リベラルとして離婚後共同親権に賛同する

個人的にはこれがファイナル・アンサーだと思ってます。私は離婚後共同親権に賛成ですが、滝本弁護士案が採用され運用されるのであれば、あるいは離婚後共同親権にする必要もなくなるかも知れないとも思います。実質的な共同監護が実現するなら共同親権である必要も無いからです。まあ、実際には親権の有無による不都合が日常生活の様々な点で生じてくるとは思いますが。

それはさておき、滝本弁護士のツイートに対する寺町東子弁護士の返答が以下です。

夫、妻、子、それぞれに事情を聞いて、今後の進め方のプランを聞いて、コーチングをして、地域のSWに繋げて、ということが必要なので、1回で済ませて、とは思いません。子連れ離婚全件家裁関与の方向性は良いと思います。それには公務員の増員、庁舎の部屋数の確保など、インフラ整備が必要ですね。

https://twitter.com/teramachi_toko/status/1177767186296762368

要約すれば“予算が必要だから”というもので、なんとなく消極的な印象を受けるツイートです。

それはともかく、リソース面を考慮する場合に個人的に推奨したいのは、韓国民法836条の2です。

제836조의2(이혼의 절차) ① 협의상 이혼을 하려는 자는 가정법원이 제공하는 이혼에 관한 안내를 받아야 하고, 가정법원은 필요한 경우 당사자에게 상담에 관하여 전문적인 지식과 경험을 갖춘 전문상담인의 상담을 받을 것을 권고할 수 있다.
② 가정법원에 이혼의사의 확인을 신청한 당사자는 제1항의 안내를 받은 날부터 다음 각 호의 기간이 지난 후에 이혼의사의 확인을 받을 수 있다.
1. 양육하여야 할 자(포태 중인 자를 포함한다. 이하 이 조에서 같다)가 있는 경우에는 3개월
2. 제1호에 해당하지 아니하는 경우에는 1개월
③ 가정법원은 폭력으로 인하여 당사자 일방에게 참을 수 없는 고통이 예상되는 등 이혼을 하여야 할 급박한 사정이 있는 경우에는 제2항의 기간을 단축 또는 면제할 수 있다.
④ 양육하여야 할 자가 있는 경우 당사자는 제837조에 따른 자(子)의 양육과 제909조제4항에 따른 자(子)의 친권자결정에 관한 협의서 또는 제837조 및 제909조제4항에 따른 가정법원의 심판정본을 제출하여야 한다.
⑤ 가정법원은 당사자가 협의한 양육비부담에 관한 내용을 확인하는 양육비부담조서를 작성하여야 한다. 이 경우 양육비부담조서의 효력에 대하여는 「가사소송법」 제41조를 준용한다.

機械翻訳
第836条の2(離婚の手続き) ①協議上の離婚をしようとする者は、家庭裁判所が提供する離婚に関するご案内を受けなければならず、家庭裁判所は、必要に応じて、当事者に相談について専門的な知識と経験を備えた専門相談者の相談を受けることを勧告することができる。
家庭裁判所に離婚の意思の確認を申請した当事者は、第1項の案内を受けた日から、次の各号の期間が経過した後に離婚の意思の確認を受けることができる。
1.養育なければならない者(ポテ中者を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、3ヶ月
2.第1号に該当しない場合には、1ヶ月
家庭裁判所は、暴力により当事者の一方に立つことができない苦しみが予想されるなど、離婚をしなければならする急迫した事情がある場合には、第2項の期間を短縮又は免除することができる。
④養育しなければならない者がいる場合、当事者は、第837条の規定による者(子)の養育と第909条第4項の規定による者(子)の親権者の決定に関する協議又は第837条及び第909条第4項の規定による家庭裁判所の審判正本を提出しなければならない。
家庭裁判所は、当事者が協議した養育費負担に関する内容を確認する養育費の負担調書を作成しなければならない。この場合、養育費の負担調書の効力については、「歌詞訴訟法」第41条を準用する。

