現場海域についての簡単な情報整理

韓国駆逐艦が日本哨戒機に対して火器管制レーダーを照射したとされる事件ですが、その現場海域の具体的な座標については公表されていません。

初期の日本側公式発表では「能登半島沖」(2018年12月21日防衛省プレスリリース)とだけあり、後に公表した動画では「能登半島沖(日本EEZ内)」というキャプションを入れています。
韓国側が公開した動画では「동해 해상(東海(日本海海上)」とだけあり、具体的な場所はわかりません。

2018年12月21日の東亜日報は政府筋情報として「동해 대화퇴어장(東海大和堆漁場)」での出来事だと報じており、以下のような地図を付けています。

[단독]해군, 동해 표류 北어선 구조… 日 “韓 레이더, 우리 초계기 조준”
윤상호 군사전문기자 , 서영아 특파원 입력 2018-12-22 03:00수정 2018-12-22 03:00
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http://news.donga.com/List/3/all/20181221/93410051/1

この地図だと暫定水域内であることがわかります。
1999年に発効した日韓漁業協定で定められた暫定水域は大和堆の西半分を含んでいます。

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http://kokushi.fra.go.jp/H28/H28_66.html

さて、日本防衛省は現場を日本EEZだと主張していますが、これは暫定水域内とする東亜日報報道と矛盾するでしょうか。
これは実はかなり面倒な問題です。
暫定水域は独島(竹島)の領有権が絡みEEZ境界を確定できなかったために設定されたという経緯があります。そのため、厳密にいえば暫定水域は日本側EEZでも韓国側EEZでもないことになりますが、独島(竹島)領有権未確定の事情だけで決められたわけでもなく、大和堆附近は独島(竹島)を韓国領とした場合でも韓国側EEZにはならない場所になっています。

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http://www.kmunews.co.kr/news/articleView.html?idxno=9183

そのため、暫定水域の概念を無視すると、大和堆全域が日本EEZだとも言えます。
例えば、産経新聞は「日本の排他的経済水域EEZ)にある日本海の好漁場「大和堆」付近での北朝鮮漁船による違法操業問題で、海上保安庁が現場海域に複数の巡視船を投入し、」*1といった表現をしています。厳密にいえば、日本EEZと暫定水域にまたがっている「大和堆」を日本EEZにあると表現しているわけです。
日本防衛省公表動画にある「能登半島沖(日本EEZ内)」が厳密な意味での日本EEZであり、日韓暫定水域を含まないのか、それとも暫定水域を無視した上で日本EEZと確定できる部分を指しているのか、それによって状況の判断は変わります。

なお、現場が日韓暫定水域内であったとすれば、その水域内では日韓双方の漁船が操業可能なため、韓国漁船が当然存在します。また暫定水域内では旗国主義のため、韓国漁船を監視・保護するのは韓国海洋警察の仕事になります。

つまり現場が東亜日報報道通り日韓暫定水域内であるなら、韓国海洋警察艦艇がいるのは日韓漁業協定上何の問題もないわけです。

その辺を理解せずに、陰謀論をたくましく論者が多すぎて困りますね。



日本に関連する質疑に対する文大統領の応答に関する件

2019年1月10日に文在寅大統領が新年記者会見を開きました。
その際の演説全文はこれです。
2019 문재인 대통령 신년기자회견 연설 2019-01-10

この演説の中に“反日”的な記載はどのくらいあるかというと、皆無です。というか、日本に対する直接的な言及自体がありません。

強いて言うなら、この部分が“反日”ですかね?

올해는 3.1독립운동, 임시정부수립 100년이 되는 해입니다.
지난 100년, 우리는 식민지와 독재에서 벗어나 국민주권의 독립된 민주공화국을 이루었고, 이제 평화롭고 부강한 나라와 분단의 극복을 꿈꾸고 있습니다.
우리는 지금 그 실현의 마지막 고비를 넘고 있습니다.

