「米韓首脳会談たった「2分」」というフェイクニュース

文大統領“屈辱” 米韓首脳会談たった「2分」 北への制裁解除熱望も成果ゼロ(2019.4.12)
とか
文在寅とトランプ「かみ合わなかった米韓首脳会談」の舞台裏(4/16(火) 8:01配信)
とかいうフェイクニュース

実際の2019年4月11日の米韓首脳会談ですが、12時18分からOval Officeでテタテ会談を行ない、13時21分からCabinet Roomで拡大首脳会談を行っています。

まず、zakzakの記事ですがこう書かれています。

 韓国・聯合ニュースによると、トランプ氏と文氏の2人きりの会談は29分間行われたが、報道陣との質疑応答が27分間続き、実際の会談は2分程度だったのだ。
 決して、トランプ氏に時間がなかったわけではない。報道陣とのやり取りでは、ゴルフのマスターズ・トーナメントについて「誰が勝つと思うか?」と聞かれ、タイガー・ウッズなど有力選手の名前まで挙げて冗舌に答えていた。
 トランプ氏の米韓首脳会談での態度について、米国政治に詳しい福井県立大学島田洋一教授は「事実上、『韓国との首脳会談を拒否した』といってもいいぐらいの対応といえる。2分というのは、通訳の時間を入れたらゼロに近い。文氏は首脳会談前、マイク・ポンペオ国務長官や、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会っている。トランプ氏としては『文氏に伝えるべきことは2人を通じて言ってあるので、首脳会談では具体的なことを話す必要はない』ということではないか」と説明した。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190412/soc1904120015-n1.html

まるで首脳会談の時間が質疑応答で潰されたかのように書いていますけど、この記者会見は首脳会談前に開かれるもので割とよくあります*1
実質的な首脳会談は、この後に小規模サミットとして約30分間、拡大会談として約60分間行っており、決して短い時間とは言えません。
ちなみに質疑応答中の「ゴルフのマスターズ・トーナメント」に関するものは一番最後に出てきたもので、ごく短いものに過ぎません。

さらに言えば、記者会見の約30分間についても両大統領による冒頭発言がありますから、質疑応答だけ27分間というのはかなり眉唾です。

トランプ大統領による冒頭発言中に以下のような部分があります。

So we’ll be having individual meetings later on and all throughout the day with different people from different departments and representatives. The President and myself will be meeting right now in the Oval Office. Then we’ll meet with our groups in the Cabinet Room, as you know. And I think it’ll be very productive. It’s going to be a very productive day.

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-president-moon-jae-republic-korea-bilateral-meeting/

“これから個別会合を行う予定だし、今日一日各部署・各代表による会合を行う予定だ”と言ってますね。実際、この記者会見前には、ポンペイ国務長官及びボルトン補佐官との会見*2やペンス副大統領との会見*3を行っています。記者会見後もだいたい14時半まで首脳会談を行っています。

福井県立大学島田洋一氏の言うように「トランプ氏としては『文氏に伝えるべきことは2人を通じて言ってあるので、首脳会談では具体的なことを話す必要はない』ということ」であるならば、トランプ大統領と文大統領は共に12時48分から14時28分までの約100分間、黙って座っていたということになってしまいます。

まともな感覚を持っていれば、そんなことはあり得ないとすぐわかるんですが、こと韓国のことになるとその程度の常識すら失ってしまう異常性が今の日本社会には蔓延してるんですよね。

zakzak記事は、記者会見の30分以外に首脳会談が無かったかのように書いていますのでわかりやすいフェイクニュースですが、現代ビジネス記事は記者会見以外の会談についても一応言及しています。

 話を米韓首脳会談に戻すと、その形式も、「3段構え」という珍しいものとなった。すなわち、最初にテタテ会談(両首脳に通訳を交えただけの会談)をオーバル・オフィス(大統領執務室)で30分、次に互いの側近を交えただけの少人数会合を、隣のキャビネット・ルーム(閣議室)で30分、そしておしまいに実務担当者を含めた拡大会合を同室で60分、計2時間というものだ。ワシントンの外交関係者が続ける。
 「韓国側は特に、『テタテ会談を重視したい』と要請してきた。つまり文在寅大統領が、金正恩委員長の意向を直接、トランプ大統領にだけ伝え、大統領自身を口説き落とそうという算段だ。
 これにアメリカ側は難色を示したが、やはり『秘策』を考えて受諾した。それは第一に、テタテ会談の冒頭で記者団を入れるが、その時間を最大限長くとって、トランプ大統領のメッセージを、テレビカメラを通じて、アメリカ国民と平壌に伝えること。第二に、テタテ会談にメラニア夫人を入れて互いに夫人同伴とし、『秘匿性』と『非公式性』を薄めることだった。
 この日のトランプ大統領は、千両役者だった。30分のテタテ会談のうち、記者との応答に、何と26分も使い、残りはたったの4分。移動時間や通訳が訳す時間を除けば、文大統領が切望したテタテ会談は2分だけだった」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190416-00064132-gendaibiz-int&p=2

しかしながら、ここでの情報源である「ワシントンの外交関係者」が謎です。
そもそも、会談前の記者会見を行い、そのままその場で少人数での首脳会談を開き、その後実務担当者を交えた拡大会談をやるというのは首脳会談の形式として別に珍しいものでもありません。「秘策」でも何でもありません。しかも、4月11日の米韓首脳会談ですが、「互いの側近を交えただけの少人数会合」は「隣のキャビネット・ルーム(閣議室)」ではなく、記者会見を開いたOval Officeでそのまま行っています。
トランプ大統領自身が記者会見で「The President and myself will be meeting right now in the Oval Office. Then we’ll meet with our groups in the Cabinet Room, as you know.」と言ってますよね。
そうすると「ワシントンの外交関係者」の言っている「30分のテタテ会談のうち、記者との応答に、何と26分も使い、残りはたったの4分。移動時間や通訳が訳す時間を除けば、文大統領が切望したテタテ会談は2分だけ」におかしな部分が生じます。記者会見と少人数会合は同じ場所で行っているのですから「移動時間」なんて無いんですよね。


