私自身は離婚後共同親権を公約にしている*1からといって維新に投票するつもりはないのですが*2、離婚後共同親権については賛成です。
ちなみに同じく離婚後共同親権を主張している嘉田由紀子氏には投票したい気持ちはありますね。嘉田氏の場合、離婚後共同親権については昨日今日主張したものではなく、以前から主張されてもいますしね*3。
しかしながら、どうにも一般的にはリベラルと目されそうな面々から離婚後共同親権に反対する声が上がっています。まあ、反対なら反対でもいいのですが、根拠がデタラメだったりするのがちょっとあんまりなので一応書いておきます。
大前提として、離婚後共同親権はほとんどの先進国で採用されています。アメリカのカリフォルニア州が共同親権法を可決したのは1979年のことです。韓国や中国でも共同親権が認められていますし、イギリス、ドイツ、フランスも同様です。
離婚後共同親権にしたからといって離婚後の問題が全て解消するわけもなく、問題も生じていますが、だからといって離婚後単独親権に戻した国は私の知る限り、一つもありません。また、離婚後共同親権になったからといって別居親たちが満足したわけでもなく、現在もなお養育に関われる時間を増やしてほしいという運動を続けています。
さらに国連の子どもの権利委員会は今年2019年2月に日本に対する総括所見として、離婚後共同親権を認める法改正を行うよう勧告しています*4。この勧告には、朝鮮学校の授業料無償化や体罰禁止の法改正などが含まれており、これらについては報道もされましたから勧告の存在自体は知っている人が多いはずです。
しかし、同じ勧告内に離婚後共同親権を認める法改正があることは一般にはあまり知られていませんし、知っているはずの人たちも無視する傾向が見て取れます。
勧告の内容は以下の通りです。
https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRC%2fC%2fJPN%2fCO%2f4-5&Lang=enFamily environment
27. The Committee recommends that the State party take all necessary measures, supported with adequate human, technical and financial resources to:
(抜粋)
(b) Revise the legislation regulating parent-child relations after divorce in order to allow for shared custody of children when it is in the child’s best interests, including for foreign parents, and ensure that the right of the child to maintain personal relations and direct contact with his or her non-resident parent can be exercised on a regular basis;https://www26.atwiki.jp/childrights/sp/pages/319.html家庭環境
27.委員会は、締約国が、以下のことを目的として、十分な人的資源、技術的資源および財源に裏づけられたあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。
(抜粋)
•(b) 子どもの最善の利益に合致する場合には(外国籍の親も含めて)子どもの共同親権を認める目的で、離婚後の親子関係について定めた法律を改正するとともに、非同居親との個人的関係および直接の接触を維持する子どもの権利が恒常的に行使できることを確保すること。
ざっとネットを見る限りでは、離婚後共同親権に反対しているのは、千田有紀氏、駒崎弘樹氏、大貫憲介弁護士、高橋雄一郎弁護士、木村草太氏等で、リベラル系の言論人が多く反対している印象を受けます。
ただ、これらの人たちが、上記の国連勧告をどのようにとらえているのは良くわかりませんでした。
離婚後共同親権制度と離婚後単独親権制度のメリット・デメリット
とりあえず思いつくものを列挙してみます。