今年は3.1独立運動、臨時政府樹立100年になる年です。
過去100年には、私たちは、植民地と独裁から脱して国民主権の独立した民主共和国を遂げ、今で平和富強な国と分断の克服を夢見ています。
私たちは、今、その実現の最後の峠を越えています。

https://www1.president.go.kr/articles/5288

まあ、これが“反日”に読めるなら、バカじゃねーの?としか言えませんけど。

ともあれ、日本が今騒いでいるのは、この部分ではありません。文大統領が演説の後に、記者からの質問に答えた質疑応答の部分です。
2019 문재인 대통령 신년기자회견(질의응답) 2019-01-10

30ほどあった質問のうち、NHKの高野記者が無理やり割り込んで質問した形となった1つの質疑応答、それだけです。

質問内容

  • 타카노 히로시 NHK 기자 : (한국말로)감사합니다. 일본 NHK 지국장 타카노라고 합니다. 한일관계에 대해서 질문 드리겠습니다. 경제 분야에서도 사회 분야에서도 긴밀한 한일관계가 너무 중요하다고 생각합니다만 지금 양국 간에는 너무 어려운 상황입니다. 어제 일본 정부가 한일청구권협정에 기반해서 한국 측에 합의를 요청했습니다. 이에 대해서 대통령님은 어떠한 대응을 고려하고 계십니까? 그리고 대법원 판결에 관해서 아직 한국 정부는 구체적인 대응책을 발표하시지 않고 계신데 언제쯤 발표할 계획이신지, 또 한국 정부가 새로운 기금이나 재단을 설립할 가능성도 있는지 구체적으로 말씀해 주시면 감사드리겠습니다.

機械翻訳

  • タカノ・ヒロシNHK記者:(韓国語で)ありがとうございます。 日本NHK支局長タカノといいます。 韓日関係に対してお聞きします。 経済分野でも社会分野でも緊密な韓日関係がとても重要だと考えますが今両国間にはとても難しい状況です。 昨日日本政府が韓日請求権協定に基づいて韓国側に合意を要請しました。 これに対して大統領様はいかなる対応を考慮していらっしゃいますか? そして大法院判決に関してまだ韓国政府は具体的な対応策を発表しなくておられたがいつ頃発表する計画なのか、また、韓国政府が新しい基金や財団を設立する可能性もあるのか具体的におっしゃれば感謝申し上げます。
https://www1.president.go.kr/articles/5297

NHK高野記者が質問した以外には日韓以外の外国メディアも含めて誰も日韓関係に興味を持っていないという状況(ワシントン・ポスト、人民日報、フィガロBBCなどの記者が参加)なのはご愛嬌。