というわけで、「米韓首脳会談たった「2分」」などというニュースは、韓国を貶める目的のフェイクニュースという他ありません。

まあ、そういう嫌韓フェイクニュースを信じたい人には理解できないでしょうけどね。



*1:例えば、2018年11月30日の日米首脳会談でも会談前に記者会見を行っています。

*2:https://www1.president.go.kr/articles/5982

*3:https://www1.president.go.kr/articles/5983

離婚後共同親権が容認されている韓国でも多くの場合、離婚後単独親権を選択している。

前回、韓国では民法上、離婚後共同親権が容認されていると書きましたが、どの程度の離婚で共同親権が選択されているかがわからなかったので、もう少し調べてみました。
韓国統計庁で色々調べましたが、離婚後共同親権の具体的な件数については見つけられず、代わりに以下の記事を見つけました。韓国の弁護士によるコラムです。

친권과 양육권 지정 형태의 다양성 모색 (1)-공동친권, 공동양육권-[박 변호사에게 듣는 가사소송(7)]

(略)
법원은 대부분의 사건에서 부모 중 일방을 단독 친권자 및 양육자로 지정하고 있다. 그런데 많은 경우에서는 아니지만 법원은 친권과 양육권을 공동으로 지정하기도 하였고, 최근에 아이를 방치하거나 학대하는 경우가 늘어나면서 공동 친권이나 양육권에 대한 사회적 관심이 높아지고 있는 추세다(다음 편에서는 공동 친권과 양육권에 관한 판례에 대해 알아 보고자 한다).

機械翻訳
裁判所は、ほとんどのケースでは、親の一方を単独親権者と養育者として指定している。ところが、多くの場合では、ありませんが、裁判所は親権と養育権を共同で指定することもしたし、最近の子供を放置したり虐待する場合が増え、共同親権や養育権に対する社会的関心が高まっている傾向にある(次の方では、共同親権と養育権にに関する判例について調べてみようする)。

http://thinklaw.co.kr/ab-lawyer_column_v-12

これによると、2016年時点でも裁判所が離婚後共同親権を指定している事例はあまりないとのことです(最近の傾向として共同親権に関する社会的関心が高まっているともありますが)。
欧米のように、離婚後も別居親と子が気軽に交流するケースは韓国では珍しいとも冒頭で述べています。韓国では裁判所が養育費の支払いと面会交流の実施をよく守るように職権で色々働きかけているが、親の中には子どもを自分の所有物であるかのように支配し、親権や養育権を相手親から子どもを遮断する権利であるかのように認識している者もいる、と指摘しています。

그런데 부모들 중 의외로 상당수가 아이를 마치 자신의 소유물인양 인식하고 아이를 지배하려고 하며, 상대방 배우자로부터 친권이나 양육권을 아이를 차단시킬 수 있는 ‘권리’를 갖는 것으로 인식하기도 한다. 그래서 면접교섭도 자신이 시혜를 베풀어 상대방 배우자에게 허락해 주는 것으로 인식하기도 한다.

http://thinklaw.co.kr/ab-lawyer_column_v-12

この辺は日本と全く同じですね。違うのは韓国では同居親が子どもを抱え込んで別居親を排除する行為を弁護士が堂々と批判するという点です。
また、単親世帯の父子・母子割合も日本とは大きく違っています。
韓国女性家族部が2012年と2015年に調査している「ひとり親家族の実態調査」では標本とされた2552世帯の家族形態の割合を示しています。

2015年調査(世帯数は韓国統計庁サイト*1から取得)

形態 世帯数 割合
母子 1208 47.3%
母子+その他 454 17.8%
父子 505 19.8%
父子+その他 386 15.1%
http://m.blog.daum.net/hellopolicy/6985430?categoryId=705974

母子(その他含む)世帯の割合が65.1%であるのに対し、父子(その他含む)世帯の割合は34.9%で、母子世帯の方が多いのは確かですが、その比率は2対1です。
これに対して日本の場合、平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によると*2、母子世帯120万に対して父子世帯は20万に過ぎず、その比率は6対1となります。

面会交流の実施状況

韓国統計庁サイトに福祉関連の統計として「ひとり親家族の実態調査」が掲載されています。
そこには「子供と非養育親との交流程度」の統計表もあり、それによると2015年調査の結果は以下の通りです。

程度               全体 母子 母子+その他 父子 父子+その他
定期的に会っている         11.9% 14.3% 16.1% 13.3% 9.7%
特別なことがあるたびに会っている  27.1% 17.6% 19.6% 28.9% 28.2%
手紙、メール、電話だけしている   7.2% 8.2% 6.4% 8.5% 6.4%
両家の親族等を通じて状況を聞くのみ 4.9% 6.6% 3.6% 2.5% 6.8%
連絡していない           22.7% 20.1% 23.1% 24.0% 21.8%
所在不明で連絡できない       26.3% 33.1% 31.2% 22.8% 27.2%

月1回以上の面会交流の頻度が全体の50%を超えるオーストラリア*3に比べれば低いのですが、それでも「定期的に会っている」または「特別なことがあるたびに会っている」の頻度は約40%となっています。母子世帯と父子世帯を比べると、父子世帯の方が高い傾向にありますが、「定期的に会っている」頻度となると母子世帯の方が高くなっています。

日本の場合、面会交流の実施状況によると、「現在も面会交流を行っている」頻度は母子世帯で30%程度、父子世帯で45%程度で、全体では約30%程度*4となります。
日本での面会交流の実施率は韓国に比べて10ポイントほど低いと言えます。ただし、日本の場合「面会交流を行ったことがある」頻度も加えるなら、日本の方が高くなります。
日本の統計では「現在も面会交流を行っている」「面会交流を行ったことがある」といっても、その頻度は「月2回以上」「月1回以上2回未満」「2~3ヶ月に1回以上」「4~6ヶ月に1回以上」「長期休暇中」「別途協議」「その他」「不詳」と分類されています。
韓国統計上の「定期的に会っている」に該当しそうなのは「月2回以上」「月1回以上2回未満」「2~3ヶ月に1回以上」「4~6ヶ月に1回以上」くらいでしょうか。「特別なことがあるたびに会っている」に相当するのは「長期休暇中」「別途協議」でしょうが、「その他」「不詳」がよくわかりません。「その他」「不詳」の世帯も少なくはなく、「現在も面会交流を行っている」「面会交流を行ったことがある」母子世帯888世帯中218世帯、同父子世帯190世帯中40世帯といずれも20%以上です。日本の統計での「その他」が韓国での「手紙、メール、電話だけしている」に相当するのかもしれません。

韓国も離婚後単独親権となることが多いのになぜ面会交流実施頻度は日本よりも高いのか

離婚後も親子は交流するべきだという社会的な意識の高さもあるでしょうが、やはり民法上に面会交流が権利である旨が明記されているのは大きいでしょうね。

제837조의2(면접교섭권) ① 자(子)를 직접 양육하지 아니하는 부모의 일방과 자(子)는 상호 면접교섭할 수 있는 권리를 가진다.
②가정법원은 자의 복리를 위하여 필요한 때에는 당사자의 청구 또는 직권에 의하여 면접교섭을 제한하거나 배제할 수 있다.