離婚後共同親権制度のメリット
・父母が離婚した後も、子が双方の親と交流することが容易になる。
・上記に関連して、子が同居親親族、別居親親族のそれぞれとの関係を維持することが容易になる
・同居親が病気や怪我などを負った場合に別居親が子の監護を代行することが容易になる
・別居親も親権を持ち続けることで子の親である意識を抱きやすく養育費を含む子の監護の協力に積極的になることが期待できる。
・子に興味の無い親にも養育の責任を自覚させることが期待できる。
・“親権を失った方の親には問題がある”といった社会的偏見の改善が期待できる。日本のように特に母親が子育てすべきといったジェンダーロール意識の強い社会では、親権を失った母親は強い偏見にさらされるが、そのような偏見は相当程度改善されることが見込まれる。
・上記に関連して、母親が子育てすべきといったジェンダーロール意識自体の改善も見込まれる。
・離婚時の親権争いが無くなり、紛争を通じた離婚後の父母の関係悪化を回避できることが見込まれる。離婚後の父母の関係が悪化していないことは子の精神的負担を緩和させる。
離婚後共同親権制度のデメリット
・離婚後も父母間で子に関する協議が必要となり、まとまらない場合は家裁の判断が必要となる。
・上記のうち、同居親が子を連れて転居する際には、別居親の同意や家裁の判断が必要な上に、転居後の面会交流についても協議する必要が生じる。
・父母間の葛藤が高い場合は離婚後も長期にわたって紛争が継続するおそれがある
・DV*5が継続するおそれがある
・子に対する虐待が継続するおそれがある
・父母双方とも子に興味がない場合、監護を相手に押し付けあい、子の福祉が損なわれるおそれがある。
離婚後単独親権制度のメリット
・単独親権者が子に関する事項を全て自分だけで裁定できる。
・DV被害者が単独親権者となった場合、DV加害者を排除することができる。
・子に対する虐待加害者が非親権者となった場合、それ以上の子に対する虐待を防止することができる。
離婚後単独親権制度のデメリット
・DV加害者が単独親権者となった場合、子との面会を望む非親権親に対する支配が継続するおそれがある
・子に対する虐待加害者が単独親権者となった場合、子に対する虐待が継続するおそれがある。
・上記の場合でも非親権親の介入が非常に困難で、虐待の発見が遅れるおそれがある。
・親権者の一存で子が非親権親と交流できなくなる。
・上記に関連して、子と非親権親の親族との関係も失われる可能性が高くなる
・非親権親から親である意識が損なわれ、養育費を含む子の監護に消極的になるおそれがある。
・単独親権者が怪我や病気になった場合に、非親権親に子の監護を頼みにくく、また非親権者が親権を持たないことでできることに制約が生じる。
・非親権親は“親権を失った方の親には問題がある”といった社会的偏見にさらされる。
・母親が子育てすべきといったジェンダーロール意識と相互に連関して母親が親権となる事例が増え、旧いジェンダーロール意識が継続すると同時に父親が子の監護から排除される傾向が維持される。
・離婚時の親権争いを激化させる。子の連れ去りや配偶者を追い出すなどして子を抱え込み、不要な葛藤と対立を招くおそれがある。離婚後も父母間の対立が継続することは子の成長に悪影響を与える。
・子の監護責任が全て単独親権者にのしかかり、育児負担が過大となるおそれがある。
離婚後単独親権制度の評価
それぞれのメリット・デメリットは、だいたいこんな感じですかね。
はっきり言って、離婚後単独親権制度のメリットは単独親権者の排他的決定権以外は現行制度に固執しなくても維持できるものなんですよね。
子の関する事項について父母双方が協議して決めることを認めない理由は、一方がDV加害者や虐待加害者でもない限り、ありません。虐待もDVもない親を進学や病気治療などの重要事項の決定から排除しながら、その親に養育費だけ要求するというのは、人倫に悖ります。
DV加害者の排除や虐待加害者の排除については、現状既にDV防止法に基づく保護命令*6や児童虐待防止法・児童福祉法に基づく虐待認定と親権停止・喪失という制度があり、単独親権制度でなければDV・虐待加害者を排除できないわけではありません。
そもそも離婚後単独親権制度による親権喪失は、民法819条の規定によるもので、DV・虐待加害者であるという理由で親権を失うわけではありません。逆に言うと、DV・虐待加害者が単独親権者になることも許容する制度だということです。