回答内容

▲ 문 대통령 : 우선은 약간 기본적인 이야기부터 하면 과거 한국과 일본 간에 어떤 불행했던 그 역사가 있었습니다. 35년가량 지속된 그런 역사입니다. 그 역사 때문에 한국과 일본이 새로운 외교관계를 수립하면서 한일기본협정을 체결했지만 그것으로 다 해결되지 않았다라고 여기는 그런 문제들이 아직도 조금씩 이어지고 있습니다. 이것은 한국 정부가 만들어낸 문제들이 아닙니다. 과거의 불행했던 오랜 역사 때문에 만들어지고 있는 문제입니다. 저는 일본 정부가 그에 대해서 조금 더 겸허한 입장을 가져야 한다고 봅니다. 한국 정부는 그럼에도 불구하고 그 문제는 그 문제대로 별개로 양국이 지혜를 모아서 해결하고, 그것으로 인해서 미래지향적인 관계가 훼손되지 않도록 하자고 누누이 이야기를 하고 있습니다. 그러나 그런 문제에 대해서 일본의 정치인들, 또 지도자들이 자꾸 그것을 이렇게 정치 쟁점화해서 문제를 더 이렇게 논란거리로 만들고 확산시켜 나가는 것은 저는 현명한 태도가 아니라고 생각합니다.
한국 대법원의 판결에 대해서 일본도 마찬가지이고 한국도 마찬가지이고 세계 모든 문명선진국들이 다 마찬가지입니다. 삼권분립에 의해서 사법부의 판결에 정부가 관여할 수가 없습니다. 정부는 사법부의 판결에 대해서 존중해야 합니다. 일본도 마찬가지입니다. 일본이 한국 법원의 판결에 대해서 불만을 표시하실 수는 있습니다. 그러나 한국 정부로서는 한국 사법부의 판결에 대해서 존중의 입장을 가져야 되고, 일본도 불만이 있더라도 기본적으로 그 부분은 어쩔 수 없다라는 인식을 가져주어야 합니다. 그렇다면 그런 상황 속에서 한일 간에 어떻게 지혜를 모아서 그 문제를 해결할 것인가, 지금 한국 사법부가 한일기본협정 가지고 아직 해결되지 않았다라고 판단하는 문제들에 대해서, 그리고 그 피해자들의 실질적인 고통들을 치유해 주는 문제에 대해서 한일 양국이 어떻게 해결해 나갈 것인가라고 정말 그 부분에 대해서는 진지하게 지혜를 모아 나가야 한다고 생각합니다. 그런 문제를 정치적 공방의 소재로 삼아서 미래지향적인 관계까지 훼손하려고 하는 것은 대단히 바람직하지 못하다고 봅니다.
새로운 재단이나 기금의 가능성 이런 부분들은 조금 더, 그 사건에 대해서 지금 심지어 수사까지 되고 있는 그런 상황이기 때문에 그런 상황들이 정리되는 것을 지켜보고 판단해야지 않을까 그렇게 생각합니다.
사실은 그 뒤의 분을 지목한 것이어서, 제가 질문 기회를 드리겠습니다.

機械翻訳
▲文大統領:先ずは若干基本的な話からすれば過去韓国と日本間にどんな不幸だったその歴史がありました。 35年ほど持続したそのような歴史です。 その歴史のために韓国と日本が新しい外交関係を樹立して韓日基本協定を締結したがそれでみな解決されなかっただとここはそのような問題がまだ少しずつ続いています。 これは韓国政府が作り出した問題がありません。 過去の不幸だった長い間の歴史のために作られている問題です。 私は日本政府がそれに対してもう少し謙虚な立場を持つべきだと見ます。 韓国政府はそれにもかかわらず、その問題はその問題のとおり別個で両国が知恵を集めて解決して、それによって未来指向的な関係が毀損されないようにしようと幾度も話をしています。 しかしそのような問題に対して日本の政治家たち、また、指導者が度々それをこのように政治争点化して問題をさらにこのように論議の的で作って広めていくのは私は賢明な態度でないと考えます。
韓国大法院の判決に対して日本も同じで韓国も同じで世界すべての文明先進国がみな同じことです。 三権分立によって司法府の判決に政府が関与することはできないです。 政府は司法府の判決に対して尊重しなければなりません。 日本も同じことです。 日本が韓国裁判所の判決に対して不満を表示されることはできます。 しかし韓国政府としては韓国司法府の判決に対して尊重の立場を持たなければならなくて、日本も不満があっても基本的にその部分は仕方ないという認識を持たなければなりません。 それならそのような状況の中で韓日間にどのように知恵を集めてその問題を解決するのか、今韓国司法府が韓日基本協定持ってまだ解決されなかっただと判断する問題に対して、そしてその被害者の実質的な苦痛を治癒する問題に対して韓日両国がどのように解決していくのかだと本当にその部分に対しては真剣に知恵を集めていかなければなければならないと考えます。 そのような問題を政治的攻防の素材として未来指向的な関係まで傷つけようとするのは非常に望ましくないと見ます。

