気にやるしかない」と語った。
=2015/06/11付 西日本新聞朝刊=

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/174736

台湾の学生・市民ほどの気概が日本の有権者にあるのなら、国会占拠だってありうるかも知れません。
憲法学者はその職責を果たし、メディアも政権に懐柔されている状況下でにあって問題点を市民に伝えています。野党は必死に法案の問題点を追及しています。それでも圧倒的多数の議席を持つ安倍政権は強行採決できるわけです。
安倍政権にそのような議席を与えたのは日本の市民自身です。

6月末か7月上旬、憲法違反の法案が強行採決されるのをただ黙ってみているのなら、民主主義の市民としての資格はないでしょうね。

*1:というよりは経済連携強化に対する反対というべきと思いますが。