第837条の2(面会) ①者(子)を直接養育しない親の一方と、子は相互面接交渉することができる権利を有する。
家庭裁判所は、子の福祉のために必要なときは、当事者の請求又は職権により面接交渉を制限したり、排除することができる。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

また、それは法律上の条文だけではなく、運用においても面会交流妨害をした場合は養育権を失うことがあるようです。

이혼 시 양육권자로 지정되었다 하더라도 고의로 면접교섭권을 침해하거나 자녀 앞에서 전 배우자의 인격을 모독하는 행위를 했다면 상대방이 ‘양육권자 변경청구’를 하여 양육권자가 바뀔 수도 있기 때문에 주의해야 한다. 또 배우자가 양육권 행사를 부당하게 방해했다면 과태료 천만 원 이하나 감치 30일 이하를 명할 수 있다는 것을 기억해 두는 것도 좋다.

離婚の際養育権者に指定されても、意図的に面会を侵害したり、子供の前元配偶者の人格を冒涜する行為をした場合、相手が「養育権者変更請求」をして養育権者が変わる可能性があるので注意しなければならない。また、配偶者が親権行使を不当に妨害した場合、過料千万ウォン以下や囲む30日以下を命ずることができることを覚えておくのもいい。

https://www.mk.co.kr/news/culture/view/2015/06/533621/

日本でも面会交流妨害を理由に親権者変更された事例がありますが監護権までは変更されていないようですので、韓国に比べれば日本は監護親による非監護親との面会交流妨害に非常に寛容であるといえるでしょう。韓国の場合は過料や監置の可能性もあるとのことで日本に比べて非常に厳しくなっています。

韓国の場合、離婚後共同親権制度が直接に離婚後親子関係を保護しているというよりは、離婚しても親子関係は維持されるべきという社会的意識が離婚後共同親権を許容し、面会交流の権利性を明記させ、結果として離婚後の親子交流を保護していると言えるかも知れません。




婚活を優生思想呼ばわりするおかしな主張

御田寺圭氏の「「差別は許さないが、優生思想は見逃す」リベラル社会の矛盾(3/28(木) 13:00配信 現代ビジネス)」なる記事について。

まあ本来、アホか、の一言で済むような記事なんですけどね。

御田寺氏は、受精卵にゲノム編集することと出生前診断を受けた上での中絶と精子バンクによる選別を一緒くたに優生思想扱いした上で、「リベラル社会の矛盾」だと決め付けているわけですが、その時点で雑としか言いようがありません。

 「直接的に遺伝子をいじったり、特定の遺伝子をハネたりするのはNGだが、優れた遺伝子を持つ(と期待される)人との間で子孫をつくりたいと考えるのは自由」という区別の論理には、危うさを感じずにはいられない。前者(遺伝子編集など)は優生思想だが、後者(精子バンク)は優生思想ではない――こうした考えに明白な区別が可能なのだろうか。
 個人的にはかなり疑問に思うところだが、後者の自由(すぐれた人とパートナーになったり、あるいはその精子を得て子孫を残したいと願う「幸福の追求」)は非難されるどころか、むしろ「政治的ただしさ」の庇護のもとで、今後ますます勢いづくかもしれない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190328-00063589-gendaibiz-bus_all

受精卵と精子の段階では全く違いますね。

だいたい不妊治療においては運動の良好な精子を選別*1しているわけですが、それを差別だとか優生思想だとか指摘している人なんていますか?いや探せばいるかもしれませんけど、御田寺氏は不妊治療については思いつきもしなかったんでしょうから少なくとも御田寺氏はそう思っていないんでしょう。

まして、不妊治療での精子選別以前の、誰の精子を選ぶかという段階で女性側が選択することのどこが問題なんでしょうかね?

いや、精子バンクの問題として、例えば生まれた子どもが実の父親を知る権利はどう守られるのか、とかそういった観点なら理解はできますが、「優生思想」呼ばわりは頭おかしいとしかいえません。
ちなみに、受精卵にゲノム編集することは子どもの命に関わる疾患を予防するなどの事情がない限り*2、親の好みで子どもの遺伝子を操作することは子どもの自己決定権を侵害すると考えますし、出生前診断を受けた上での中絶も出生後にその子を育てられないとする相当の理由がない限りはやはり子どもの権利を侵害するもので、いずれも優生思想につながるものといわざるを得ないところです。もっとも後者については、どこまでを相当の理由とするか等議論の余地がありますが。


さらに話が精子バンクから婚活にまで広がるともう意味不明です。

 もっともそれは精子バンクのような特殊事例だけではない。たとえば「婚活」の場面などで、年収や取得している資格や容姿や家族構成などで相手を選別する行為も、大なり小なり同じ延長線上にある。
 いまでこそ、医療やアカデミズムの領域では、関係者がプロとして高い人権意識や倫理観を維持することで、ネガティブな優生思想を遠ざけているのかもしれない。だが一方で、すでに市民社会レベルでは「誰しもすぐれた人間とのあいだに子どもをもうけたい」という「ポジティブな優生思想」が、自由の名の下で着実に浸透しているのではないだろうか。
 この「ポジティブな優生思想」は結局のところ、劣った男性の子孫を排除するという性淘汰と表裏一体である。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190328-00063589-gendaibiz-bus_all

婚活において女性が男性を「年収や取得している資格や容姿や家族構成などで相手を選別する行為」を「ポジティブな優生思想」だと言っているわけですが、これほど馬鹿げた話はありません。
個々人が自らのパートナーにどんな人物を選ぶかなどは極めて私的な領域であって誰かに指図されるものであってはなりません。それは男女ともにです。むしろ、外部から“あなたはこういう人をパートナーに選ぶべきだ”と圧力をかけることこそ優生思想というべきでしょう。

そもそも女性が男性を「年収や取得している資格や容姿や家族構成などで相手を選別する行為」は、男性が女性を年齢や家事の能力や容姿や家族構成などで選別する行為とどう違うんでしょうかね?