離婚後共同親権反対派の論者は、DV・虐待加害者が単独親権者になる恐れを全く無視しています。
この離婚後単独親権制度のデメリットは無視できません。
子を虐待している親が単独親権者になった場合、現行の単独親権制度下では非親権親に取れる手段がありません。
誰の目にも明らかな身体的暴力の痕やネグレクト、性的虐待の痕跡がない限り、単独親権者と子の家庭内という密室に介入することは実質的に困難です。子を監護している親は、子に対して強い影響力がありますから、子は親権親に言いなりになることが多く、野田市10歳児虐待死事件では、子ども自身に児童相談所に対して虐待の事を否定する手紙を書かされたりしています*7。
非親権親が面会交流を通じて子と密に交流しているならば、非親権親が虐待の事実を察知し、司法に訴え子を救うことができるかも知れませんが、虐待している単独親権者が虐待の事実が露見しかねない面会交流を認める可能性はほとんど皆無でしょう。
木村草太氏が別居親には面会交流権があると主張するなど、家庭裁判所に訴えれば面会交流は認められるという意見はよく見かけますが、2016年度に実際に家裁に申し立てられた面会交流事件11402件中、認容ないし調停成立した件数は7952件、そのうち「長期休暇中」「4~6ヶ月に1回以上」で面会交流が認められた件数は、6159件(約54%)に過ぎません。
大阪2児遺棄致死事件のケースを考慮すると、子の虐待の徴候を見つけるには最低でも1ヵ月に1度は面会交流できないと難しいでしょうが、2016年度に家裁で1ヵ月に1度以上の面会交流が認められたのは、わずか 4574件(約40%)で申立て件数の半数を割ります。
また、現行単独親権制度では、児童相談所が単独親権者による子の虐待を察知しても親権を持たない非親権親には連絡されません。非親権親は我が子が児童相談所が介入するレベルの虐待に遭っていても知ることもできず、虐待死にいたって初めてテレビのニュースで我が子が死んだことを知るような状況です。
虐待死は当の子にとっては言うまでも無く悲劇ですが、子に会いたいと願いながら単独親権者によって拒まれ、ある日、我が子が虐待で殺されたことを報道で知る非親権親にとってもまぎれも無い悲劇です。
こうして見ると、現行の離婚後単独親権制度はメリットよりもデメリットの方が遥かに大きいことがわかります。
離婚後共同親権制度の評価
では離婚後共同親権はどうなのか考えてみましょう。
共同親権反対派からよく反対の根拠とされているのは、離婚後の子の重要事項で父母間の協議が必要になることとDVや虐待が離婚後も継続する懸念です。
ただ、離婚後もDVや虐待が継続する懸念というのは上記単独親権制度の評価でも述べたとおり、現行既にDV防止法、児童虐待防止法、児童福祉法があり、虐待がある場合は民法834条及び834条の2で親権喪失・親権停止の規定が適用できますので、単独親権制度か共同親権制度かに関係なく、危険な親を排除できるようになっていますので、これを離婚後共同親権のデメリットとは制度的には言いがたいですね*8。
離婚後の子の重要事項で父母間の協議が必要になるという点はデメリットと言えばデメリットですが、親である以上背負うべき責務としか言いようがありません。もちろん協議がまとまらない場合は家裁での裁定が必要になりますから、家裁のリソースという問題は発生します。しかし、これも家裁に予算をつけることで解決できる問題に過ぎません。
また、父母間の葛藤が高い場合は離婚後も長期にわたって紛争が継続するおそれがあるという点については、介入・仲介できる第三者機関を強化・拡充するなどの対策が必要ですが、これも予算の問題ですね。
あまり注目されない問題として、父母双方が子を相手に押し付けようとする子にとってはもっとも悲劇的な事態も起こりえます。これを避けるためには、子のいる夫婦の離婚に際しては全て家裁が関与するようにして、離婚後も子の福祉が損なわれないような体制があるかを確認する責務を家裁が負うようにする必要があるでしょう。現状、9割が家裁を介さない協議離婚であることを考えると、家裁の業務が一気に増加する可能性がありますので、この辺については十分な対策が必要ですね。
しかしながら、離婚後共同親権のデメリットというのは基本的に予算・人員などの拡充で対応できるものばかりですから、子の福祉、子の最善の利益という視点で考えるならばメリットの方がデメリットよりも遥かに大きいといえます。
