日韓両国メディアでの認識について

日本の状況

日本では2017年1月7日までに5つの全国紙全てが社説またはコラムでこの問題を取り上げています。

朝日:韓国との外交 性急な対抗より熟考を(2017年1月7日(土)付)
産経:【主張】釜山の慰安婦像 反日では墓穴掘るだけだ(2017.1.7 05:03更新)
日経:日韓の合意をほごにするな (2017/1/5付)
毎日:社説 釜山の少女像 合意の崩壊を危惧する(毎日新聞2017年1月7日 東京朝刊)
読売:少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為だ(2017年01月06日 06時08分)

個々の社説を論点別にまとめるとこうなります。

論点 朝日(1/7) 産経(1/7) 日経(1/5) 毎日(1/7) 読売(1/6)
少女像の位置付け 否定的*1 否定的*2 否定的*3 否定的*4 否定的*5
少女像設置について 問題*6 条約違反*7 問題*8 問題*9 不法*10
合意について 尊重*11 (明記なし) 尊重*12 尊重*13 尊重*14
対応すべきは 日韓双方*15 韓国*16 韓国*17 日韓双方*18 韓国*19
大使召還について やりすぎ*20 当然*21 (召還決定前) (評価不明) (召還決定前)
合意に関する韓国での報道認識 (記載なし) (記載なし) (記載なし) 不十分*22 不十分*23

少女像の位置付けについては、表現の差こそあれ全国紙全てが否定的にとらえており、撤去・移転されるべきものという理解を示しています。当然、新たな少女像の設置も問題であり、日本政府が抗議するのは当然といった認識も全国紙全てに共通しています。2015年の日韓政府間合意についても、尊重すべきものという理解で一致しています。

違いが出てくるのは日本政府の対応についてです。大使召還については1月6日午前の発表ですので、日経・読売ではふれられておらず毎日にも明確な記載がありませんが、朝日と産経は言及しています。朝日は大使召還はやりすぎだと指摘し、産経は当然だと賛同しています。産経新聞慰安婦問題は捏造であり、そもそも謝罪する必要自体存在しないという歴史修正主義的立場ですから、その姿勢はわかりやすいですね。
朝日は抗議は当然だが大使召還はやりすぎだという主張でこれはこれで妥当なのですが、朝日憎しで発狂するネット世論では不評です。
今後、対応すべき主体についても、朝日・毎日が日韓双方に冷静な対応と合意の実践を求めているのに対し、産経・読売・日経は韓国に対してのみ要求をつける形式になっています。

日本における慰安婦問題の状況

2014年8月の朝日新聞自身による慰安婦問題の検証報道直後から右翼政治家・右翼言論人らによって朝日は袋叩きにされ、慰安婦問題を扱う史実派はほぼ壊滅状態となり、政治的・言論的な影響力はほぼ消滅しました。生き残ったのは、朴裕河「帝国の慰安婦」路線での解決を支持する勢力のみで、挺対協を切り離して慰安婦問題を「解決」させる方向に舵を切ることになります。
日韓政府間合意直前に日本の“リベラル”勢がどのような態度を取ったかについては「朴裕河氏の起訴に対する抗議声明」あたりを見ればわかります。朝日新聞はこの朴裕河「帝国の慰安婦」路線での解決を支持する立場でしたので、今回の朝日社説は予想の範囲内と言えます。
ソウルの少女像を設置した挺対協に全ての責任を押し付け、それを切り離すことで、日韓間の慰安婦問題を「解決」させるという方針からすれば、少女像に否定的かつ合意尊重という態度なのも当然です。

慰安婦問題において日本政府には何の責任もない”“謝罪する必要は無い”という主張が国際的に通用しないのは当然で、2015年12月以前に“謝罪済み”という主張も通らないのもわかりきった話でした。安倍政権が受け入れ可能な範囲の対応で、かつ朴政権が国内を説得できそうな着地点は、2015年12月の合意内容くらいです。その時にどうしても邪魔になる存在は元慰安婦らの支援団体で、そのために両国は“協力して”挺対協に対するネガキャンを行ったわけです。
2015年12月の合意時点では、挺対協に対するネガキャンはほぼ成功していたと言えるでしょう。2015年12月の合意は、日本国内はもとより海外でも評価されたのですから。
問題はその後でした。
合意直後から日本政府は少女像撤去が合意内容に含まれると主張し、右派政治家・言論人は慰安婦否定論を活発に展開し、慰安婦問題を報じた朝日記者や歴史学者に対するバッシングはやむことがありませんでした。海外に対しても“慰安婦を性奴隷と呼ぶな”と圧力をかけ始め、右翼団体を通じて海外の慰安婦像に対するロビー活動を展開しました。
2016年5月にはアメリカの教科書にある慰安婦に関する記述に抗議を煽り、従軍慰安婦に関する記憶遺産登録の動きに反対し、8月には時事通信が挺対協を貶める捏造記事を配信しています*24
9月から10月にかけて韓国財団から元慰安婦に対する現金支給が開始されると日本国内の世論は反対が多いという有様となり、元慰安婦らに対するおわびの手紙の要望を安倍首相はにべもなく拒絶し、日本社会はそれを容認しました。
この時点で安倍政権だけでなく日本社会全体が、日韓合意を慰安婦問題の封印としてしか理解してないことが明らかになります。