新しい財団や基金の可能性このような部分はもう少し、その事件に対して今さらに捜査までなっているそのような状況なのでそのような状況が整理されるのを見守って判断するべきでしないだろうかそのように考えます。

事実はその後の方を指定したことなので、私が質問機会を差し上げます。

https://www1.president.go.kr/articles/5297

日本のメディアや論者はここから一部だけを切り取って嫌韓感情を煽っていますが、至極もっともなことしか言っていません。

問題の根源が35年間の植民地支配にあり日韓基本条約ですべてが解決されたわけではなく未解決の問題が続いている、というのは基本的な事実でしかありません。韓国政府が作り出した問題ではなく、過去の不幸な長い歴史によって作られた問題だというのも当たり前の話ですし、別に日本のせいだと言っているわけでもありません。

美根慶樹氏などは「外交問題を相手方の責任だと一方的に押し付けることはあってはならないことですし、また文大統領の発言には日本側の姿勢を道徳的に非難する意味合いがあり、言い過ぎであって、日本に対して失礼ではないでしょうか。」*1などと言ってますが、まるっきり読み違えてるとしか思えません。
文大統領はあくまでも過去の不幸な長い歴史によって作られた問題と述べており、「外交問題を相手方の責任だと一方的に押し付け」てなんかいませんからね。そして、過去の不幸な長い歴史によって作られた問題であるということを理解して謙虚になることを日本に対して求めているに過ぎず、それをもって「日本側の姿勢を道徳的に非難する」というのもおかしな話です。
過去の不幸な長い歴史によって作られた問題それも未解決の問題に対して、政治争点化しているのは少なくとも文政権下の日韓関係においては明らかに一方的に日本側ですし。
まあ、だいたい相手に責任を「一方的に押し付け」て「道徳的に非難する」なんて日本政府が散々やらかしているくせに、それをスルーする時点でおかしいですね。

質問内容である大法院判決についても、三権分立で行政が司法の判断を尊重するのは当たり前の話です。日本が韓国司法判断に不満を表明するのは構わないが、韓国政府としては韓国司法を尊重せざるを得ないという点について、「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい、という回答は非常に抑制されたものです。

質問した当のNHKはこの部分をこう報じています。

そして「日本も韓国も三権分立の国だ。韓国政府は司法の判決を尊重しなければならない。日本政府も判決内容に不満はあっても、『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある。政治的な攻防のイシューとみなして未来志向的な関係まで損なうのは、非常に望ましくない」として、日本政府に冷静な対応を求めました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190110/k10011773331000.html

NHKは回答内容を明らかに曲解して報じています。文大統領が言っているのは、“韓国政府としては韓国司法を尊重せざるを得ないという点について、「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい”であって、判決内容そのものに対して「『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある」とか言ってません。
判決内容に対する不満の表明はむしろ認めていて、ただ韓国政府が韓国司法を尊重せざるを得ないという点について“「基本的にその部分は仕方ないという認識」を持ってほしい”と当然のことを言っているに過ぎません。
NHKまでが嫌韓を煽るために、NHK自らが取材して得た回答を改竄して報じるなんて世も末ですね。

文大統領の回答の中で最も重要なのは、「その被害者の実質的な苦痛を治癒する問題に対して韓日両国がどのように解決していくのかだと本当にその部分に対しては真剣に知恵を集めていかなければなければならないと考えます」という部分です。
被害者の苦痛をどう治癒するのか、それが日本政府、日本メディア、日本社会に欠けている視点です。実際、そういう視点について日本側で報じているメディア・論者はほぼ見かけません。発言自体は毎日記事*2で論評なしで言及されてたりもしますが、論評となると、外交の駆け引きだとか、日本に対する侮辱だとか、被害者そっちのけの国家レベルの面子にこだわった主張ばかりです。