DV・虐待対策
共同親権反対派は非親権親による親権親に対するDVや非親権親による子の虐待については殊更懸念する一方で、親権親による非親権親に対するDVや親権親による子の虐待については懸念している様子が伺えません。
もちろん、DV・虐待対策は現状でもなお不十分な点があり改善の余地がありますが、それは離婚後単独親権であろうと離婚後共同親権であろうと関係の無い話です。
むしろ、離婚後単独親権制度では、非親権親による親権親に対するDVや非親権親による子の虐待にしか対応できず、親権親による非親権親に対するDVや親権親による子の虐待には対応できないという点を踏まえると、離婚後共同親権制度下で機能するDV・虐待対策を構築する方が、被害者を減らすことができるでしょう。
具体的に考えられるのは、DVも虐待もそのリスクをチェックシートを用いて定量的に評価し、リスクスコアに応じた介入方法を全国レベルで統一運用することですね。属人的な評価に依拠した結果、他の児童相談所の管轄に移ってリスクが受け継がれずに虐待が深刻化した目黒事件のような悲劇を回避する上で最低限必要でしょう。
もちろん、チェックシートは万能ではありませんから、不備があれば随時更新して、同じような不備を繰り返さない努力は必要ですが。
DVも同様で、一方的な身体的暴力による傷害・殺人のリスクが非常に高い状況と双方が激しく口論しているような状況ではリスクの度合いが異なりますから、当然すべき対応も変わるべきです。
具体的な対応案としては、DV関連情報をまず警察に集約しリスク評価を行い、離婚や子の監護などの家事事件対応が必要な事案については家裁に情報とリスクスコアを伝え、離婚や子の監護などについては家裁が判断を下し、それを根拠として警察・行政が対応するようにするのが必要でしょう。対応も、現状のように単純な被害者保護を漫然と行うのではなく、被害者保護は緊急避難として一時的なものとし、DV内容が刑事事件に相当する場合は、加害者に対する処罰を求めて司法に委ね、刑事事件に相当しないがDVとして問題がある場合は、加害者を更生させ、被害者が安全な状態で安定した関係性になるよう支援するプログラムにつなげ、DVとして問題がない場合も家裁等の関与の下で関係調整を行い、適切な関係性になるよう支援する、というリスクに応じた対応が必要でしょう。
また、当初のDV評価が実態とは乖離していた場合は、当初の評価を前提とした対応の見直しが必要です。例えば、身体的暴力やその恐れが全く無かったにもかかわらず、被害者が身体的暴力の恐れを訴えてDV被害者支援が稼動し、それを前提として、離婚や子の監護に関する決定が下された場合、その決定は実態としてのリスク評価に基づき見直されるべきです。
これは、前者(当初のリスク評価を前提とした決定)を仮処分として取り扱うことで対応できるはずです。
2018年5月に名古屋地裁が虚偽DVを認定した判決を出しています*9が、現行のDV防止法でのDV支援が不適切に使用されるおそれがあることは否定できず、子のいる夫婦間では相手を排除するためにDV防止法が利用されるおそれが常につきまといます。これを回避するためには、DVの訴えがあり支援措置が開始された場合は全て、事後的にDVのリスク評価を行い、支援措置が必要だったかどうかをチェックする必要があります。
なお、2018年5月の名古屋地裁判決(平成28(ワ)3409)は原告の訴えを一部認めたものの2019年1月の名古屋高裁判決(平成30(ネ)453)では、その全てが棄却されたため、“虚偽DVではなく実際にDVがあったと高裁が認めた”という主張もあります。ですが、名古屋高裁判決でも、別居後に身体的暴力やその恐れはなかったと認めており、名古屋地裁での虚偽または誇張という評価は覆ったとは言い難いところです*10。
名古屋高裁判決(平成30(ネ)453)(抜粋)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/543/088543_hanrei.pdf
イ この点,本件においては,1審被告A及びBが別居した後,本件支援措置申出がなされるまでの約3年3か月の間,1審原告は,1審被告Aに対して身体的な暴力に及んだり,身体的な暴力を振るおうとしたことはなく,D市内の1審被告A及びBの別居先を具体的に把握した後も,その別居先を直接訪問したりすることはなかったことが認められる。そうすると,本件支援措置申出の当時,1審被告Aにおいて,1審原告からの身体に対する暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれはなかったといえる。