 男性が必ずしも求められなくなった社会において、それでも女性が男性をあえて選ぶのだとしたら、いわゆる「ハイスペック・エリート」と呼ばれるような社会的・経済的に上位の男性や、あるいは前述したような「遺伝的に優秀な男性の精子」に人気が集中するのは想像に難くない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190328-00063589-gendaibiz-bus_all

と批判的に述べていますが、同じく男性も女性パートナーがいなくとも代理母などの協力で子どもが得られるようになるでしょうから、男性のみが選別されるわけではありません。
男女問わず、裕福な者はパートナーを選別したりパートナーなしで子どもを得ることができる社会になる一方で、貧しい者にはパートナーを選ぶ余裕が無い今まで通りの社会が続くというだけです。
それを「男性が「選別される」時代の到来」ととらえる時点で認識が歪んでいます。

そもそもの話

“きもくてカネのないおっさん”は割と深刻な問題だとは思っていますが*3、御田寺氏のような論説は的外れすぎです。

そもそも、女性が男性を「年収や取得している資格や容姿や家族構成などで相手を選別する行為」を嘆く男性は、そもそも女性を選別していないんですか、と。
婚活市場において、確かに女性は男性を年収や容姿で選んでいるでしょうが、同様に男性も女性を年齢や容姿で選んでいますよね?
つまり、男性こそがまず、年収や容姿で選別せずに自分を選んでほしい、ただし、自分の好みにあった年齢・容姿の女性に限る、という御田寺風にいうところの「ポジティブ優生思想」で選別しているわけですから、バカバカしいことこの上ない話です。



*1:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20180320/index.htmlhttps://www.denentoshi-lady.com/ivf/flow_03.html

*2:http://www.sciencemag.jp/breakthrough/2018/gene-editing

*3:これ、単純なミソジニーとして扱うと見誤ると思っていて、確かに現時点において救済が必要なほどの貧困ではないにしても、人生の目的を見出せず、将来的な展望も暗い状況の男性貧困予備軍というのはかなりの規模で存在していると思われます。そしてミソジニー的発言をしているのは、その中でもごく一部であって、ミソジニー批判に際して発言していない人まで含めて侮辱するような言説は避けるべきだと思います。また、同様な状況の女性、いわば“きもくてカネのないおばさん”もかなり深刻な問題と思われます。

韓国の離婚後親子関係に関する法律について

離婚後面会交流及び養育費に係る法制度 ―米・英・仏・独・韓― 調査と情報―ISSUE BRIEF― NUMBER 882(2015.11.17.)」に関連して、韓国の法制度を少し調べてみました。
家族関連の法律は日本と同じく民法中の家族関連の規定として定められています。
日本民法との類似点と相違点を条文に照らしてみてみましょう。
(※:韓国民法の翻訳は全て機械翻訳による。)

親族の範囲

제777조(친족의 범위) 친족관계로 인한 법률상 효력은 이 법 또는 다른 법률에 특별한 규정이 없는 한 다음 각호에 해당하는 자에 미친다.
1. 8촌 이내의 혈족
2. 4촌 이내의 인척
3. 배우자

第777条(親族の範囲) 親族関係による法律上の効力は、この法律又は他の法律に特別な規定がない限り、次の各号に該当する者に及ぶ。
1. 8親等以内の血族
2. 4親等以内の姻戚
3. 配偶者

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)
日本民法

第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

日本よりも広い範囲を親族とみなしています。

家族の範囲

제779조(가족의 범위) ①다음의 자는 가족으로 한다.
1. 배우자, 직계혈족 및 형제자매
2. 직계혈족의 배우자, 배우자의 직계혈족 및 배우자의 형제자매
②제1항제2호의 경우에는 생계를 같이 하는 경우에 한한다.

第779条(家族の範囲) ①次の者は、家族とする。
1.配偶者、直系血族及び兄弟姉妹
2.直系血族の配偶者、配偶者の直系血族及び配偶者の兄弟姉妹
②第1項第2号の場合には、生計を一にしている場合に限る。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

家族の範囲については日本の民法には見当たりません。おそらくは韓国には本貫が重視される文化があることによるとは思いますが。

協議離婚の規定

제834조(협의상 이혼) 부부는 협의에 의하여 이혼할 수 있다.

第834条(協議上の離婚) 夫婦は協議によって離婚することができる。

제836조(이혼의 성립과 신고방식) ①협의상 이혼은 가정법원의 확인을 받아 「가족관계의 등록 등에 관한 법률」의 정한 바에 의하여 신고함으로써 그 효력이 생긴다.
②전항의 신고는 당사자 쌍방과 성년자인 증인 2인의 연서한 서면으로 하여야 한다.

第836条(離婚の成立と申告方式) ①協議上の離婚は、家庭裁判所の確認を受け、「家族関係の登録等に関する法律」の定めるところにより申告することにより、その効力が生じる。
②前項の届出は、当事者双方と成年者である証人2人の連署した書面でなければならない。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

協議による離婚を認めている点は日本と同じですが、その届出に関して韓国では家庭裁判所の確認を受けることが必要とされている点が異なります。

日本民法

第七百六十三条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

日本では協議離婚に際し家庭裁判所の確認などを経ることなく、子の親権者をどちらか一方に定める旨(民法819条1)を行政が確認さえすれば、それで離婚届が受理されます*1民法765条1)。