“日本政府は金を出したから被害者は口をつぐめ、支援者は少女像を撤去せよ”と。
朝日などの朴裕河「帝国の慰安婦」路線を支持するリベラルは、それに加えて“合意に基づく日韓融和を壊すな”と主張したわけです。
それが今回の全国紙の社説に現れています。

韓国の状況

韓国三大紙のうち東亜日報は現在のところ、この件に関する社説をあげていません。
保守・右派傾向の最も強い朝鮮日報は、次期政権が左派系となる可能性を懸念してか社説で大きく取り上げています。

韓国・朝鮮日報(1/7)P1:【社説】大荒れ韓国外交、「親日か反日か」を問う前に代案を示せ(上)
韓国・朝鮮日報(1/7)P2:【社説】大荒れ韓国外交、「親日か反日か」を問う前に代案を示せ(上)
韓国・朝鮮日報(1/7)P1:【社説】大荒れ韓国外交、「親日か反日か」を問う前に代案を示せ(下)
韓国・朝鮮日報(1/7)P2:【社説】大荒れ韓国外交、「親日か反日か」を問う前に代案を示せ(下)
韓国・朝鮮日報(1/10):【社説】少女像問題、歴史と外交を結び付ける日本の攻勢は危険だ

保守系ながら朝鮮日報ほど右派ではない中央日報も取り上げています。
中央日報(1/7):【社説】釜山慰安婦少女像めぐる韓日葛藤…国益中心に解こう
この他、左派系のハンギョレも社説で取り上げています。
ハンギョレ[社説]市民の「少女像」に報復した日本の居直り

保守系朝鮮日報中央日報も“日韓合意を尊重すべし”という点と日韓双方に問題ありという指摘において共通しています。
朝鮮日報は少女像に否定的ではあるものの「少女像を設置したことがこれらの合意の趣旨に反するのは事実だが、だからといって韓国政府が合意に反したとは言えない」としており、中央日報も「釜山少女像設置を主導したのは韓国政府ではなく市民団体だ」とし、韓国政府側の合意違反を否定しています。朝鮮日報中央日報は共に、北朝鮮の核開発、アメリカのトランプ政権、中国とのTHAAD問題について懸念し、日本との関係を改善すべきという論旨ですが、それでも日本側の大使召還はやりすぎ、と指摘しています。
韓国特有の外交状況の部分を除けば、立ち位置は朝日や毎日に近いと言えるでしょう。

これに対してハンギョレはそもそも合意に否定的な見解を示し、他紙を一線を画しています。

 しかし日本政府は問題の根本原因が合意自体にあることを直視しなければならない。合意当時、日本政府は元慰安婦被害者に対する法的責任認定をはじめとして絶対的に必要な措置をほとんど取らなかった。そのうえ元慰安婦支援として10億円を出すことでこの問題が不可逆的・最終的に解決されたと宣言した。少女像の設置が日本の責任回避と歴史無視に対する韓国市民の抗議であることを日本政府が分からないはずはないだろう。それなのに根本問題には目を瞑り少女像を撤去しろと言って超強硬報復行為をするのは懺悔と正義を求める声を力で押さえ付けようとすることに他ならない。

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26157.html

また、日韓双方に問題ありと批判している点では朝日・毎日・朝鮮日報中央日報と共通しますが、その批判の意味において異なっています。

 日本に強硬措置の糸口を与えてしまった韓国政府の無責任かつ外交力欠落も指摘せざるをえない。当初、韓国政府が10億円の義援金で事実上すべての責任を免除する合意をしたことからして誤りだった。しかも合意直後から韓国政府が10億円を受ける代価として少女像を撤去するという裏取引をしたという議論が起きた。日本政府は今回も少女像の問題に関連して「約束したことは必ず守らねばならない」と求めている。朴槿恵(パク・クネ)政権が自ら招いた外交屈辱である。

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26157.html

合意の裏取引として少女像を撤去するという条件を韓国政府が認めたことを批判しています。実際、日本側から少女像撤去が条件であるかのような放言・報道が相次いだこともあり、この裏取引説に説得力を与えました。

 日本政府が報復措置の根拠にしている一昨年末の合意は、正義の原則を損ねたものであるだけに根本的に誤っている。日本は報復措置を直ちに止めるのが当り前である。おりしも韓国の裁判所は合意に関連した交渉文書を公開せよとの判決を下した。政府は今からでも合意内容を全て明らかにし、国民の意思に沿った選択をせねばならない。