DVや虐待の被害者のなかには即座に保護しないと危険な人たちがいますから、被害者の訴えのみ支援措置が開始されること自体は問題ではありません。
ですが、加害者扱いされた人にとって不利益な措置が講じられ、それが恒常化する場合は、被害者の訴えのみを根拠とすべきではなく、加害者扱いされた人の反論はもちろん、客観的な証拠によって被害の事実やリスクの存在を評価する必要があります。
一方当事者の訴えのみによって他方当事者に不利益を強い、訴えの内容が事実かどうか対応が適切かどうかを評価する機会すらないという制度は、法治国家としては放置すべきではないでしょう。
まとめ
今の日本で、離婚後共同親権を導入しない理由は特に存在しません。
現状、DV・虐待対策に不十分な点はありますが、それは離婚後共同親権の是非とは関係なく改善すべきであって、それを理由に共同親権に反対するのは的外れです。なぜならば、現状の不十分なDV・虐待対策による被害は離婚後単独親権下でも起こっているからです。
離婚後共同親権で起こる“かもしれない”被害をもって、離婚後単独親権下で起きている被害を無視するのは不適切です。
DV加害者がDV被害者を追い出し単独親権者となる事例や非親権親を排除して面会交流も行われないまま単独親権者が子を虐待する事例もあります。それらは離婚後単独親権制度であるからこそ起こっている被害であり、起こる“かもしれない”被害ではなく、実際に起きている被害です。
そういった被害の存在を無視するのは、誠実ではありませんし、何より“人権派”の名に値しないでしょう。
人権を重視するのであれば、共同親権を導入できない理由を挙げるのではなく、共同親権を導入するためにどんな施策が必要なのか挙げ、積極的に検討すべきです。
*1:https://o-ishin.jp/news/2019/images/6860febe42b42f0a5eb56dd331612ad8ea34820a.pdf
*2:正直言って、維新として誠実に離婚後共同親権に取り組む意図があるとも思えず、野党支持層を分断するのにちょうどいい材料だから飛びついたと見ていますし、実質的な閣外与党勢力とも見ていますので。
*3:例えば2016年の講演(https://www.murc.jp/assets/img/pdf/quarterly_201601/pdf_011.pdf)や滋賀県知事だった2010年の知事会見の際(https://web.archive.org/web/20120525171951/http://www.pref.shiga.jp/chiji/kaiken/files/20100824.html)に離婚後共同親権について言及しています。
*4:http://scopedog.hatenablog.com/entry/2019/02/11/080000
*5:ここでは配偶者・元配偶者に対する暴力のみをDVとし、子に対する虐待とは区別しています
*6:10. ドメスティックバイオレンス(DV)(配偶者暴力等に関する保護命令申立て)
*7:「野田市虐待死事件 心愛さんが父親に書かされた手紙全文「児童相談所の人には会いたくない…」」
*8:離婚事件で弁護士が虐待要件を必要とする民法834条での親権剥奪ではなく、虐待要件を必要としない民法819条をお手軽な親権剥奪手段として利用している現状があり、結果として民法834条での親権喪失事件の実績が少ないという問題があると言えばあります。
*9:http://scopedog.hatenablog.com/entry/2018/10/25/080000
*10:高裁判決は、明示的には否定しているものの、実質的に面会交流を阻止する目的でのDV支援措置利用を認めており身体的暴力やその恐れが無くとも構わないという論理をとっていますが、その論理は相当違和感を覚えるものです。名古屋高裁判決の論理を敷衍すると、例えば同居親が子どものために別居親に対して子どもと面会交流してほしいと求めたが別居親は子どもに会いたくなかった場合、別居親は同居親の面会交流要求を精神的DVとみなして住所秘匿のDV支援措置をとって面会交流拒否をすることをも認めることになります。