協議離婚のための手続き

家庭裁判所の確認を受けることがどういう意味を持つのかという部分がこれです。

제836조의2(이혼의 절차) ① 협의상 이혼을 하려는 자는 가정법원이 제공하는 이혼에 관한 안내를 받아야 하고, 가정법원은 필요한 경우 당사자에게 상담에 관하여 전문적인 지식과 경험을 갖춘 전문상담인의 상담을 받을 것을 권고할 수 있다.
② 가정법원에 이혼의사의 확인을 신청한 당사자는 제1항의 안내를 받은 날부터 다음 각 호의 기간이 지난 후에 이혼의사의 확인을 받을 수 있다.
1. 양육하여야 할 자(포태 중인 자를 포함한다. 이하 이 조에서 같다)가 있는 경우에는 3개월
2. 제1호에 해당하지 아니하는 경우에는 1개월
③ 가정법원은 폭력으로 인하여 당사자 일방에게 참을 수 없는 고통이 예상되는 등 이혼을 하여야 할 급박한 사정이 있는 경우에는 제2항의 기간을 단축 또는 면제할 수 있다.
④ 양육하여야 할 자가 있는 경우 당사자는 제837조에 따른 자(子)의 양육과 제909조제4항에 따른 자(子)의 친권자결정에 관한 협의서 또는 제837조 및 제909조제4항에 따른 가정법원의 심판정본을 제출하여야 한다.
⑤ 가정법원은 당사자가 협의한 양육비부담에 관한 내용을 확인하는 양육비부담조서를 작성하여야 한다. 이 경우 양육비부담조서의 효력에 대하여는 「가사소송법」 제41조를 준용한다.

第836条の2(離婚の手続き) ①協議上の離婚をしようとする者は、家庭裁判所が提供する離婚に関するご案内を受けなければならず、家庭裁判所は、必要に応じて、当事者に相談について専門的な知識と経験を備えた専門相談者の相談を受けることを勧告することができる。
家庭裁判所に離婚の意思の確認を申請した当事者は、第1項の案内を受けた日から、次の各号の期間が経過した後に離婚の意思の確認を受けることができる。
1.養育なければならない者(ポテ中者を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、3ヶ月
2.第1号に該当しない場合には、1ヶ月
家庭裁判所は、暴力により当事者の一方に立つことができない苦しみが予想されるなど、離婚をしなければならする急迫した事情がある場合には、第2項の期間を短縮又は免除することができる。
④養育しなければならない者がいる場合、当事者は、第837条の規定による者(子)の養育と第909条第4項の規定による者(子)の親権者の決定に関する協議又は第837条及び第909条第4項の規定による家庭裁判所の審判正本を提出しなければならない。
家庭裁判所は、当事者が協議した養育費負担に関する内容を確認する養育費の負担調書を作成しなければならない。この場合、養育費の負担調書の効力については、「歌詞訴訟法」第41条を準用する。

제837조(이혼과 자의 양육책임) ①당사자는 그 자의 양육에 관한 사항을 협의에 의하여 정한다.
② 제1항의 협의는 다음의 사항을 포함하여야 한다.
1. 양육자의 결정
2. 양육비용의 부담
3. 면접교섭권의 행사 여부 및 그 방법
③ 제1항에 따른 협의가 자(子)의 복리에 반하는 경우에는 가정법원은 보정을 명하거나 직권으로 그 자(子)의 의사(意思)·연령과 부모의 재산상황, 그 밖의 사정을 참작하여 양육에 필요한 사항을 정한다.
④ 양육에 관한 사항의 협의가 이루어지지 아니하거나 협의할 수 없는 때에는 가정법원은 직권으로 또는 당사자의 청구에 따라 이에 관하여 결정한다. 이 경우 가정법원은 제3항의 사정을 참작하여야 한다.
⑤ 가정법원은 자(子)의 복리를 위하여 필요하다고 인정하는 경우에는 부·모·자(子) 및 검사의 청구 또는 직권으로 자(子)의 양육에 관한 사항을 변경하거나 다른 적당한 처분을 할 수 있다.
⑥ 제3항부터 제5항까지의 규정은 양육에 관한 사항 외에는 부모의 권리의무에 변경을 가져오지 아니한다.

第837条(離婚と子の養育の責任) ①当事者は、その者の養育に関する事項を協議によって定める。
②第1項の協議は、以下の事項を含まなければならない。
1.養育者の決定
2.養育費の負担
3.面会のイベントかどうかと、その方法
③第1項の規定による協議が、子の福祉に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で、その者(子)の医師(意思)・年齢と親の財産状況、その他の事情を斟酌して子育てに必要な事項を定める。
④子育てに関する事項の協議が行われず、又は協議することができないときは、家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求に基づいて、これについて決定する。この場合、家庭裁判所は、第3項の事情を参酌しなければならない。
家庭裁判所は、子(子)の福利のために必要であると認める場合には、父・母・子(子)と検査の請求又は職権で、子の養育に関する事項を変更したり、他の適切な処分を行うことができる。
⑥第3項から第5項までの規定は、養育に関する事項以外の親の権利義務に変更を持って来ない。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

韓国では協議離婚であっても役所に届け出て完了ではなく、家庭裁判所が提供する離婚に関するガイダンスを受けなければならず、ガイダンスを受けた後も未成年の子がいる場合は3ヶ月、いない場合は1ヵ月の猶予期間を設けて、その後に再度離婚の意思確認を求めることができるようになっています。衝動的に離婚しないようにする冷却期間といえるでしょうか。
もちろん、暴力があるなど急迫している場合には、家庭裁判所はその猶予期間を短縮・免除できるようにもなっています。

重要なのは未成年の子がいる場合で、養育や親権者に関して決定した内容を提出しなければならず、養育費負担に関しては家庭裁判所が調書として書面化しなければならないことになっています。
いわば離婚後養育計画を当事者は協議して決める必要があり、その決めた内容に対して家庭裁判所が子の福祉の観点からチェックし、必要に応じて修正を求めるという制度設計です。
家庭内権力関係によって協議の内容が一方に偏したものになりがちであること、そしてその影響を離婚当事者でない子が受けるということを踏まえると、協議離婚であってもその後の養育計画に関して家庭裁判所がチェックするというのは非常に合理的で、子の福祉に適ったものといえるでしょう。

日本民法

対応する日本民法の規定はこうなっています。

第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

親権者をどちらか一方に定めることは民法819条に明記されていますので、それ以外の監護者や面会交流、養育費などについて協議して定めることを求めていますが、家庭裁判所は協議がまとまらなかった場合のみ関与することになっていて、協議がまとまってしまえば家庭裁判所は何もしなくてもよいことになっています。
ここでいう協議が調った場合とは、離婚届が出せた場合ということに過ぎず、面会交流の実施が合意されてなくても、養育費の条件が決まっていなくても、構いません。韓国と違って家庭裁判所がその内容をチェックするわけではありませんので、監護者や面会交流、養育費などについて調った内容が、子の福祉に反しているかどうか、当事者以外の誰も確認することのないまま離婚が成立するようになっています。

離婚したい当事者にとっては簡便ですが、子にとっては災難としか言いようのない制度ですね。

面会交流に関する規定

제837조의2(면접교섭권) ① 자(子)를 직접 양육하지 아니하는 부모의 일방과 자(子)는 상호 면접교섭할 수 있는 권리를 가진다.
②가정법원은 자의 복리를 위하여 필요한 때에는 당사자의 청구 또는 직권에 의하여 면접교섭을 제한하거나 배제할 수 있다.