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26157.html

ハンギョレは合意そのものに反対するという論陣を張っています。

韓国における慰安婦問題の状況

韓国国内においても、少女像支持で一枚岩だったわけではありません。2015年12月の日韓政府間合意を歓迎する層はそれなりにいました。合意直後の2016年1月5日の中央日報記事では、朴政権の交渉結果を「満足」としたのは与党セヌリ党の強い地域で4割程度いました(釜山・慶南(43.6%)、大邱・慶北(39.3%))。
少女像移転に反対の層は7割以上でしたので、そもそも韓国側では、合意内容が少女像の移転・撤去を認める内容とはみなしていないことがわかります。
また、安倍首相の謝罪に誠意があると感じたのは2割程度で7割以上が「ない」と回答しています*25。にもかかわらず、4割程度が「慰安婦問題の不可逆的解決」に同意していましたので、韓国国内でも日韓政府間合意の評価は悪くなかったのです。
ところが、日本政府が高圧的に少女像撤去要請を繰り返したり、慰安婦の記憶遺産登録を妨害する動きを示したり、否定論を野放しにしたりしてるうちに、韓国国民の合意に対する印象が悪化し、何とか合意を守ろうとする韓国政府への批判も強まっていきました。
2016年9月には、再協議すべしと言う声が強まり*26世論調査専門機関リアルメーターの調査結果でも、2015年12月の調査から1年後の2016年12月の調査で、合意を「破棄すべき」が50.7%から59.0%に増加、「維持すべき」は43.2%から25.5%に減少しています*27

韓国国内政局の影響もあるでしょうが、慰安婦問題に対する日本側の否定的態度が合意に対する印象を大きく損なったことも否定できないでしょう。

朝日

韓国との外交 性急な対抗より熟考を

2017年1月7日(土)付
 政府が、駐韓大使と在釜山総領事を一時帰国させると決めた。釜山の総領事館前に慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置という。
 そのほかにも、緊急時にドルなどを融通しあう日韓通貨スワップの協議の中断や、ハイレベル経済協議の延期、釜山総領事館職員の地元行事への参加見合わせも発表した。
 少女像問題の改善へ向けて、韓国政府は速やかに有効な対応策に着手すべきである。日本政府が善処を求める意思表示をするのも当然だ。
 しかし、ここまで性急で広範な対抗措置に走るのは冷静さを欠いている。過剰な反発はむしろ関係悪化の悪循環を招くだろう。日本政府はもっと適切な外交措置を熟考すべきである。
 日韓政府間ではこれまでも、歴史認識問題のために関係全体が滞る事態に陥った。
 だからこそ、歴史などの政治の問題と、経済や文化など他の分野の協力とは切り離して考えるべきだ――。そう訴えてきたのは、当の日本政府である。
 少女像問題をきっかけに経済協議や人的交流も凍結するというのでは、自らの主張と行動が反対になる。今後の対韓交渉で説得力を失うものだ。
 韓国はいま、朴槿恵(パククネ)大統領の進退で揺れている。日韓の応酬が続けば、次期大統領選にも影を落とす。これまで慰安婦問題に関心を示さなかった候補予定者らも対日強硬姿勢をとることが予想され、少女像問題の解決はさらに遠のく恐れがある。
 日韓関係が再び、暗いトンネルに入りかねない局面である。ここは両政府が大局観に立ち、隣国関係を対立の繰り返しではなく、互恵へと深化させる価値を国内外に説くべき時だ。
 日本政府と同様に、韓国政府側の責任は重い。一昨年の日韓合意では、ソウルの日本大使館前にある少女像の扱いについて、韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」ことが盛り込まれた。
 日本政府は、少女像が在外公館の安寧や威厳の維持を定めたウィーン条約に抵触するとして撤去を求めてきた。努力目標とはいえ、韓国側は合意の文言を尊重しなくてはならない。
 日韓合意は、元慰安婦らの心の傷をいかに癒やせるかを双方が考え、知恵を出し合った結果であり、いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。
 この合意を侵食するような行動は双方が慎むべきだ。
 両政府は合意の精神を着実に実践し、両国民の理解を深めるよう心を砕いてもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

産経

2017.1.7 05:03更新

【主張】釜山の慰安婦像 反日では墓穴掘るだけだ

 韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が不法に設置された問題で、政府が駐韓大使の一時帰国などの措置をとった。
 遅きに失した感は否めないが、当然の対応だ。法を守らず、事態の悪化を放置する国を信頼することはできない。
 およそ近代国家の体を成さない状況が、自らの国際的信用を失っていることを韓国はよく認識してもらいたい。
 像の設置は、外国公館の安寧と尊厳を守るウィーン条約に明らかに反する。
 そもそも、再び慰安婦像を反日行動の象徴として持ち出すのは、少女を拉致して性奴隷にしたなどと嘘を唱え、歴史を歪(ゆが)めて日本をおとしめるためだろう。
 ソウルの日本大使館前に置かれた慰安婦像も未撤去だ。新たな像の設置は、慰安婦問題の最終的解決をうたった一昨年末の日韓合意をさらに踏みにじるものだ。
 釜山に像を設置したのは学生らでつくる市民団体だという。
 与党セヌリ党系の釜山市長や地元の釜山市東区の区長は当初、設置を認めない方針を示していた。昨年12月28日に一時、置かれたものの、すぐに撤去された。
 ところが、数日後には一転して設置された。撤去に抗議する電話などが殺到したためだという。区長は「自治体が対応するのは難しい」と述べたが、反日世論に押され、不法を許した格好である。
 韓国政府が「基本的には当該機関で法令に基づき判断しなければならない事案だ」としながら、傍観する姿勢をとったことは看過できない。韓国の法治とは、情緒的に法を曲げるものなのか。
 日本政府は金融危機時にドルなど外貨を融通し合う「通貨交換(スワップ)協定」の再開に向けた協議も中断する。
 韓国側が要請していたものだが、信頼関係が保てない状況での協力は難しい。
 核実験やミサイル発射など北朝鮮が暴挙を繰り返し、日米韓のより緊密な連携が必要な時期であることを忘れてはなるまい。
 バイデン米副大統領は6日の安倍晋三首相との電話協議で、日韓合意が「双方によって着実に履行されることを強く期待する」と述べた。安倍首相は「逆行することは建設的ではない」と応じた。
 大統領失脚で国内が混乱しているときだからこそ、真の敵を見失ってはならない。

