自分(自国)を客観視できないのはレイシストの特徴

大統領選挙が近い韓国とねじれ国会で政治基盤が安定しない日本の首脳が会談しても、立場上、慰安婦問題を解決しにくいのは容易に想像できるわけですが。
「第2、第3の少女像も」=韓国大統領

李明博大統領にしても、別に慰安婦問題の解決に積極的だったわけではありませんが、大統領選が2012年に迫っていること、北朝鮮からの砲撃や韓国軍艦の撃沈などの事件があってもなお世論が対北朝鮮強硬路線に染まらず、平和的解決を望む冷静さを保っていることから、韓国内左派を容易には無視できない状況にあります。韓国内右派にしても対北朝鮮強硬派と共に竹島を巡る対日強硬派が共存している状況ですから、日本との協調を優先すれば右派からの突き上げを食らう可能性もあります。
決定的なのは、韓国の憲法裁判所が慰安婦問題解決に尽力しないのは違憲だと判断したことです(2011年8月)。この状況で来日して首脳会談を行う以上、李明博大統領はこの件に触れざるを得ません。
慰安婦問題支援団体が日本大使館前に慰安婦像を設置したのは、タイミング的にも効果的だったと言えます。

一方の日本ですが、1993年の河野談話以降の一時期、慰安婦問題解決に向けた努力をしたことはありましたが、国内右派の執拗な反対と自民党政権の復活により慰安婦問題を事実上無視しているに等しい状況に陥っています。ネトウヨにとっては民主政権は極左政権なのでしょうが、実際には野田政権はどう贔屓目に見ても中道右派でしょう。野田首相本人の歴史認識としても、慰安婦問題は否定したい対象でしょうし、ねじれ国会で民主政権首班が次々と引きずり下ろされてきた現状で、政治的なバランスが必要とされるこの状況で慰安婦問題解決に積極的な姿勢を示すはずがありません。

結果、首脳会談での慰安婦問題への言及は言葉のホームラン競争になるという散々な結果に陥っています。

「日本政府がもう少し(慰安婦問題に)関心を見せてくれれば起こらなかった」と指摘した。その上で「誠意ある措置がなければ第2、第3の像が建つ」と警告した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111218-00000041-jij-pol

この李大統領の指摘は、多分に韓国国内ではあるでしょうが、前半部分については間違いなく事実です。
少なくともこの10年間、日本政府は慰安婦問題の存在を事実上無視し続け、国内での慰安婦否定論や元慰安婦を誹謗中傷する発言を野放しにした挙句、安倍内閣に至っては議員らがそれらの否定論に与するという恥知らずな行為を行ってきています。

こういった環境が10年続き、ネット民の認識もまた歪んでいます。

それはそれで彼国の偏執性が視覚化されるからやらせればいいが、我が首相や政府が黙んまりを決め込むのに強い怒りをは感じる。自国民の最低限の自尊心を傷つけることを今の政府はよしとしている。悪意ある自虐政策。 2011/12/18

http://b.hatena.ne.jp/entry/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111218-00000041-jij-pol

ネトウヨでなくともこのような認識を持っている人はネット上では少なくありません。
慰安婦問題について韓国が声を上げれば上げるほど、「彼国の偏執性が視覚化される」という認識です。

しかし、第三国から見れば、現在日本のこの状況は、”レイプ魔が居直っている”ようにしか見えないでしょう。
だからこそ、韓国のみならず、欧米・アジアの多くの国で慰安婦問題の解決を求める決議が相次ぎ、日本右翼の「The FACT」なるプロパガンダは一顧だにされなかったのです。