現場海域についての簡単な情報整理に対する追加情報

以前「現場海域についての簡単な情報整理 - 誰かの妄想・はてなブログ版」という記事をアップしましたが、その後1月22日に韓国国防部が公表したプレスリリースに現場海域についての情報が追加されていました。

ㅇ일 초계기 저공 위협비행
일측은 동해 한일 중간수역에서 북한 조난어선에 대한 인도적인 구조 작전을 진행 중인 우리 함정에 대해 지속적인 위협비행을 실시하였음. 일측은 우리 함정이 무슨 임무를 수행하는지 몰라서 지속적인 관찰비행을 하였다고 하면서 우리 함정의 조난어선 구조작전 자체를 인지하지 못하였다고 주장하였음.
牧田寛氏記事の日本語訳から引用: 日本側は東海の韓日中間水域で北朝鮮の遭難漁船に対し人道的救助作戦を進行中である我が艦隊に対し、持続的な威嚇飛行を実施した。日本側は我々の艦艇がどのような任務を遂行しているか知らず、持続的な観察飛行を行ったといい、わが艦艇の遭難漁船救助作戦自体を認知できなかったと主張した。)

http://www.mnd.go.kr/user/boardList.action?command=view&page=1&boardId=I_42745&boardSeq=I_6654722&titleId=null&siteId=mnd&id=mnd_020600000000

「동해 한일 중간수역(東海韓日中間水域)」とあります。これは1998年のいわゆる新日韓漁業協定*1(1999年発効)で定められたもので、日本では暫定水域と呼ばれている海域です。

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http://kokushi.fra.go.jp/H28/H28_66.html

さて、現場海域についてはある意味、STIR-180の使用有無という争点とは別の日韓政府間の争点と言えるかもしれません。
現場海域について日本政府は「能登半島沖(日本EEZ内)」と主張し韓国政府は「동해 한일 중간수역(東海韓日中間水域)」と主張しているわけで、厳密にいえば日本EEZと日韓暫定水域は異なりますから、この点で日韓両政府間の主張に隔たりがあるとも言えます。
もっとも暫定水域はあくまで漁業資源に関するものであって、大和堆附近の海域が、暫定水域内であっても日本EEZであることに変わりはないという意味を日本側の主張に含意されているということかもしれませんが。

しかしながら、現場海域が暫定水域内であるならば、韓国海洋警察の警備救難艦がいて北朝鮮漁船の救助活動を行なっていても何の不思議もないということになりますね。

ともあれ、場所に関しては2018年12月21日付の東亜日報記事の図が一番正確だったのかもしれません。

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http://news.donga.com/List/3/all/20181221/93410051/1