http://www.sankei.com/column/news/170107/clm1701070002-n1.html

日経

日韓の合意をほごにするな

2017/1/5付
 韓国の市民団体が昨年末、こんどは釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置した。旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる日韓の政府間合意を揺さぶる新たな火種にもなりかねず、憂慮せざるを得ない。
 ソウルの日本大使館前には2011年末、市民団体によって少女像が設置されており、それに続くものだ。今回、釜山の地元自治体はいったん撤去したものの、市民らの抗議が殺到したため一転して設置を認めたという。
 日韓は一昨年末、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。元慰安婦を支援する財団を韓国政府が設立し、日本政府が10億円を一括拠出するというのが柱だった。日本側はすでに履行義務を果たし、元慰安婦への現金支給も始まっている。
 韓国政府はこの合意で、ソウルの日本大使館前の少女像撤去についても「解決に向けた努力」を約束した。日本側はかねて大使館の保護を定めたウィーン条約に違反するとして善処を求めていた。その合意から1年以上たっても解決のメドがたっていないのに、釜山の総領事館前にも像が設置されるという由々しき事態となった。
 このままでは、慰安婦合意後にようやく芽生えた日韓の関係改善の機運が再びしぼみかねない。
 韓国では慰安婦合意を主導した朴槿恵(パク・クネ)大統領が自身の醜聞によって国会で弾劾訴追され、職務停止の状態が続く。
 政局の混乱が長期化するなか、懸念されるのは野党勢力を中心に日韓合意をほごにしようという動きが出ていることだ。市民団体が総領事館前に少女像を設置したのも、慰安婦合意の破棄を政界に促すねらいがあるとされる。
 だが、朴氏の疑惑と政権の政策は別問題だ。朴氏の早期退陣は不可避だろうが、仮に政権交代後に慰安婦合意を含めた国際的な約束事がほごにされれば、韓国は国際社会での信認を失う。韓国政界にはこうした負の影響を十分に考慮に入れた慎重な言動を求めたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO11321280V00C17A1EA1000/

毎日

社説 釜山の少女像 合意の崩壊を危惧する

毎日新聞2017年1月7日 東京朝刊
 慰安婦問題を巡る一昨年末の日本と韓国の合意を維持できるか危ぶまれる事態となっている。
 発端となったのは、韓国南東部・釜山の日本総領事館前の公道に昨年末、慰安婦を象徴する新たな少女像が設置されたことだ。地元自治体は許可しない方針だったが、世論の批判を受けて黙認に転じた。韓国政府も事実上これを放置した。
 日本政府は「領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害する」として撤去を求めている。
 日韓合意では、ソウルの日本大使館前に建つ少女像について、韓国政府が日本政府の抱く「懸念を認知」し、「適切に解決されるよう努力する」とうたわれた。
 この問題で進展が見られない中での新たな少女像だ。民間団体による私有地への設置なら政府にできることは限られるが、外交公館前の公道である。明らかに合意の精神に反している。
 政府はきのう、長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を一時帰国させる対抗措置を発表した。金融危機時に通貨を融通しあう「通貨スワップ協定」再開に向けた協議の中断など経済面での措置にも踏み込んだ。
 日本として強い不快感を示す外交的措置を取ることは必要だろう。
 ただ、今回の事態で互いの国民感情を悪化させ、合意そのものを揺るがせてはいけない。
 合意はいまや、日韓関係を前へ進めるための基盤である。悪化する一方だった日韓関係は合意を契機に改善基調となり、北朝鮮情勢への対応もスムーズに行えるようになった。
 両国と同盟関係にある米国は合意支持を繰り返し表明している。良好な日韓関係は、日米韓連携のためにも必要だ。米国がトランプ次期政権になっても、それは変わらない。
 残念なのは、合意への韓国社会の理解が深まっていないように見受けられることだ。
 韓国では、朴槿恵(パククネ)大統領に対する弾劾審判の結果によっては今年前半にも大統領選が行われる。主要候補と取りざたされる政治家は軒並み合意に否定的だ。昨年末の世論調査でも「破棄すべきだ」という意見が6割近かった。
 だが実際には、合意に基づいて設立された財団による元慰安婦らへの現金支給事業は順調に進んでいる。合意時点で生存していた元慰安婦の7割超が事業を受け入れた。韓国ではほとんど報じられていないが、当事者の意向はもっと重視されるべきだ。
 慰安婦問題は日韓ともに国民感情を刺激しやすい。両国は、嫌韓反日という不毛な感情的対立を生まないよう冷静な対応に努めてほしい。

