中立を装い否定論を流布する手法

南京事件とは。決定的証拠が無い? 」という記事。
この手の記事は中立的な意見を装っているので、余計始末に悪いんですよね。

冒頭はこう始まっています。

盧溝橋事件を発端とした日中戦争中、旧日本軍が南京を占領した際に十数万人以上の南京住民を虐殺、暴行、強姦したとされる事件で「南京大虐殺」とも呼ばれています。なかには野田少尉、向井少尉ら下士官による「百人斬り競争」という凄惨な出来事もあったようです。
ですが、虐殺の規模や有無については多数の意見があり、その真実がどのようなものだったのか、いまだはっきりとはしていません。写真は合成と疑われるものしか残っておらず、旧日本軍がおこなったとされる決定的証拠が出ていないのが現状なのです。
実は蔣介石が虐殺をしたとされる説や、中国側が事実を捻じ曲げて誇大化している説など、さまざまな主張があります。

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/4644

「いまだはっきりとはしていません」「さまざまな主張があります」と言いつつ、「写真は合成と疑われるものしか残っておらず、旧日本軍がおこなったとされる決定的証拠が出ていないのが現状」という虚偽を述べているあたり非常に悪質です。
東中野氏ら否定論者が難癖をつけた写真疑惑については、史実派から反論され、否定論者の主張の方がおかしいことが証明されています。少なくとも中立的に評するなら、「写真は合成と疑われるものしか残って」いないというのが否定論者による一説に過ぎないことを明確にすべきでしょう。

続く文章も、否定論の紹介でしかなく、この記事の筆者が史実派の書籍をまともに読んだことがないか、知ってて意図的に無視しているかということが明らかになります。

南京事件が起こった原因

すべては、旧日本軍が南京を占領したことから始まります。当時の中国の首都であった南京を攻撃することになり、この戦いで旧日本軍に多くの死傷者がでました。戦友を失って殺気立っていたのでしょうか、南京に対する兵士の目の色が変わっていきました。
しかし、南京攻防戦の最中、中国軍守備隊の司令官・唐生智が敵前逃亡し、中国軍の指揮系統が混乱しはじめます。旧日本軍陸軍大将・松井石根の発案で降伏勧告をしますが、守備隊は応答しませんでした。そんな南京守備隊を見た旧日本軍は「守備隊は降伏しない」と判断し、攻城戦から城内に入って殲滅戦に切り替えて、南京へ入ります。
この時松井大将が懸念していたのは、便衣兵と呼ばれる民間人に偽装したゲリラ兵の存在でした。日本軍は彼らにたびたび悩まされていたのです。この便衣兵に対する日本軍の対処が虐殺ではないかともいわれています。中国側は丸腰の民間人であったと主張しているのに対し、南京大虐殺否定派は便衣兵の処刑であるとし、軍事行動としては当然の行為だったとみなしています。

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/4644

ここは史実派・否定派関係なく、客観的な事実として間違っている部分があります。「南京攻防戦の最中、中国軍守備隊の司令官・唐生智が敵前逃亡し、中国軍の指揮系統が混乱しはじめます。旧日本軍陸軍大将・松井石根の発案で降伏勧告をしますが、守備隊は応答しませんでした。そんな南京守備隊を見た旧日本軍は「守備隊は降伏しない」と判断し、攻城戦から城内に入って殲滅戦に切り替えて、南京へ入ります」の部分です。

唐生智が南京から撤退したのは南京攻防戦の最終局面である12月12日です。そして、松井石根が南京防衛軍に対して降伏勧告を行ったのは南京攻防戦前半の12月9日です。つまり、時系列が逆になっています。
あと「便衣兵に対する日本軍の対処が虐殺ではないかともいわれています。中国側は丸腰の民間人であったと主張している」という部分もデタラメで、中国側の主張では犠牲者が民間人に限定されてなどいません。

南京事件の真相

南京戦の直前に、南京住民の20万人ほどが安全地帯へと脱出していました。当時南京に住んでいた住民の9割に近い数字です。つまりこの段階で30万人〜40万人が虐殺されていた、という中国側の主張には疑問がもたれることがわかります。
日本軍は、虐殺どころか捕虜へタバコや食料を渡したり、暴行や難民収容所への関係者以外の立ち入りを厳しく禁じたりと、捕虜に対する配慮が行き届いている部隊もあったとする説もあります。これから虐殺する人に対してこういった行為は見られるでしょうか?
便衣兵の逮捕、処刑がいわゆる南京事件の引き金になったといわれていますが、彼らが武装解除できているかどうか分からなかったから止むを得ず処刑した可能性もあるでしょう。また、証拠写真の検証から、虐殺者が日本軍ではなく蔣介石が率いた国民党軍によるものだったという可能性も浮かびあがってきています。
事件の真相については、まだまだ解明されていないことが多いのです。

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/4644

ここも「まだまだ解明されていないことが多い」と言いつつ、否定論ばかり紹介し、南京人口20万人説については留保無く事実であるかのように記載しています。

ここまでだけでも突っ込みどころは満載なのですが、極めつけは本文で紹介している書籍群です。
紹介にあたっては「今回は、いろんな角度から書かれた書籍をご紹介します。」と述べていますが、紹介しているのは否定論者の書籍ばかりです。