さらにNHK記事ではこんなことまで書いています。

一方、この裁判をめぐっては、原告側から日韓両政府と企業による財団を設立し、一括して補償を進めるべきだという主張が出ていて、ムン大統領は会見の中で「新たな財団や基金については状況が整理されるのを見守り判断しなければいけない」と触れました。
ムン大統領が財団設立という解決方法に言及したのは初めてで、韓国政府内で選択肢の1つとして検討対象になっていることを示唆しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190110/k10011773331000.html

まるで文大統領が自ら財団設立の案を述べたかのようなNHK報道ですが、NHK記者が「韓国政府が新しい基金や財団を設立する可能性もあるのか具体的におっしゃれば感謝申し上げます」と聞いたからに過ぎませんし、その言及も「新しい財団や基金の可能性このような部分はもう少し、その事件に対して今さらに捜査までなっているそのような状況なのでそのような状況が整理されるのを見守って判断するべきでしないだろうかそのように考えます。」といった程度であって、これをもって「韓国政府内で選択肢の1つとして検討対象になっていることを示唆しました」とか報じるNHKの感覚の方が異常でしょう。

NHK基金や財団を設立する可能性はあるのか?」
文大統領「基金や財団の可能性は状況が整理されてから判断すべきと考える」
NHK「文大統領が財団設立という解決方法に初めて言及した!韓国政府内で検討対象になっている!」

どんなマッチポンプだよ。

会見の様子

会見の模様はこちらで動画公開されていて、NHK記者との質疑応答部分は、1時間38分40秒頃~1時間43分40秒頃です。
www.youtube.com



あれぇ?韓国は世界中で嫌われてるはずなのになぁ・・・

この件。

「世界最強のパスポート」、日本が依然トップ 韓国2位に

1/9(水) 18:18配信 CNN.co.jp

(CNN) ビザ(査証)なしで入国できる国・地域の数に基づいて世界各国のパスポート(旅券)を比較したランキングの最新版で、日本が依然としてトップに立っていることが9日までに分かった。
ランキングは英コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズが航空運輸業界団体の国際航空運送協会(IATA)のデータと独自の調査を基にまとめ、随時更新している。
ある国のパスポートを持っている人が、ビザなしで全227カ国・地域のうち何カ国・地域に入れるかをその国のスコアとし、全199カ国の順位をつけている。
日本は昨年10月に発表されたランキングで初めてトップに立った。
日本のスコアは190、2位のシンガポールが189で、いずれも前回と同じ。前回3位だった韓国は、新たにインドとの間で到着時ビザ(VOA)の制度を導入したため、ワンランク上がってシンガポールと並んだ。これにより、トップ3をアジアが独占することになった。
アジアではこのほか中国が、2017年の85位から今年は69位まで急上昇した。
14年には米国と英国が同点でトップに立っていたが、両国とも6位に落ちている。
英国は今年3月末に欧州連合(EU)から離脱することになっている。離脱条件をめぐり議会がこう着状態に陥っていて、ビザ制度への影響も不透明のままだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190109-35131058-cnn-int

韓国人がビザなしで入国できる国は189カ国だそうです。日本の190カ国には及びませんが、189と190ですから実質的な差があるとは言えないでしょうね。
嫌韓バカに言わせると、韓国は世界中で嫌われているらしいのに、おっかしいですねぇ・・・。



旧植民地が旧宗主国に対して美術品の返還を求めることも、それに応じることも、さほど珍しいことではない

仏が旧植民地に美術品返還へ アフリカ諸国に拡大も(1/7(月) 7:00配信 毎日新聞)」というニュースは、そういう事例です。

まあ、旧植民地が韓国・北朝鮮旧宗主国が日本のケースになった途端に理解を拒否する連中が日本には溢れていますけどね。



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「脅威」というよりは海難救助作業中の爆音として目障りだったんだろうなとは思うけどね。

韓国側が日本哨戒機の低空飛行に対して謝罪を求めたわけですが、韓国国防部「反論映像」全テクストの記載を見ると、低空飛行そのものに対する謝罪ではなく「人道主義的な救助作戦の妨害行為」に対する謝罪を求めています。