http://mainichi.jp/articles/20170107/ddm/005/070/019000c

読売

少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為

2017年01月06日 06時08分
 韓国政治が混迷する中で、対日関係を損なう不法行為が罷まかり通った。憂慮すべき事態である。
 韓国南部・釜山の日本総領事館前の公道に、市民団体が、慰安婦を象徴する少女像を設置した。地元の区は当初、道路法違反を理由に制止しようとしたが、団体などからの抗議に屈し、容認に転じた。
 韓国政府が、地方自治体の判断する事案だとして、自らの立場を明確にしないのは疑問だ。
 朴槿恵大統領は、友人による国政介入事件のため職務停止中で、黄教安首相が大統領代行を務めている。政府は最低限の外交秩序を維持すべきではないか。
 日本政府は、領事関係に関するウィーン条約に抵触するとして、韓国に抗議し、撤去を求めた。条約は、領事機関の「安寧と威厳」を守るよう義務づけている。
 深刻なのは、今回の設置が慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意の趣旨に反する点である。
 合意では、韓国が元慰安婦支援の財団を作り、日本が10億円を拠出する。問題の「最終的かつ不可逆的な解決」と確認する。日本が撤去を求めるソウルの日本大使館前の少女像を巡っては、韓国が適切な解決への努力を約束した。
 にもかかわらず、釜山で新たな像が設置されたのは遺憾だ。
 財団は、10億円を基に、合意時点での生存者46人のうち29人に各1億ウォン(約1000万円)を支給したという。だが、その事実は韓国で十分に報じられていない。
 政局の主導権を握った野党陣営から大統領選出馬を目指す有力者らが、合意の再交渉を主張しているのは、看過できない。釜山の像設置も公然と支持した。反日感情を煽あおっているのではないか。
 財団事業がこれだけ進展している以上、合意は「不可逆的」であり、再交渉の余地はない。黄首相が「連続性が維持されることが望ましい」と述べたのは、一連の事情を踏まえたものだろう。
 朴氏の弾劾の是非は、内政問題だ。国民の政権批判が強まっていることを理由に、外交の成果まで全面否定するのはおかしい。
 日韓関係は、合意を契機に改善に向かいつつあった。新たな少女像の設置が、その動きに冷や水を浴びせた。日本国民の嫌韓感情が再び高まるのは避けられまい。
 日本との歴史問題を名分にすれば、国内法、国際法や他国との取り決めを順守しなくても許容される。そうした韓国の独善的な体質は、対外的なイメージを低下させるだけである。
2017年01月06日 06時08分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20170105-OYT1T50182.html

韓国・中央日報

【社説】釜山慰安婦少女像めぐる韓日葛藤…国益中心に解こう

2017年01月07日12時40分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] comment168 share mixi .
釜山(プサン)日本領事館前の慰安婦少女像設置をめぐり韓日関係が急速に冷え込んだのは遺憾だ。韓日両国は東は米国優先主義を主張するトランプ次期政権から、西は自国の安保を前面に出す習近平政権から圧迫を受けている。北朝鮮の核の脅威とも向き合っている。その両国が手を握るどころか過去の歴史のためにまた関係悪化に向かうというのは、いかなる理由であれ残念なことだ。
今回の葛藤をめぐる対応を見ると、双方ともに過ちを犯している。まず、釜山東区庁は右往左往したという非難を避けられない。少女像を押収すればどういうことになるかは明らかだった。非難が激しくなると2日後に少女像を返還し、非常にお粗末な対応を見せた。安倍政権が駐韓日本大使を呼び戻したといってすぐに同じ措置を取った外交部も事態を悪化させる過ちを犯した。
日本政府はもう少し慎重に対応するのが望ましかった。釜山少女像設置を主導したのは韓国政府ではなく市民団体だ。釜山東区庁を含む韓国当局はこれを防ごうとしたが、爆発直前の世論に押されたのだ。これを勘案せず直ちに日本大使召還という超強硬対応を見せたことで、日本政府は両国間の葛藤を深めた。
我々が忘れてはならないのは、過去の清算も重要だが外交関係で究極的な最高ラインは別にあるという点だ。それは国益だ。そのためには韓日関係も未来志向的に導くのが望ましい。したがって大統領選挙の候補など政治家は今回の葛藤をあおってはならず、民族感情を大統領選挙戦略として悪用してもならない。
過去にはこういう紛争が生じれば両国重鎮の水面下チャンネルが稼働し、難題が解けたりした。しかし知韓派・知日派が減り、疎通が難しくなった。さらに日本側と円満な関係を結んでいた元駐日大使の李丙ギ(イ・ビョンギ)元大統領秘書室長、韓日議員連盟韓国側会長の徐清源(ソ・チョンウォン)セヌリ党議員がともに崔順実(チェ・スンシル)事件で苦境に立たされている。今回の事態で改めて痛感するが、両国ともに円滑な疎通のために水面下チャンネルの復元に努力しなければならないだろう。

http://japanese.joins.com/article/426/224426.html?servcode=100§code=110

韓国・朝鮮日報

記事入力 : 2017/01/07 09:42

【社説】大荒れ韓国外交、「親日反日か」を問う前に代案を示せ(上)