南京事件」の探究―その実像をもとめて (文春新書)
作者 北村 稔
出版社 文藝春秋
出版日 2001年11月01日


南京事件」の総括 (小学館文庫)
作者 田中 正明
出版社 小学館
出版日 2007年07月01日

南京事件」日本人48人の証言 (小学館文庫)
作者 阿羅 健一
出版社 小学館
出版日 2001年12月01日


南京事件証拠写真」を検証する
作者 東中野 修道, 小林 進, 福永 慎次郎
出版社 草思社
出版日 2005年01月31日


完結「南京事件」--日米中歴史戦に終止符を打つ
作者 水間 政憲
出版社 ビジネス社
出版日 2017年08月25日


誰が「南京大虐殺」を捏造したか
作者 古荘光一
出版社 ワック
出版日 2015年12月01日

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/4644

松井大将の日記を南京事件が無かったように改竄した田中正明、都合の悪い証言を除外した阿羅健一、日本の裁判所にまで学術研究の名に値しないと言われた東中野修道、民族差別主義者の水間政憲とか、げっぷが出そうな否定論者ばかりです。「いろんな角度から書かれた書籍」で紹介するのがこれかよ、というレベルの著しく偏った書籍群です。


同記事は最後にこう締めています。

南京事件日中関係において大きな影を落としていますが、日本政府はこれに対し、太平洋戦争では中国に申し訳ないことをしたとしています。それが日中戦争を指すのか、南京で起こった事件のことを指すのかはわかりません。しかし、事件が陰謀だという説がある限りは、これを鵜呑みにせず、自分で根拠となる資料を見つけて意見をもち、違う者に対しては「違う」と声をあげるべきでしょう。

ぜひ今回紹介した書籍を手にとってみてください。

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/4644

南京事件否定論プロパガンダ、お疲れ様でした。



鈴置高史氏によるデマの飽和攻撃に対して一部でも指摘しておく

鈴置高史氏の基本的な手法はデマの飽和攻撃です。大量の文章を書き、その一文ごとにデマや曲解、真偽不明な怪情報を挟み込み、嫌韓ウヨの自尊心をくすぐる結論に誘導するというやり口で、10年以上前なら嫌韓バカらがブログで書いていたような内容です。

「早読み 深読み 朝鮮半島」と称するデマ情報は「韓国はレミングの群れだ もう、止められない「北朝鮮との心中」【最終回】(1/8(火) 12:03配信 日経ビジネスオンライン)」で終了するとのことですが、別段、デマを指摘されて切られたわけでもないでしょうから、程なく別のデマ発信源を形成するでしょう。

ちなみに、鈴置氏が自身の記事の参考にしたサイトを二つ挙げています。

 記事を書くにあたって、匿名の方々にも支えられました。日本語で「シンシアリーのブログ」をお書きになる韓国の歯科医師さん。冷静な韓国人が「動乱の韓国」をどう見ているかを紹介するために、ブログを何度か引用させていただきました。
 「新宿会計士の政治経済評論」というサイトを主宰される公認会計士さん。日本の危機を防ごうと、専門知識をフルに発揮した評論を書いておられます。「通貨スワップと為替スワップについて、改めて確認してみる」など、大いに参考にさせていただきました。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190108-43414741-business-kr

こんなのを参照しているんですから、鈴置記事のレベルも推して知るべしというところでしょう。

一応、鈴置記事にある虚偽の部分を指摘しておきます。

鈴置:自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件でも、それが露わになりました。韓国国防部に詰める記者たちは、自分の国の発表に疑問を持っています。
 「日誌・レーダー照射事件」をご覧下さい。12月21日、国防部は記者の携帯に文字メッセージを送り事件に関し説明したのですが、そこには「レーダーを使った」とちゃんと書いてあったのです。
 そこで21日から22日にかけ、韓国メディアは一斉に「火器管制レーダーも使ったが、北朝鮮の漁船を救助するためだった」との国防部と関係者の説明をそのまま報じました。
 ところが韓国での報道を見た日本の防衛省が22日「火器管制レーダーは捜索には使わないものだ」と国防部の嘘を暴いた。NHKも「レーダー照射は一定時間続いた」と報じ、意図的に哨戒機を狙ったと指摘しました。
 すると24日に国防部は一転、主張を変えました。「追跡(火器管制)レーダーからは一切電波を出さなかった」と言い出したのです。誤報させられた韓国記者は当然、自国の発表を疑うようになりました。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190108-43414741-business-kr

鈴置氏は「21日から22日にかけ、韓国メディアは一斉に「火器管制レーダーも使ったが、北朝鮮の漁船を救助するためだった」との国防部と関係者の説明をそのまま報じ」たと言っていますが、韓国各紙の21日から22日の報道内容は以下の通りです。

ハンギョレ(2018年12月21日)は「射撃統制レーダーについた探索レーダー」と表現

当時の状況は20日、独島北東方向100キロメートル地点の公海上北朝鮮の船舶が漂流しているという情報により、韓国の海洋警察と共に海軍の駆逐艦が出動し捜索作業を10時間近く実施している過程で発生したという。韓国軍関係者は「当時、波が高く気象条件が良くなく、駆逐艦のすべてのレーダーを総動員していた」として「この過程で射撃統制レーダーについた探索レーダーが360度回転し撃った信号が日本海自衛隊のP1哨戒機に探知されたものと理解する」と話した。日本が主張するように射撃統制レーダーがP1哨戒機を直接狙ったわけではないということだ。岩屋防衛相は、韓国側に意図を尋ねたが応答がなかったと話した。しかし、韓国軍関係者は「人道主義的救助のための措置だったことを東京駐在武官を通じて日本政府に十分説明した」として「防衛相まで出て問題提起するとは理解しがたい」と付け加えた。海軍と海洋警察は、長い時間の捜索作業の末に北朝鮮船舶を確認し、漂流で疲れた船員を救助した。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/32409.html