日本側が低空飛行を否定する根拠として挙げたのは国際民間航空協約と日本の航空法ですが、「一般の民間航空機の運航と安全のための、一般飛行規則を定めるためのもの」であまり意味のないものです。

在野の論者では「韓国艦のレーダー照射、本当に海自P-1哨戒機は「脅威」だったのか? 検証する(2019.01.08 関 賢太郎(航空軍事評論家) )」などで、哨戒機の運用事例を挙げて、以下のように事実上、「脅威」ではなかったと否定しているものがあります。

 もし韓国国防部の主張どおり、相手からは豆粒大にしか見えない高度150m、距離500mにおける目視識別を、「威嚇」であり「謝罪に値する」行為だとするならば、今後、韓国海軍の哨戒機部隊は「威嚇」をともなわない洋上監視を実施するのでしょうから、全く仕事ができなくなることでしょう。もちろん実際にそうするとは考えづらく、ということはつまり、彼ら韓国海軍の哨戒機部隊は今後、韓国国防部が「謝罪に値する」と断ずるような任務に従事させられることになってしまいます。

https://trafficnews.jp/post/82564

「日本は人道主義的な救助作戦の妨害行為を謝罪し、事実の歪曲を即刻中断せよ!」

という韓国側の主張を見る限り、「一般の民間航空機の運航と安全」を妨げたとか、通常の哨戒飛行に対して抗議しているというよりは、救助活動中の妨害行為として抗議しているようです。

したがって、救助活動中の艦船に対する飛行として適切だったかどうかが、本来問われるべき内容でしょう。

災害時における救援航空機等の安全対策マニュアル

日本の災害救助中における航空機の安全対策マニュアルというのがあります。
災害時には救援航空機の妨げにならないように、報道などの航空機に指定された高度・空域の飛行の自粛を求めるものです。

目安とする空域は「半径5海里以内、対地高度2000フィート以下の空域」を例示していて、消防庁のサイトでも「報道ヘリコプターへの対応」として、同マニュアルに言及し、「報道ヘリコプターに対しても、災害時における救援航空機等の安全対策マニュアルに基づいて現場上空で十分な高度(2000ft以上)を保つこと(略)を依頼する。」とあります。

半径5海里(9.26キロメートル)、対地高度2000フィート(609.6メートル)という目安を基準にすると、広開土大王艦の150メートル上空、距離500メートルまで接近した日本哨戒機は救助活動の妨げになりうる距離に近づいたともいえます。

もっとも、それは海難救助中であることが韓国側から日本側に通知されていなければ守りようがありませんので、日本側としては「救助活動中であることを知らなかった」と回答すれば済む話ではあります。

ただ、事件後、韓国側は救助活動中であったことを何度も説明しているにも関わらず、日本側が何の問題もないと強弁するのはどうかとは思います。

今後日本国内の災害時に報道ヘリが国内法を遵守さえしていれば、「災害時における救援航空機等の安全対策マニュアル」を無視しても構わないのか、と言えば、そんなことは無いはずですからね。



参院選で野党を分裂させ与党に協力しようとする勢力が蠢動しているようですね。

この件。

みんなの党」候補者公募へ 統一選で渡辺喜美

1/7(月) 8:18配信 毎日新聞
 旧みんなの党の代表を務めた渡辺喜美参院議員は5日に栃木県大田原市内であった後援会の会合で、今春の統一地方選の立候補者を政治団体みんなの党」として公募する意向を表明した。統一選の結果を踏まえて、今夏の参院選への対応を検討する考え。
 渡辺氏は「みんなの党の旗、ゼッケンを掲げて選挙に出たい人が何人もいる」と述べた。公募はソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)で行い、応援演説やビデオメッセージなどで支援する。
 みんなの党は2014年に解党したが、渡辺氏は同名の政治団体の代表になり、昨年12月に事務所を都内から那須塩原市に移した。【柴田光二】