 今年は新年早々から中国と日本がわれわれ大韓民国に対して厳しい圧力を加えており、これに米国まで加わってきそうな状況になっている。日本政府は釜山の日本領事館前に慰安婦少女像が新たに設置されたことに抗議し、昨日ソウルの駐韓日本大使と釜山総領事を同時に一時帰国させた。特命全権大使の帰国は、外交的には相手国に対する強い不満の表明を意味するもので、いわば断行に次ぐ強硬な措置だ。これに加えて日本は通貨スワップ協定の締結再開に向けた協議も一方的に中止した。通貨スワップ協定は外貨不足という非常事態に備えるものであり、20年前のアジア通貨危機で韓国はこの外貨不足への備えが不十分だったため、結果的に国際通貨基金IMF)から救済措置を受け国全体が大きな苦痛を受けたことは今なお記憶に新しい。
 米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に反対する中国からの圧力も一層強まっている。中国の王毅・外相は今月4日から北京を訪問した韓国の最大野党「共に民主党」の議員らに会った際、THAAD配備に対して無礼とも言えるほど露骨に不満を表明した。王毅・外相は「最近韓国ではTHAAD配備に向けた発言が相次いでいるが、これは到底理解できない」とした上で、中国として韓国のTHAAD配備に反対する立場を改めて明確にした。これに加えて中国外交部(省に相当、以下同じ)の次官補も、THAAD配備が撤回されない場合、民間分野における韓国への制裁が今後も続くことを示唆した。
 米国のトランプ次期大統領は日本のトヨタ自動車に対し、米国に輸出する自動車を生産するためメキシコに工場を建設する計画を進めていることを批判した。トランプ氏は「米国に工場を建設するか、あるいは高額の国境税を支払うかどちらかだ」としてトヨタに圧力をかけているが、これにはトヨタと同じくメキシコで自動車工場の建設計画を進めている韓国の自動車メーカーも緊張を高めている。トランプ氏は自由貿易協定(FTA)の破棄を公約として掲げてきたが、これが単なる脅しや人気取りではない可能性が現実となりつつあるのだ。
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/07/2017010700469.html

記事入力 : 2017/01/07 09:42

【社説】大荒れ韓国外交、「親日反日か」を問う前に代案を示せ(上)

 韓国外交部はこのような一連の状況について「韓国を取り巻く今の外交・安全保障情勢は、冷戦終結後では最も厳しい状況にある」との見方を示している。この言葉が決して誇張とは思えないほど確かに今の状況は深刻だ。ところがこの危機的状況の中、韓国では国のリーダーシップが完全に欠如し、しかも今後どうなるのかさえ見通せない。大統領弾劾問題だけの話ではない。次に政権を握る可能性が最も高いとされるのは最大野党の「共に民主党」と同党の文在寅(ムンジェイン)前代表だが、彼らが今の状況にどう対処するつもりなのか、その戦略も考え方も全く見えてこないからであり、ある意味このことの方が弾劾問題よりもはるかに深刻だ。文氏は先月、釜山市の東区庁が日本領事館前から少女像を撤去した際「親日行為だ」と批判した。今の時代、大韓民国親日派が存在するという考え方を大統領候補である文氏が持っていること自体が何よりも衝撃的だ。これは30−40年前の運動圏(左翼系の学生運動グループ)学生たちと同じレベルの認識であり、このレベルの考え方で今の複雑かつ多面的なグローバル時代にどうやってこの国を導こうとするのか全くもって理解できない。
 われわれ大韓民国と日本は同じ自由民主主義の価値を共有し、また経済分野では深い関係を結んでいるだけでなく、民間分野での交流も活発だ。ところがその一方で歴史問題で今なお根深い対立が続く非常に複雑な関係でもある。ところがこの日本との複雑な関係を「親日反日か」といった単細胞的な観点からしか考えられないとなれば、冷静かつ常に用意周到に立ち回る日本人と渡り合うことなど到底できない。共に民主党と文氏は「もし政権を握れば直ちに韓日慰安婦合意を破棄する」と豪語しているが、これが本当に可能かどうか疑問であるのはもちろん、もしそれを実行に移せば、国際社会において韓国が置かれるであろう立場や状況についてどう考えているのかまずは説明すべきだ。もしそうなればまず日本よりも米国が「韓国がまたゴールポストを移した」と批判してくるだろう。
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/07/2017010700469_2.html

記事入力 : 2017/01/07 09:43

【社説】大荒れ韓国外交、「親日反日か」を問う前に代案を示せ(下)