「火器管制レーダーも使った」などとは言っておらず、「射撃統制レーダー」とは別個の「探索レーダー」を使用したと報じています。

朝鮮日報(2018年12月21日)は「作戦活動の際にレーダーを運用した」と表現

記事入力 : 2018/12/21 22:19
海自機に射撃レーダー照射 「追跡の目的ではない」=韓国国防部
【ソウル聯合ニュース】韓国の艦艇が20日、能登半島海上で射撃する際に使う火器管制レーダーを海上自衛隊のP1哨戒機に照射したことについて、韓国国防部は21日、記者団に「わが軍は正常的な作戦活動中だった。作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」と明らかにした。日本側の誤解との説明だ。
 また、「同事項について(日本側に)説明したが、日本側に誤解がないよう十分に説明する」との方針を示した。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/21/2018122180137.html

朝鮮日報も、日本側が「火器管制レーダー」を照射されたと主張していることを報じつつ、韓国国防部の説明としてはただ「レーダーを運用した」とのみ記載しており、「火器管制レーダーも使った」などとは言っていません。

中央日報(2018年12月22日)も「作戦活動中にレーダーを運用した」と表現

日本「韓国軍艦艇、自衛隊哨戒機に火器管制レーダー照射」

2018年12月22日09時18分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
(略)
韓国軍は「日本側の誤解」という立場だ。ある海軍関係者は「この日、北朝鮮の遭難船のためにレーダーを稼働したのを日本が誤解し、この点をすでに日本側に説明した」とし「すでに午前からレーダーを稼働した状況だったため、日本を狙ったのではないことは明らかだ」と説明した。
国防部も担当記者団の携帯電話に文字メッセージを送り、「わが軍は正常な作戦活動中にレーダーを運用したが、日本海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」と明らかにした。続いて「我々は(日本側に)説明したが、今後、日本側に誤解がないように十分に説明する」と述べた。
10月の国際観艦式の旭日旗掲揚をめぐる葛藤に続いて発生した今回の問題が両国関係にもう一つの悪材料として作用する可能性もある。海軍関係者は「わが軍が詳しく説明したが、日本防衛相がなぜこのような形で記者会見を開いたのか分からない」と当惑しながら語った。

https://japanese.joins.com/article/394/248394.html

中央日報も韓国軍の説明としてはただ「レーダーを運用した」とのみ記載しており、「火器管制レーダーも使った」などとは言っていません。

「21日から22日にかけ、韓国メディアは一斉に「火器管制レーダーも使ったが、北朝鮮の漁船を救助するためだった」との国防部と関係者の説明をそのまま報じました。」というのは鈴置氏による捏造

以上、見たとおり、ハンギョレ朝鮮日報中央日報も、21日から22日の時点で「火器管制レーダーも使った」などという表現は使っていませんので、そのように説明している鈴置氏の記載は虚偽です。

韓国のメディアは日本のメディアと違って、政権に忖度したりしませんので記者会見での追及はかなり厳しいと言えます。政府説明が曖昧な場合は忖度による補完をしたりせず、「レーダー」とのみ記載したり、「韓国軍関係者」などの情報として「射撃統制レーダーについた探索レーダー」などの表現で報じています。
そのため、記者クラブ頼みの日本メディアのように政権の誘導によって「誤報させられ」るといったことはあまり生じません。

「24日に国防部は一転、主張を変えました」というのもデマ

上記報道からもわかるように、韓国国防部は当初から「正常な作戦活動中にレーダーを運用したが、日本海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」と主張しています。
24日の国防部記者会見では合同参謀本部の要員が詳細に説明していて、遭難船のためにMW-08を使用したが、(日本側が火器管制レーダーと呼んでいると思われる)STIRは稼動していない、と答えています。当初の説明を詳細にしただけで、主張そのものは何も変わっていません。

すなわち「24日に国防部は一転、主張を変えました」というのも鈴置氏によるデマです。


この記事に限らず、鈴置氏の記事はそのほとんどにおいて、デマや曲解、真偽不明な怪情報が盛り込まれていて、それを指摘しようと思うと、それに倍する字数が必要になります。
このデマの飽和攻撃を食い止めることは事実上不可能ですので、読む方にもう少しリテラシーを持ってもらいたいものですが、鈴置記事を真に受けて嫌韓バカの成分を体内に取り込んでしまう被害者が後を絶たないの現状です。

そうでなくても、デマをばら撒き、憎悪を煽る連中がそのヘイト記事で金儲けし、極右政府に媚を売るという有様ですからね。

やってらんねー、って気分です。



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韓国駆逐艦が遭難漁船救助に協力したら「国際法違反」だとかなんだとか言ってる連中

西村金一氏による「レーダー照射:国際法違反を知られたくなかった韓国(1/8(火) 6:15配信 JBpress)」なる与太記事が人気のようで。

西村氏はのっけからおかしなことを言っています。

 2018年12月20日韓国海軍軍艦が海上自衛隊の「P1」対潜哨戒機に射撃管制レーダー(射撃レーダー)を照射した。
 この事実は、海自哨戒機の飛行員の緊迫した会話や撮影映像から、明白である。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190108-00055139-jbpressz-kr

日本防衛省が公開した映像をいくら見ても、照射されたのがSTIRなのかどうかはわかりません。「海自哨戒機の飛行員の緊迫した会話」でも、緊迫していたかどうかはともかく「FC」としか言っておらず、これだけではFC(火器管制)レーダーの一種であるMW-08である可能性を排除できません。西村氏はどういう超能力を使って、あの映像から照射されたのがMW-08ではなくSTIRであると判断したのか教えてほしいものです。

韓国駆逐艦北朝鮮漁船相手に瀬取り

西村記事の主旨は、一言で言えば“韓国駆逐艦北朝鮮漁船相手に瀬取りしてた”という主張です。

 韓国軍艦が射撃レーダーを照射した時、韓国の海軍軍艦と海洋警察警備艇がほぼ同じ海域で海上警備活動(救助? )を行い、その近くに、北朝鮮の漁船(軍や工作機関が漁業に使用している船か)が存在したことだ。
 その海域は、韓国の近海ではなく、日本の経済水域に深く入り込んだ海域だ。その海域で、偶然にしても、これら3つの船が1か所に集まることは、全く考えられないのだ。
 韓国は救助活動だと発表しているのに、戦闘艦艇である駆逐艦までもが、そこにいたことは不自然極まりない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190108-00055139-jbpressz-kr

とかが根拠のようです。

さて、まず「その海域は、韓国の近海ではなく、日本の経済水域に深く入り込んだ海域」というのが間違いです。同海域は韓国漁船も操業していますし、北朝鮮漁船も操業しています。
日本側は今まで散々、“北朝鮮漁船が大和堆で密漁してる!”とか騒いできたのに、こんな肝心な時にそれを忘れるんですか?