http://scopedog.hatenablog.com/entry/2019/04/04/170000

要するにこういうことです。

3 子の養育に関する合意

 韓国における離婚には協議離婚と裁判離婚があるが、協議離婚であっても、家庭裁判所において協議離婚意思の確認を受けなければ成立しない。協議離婚意思確認手続においては、離婚後の親権者及び子の養育に関する事項(養育者、養育費の額及びその負担方法、面会交流の有無及びその実施方法)について父母が合意しなければ協議離婚できないこととされており、両親の合意形成義務が法定されている。面会交流を含む離婚後の子の養育に関する取決めへの支援として、養育すべき子のいる協議離婚意思確認申請をした夫婦には、「父母案内」(ビデオ教材によるプログラム)の受講が義務付けられている。
 なお、面会交流については、面会交流の頻度、場所、引渡場所その他の事項を具体的に記載することが求められ、家庭裁判所が協議の作成例を提示している。

4 両親が合意に至らない場合

 父母による協議の内容が子の福祉に反する場合には、家庭裁判所は補正を命じ又は職権で子の養育に関する事項について定めることができる。

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9532035_po_0882.pdf

これを日本に導入するとしたら、とりあえず離婚届を役所に提出する際に夫婦双方がビデオプログラムを受講するようにすればいいだけです。
例えば、練馬区の場合年間離婚件数は1500件程度ですから、年間200営業日として1日7.5組として受講時間が1時間としても1部屋で足ります。時期による増減を考慮してもせいぜい5部屋も確保しておけば足りるでしょう。練馬区役所ならそのくらいの余裕は現状でもあるんじゃないですかね。
「離婚後の親権者及び子の養育に関する事項」については、協議の場合なら当事者が事前に準備するか、その場で作成するか、改めて作成して提出するかすれば良いだけです。

家庭裁判所は役所から回ってきた「離婚後の親権者及び子の養育に関する事項」の協議内容について審査する作業が新たに発生しますが、裁判官が直接吟味する以前にまず、調査官や書記官レベルでチェックするでしょうし、初歩的な不備なら協議内容を受けとる役所の方でも確認はできますよね。
提出される協議の内容は、そもそも当事者が合意しているものですから、合意内容が子の福祉に反するものでない限り、家裁はただ承認するだけで大した手間は発生しません。合意内容が子の福祉に反する場合は専門家の助言を受けるように勧告する必要がありますので、この点については専門家の養成が必要になるかもしれませんが、調査官などに担当させることも可能でしょう。

しかし、何はともあれ家裁のチェックを通すことで、一方当事者が他方当事者に強要して合意させたような子の福祉に反する協議内容を相当程度はじくことが出来ます。
現行日本の協議離婚制度では防げなかった問題を防ぐことが出来るわけで、これは重要です。

もう一つ重要なのは協議で合意できない場合ですが、これについては現状でも調停・審判・裁判といった手続きがありますので、上記制度を導入したとしても家裁にとって特別な作業が増えるわけではありません。
いずれかがDVを主張している場合は、DVの事実や程度を調査しそれに応じた子の養育に関する事項について定めることになります。

しかし、問題なく合意できる多くのケースでは、当事者は離婚届の際に役所に出頭し、その際にビデオプログラムを受講し養育計画も定めて提出し、一定期間後の意思確認でもう一度出頭し、その際に養育計画について家裁の承認が得られたことを確認すれば、それで離婚は成立できます。

問題あるケースの場合は、当事者に家裁に出頭することを求めることになりますが、現状でも調停・審判・裁判といった手続きで当事者は家裁に出頭しますから、大きく変更することはありません。

寺町東子弁護士は「公務員の増員、庁舎の部屋数の確保など、インフラ整備が必要」と言いますが、それほど非現実的な予算増が必要なわけではなく、法改正すれば容易に確保できる程度であり、導入に反対する理由にはなりませんね。


あと、認識にずれがありそうな気がしますので、一応言っておきますが、特に協議で合意できる当事者に対して裁判所を関与させるとは言っても、DV・虐待容疑者扱いして取調べするとかいう話じゃありません。当事者のいずれか一方、あるいは協議内容の記載から、DV・虐待の可能性が示されない限り、当然、DV・虐待はないものとして扱うのが普通です。

なんか寺町東子弁護士は、協議離婚の家裁関与=夫をDV・虐待容疑者扱いして取調べる、という認識を持ってそうな気がしましたので念のため。