 共に民主党と文氏は韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)についても再検討を主張している。彼らがこの協定の反対を主張するその論理や主張も運動圏レベルから全く抜け出せておらず、しかも「親日売国協定」とまでレッテル貼りしている。この国で次の政権を担う可能性が高い政党や政治家が、この程度の認識しか持っていないとなればこれは深刻な問題だ。文氏はかつて韓米FTAにも反対していたが、その考え方は当時から今に至るまで全く変化も進歩もない。世界では多くの国が互いに情報共有に関する協定を結んでいるが、これを「売国」などとレッテル貼りするのはおそらく共に民主党だけだろう。情報協定は韓国、米国、日本が北朝鮮の動向などに関する情報を円滑に共有するために締結されたものに過ぎないのだ。
 ところがその一方で共に民主党と文氏は、THAAD問題で圧力を加える中国に対してだけは日本と全く異なる姿勢で臨んでいる。北朝鮮の核の脅威に直面する韓国や米国よりも、彼らは中国の立場をより重視しているのだ。もちろん韓国が中国で稼ぐ利益も重要だ。しかし金と命を交換することはできない。THAADはまず在韓米軍と韓国軍の戦力に加え、有事の際に米国などから増援部隊がやってくる港湾といった戦略施設を守るものだ。また防衛できる地域もこれまでになく広範囲にわたるため、それ以外の一般の地域も当然守ることができる。もし共に民主党が政権を握りTHAAD配備が本当に撤回されれば、韓国は北朝鮮の核の脅威に文字通り完全無防備となるため、在韓米軍は撤退を含む極端な対応を取る可能性が非常に高まる。そうなれば誰がこの国の防衛に責任を持つのだろうか。このような基本的な問題についてさえ、共に民主党はこれまで一度もまともな説明をしたことがない。
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/07/2017010700471.html

記事入力 : 2017/01/07 09:43

【社説】大荒れ韓国外交、「親日反日か」を問う前に代案を示せ(下)

 中国との関係も非常に複雑だ。韓国にとって最大の貿易相手国であると同時に、南北の平和統一に向けて協力を進めていかねばならない相手だが、一方で北朝鮮という独裁的かつ暴力的な政府の最大の支援国でもある。この中国からの安全保障上の懸念に対応しながら、同時にその関係を良好に保つ知恵がわれわれには求められているが、その際にはわが国の基本的な立場だけは絶対に忘れてはならない。それは国民の生命を守ることが最優先であるということと、韓米同盟がその基盤であるという厳然たる事実だ。
 文氏は今月2日「北朝鮮が今後も核兵器開発とミサイル開発を進めるのであれば、北朝鮮に未来はない」と発言した。また共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表も「安全保障に与野党は関係ない」と述べた。ところがその言葉とは裏腹に、彼らが実際に口にする安全保障政策は「THAAD配備の再検討」「韓日軍事情報保護協定の見直し」「開城工業団地金剛山観光の即時再開」など理解に苦しむことばかりだ。開城工団と金剛山観光を再開すれば、年間数億ドル(数百億円)の現金が北朝鮮に転がり込むことになり、それによって国際社会が一致して取り組んでいる対北朝鮮制裁を韓国自ら崩壊させる結果をもたらす。またこれによって北朝鮮核兵器開発を放棄する理由もどこにもない。
 今後どの政党、あるいは誰が政権を握っても、今年が韓国の外交・安全保障政策において大きな試練の年となることだけは間違いない。これに比べると今の大統領弾劾問題などむしろ小さな問題だ。そのため全ての政党と大統領候補者たちは、外交・安全保障問題においてだけはいたずらに大衆を刺激し煽るような言動をただちにやめ、責任を持って代案を模索し提示しなければならない。
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/07/2017010700471_2.html

記事入力 : 2017/01/10 09:49

【社説】少女像問題、歴史と外交を結び付ける日本の攻勢は危険だ

 ソウル駐在の駐韓日本大使と釜山の日本総領事が9日に日本に一時帰国した。釜山の日本総領事館前に慰安婦少女像が設置されたことへの抗議だ。日本政府は6日、大使らの帰国措置に加え韓日通貨スワップ再開に向けた協議の中断、ハイレベル経済協議の延期なども同時に発表した。これまで韓国が歴史問題を外交問題として取り上げるたびに、日本政府は双方を切り離すよう求めてきたが、これはここ数十年にわたり日本が堅持してきた韓国との外交政策の原則でもあった。ところが日本は今後この原則を捨て去るのだろうか。被害者でもない加害者が歴史と絡んだ現在の問題から背を向けるのであれば、今後の両国関係は大きく変わってくるだろう。
 他国が嫌悪する施設をその国の公館前に設置することは韓国国内にも疑問の声がある。外国公館の品位を傷つけることを防止するよう求めた「領事関係に関するウィーン条約」第22条はまさにこのことを定めている。2015年末に日本政府は慰安婦問題の責任を認め、首相が謝罪と反省を表明し、一方の韓国政府は慰安婦少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束した。市民団体が釜山総領事館前に再び少女像を設置したことがこれらの合意の趣旨に反するのは事実だが、だからといって韓国政府が合意に反したとは言えない。
 韓国政府が国内世論の反対を押し切り、日本との慰安婦合意を締結した背景には、米国政府からの強い求めがあったからだ。この合意に基づいて両国は経済や安全保障分野での協力に向けた協議を始め、昨年末には軍事情報保護協定(GSOMIA)を締結するに至った。経済分野における通貨スワップ再開に向けた交渉もその延長線上にあったものだ。安倍首相は釜山に少女像が設置された直後から米国のバイデン副大統領と電話会談を行い、この問題に再び米国を引き込もうとした。日本がこのような形で問題を大きくすれば、3カ国の全てに良くない結果をもたらすのは間違いないだろう。
 韓国で次の大統領選挙への出馬が予想される候補者たちは、韓日慰安婦合意の無効と再交渉、あるいは再検討を主張している。これらは今の世論を意識した発言であるため、当選後に彼らがどうするかは今のところ分からない。しかし日本が外交問題と歴史問題を分離する原則を捨て、感情的な対応を始めれば、両国の対立はブレーキがかからなくなり誰も望まない方向に進むだろう。そのため全ての関係国が今こそ冷静さを取り戻さねばならない。
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/10/2017011000863.html