韓国漁船が操業している以上、韓国海洋警察がそこにいるのは何の不思議もありません。韓国の駆逐艦日本海を遊弋するのも別段不思議なことではありません。日本の護衛艦だって散々遊弋しています。EEZは領海ではありませんので、軍艦がそれに配慮すること自体あまり無いでしょう。北朝鮮漁船はそもそも数百隻は出ていましたので、そのうちの遭難漂流した1隻が当事者になったに過ぎません。
それらを踏まえれば全く不自然さなんかありません。

ところが西村氏は「不自然極まりない」と決め付け、想像力をたくましくします。

■ 南北朝鮮の密接な行動は国際法違反の可能性
 この3つが集まっている理由を考察すると、上記の漁船が、燃料不足になり漂流、その船から北朝鮮の本国に救助依頼を行った(漁民が乗る漁船は、連絡できる通信機を積載していない)。
 その連絡を受けた北朝鮮の機関が金正恩政権に報告し、北朝鮮と韓国のパイプを使って、韓国の文政権に連絡、そこから国防省や海洋警察に連絡、それにより、2隻の艦艇が出動したものと考えられる。
 北朝鮮漁船、北朝鮮工作機関、北朝鮮政府、韓国政府、韓国国防省韓国海軍、韓国海洋警察の連携がないと、3隻が海上の同一ポイントに集合することはできない。
 つまり、南北がかなり密接に行動していることがうかがえる。
 さらに、映像から判断すると北朝鮮の漁船は沈没しそうな状況ではなく、エンジン故障か、燃料不足で浮遊していたように見える。
 おそらく、燃料切れになっていた北朝鮮の漁船に、燃料を提供していた可能性がある。
 このことを海自哨戒機に接近して見られたくなかったために、射撃レーダーを照射して、嫌がらせを行い、海自哨戒機を追い払ったのではないだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190108-00055139-jbpressz-kr

西村氏の想像の世界では、遭難した北朝鮮漁船→北朝鮮本国→金正恩政権→文政権→国防省・海洋警察→2隻の艦艇、という連絡があったことになっています。
素朴な疑問なんですが、その情報リレーにかかる時間はどの程度で、遭難地点はどの程度の精度で伝えられたんでしょうかね?
漁船が遭難地点を正確に連絡したとしても、情報伝達に24時間かかれば、その時にはもう位置が変わっていますよね。海上を漂流しているんですから。
だいたい北朝鮮と韓国がそこまで緊密に連携できるんなら、北朝鮮漁船から直接韓国海軍や海洋警察に連絡した方が早くないですか?

西村氏は「北朝鮮漁船、北朝鮮工作機関、北朝鮮政府、韓国政府、韓国国防省韓国海軍、韓国海洋警察の連携がないと、3隻が海上の同一ポイントに集合することはできない」とか言っていますけど、そんな大勢が関わった方がむしろ同一ポイントに集合することができないんじゃないですかね。

さて、西村氏はわけのわからぬ想像を下に「おそらく、燃料切れになっていた北朝鮮の漁船に、燃料を提供していた可能性がある」などと言っています。そして、そこからドンドン飛躍して“北朝鮮と韓国の間に密約がある”、「密約の一つとして、日本海の中央付近で漁業活動する北朝鮮の漁船を、遭難した場合に韓国が守る」「北朝鮮の漁船に燃料を補給する」とか言い出し、それを「国連制裁決議破り」だと主張しているわけです。

ただ、これおかしいんですよね。

そもそも、燃料切れで漂流している漁船に燃料提供するのって人道的措置では?

だって「日本海の中央付近で漁業活動する北朝鮮の漁船を、遭難した場合に韓国が守る」のに密約が必要ですか?遭難者を救助するのは韓国に限らず、万国共通の常識でしょ?
「遭難した場合」ですよ?
「国連制裁決議」があるからという理由で遭難者を見捨てろって言うんですか?

仮に違法操業だったとしても、遭難してたらまず救助するでしょ?違うの?
それを“瀬取り”だの「国際法違反」だのと、バカじゃねーの?
日本人は、韓国憎し、北朝鮮憎し、でそんな常識すら失ったんですか?

お前ら、ホント頭おかしいよ。



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「「SOSは発信されていない」という新事実」って・・・、その経緯は去年のうちに韓国で報道されてるのに、それすら知らんのね・・・。

こんなブログがありまして。

■「SOSは発信されていない」という新事実

自民党の会合での「国連安全保障理事会に諮るべき」の意見に、韓国国防省は困惑」2019年1月8日

人道的に北朝鮮漁船を救助していたと言う事ですが、仮にそれが真実だったなら、日本の海上保安庁がSOSをキャッチしていないのに、どのような方法で遭難に気がつき現場に急行したなどのストーリーも動画に入れ込むべきです。

http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=5431&&country=1&&p=2

「火器管制レーダー照射事案に関する韓国国防部の映像公開について」

海上保安庁は、北朝鮮の漁船から救助の信号を受けていない。都合が悪い現場を押さえられて、レーダーを照射して海自機を追い払おうとしたのであれば、辻褄が合う。証拠となるレーダー波の情報を出せと韓国は言っているが、この際、韓国が嘘をついているという決定的な証拠を出せばよい」との意見も出されました。

https://blogos.com/article/349637/

レーダー照射関連のニュースをかなり見ていたつもりなんですが、海上保安庁からの情報は初めて見ました。みなさん知ってました? 私の調べた方が足りなかったんですかね?