第837条の2(面会) ①者(子)を直接養育しない親の一方と、子は相互面接交渉することができる権利を有する。
家庭裁判所は、子の福祉のために必要なときは、当事者の請求又は職権により面接交渉を制限したり、排除することができる。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

離婚後の別居親と子の面会交流を、別居親の権利であり子の権利であると、その権利性を明確にしています。面会交流は子の福祉のために必要な場合にのみ、家庭裁判所によって制限することができるとされていて、原則として面会交流は必須であることがわかります。
日本の民法では766条で「父母が協議上の離婚をするときは(略)父又は母と子との面会及びその他の交流(略)は、その協議で定める」とあるだけで、権利性については明確にしていません。
韓国で同居親が面会交流を妨害すれば韓国民法837条2にある面会交流権を侵害することになりますが、日本では面会交流を妨害しても面会交流を行うと定めた協議内容の違反程度に過ぎず、権利侵害とまで認められにくいでしょうし、そもそも面会交流について定めていなければ、合意違反にすらならない制度になっています。

日本では面会交流が別居親の権利であるという考え方はおろか、子の権利であるという考え方すら浸透していないといえるでしょう。

親権に関する規定

제909조(친권자) ①부모는 미성년자인 자의 친권자가 된다. 양자의 경우에는 양부모(養父母)가 친권자가 된다.
②친권은 부모가 혼인중인 때에는 부모가 공동으로 이를 행사한다. 그러나 부모의 의견이 일치하지 아니하는 경우에는 당사자의 청구에 의하여 가정법원이 이를 정한다.
③부모의 일방이 친권을 행사할 수 없을 때에는 다른 일방이 이를 행사한다.
④혼인외의 자가 인지된 경우와 부모가 이혼하는 경우에는 부모의 협의로 친권자를 정하여야 하고, 협의할 수 없거나 협의가 이루어지지 아니하는 경우에는 가정법원은 직권으로 또는 당사자의 청구에 따라 친권자를 지정하여야 한다. 다만, 부모의 협의가 자(子)의 복리에 반하는 경우에는 가정법원은 보정을 명하거나 직권으로 친권자를 정한다.
⑤가정법원은 혼인의 취소, 재판상 이혼 또는 인지청구의 소의 경우에는 직권으로 친권자를 정한다.
⑥가정법원은 자의 복리를 위하여 필요하다고 인정되는 경우에는 자의 4촌 이내의 친족의 청구에 의하여 정하여진 친권자를 다른 일방으로 변경할 수 있다.

第909条(親権者) ①親は未成年者の子の親権者となる。両者の場合には、養父母(養父母)が親権者となる。
②親権は父母が婚姻中のときには、親が共同でこれを行使する。しかし、親の意見が一致していない場合には、当事者の請求により家庭裁判所がこれを定める。
③親の一方が親権を行使することができないときは、他の一方がこれを行使する。
④婚姻以外の者が認知された場合と、親が離婚した場合には、親の協議で親権者を定めなければならず、協議することができない場合、または協議が行われない場合には家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求に基づいて親権者を指定なければならない。ただし、親の協議が、子の福祉に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で親権者を定める。
家庭裁判所は、婚姻のキャンセル、裁判上離婚または認知請求の牛の場合には、職権で親権者を定める。
家庭裁判所は、子の福祉のために必要と認められる場合には、子の4親等以内の親族の請求によって定められた親権者を他の一方に変更することができる。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)

離婚した場合の子の親権者については、協議で定めなければならないとはありますが、父母どちらか一方のみを親権者をしなければならないとは明記されておらず、要するに離婚後共同親権を許容していると言えます。
もちろん、協議によって単独親権にすることもできますので、選択的共同親権といえるかもしれません。
ただし、元々離婚後共同親権を想定していたかというと、⑥の「定められた親権者を他の一方に変更することができる」との記載を読む限り、親の一方を親権者に定める離婚後単独親権を想定していたようにも読めますので、改正前民法ではそのように規定されていたのかもしれません(どうも1990年の民法改正で共同親権が許容されるようになったようです)。

日本民法

対応する日本民法の規定はこうなっています。

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

第八百十九条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

日本の場合は「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない」とあり、これが離婚後単独親権の根拠法となっています。離婚後も単独親権しか選べないのは、先進国では日本以外に見られず、かなり特異な制度といえるでしょう。

婚姻中の親権行使

ちなみに婚姻中の親権行使についても日韓では面白い違いがあります。

日本ではこう書かれています。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

韓国ではこうです。

第909条(親権者) ②親権は父母が婚姻中のときには、親が共同でこれを行使する。しかし、親の意見が一致していない場合には、当事者の請求により家庭裁判所がこれを定める。
③親の一方が親権を行使することができないときは、他の一方がこれを行使する。

親権者が二人いる場合、意見が一致しないことも当然あるわけですから、その場合に当事者が請求すれば家庭裁判所が定めるという明文規定は当事者間の紛争を深刻化させない効果もありそうに思います。家庭内権力関係によって一方の意見が押し通されることによる不満を回避できるとかが考えられますが、もちろん、家庭裁判所に相談するという行為が文化的に敬遠されていないことが前提にはなりますが。

ただ、「親の意見が一致していない場合」の記載がある韓国民法に比べて、婚姻中にはそれが一切書かれていない日本民法は、親の意見は一致するものという前提をおいているのか、一方の親に他方の親が従属することを想定しているのか、どうにも不完全な感じはします。

親権者の権利義務に関する規定

제912조(친권 행사와 친권자 지정의 기준) ①친권을 행사함에 있어서는 자의 복리를 우선적으로 고려하여야 한다.
② 가정법원이 친권자를 지정함에 있어서는 자(子)의 복리를 우선적으로 고려하여야 한다. 이를 위하여 가정법원은 관련 분야의 전문가나 사회복지기관으로부터 자문을 받을 수 있다.