韓国・東亜日報

(1/10まで言及なし)

韓国・ハンギョレ

[社説]市民の「少女像」に報復した日本の居直り

登録 : 2017.01.06 20:38
修正 : 2017.01.07 04:08
 日本軍慰安婦銅像「平和の少女像」が釜山(プサン)の日本総領事館前に設置されたことに抗議して、日本政府は駐韓大使と釜山総領事を本国に呼び戻した。大使と総領事を召還したことは極めて異例の強硬措置だ。日本は韓日通貨スワップ交渉の中断と高官級経済協議の延期も発表した。
 日本の今回の措置は不適切であることを越えて、居直りに近い。釜山に設置された少女像はろうそく集会の市民たちが一昨年末の慰安婦問題合意1周年を迎えて自発的に立てたものだ。民間次元で行われたことに反発して大使を本国に召還し、経済協力活動を中断する措置までしたことは理解し難い。日本のこうした強硬措置は、韓国で早期大統領選挙の可能性が高まるにつれ次の政権で合意の再協議の動きが起きることに備えてあらかじめ釘を刺そうとする計算に基づいていると見られる。
 しかし日本政府は問題の根本原因が合意自体にあることを直視しなければならない。合意当時、日本政府は元慰安婦被害者に対する法的責任認定をはじめとして絶対的に必要な措置をほとんど取らなかった。そのうえ元慰安婦支援として10億円を出すことでこの問題が不可逆的・最終的に解決されたと宣言した。少女像の設置が日本の責任回避と歴史無視に対する韓国市民の抗議であることを日本政府が分からないはずはないだろう。それなのに根本問題には目を瞑り少女像を撤去しろと言って超強硬報復行為をするのは懺悔と正義を求める声を力で押さえ付けようとすることに他ならない。
 日本に強硬措置の糸口を与えてしまった韓国政府の無責任かつ外交力欠落も指摘せざるをえない。当初、韓国政府が10億円の義援金で事実上すべての責任を免除する合意をしたことからして誤りだった。しかも合意直後から韓国政府が10億円を受ける代価として少女像を撤去するという裏取引をしたという議論が起きた。日本政府は今回も少女像の問題に関連して「約束したことは必ず守らねばならない」と求めている。朴槿恵(パク・クネ)政権が自ら招いた外交屈辱である。
 日本政府が報復措置の根拠にしている一昨年末の合意は、正義の原則を損ねたものであるだけに根本的に誤っている。日本は報復措置を直ちに止めるのが当り前である。おりしも韓国の裁判所は合意に関連した交渉文書を公開せよとの判決を下した。政府は今からでも合意内容を全て明らかにし、国民の意思に沿った選択をせねばならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力: 2017-01-06 17:57
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/777713.html 訳T.W

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/26157.html

*1:韓国側は合意の文言を尊重せよ

*2:日韓合意を踏みにじる

*3:新たな火種

*4:合意の精神に反する

*5:日韓合意の趣旨に反する

*6:日本政府が善処を求める意思表示をするのも当然

*7:ウィーン条約に明らかに反する

*8:由々しき事態

*9:強い不快感は必要

*10:不法行為

*11:侵食するような行動は双方が慎むべき

*12:ほごにするな

*13:揺るがせてはいけない

*14:合意は「不可逆的」であり、再交渉の余地はない

*15:両政府は合意の精神を着実に実践すべし

*16:韓国は真の敵である北朝鮮を見失うな

*17:韓国は慎重な言動を

*18:両国は冷静な対応を

*19:韓国の独善的な体質は、対外的なイメージを低下させる

*20:日本は冷静さを欠いている

*21:当然の対応

*22:合意の理解不足。元慰安婦の7割が受け入れたことが報じられていない

*23:韓国で十分に報じられていない

*24:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20160829/1472484165

*25:http://japanese.joins.com/article/379/210379.html「<韓国世論調査慰安婦交渉の評価、地域別に差大きく」

*26:http://japanese.joins.com/article/207/220207.html「韓国人76% 「韓日合意を履行しても少女像移転はできない」…再協議意見も過半数超え」

*27:http://japanese.joins.com/article/116/224116.html 「韓国国民6割「韓日慰安婦合意は破棄すべき」…否定的世論が増加」