なんと海保がですよ。「漁船から救助の信号を受けていない」と言ってるのです。なんてことないような話なんですが、この情報のせいで重大な疑惑が生じてしまうのです。

だって、国際周波数でSOSが発信されていないとすると、韓国側の警察艦と駆逐艦は、どうやって出動できたのでしょうか? そして北朝鮮船は、なぜ普通に救難信号を出さなかったのでしょうか?

日本政府は、韓国側がどうやって北朝鮮船の救難信号を受けたのか、説明を求めるべきだと思います。

http://d.hatena.ne.jp/tenten99/20190108/1546957219

tenten99氏が引用している記事では、一つは*1佐藤正久外務副大臣が国防部会・安全保障調査会合同会議に参加した議員の発言として「海上保安庁は、北朝鮮の漁船から救助の信号を受けていない。」と記載しています。もう一つ*2はグローバルニュースアジアが「韓国に詳しい専門家」の発言として「日本の海上保安庁がSOSをキャッチしていないのに、どのような方法で遭難に気がつき現場に急行したなどのストーリーも動画に入れ込むべきです」と記載しています。

で、韓国海洋警察や韓国海軍が救助した北朝鮮漁船の情報が伝えられた経緯ですが、例えば2018年12月29日の東亜日報で報じられています。

광개토대왕함 사건은 일본의 기획도발?

이정훈 기자 입력 2018-12-29 14:52수정 2018-12-29 14:59
(略)
북한 어선은 티가 난다. 색깔이 죄다 벗겨진 ‘고철 배’이기 때문이다. 겨울철 동해는 북서풍의 영향으로 황천(荒天)이 되는 경우가 많다. 2018년 12월 20일 대화퇴 어장에서 돌아가던 한국 어선이 북한 어선으로 보이는 배가 조난된 것을 발견하고, ‘누구나 들을 수 있는’ 주파수로 한국 해경을 불러 그 사실을 알렸다.
(略)

http://news.donga.com/East/MainNews/3/all/20181229/93486073/1

2018年12月20日大和堆漁場から帰る途上の韓国漁船が漂流中の北朝鮮漁船を発見し、韓国海洋警察に通報した、という経緯が書かれてます。「海上保安庁は、北朝鮮の漁船から救助の信号を受けていない。」なんて当たり前の話です。通報したのは韓国の漁船ですから。

この程度の経緯も知らないというのは、日本メディアがこういったことをほとんど報じていないからとも言えますが、一般人はともかく、外務副大臣たる佐藤氏や「韓国に詳しい専門家」氏が知らないのはどうなんですかね。




感知したのがSTIR-180の電波であることを日本側が明言しない限り、当事者政府以外の者は結局心象に頼る以外に判断の根拠が無いんだよね。

こういうことを言っている人がいました。

P-1へのレーダー照射問題。個人的見解とまとめ

Posted by HARUKAZE on 2019年1月6日
(略)
次に、本当にレーダー照射があったかどうか。

今回、韓国海軍が使用したと思われる広開土大王級駆逐艦のレーダーはシグナール、現タレス社のSTIR-180です。
STIRシリーズのレーダーは同社のWM-20シリーズ火器管制装置からの派生型ですが、日本では「しらね型護衛艦」でWM-20シリーズを採用した実績があります。
自国で同系統のレーダーを使っていたということは電波情報も持っているということで、レーダー警戒受信機にも当然反映されているのではないでしょうか。

このことから自衛隊側は受信したレーダー波が火器管制レーダーであったことに、十分な自信を持っていると考えられます。

http://harukaze.tokyo/2019/01/06/p1radar/

この理屈で言うと、STIR-180を照射したかどうかを一番良く知っているのが韓国海軍である以上、韓国駆逐艦がSTIR-180を照射していないことに十分な自信を持っているとも言えます。
結局のところ、これは心象の問題になってしまうわけです。

“韓国は嘘つきだ”といった百田尚樹的な先入観を持っていれば、日本側の主張が正しく、韓国側の主張が間違っているという心象を抱きやすいでしょう。

そういった先入観を廃して考えるという作業が本来必要なのですが、そういう論調は極めて少ないですね。

で、先入観を廃して考える場合、個人的に第一に考えるべきは“双方の主張が矛盾なく成立する余地はないか”という点だと思っています。

今回の場合、その余地がまだ残っています。

すなわち、(1)韓国駆逐艦は捜索目的でMW-08を作動させた、(2)日本哨戒機はそのMW-08の照射を感知した、というものです。
この場合、韓国側の主張である“MW-08は使用したがSTIRは使用していない”にも、日本側の主張である“火器管制レーダーの照射を受けた”にも矛盾しません。
なぜなら、MW-08も火器管制レーダーの一種だからです。

日本側は防衛大臣記者会見で記者から質問されているにもかかわらず、その点については回答しませんでした。

防衛大臣記者会見

日時平成30年12月25日(11:42~12:00)

Q:韓国側は射撃管制用のレーダーと、火器管制用のレーダーを使い分けて、いわゆるMW-08のレーダーとSTIRのレーダーを使い分けていると説明していると思うのですが、そのSTIRの方は使っていないという説明だと思うのですが、日本側が探知をして発表に至ったのは、STIRを感知したということでしょうか。

A:その中身を逐一、詳細に申し上げるわけにもいかないと思いますが、防衛省側はおっしゃったようなことも含めて、海自側は分析をしております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/12/25a.html