第912条(親権行使と親権者指定の基準) ①親権を行使に当たっては、子の福祉を優先的に考慮しなければならない。
家庭裁判所が親権者を指定する場合においては、子の福利を優先的に考慮しなければならない。このため家庭裁判所は、関連分野の専門家や社会福祉機関からの諮問を受けることができる。

제913조(보호, 교양의 권리의무) 친권자는 자를 보호하고 교양할 권리의무가 있다.

第913条(保護、教養の権利義務) 親権者は子を保護し、教養する権利義務がある。

제914조(거소지정권) 자는 친권자의 지정한 장소에 거주하여야 한다.

第914条(巨大所持政権) は、親権者の指定した場所に居住しなければならない。

제915조(징계권) 친권자는 그 자를 보호 또는 교양하기 위하여 필요한 징계를 할 수 있고 법원의 허가를 얻어 감화 또는 교정기관에 위탁할 수 있다.

第915条(懲戒権) 親権者は、その者を保護または培養するために必要な規律をすることができ、裁判所の許可を得て感化または校正機関に委託することができる。

제916조(자의 특유재산과 그 관리) 자가 자기의 명의로 취득한 재산은 그 특유재산으로 하고 법정대리인인 친권자가 이를 관리한다.

第916条(子の特有財産とその管理) 者が自己の名義で取得した財産は、その特有財産として法定代理人である親権者がこれを管理する。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)
日本民法

対応する日本民法の規定はこうなっています。

第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
第八百二十一条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
第八百二十二条 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

韓国民法912条②が親権者指定の基準として「家庭裁判所が親権者を指定する場合においては、子の福利を優先的に考慮しなければならない」という条文を入れている以外は、概ね日韓同じような記載となっています。
韓国民法912条②についても、日本民法では、766条3の監護権者決定に際して766条1の「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」を適用するとか、819条6の親権者変更の規定に考慮される「子の利益のため必要があると認めるとき」が819条2の裁判離婚における親権者決定に際しても適用されるとかいうことで一応対応しているとは思います(まあ、明文化した方が良いとは思いますが)。

日本で昨今問題になっている懲戒権については、韓国民法内にも存在します。ただし、ただ「懲戒することができる」とある日本民法に比べればもう少し具体的に書かれています。


親権喪失に関する規定

제924조(친권상실의 선고) 부 또는 모가 친권을 남용하거나 현저한 비행 기타 친권을 행사시킬 수 없는 중대한 사유가 있는 때에는 법원은 제777조의 규정에 의한 자의 친족 또는 검사의 청구에 의하여 그 친권의 상실을 선고할 수 있다.

第924条(親権喪失の宣告) 父または母が親権を濫用し、顕著な飛行その他親権を行使することができない重大な事由があるときは、裁判所は、第777条の規定による子の親族又は検査の請求により、その親権の喪失を宣告することができる。

제925조(대리권, 재산관리권 상실의 선고) 가정법원은 법정대리인인 친권자가 부적당한 관리로 인하여 자녀의 재산을 위태롭게 한 경우에는 제777조에 따른 자녀의 친족 또는 검사의 청구에 따라 그 법률행위의 대리권과 재산관리권의 상실을 선고할 수 있다.

第925条(代理権、財産管理権の喪失の宣告) 家庭裁判所は、法定代理人である親権者が不適当な管理により、子供の財産を危険にさらすした場合には、第777条の規定による子供の親族または検査の請求に基づいて、その法律行為の代理権と財産管理権の喪失を宣告することができる。

제926조(실권회복의 선고) 전2조의 원인이 소멸한 때에는 법원은 본인 또는 제777조의 규정에 의한 친족의 청구에 의하여 실권의 회복을 선고할 수 있다.

第926条(実権回復の宣告) 前2条の原因が消滅したときは、裁判所は、本人又は第777条の規定による親族の請求によって実権の回復を宣告することができる。

http://www.law.go.kr/법령/민법/(11300,20120210)
日本民法

対応する日本民法の規定はこうなっています。

(親権喪失の審判)
第八百三十四条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
(親権停止の審判)
第八百三十四条の二 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
(管理権喪失の審判)
第八百三十五条 父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し)
第八百三十六条 第八百三十四条本文、第八百三十四条の二第一項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。
(親権又は管理権の辞任及び回復)
第八百三十七条 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1

日本民法には親権停止の規定がある他、日本では喪失・停止の要件において「虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」「親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」とされているのに対し、韓国では親権濫用・顕著な非行と要件が曖昧になっています。

少しのまとめ

植民地支配していた日本の影響が韓国民法上にも多く見られますが、それでありながら、韓国は離婚後共同親権を許容し、日本は離婚後単独親権に固執しているのは少し不思議な感じがしました。
韓国でも長く戸主制度がありイエの影響が強かったのですが、日本が戸籍単位で考えるのに対して韓国では本貫の影響が強かったためか、とにかく結果として離婚後親権を一方に定めることを明記した条文とはなりませんでした。
日本は敗戦で旧民法から大きく改正し家父長制は形式的には消滅したものの、戸主が子どもを支配するという形は維持された結果、離婚後単独親権という歪んだ制度が残ったという感じです。これに対して韓国は長く戸主制度を維持したものの民主化以降、急速にその制度を改め、離婚後共同親権を許容し面会交流を権利として明記するに至ります。

結局のところ、日本では戸主がイエを支配するという思想から抜け出ることが出来ず、ただ単に離婚に際し父親が親権者となって子どもを支配した慣習が、母親が親権者となって子どもを支配する慣習に変わっただけと言えるかも知れません。





参考:韓国の親権・監護権

*1:一応、他にも当事者双方の署名及び成年の証人2名の署名が必要とはされます(民法739条2)。

中国古典由来の「昭和」とか「平成」とかをDisってるという理解でいいのかな?