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190107-00000004-mai-pol

2019年7月に予定される参院選では改選議席数の問題から、順当に行けば自民党議席数を減らすのは確実な状況です。
安倍政権・自民党やこれに協力する右派野党勢力にとっては、自民党の大敗を避けたいところで、そのためには参院選における野党協力をいかに妨害するかにかかっています。

維新の会と希望の党参院統一会派を結成するなど*1の動きはこの一環でしょうし、昨年後半からメディアでの露出が目立つようになった橋下氏あたりを入れて、立憲民主党共産党以外の野党協力や合流をぶち上げる可能性がかなり高いと思われます。
おそらくは、共産党排除を明言した上で、立憲民主党に対しては合流を持ちかけ、立憲民主党がこれを拒否すれば、橋下寄りのメディアが“立憲民主党こそ野党協力を阻害し、自民党政権を助けている!”と難癖をつけるあたりまで既定路線なんだろうなぁ、と見ています。

これに加えて、安倍政権側には消費増税延期や日ロ交渉の成果でっち上げ、あるいは中国・韓国・北朝鮮に対する敵愾心を国内的に煽動するなどの手段がいくつもありますから、次期参院選自民党を大敗にまで持っていけるかは微妙なところでしょうね。

議席数微減程度なら、産経新聞あたりが“安倍政権大勝利!”の大本営発表を流すでしょうし。

まあ、わかっていても対処のしようが無いのが問題で、結局のところ、有権者自身が安倍政権の危険性に気づかないと話にならないわけですが、それもあんまり期待はできないでしょうね。ゆで蛙に“お前、ゆでられてるよ”と言っても無理ですし。

さて、どうしたものか。



既に「遭難漁船救助に協力した」と説明しているにもかかわらず“オレは信じない。説明しろ”としか言わない連中にこれ以上何を説明しろというのだろう?

広開土大王は日本のEEZで何をしていた? 韓国がまず説明すべきこと(2019/1/ 7 20:18 、J-CASTニュース編集部 工藤博司)」の件。

もう、ここまでくるとチンピラの因縁と変わりません。

「実際に北朝鮮船を救助したのは韓国海洋警察の警備救難艦「サンボンギョ」で、海自機にレーダー照射した駆逐艦ではない」という指摘とか、山口県での行方不明児童を見つけたのはスーパーボランティアだったからという理由で、それ以外の捜索協力者を難詰しているのと変わりませんよ。

だいたい北朝鮮漁船の遭難・漂流なんてよくあるわけで、実際に何隻も日本に漂着していて、中には遺体を載せたものまであるじゃないですか。

今回のケースでは偶々漂流中の漁船を韓国漁船が発見・通報したからこそ韓国海洋警察が対応できたわけですけど、それでも日本海のど真ん中での捜索が容易じゃないのは誰でもわかる話で、付近にいた韓国海軍が協力して何の疑問があるのかと。

逆に聞きたいんですが、日本の海自護衛艦は付近で海保が遭難者の捜索をしていても協力を申し出もしないんですかね?

「救助に広開土大王の助け必要だったか」とか、要救助者がいる状況でそんなことを言うんですかね?


韓国側には訳のわからぬ理屈で追加説明を求めながら、日本側の対応については「日本側の発表によると、現場は、能登半島沖の日本の排他的経済水域EEZ)内。こういった特異な状況での活動に海自の哨戒機が注目した可能性もある」と、「可能性」だけであとは忖度しておしまい、とする感覚も理解不能です。

“海自の哨戒機が注目したのは特異な状況での活動によるものか?”と防衛省に聞くくらいすればいいのに。

日本側の公式発表には疑いすら持たず、不明な部分は忖度と「可能性」で日本に都合よく補う一方、韓国側に対しては何度も繰り返してる説明を無視して説明を求め続ける、と。
やっぱりチンピラですね。



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