韓国ではこの点記者からかなりしつこく質問されています。そして韓国国防部としては、日本側が問題視している火器管制レーダーとはSTIR-180のことだと理解していると答えています。

일시 및 장소 : 2019-01-03 10:30, 국방부
발 표 자 : 최현수 국방부 대변인<질문> 그런데 지금 일본 측에서 자꾸 FC, 그러니까 ‘사격통제레이더를 돌렸다.’고 얘기하면서 저희들한테 문제제기를 하는데, 이게 지금 일본이 얘기하는 게 명확하게, 우리가 운용한 STIR레이더가 맞습니까? 아니면 일본 측이 MW08까지도 문제를 제기하고 있는 겁니까? <답변> 이것에 대해서는 제가 파악한 것은 STIR레이더를 의미하는 것으로 알고 있습니다. <질문> 아니, 그런데 실무협의에서 충분히 설명이 오갔을 테고, 일본도 그러면 그 부분에 대해서 명확히 알고 있습니까? <답변> 네, 그런 것으로 알고 있습니다, 저는. 이 사안에 대해서는.

http://ebrief.korea.kr/briefing/briefingDetailPopup.do?brpId=51539&gubun=G

もちろん、記者がこのように質問したのは、日本側は公式に“STIRの照射を受けた”とは明言していないからです。

そのため後日、日本哨戒機が受信した周波数情報が開示されて、実はMW-08の電波だったと判明したとしても、日本政府としては“日本政府としてSTIRだと明言したことは一度もない。MW-08は火器管制レーダーの一種であり、政府の説明は間違っていない”と言い逃れる余地があります。

そういう状況で、“日本側が探知したのはSTIRに違いなく、韓国側が嘘をついている”と決め付けるのは早計だろう、というのが私の個人的な見解ですね。



「刑法改正20回」は「異常事態」か?

北朝鮮・中国問題研究家なる宮田敦司氏がこんなことを書いていました。

金正恩体制崩壊へのカウントダウン 治安悪化で刑法改正20回の異常事態

1/2(水) 5:59配信 デイリー新潮
(略)

若者の凶悪犯罪の増加

 北朝鮮では若年層の犯罪が増加して社会問題化している。北朝鮮にも刑法があるのだが、その刑法は2000年以降、細かなものを含めると20回も改正されている。これは異常事態だ。これだけ頻繁に改正されているということは、北朝鮮の治安が、法律が追いつかないほど急速に悪化していることを意味するからだ。
 頻繁な改正の背景には、青少年で構成された犯罪組織による強盗、窃盗、強姦などの急増がある。これは、社会への不満が若者の間で高まっていることを意味する。
(略)
取材・文/宮田敦司(北朝鮮・中国問題研究家)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190102-00554077-shincho-kr

では、2000年以降の日本での刑法改正の状況を見てみましょう。

(※以下の冒頭数字は2000年以降の改正回数連番で引用者による)
1.改正 平成13年 7月 4日号外法律第97号〔第一一次改正〕
2.改正 平成13年12月 5日号外法律第138号〔第一二次改正〕
3.改正 平成13年12月12日号外法律第153号〔保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律附則三八条による改正〕
4.改正 平成15年 7月18日法律第122号〔第一三次改正〕
5.改正 平成15年 8月 1日号外法律第138号〔仲裁法附則一三条による改正〕
6.改正 平成16年 6月18日号外法律第115号〔国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律附則三条による改正〕
7.改正 平成16年12月 8日号外法律第156号〔刑法等の一部を改正する法律一条による改正〕
8.改正 平成17年 5月25日号外法律第50号〔刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律附則一七条による改正〕
9.改正 平成17年 6月22日号外法律第66号〔刑法等の一部を改正する法律一条による改正〕
10.改正 平成18年 5月 8日号外法律第36号〔刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律一条による改正〕
11.改正 平成19年 5月23日法律第54号〔第一四次改正〕
12.改正 平成22年 4月27日号外法律第26号〔刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律一条による改正〕
13.改正 平成23年 6月24日号外法律第74号〔情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律一条による改正〕
14.改正 平成25年 6月19日号外法律第49号〔刑法等の一部を改正する法律一条による改正〕
15.改正 平成25年11月27日号外法律第86号〔自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律附則二・七条による改正〕
16.改正 平成28年 6月 3日号外法律第54号〔刑事訴訟法等の一部を改正する法律三条による改正〕
17.改正 平成29年 6月21日法律第67号〔組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律三条による改正〕
18.改正 平成29年 6月23日号外法律第72号〔第一五次改正〕
19.改正 平成30年 7月13日号外法律第72号〔民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律附則一三条による改正〕

http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewEnkaku.do?i=0GpZz3wYxdHSJPKiChaaMQ%3D%3D

日本の刑法は2000年以降「細かなものを含めると」19回改正されていることがわかります。刑法改正20回は「異常事態だ」が、19回は異常ではないというのはさすがに無理のある主張です*1
宮田氏は2000年以降19回に及ぶ日本の刑法改正の状況も知らずに北朝鮮の「刑法改正20回」を「異常事態」と断じて、その原因を「青少年で構成された犯罪組織による強盗、窃盗、強姦などの急増」と決め付け「社会への不満が若者の間で高まっていることを意味する」と述べていますが、根拠としては極めて薄弱という他ありません。



*1:ちなみに「細かなもの」を除いても、日本の刑法改正は第11次から第15次の5回行われています。1907年制定の刑法が1995年までの約90年間に第10次改正までだったのを踏まえれば、2000年以降の改正ペースはかなり速いと言えます。

「反日世論を喚起し、支持率を高める」論という幻想

重村智計氏がなかなか残念な論者になり果てています。まあ、今に始まったことではありませんが。
文在寅大統領の“陰謀”に乗せられるな(1/7(月) 12:00配信 日経ビジネスオンライン)

反日世論を喚起し、支持率を高める」?