こんなことを言っている人たちがおりまして。

 自民党総裁でもある安倍首相に代わって党務を預かる二階幹事長は、「素晴らしい元号だ」「日本古来の万葉集の中からとったというのは、たいへんよかった」などと評価したうえで、「国民のみなさんとともに心から祝したい」と述べた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190402-00010006-fnnprimev-pol

 維新の片山共同代表は、中国の古典ではなく日本の「万葉集」を典拠としていることに「たいへんよろしゅうございました」とご満悦。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190402-00010006-fnnprimev-pol

安倍に向かって揉み手しながらゴマを摺っている図以上の光景には見えませんけど、とりあえずこの人たちは、中国古典由来の「昭和」とか「平成」とかについてはよろしくないと思っているということでしょうかねぇ。



新元号発表を4月1日にした理由が統一地方選での政治利用だったんだろうし、そりゃ支持率は上がるだろうよ。

↓だそうです。

元号「令和」を好感73% 西暦との併用45%で最多

2019/4/2 21:29 ©一般社団法人共同通信社
 共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、政府が「平成」に代わる新元号として公表した「令和」について73.7%が「好感が持てる」と回答した。「好感が持てない」は15.7%だった。普段の生活や仕事で主に使いたいのは新元号か西暦かを尋ねたところ、両方が45.1%で最多。西暦34.0%、新元号18.8%の順だった。内閣支持率は52.8%で3月の前回調査比9.5ポイントの大幅増。不支持は8.5ポイント減の32.4%となった。
 新元号公表を巡る高評価が内閣支持率の押し上げに影響した可能性がある。

https://this.kiji.is/485706045695116385

まあ、漢字2文字の組み合わせなので、「凶」とか「悪」とか「鬼」とか「死」とか「糞」とか明らかに不適切な文字を避けてさえおけば、世間一般は特に批判したりはしないでしょうし、そもそも今のメディアが積極的にネガティブな意見を集めたりするわけもないですからねぇ。例えるなら、他人の子どもの命名みたいなもので、どんな名前が付けられても、面と向かってそれにケチつける人なんてまずいないって話です。
「「令和」について73.7%が「好感が持てる」と回答した」というのもさもありなんという感じ。

それに元号問題の背景には天皇制という触れえざる問題があるわけで、否定的な声を上げにくい雰囲気はどうしても避けられませんし、そもそも好感を持とうが持つまいが、公文書にはそれが使われるわけで、一般市民がどう足掻いてもそれを止めることもできませんからね。
“国民に受け入れられるように~”とか言ってますけど、国民生活と切り離せない行政がそれを使用するという時点で、国民はそれから逃れようがありませんから実態としては強制に近いわけで。

もっとも元号が「令和」だろうが「安久」だろうが「光文」だろうが、国民生活に具体的な支障を来たすわけでもありませんけどね。ある日突然、公務員同士の挨拶の掛け声が「ハイル・ヒトラー」に変わっても国民生活に具体的な支障を来たすわけではないのと同じです。


ところでFNNがこういう下らないニュースを流していました。
新元号「令和」を“各党トップ”はどう見た? “党首コメント”に垣間見える「立場」に注目!(4/2(火) 19:08配信 FNN.jpプライムオンライン)

主要な政党で元号に批判的なコメントをしたのは、社民党共産党くらいなものですが、「「何でも批判」というイメージがありがちの野党だが、新たな元号については必ずしも批判一辺倒というわけではなかった」などという事実に基づかない*1印象操作に余念がないのは、さすがフジサンケイグループだと思いました。



*1:法案採決ではほとんどの法案(共産党でも6割以上、民主党系では9割以上)が賛成しており、「何でも反対」「何でも批判」という野党に対するネガティブなフレーズが事実に基づかない都市伝説の類。

朝鮮日報が誤報を出している件。

この記事。
(朝鮮日報日本語版) 京畿道議会「戦犯ステッカー」条例案、発議した議員が上程保留(3/29(金) 8:42配信 )

私は以前、「普通に考えれば、これらの条例案はまず成立しないでしょうし、したとしても原形が無くなるくらいに修正されるでしょうね」と述べましたが、上程保留ということでほぼ予想通りでしたね。

で、そうすると「条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ」と報じた朝日新聞牧野愛博記者の記事(2019年3月20日付)は誤報だったということになりますね。

 ステッカーの添付が義務づけられるのは、時価20万ウォン(約2万円)以上の製品で、毎年、保有状態を確認して公開するという。条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ。(ソウル=牧野愛博)

https://www.asahi.com/articles/ASM3N2TFJM3NUHBI00H.html

まあ、それはともかく冒頭の朝鮮日報記事にもおかしなところがあります。

 黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した。この条例案は、首相室が発表したリストに基づいて20万ウォン(約2万円)以上の「戦犯企業」製品について京畿道教育監(教育庁トップ)が実態調査し、該当製品であることを認識させるステッカーを貼るというものだ。しかし、「排他的民族主義に基づく発想で外交・通商や国のイメージに否定的な影響を与える」との批判があった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00080004-chosun-kr

この部分です。「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した」とあり、普通に読めば、発議した議員27人は全て共に民主党所属議員としか読めません。

ですが、この条例案の発議に加わった議員は共に民主党議員だけではありません。
条例案の情報(韓国語)によれば発議議員は以下の通りです。

황대호 김경근 김미리 김미숙 김봉균
김용성 민경선 박덕동 박세원 방재율
성준모 송치용 심규순 엄교섭 오명근
오지혜 왕성옥 유광혁 이애형 이원웅
이진  조광희 조재훈 천영미 최경자
최승원 추민규

黄大虎(황대호)議員はじめ27人中26人は共に民主党議員ですが、李愛炯(이애형)議員は自由韓国党議員です。したがって、朝鮮日報日本語版記事の「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に」という記載は誤報という他ありません。正確には、“共に民主党所属議員25人および自由韓国党議員1人と共に」と記載すべきでした。あるいはそもそも政党名自体書く必要が無かったかも知れませんね。
27人中1人(3.7%)だからといって一部の例外ともいえません。京畿道議会の議員数は142人、そのうち共に民主党は135人、自由韓国党は4人(2.8%)、正義党は2人(1.4%)、正しい未来党は1人(0.7%)という構成になっていますので、構成比率的にも不自然さはありませんし、4人しかいない自由韓国党議員の1人が共同提案に加わったという点からも、同条例案に対して、自由韓国党として特に反対の立場をとっていなかったと見てよいでしょう。

どうも、これらの条例案に対して、“進歩派の文政権、民主党政権であるから”みたいな解釈を示す論者が散見されますので、一応指摘しておきます。



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