韓国の政権が支持率を高めるために反日世論を喚起するというのは、日本メディアが好んで用いる説ですが、少なくとも近年においてそれを実証するような事例は見当たりません。
ですが、そのドグマにとらわれ続けている日本の論者は少なくなく、重村氏もその一人ですね。

反日世論を喚起し、支持率を高める

 韓国国防省報道官は1月2日、声明で「自衛隊機が威嚇的な低空飛行をした」と述べ、日本に謝罪を求めた。「威嚇的」の表現は、友好国には使わない。この言葉には「悪意」と「挑発の陰謀」が込められている。「高位級の人物」との表現で、安倍晋三首相を批判したのも失礼で、安倍首相を怒らせようとの意図がアリアリだ。日本が怒れば、反日世論が盛り上がり、大統領の支持率アップにつながるとの“陰謀”を考えている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

重村氏は「日本が怒れば、反日世論が盛り上がり、大統領の支持率アップにつながるとの“陰謀”」を幻想しているようですが、具体的な根拠は何もありません。
安倍首相が積極的に公表するよう防衛省に圧力をかけたというのは日本側の報道によるもので、それに対する批判があってもそれ自体が「失礼」とかではないでしょう。重村氏にとっては、安倍首相は批判してはいけないアンタッチャブルな存在なのかもしれませんが。

ところで、韓国ではギャラップやリアルメーターなどは政権支持率を週単位で調査して公表していますが、慰安婦問題や徴用工裁判あるいは観艦式での旭日旗問題や今回のFCR照射問題でのいわゆる“反日”的な政府対応で支持率が上がったなどという観測は全く見られません。
支持率への影響で言うならむしろ日本側にも受け入れやすい対応の方が韓国世論の支持を得やすい傾向にあるでしょうが、いずれにせよ、世論調査での支持率に対日政策の影響を挙げているような事例自体がほぼ皆無ですから、「日本が怒れば、反日世論が盛り上がり、大統領の支持率アップにつながる」などという言説自体が都市伝説に近いものだと言っていいでしょう。

 ところが、朝鮮日報によると韓国のネット世論は冷静で、70%以上が「韓国政府の主張は信用できない」と書き込んだ。日本政府は、文大統領の“陰謀”に乗せられてはいけない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

これの根拠がよくわかりませんでしたが、ひょっとして朝鮮日報に書き込まれたコメントのことを言ってるんですかね?

 報道官声明は、「争点をすり替える意図」が明白だ。「自衛隊機へのレーダー照射問題」を「日本の謝罪問題」に、すり替える“陰謀”だ。いつもの手口である。「レーダー照射は、自衛隊機を狙ったものではない」というが、それなら誰を狙ったのか説明がない
 何かを隠そうとしている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

「「レーダー照射は、自衛隊機を狙ったものではない」というが、それなら誰を狙ったのか説明がない」って、いや韓国側は最初っから遭難した北朝鮮漁船の捜索のためレーダー照射したって言ってるじゃないですか。何回言えば理解できるんですかね。


韓国ではレーダー照射に大統領の許可が必要って、どこ情報?

●責任問題を隠そうとしている

 事件が起きたのは、昨年12月20日の午後3時過ぎだった。昼日中の明るい時間帯で、海上も穏やかで相手を認識できる状態にあったのに、自衛隊機に攻撃を意味するレーダーを照射した。考えうる可能性は(1)自衛隊機に見られると困る行動をしていた(2)韓国軍はすでに自衛隊を敵軍と考えている(3)兵士が勝手に行なった――である。
 韓国大統領はクーデターを警戒し、各師団や部隊の司令官の指揮と行動を厳しく規制し監視している。大統領が許可してもいないのに勝手にレーダーを照射することは、絶対に許されない。だが、誰かがレーダー照射を命じたから、事件は起きたのだ。その責任問題を懸命に隠そうとしている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

韓国側は最初から何度も説明していますが、照射したのはMW-08でそれは海上捜索のためでありSTIR-180は照射していないというものです。「自衛隊機に攻撃を意味するレーダーを照射した」というのは重村氏の勝手な解釈で、現時点では確定した事実ではありません。
重村氏による「考えうる可能性」というのも頭のおかしなものです。
たとえば「(1)自衛隊機に見られると困る行動をしていた」とか、いや仮にそうだとして、その場合韓国駆逐艦が火器管制レーダーを日本哨戒機に照射することで韓国側に何かメリットがあるんですか?火器管制レーダーを照射したところで、日本哨戒機が目撃した内容を忘れてくれるわけでも何でもありませんよね?
“見られたら困ることをしていたから火器管制レーダーを照射した”と主張している論者は他にもいますけど、理由と行動がまるで合致しないトンデモとしか言いようがないんですよね。
「(2)韓国軍はすでに自衛隊を敵軍と考えている」とかも馬鹿げた主張で、それが事実ならFCRだけではなく撃墜してくるんじゃないですかね。むしろ、友好国なのに、FCRが照射されたと大騒ぎする日本側の方が韓国軍を敵軍と考えていそうです。韓国側はMW-08の照射は認めていて、即座に日本哨戒機を狙ったものではないと釈明しているにもかかわらず、日本側は意図的だと決め付けて大騒ぎしているわけですから(それも照射されたのがMW-08なのかSTIRなのかも曖昧にしたまま)。
STIRについて「(3)兵士が勝手に行なった」という可能性自体は無いとは言えないでしょうが、とにかく日本側が照射されたのがMW-08なのかSTIRなのかを明確にしないと何とも言えない話です。

そして可能性(4)として、“日本側がMW-08をSTIRと誤認した”とか“日本側はMW-08の照射を問題視している”とかがあっていいはずなのに、そこには思いが至らない、その辺が昨今の日本メディアの体たらくを示しています。“わが政府、わが軍は嘘つかない”とか認識が素朴すぎるにもほどがあります。

「大統領が許可してもいないのに勝手にレーダーを照射することは、絶対に許されない」とかも意味不明です。STIRの使用許可って大統領権限なんですか?
「誰かがレーダー照射を命じたから、事件は起きたのだ」ていうのも、いやあなた直前に「考えうる可能性」として「(3)兵士が勝手に行なった」というものを挙げてるじゃないですか、と。

どの国の海軍も海難救助の協力くらいはすると思うが・・・

 韓国海軍艦艇の作戦活動に、北朝鮮の漁船を救助する「任務」はない。偶然に発見した場合は救助するが、救助のために「作戦活動」をすることはない。自衛隊機が撮影した映像では、海洋警察の救助艇が作業を終える状態にある。海軍艦艇の救助行動は見られない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

元々、漂流している北朝鮮漁船を発見した韓国漁船韓国海洋警察に通報し、現場付近にいた韓国海駆逐艦が捜索に協力したってだけの内容がどうして理解できないのか不思議。
で、どこの国の海軍であっても、そりゃ遭難者の救助に協力するのは当たり前で、別に韓国海軍が北朝鮮漁船の救助に協力してもいぶかしむ理由なんか無いでしょう。それとも日本の海上自衛隊北朝鮮漁船が遭難して漂流しているのを発見しても見捨てるんですか?

 韓国国防省は、当初は「北朝鮮漁船救助」と公式に述べ、「海が荒れていた」と嘘の説明をしたが、2日の声明では「作戦活動」「遭難漁船」と言葉を変え、「北朝鮮」の表現を消した。まずいのだろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

1月3日の記者会見でも、記者の質問に対して北朝鮮漁船を救助していたことを認めているので、別にそれが「まずい」とかいうことは無いと思います。また、朝日記事によれば事件翌日の12月21日時点で韓国側は「作戦活動」との文言が使われています*1。したがって重村氏の主張は邪推の域を出ていません。

いや、それは「韓国の主張通り」ではないだろう

 百歩譲って韓国の主張通りなら、韓国艦艇は自衛隊機の位置と距離を測るためにレーダーを作動させた。このとき、間違えて「火器管制レーダー」を使ったのかもしれない。それなら「誤作動」と、なぜ言わないのか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

「百歩譲って韓国の主張通りなら」とか言いながら、「韓国艦艇は自衛隊機の位置と距離を測るためにレーダーを作動させた」と主張するのは明らかにミスリーディングです。というかほぼ捏造ですね、これ。「韓国の主張通りなら」北朝鮮漁船救助のため捜索目的でMW-08レーダーを作動させ、自衛隊機はそれを感知しただけということにしかならないわけですから。

「韓国国防省の発表に韓国民の多くが疑問を抱いている事実」?

 日本政府には、韓国国防省の発表に韓国民の多くが疑問を抱いている事実を、よく理解してほしい。「日本は正直だ」との韓国民の意識を、裏切ってはならない。文在寅政権と韓国民を「離間」する戦略を取るべきだ。事実確認と再発防止の要求に徹し、批判や非難は避けるべきだ。ただし、曖昧な合意をしてはいけない。喧嘩する必要はないが、言うべきことははっきり言うべきだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

韓国メディアは日本メディアと違って自国政府の公式発表を疑いもせず、そのまま垂れ流すようなことはしないようですが、それを「韓国国防省の発表に韓国民の多くが疑問を抱いている事実」と断言するのは我田引水にもほどがありますね。
「「日本は正直だ」との韓国民の意識」というのも、日本人や日本社会に対する韓国民の好感や信頼をそのまま日本政府にも当てはめるのも意味不明です。

韓国駆逐艦北朝鮮漁船相手に「瀬取り」したとか疑う知能に驚く

 このため、韓国海軍艦艇による自衛隊機への「火器管制レーダー照射」も、北朝鮮の「瀬取りに協力する行動」ではなかったか、との疑惑を生んでいる。北朝鮮の密輸行為に協力しているのを自衛隊機にみつけられたと思い、レーダー照射をしたとの観測だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

バカバカしいことこの上ないんですが、火器管制レーダーに照射された相手の記憶を消去する機能があるとでも思ってるんですかね?

 国連制裁の解除や緩和が2019年中に実現しないと、北朝鮮経済は一層苦しくなる。経済を好転させるには、米朝首脳会談日朝首脳会談が必要だ。日本への言及はなかったが、批判的表現もなく、水面下で接触が継続していることを示唆した。中国政府高官によると、習近平国家主席日朝首脳会談の実現を、金委員長に強く求めている。米中貿易戦争を戦うには、日本の経済協力が必要で、日本を取り込もうとしている。拉致問題解決で、安倍首相に恩義を売る戦略だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190107-41193189-business-kr

北朝鮮が経済を好転させるのに米朝首脳会談が必要だというのはわかりますが、日朝首脳会談は別に必須でもないでしょう。日本に対する「批判的表現」が無かったことを都合よく解釈しているようですが、「日本への言及はなかった」というのをそのまま受け止めた方がいいんじゃないですかね。すなわち、米朝関係が改善すれば、日本は米国に追随するのだから言及する必要が無かった、と。そりゃ水面下での接触くらいはするでしょうけど。

中国に対する観測もよくもまあ、こう日本中心に世界が回っているみたいな認識ができるものかと呆れます。
中国側が米中貿易戦争で有利になるように貿易面での日米離間を図るのは当然の戦略ではあるでしょうが、そのために拉致問題を仲介するなんて面倒を中国が負担する理由がありません。

重村氏ってここまで駄目な人だったかなぁ・・・。



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