コメントへの返事

以前の記事にコメントされた内容に対して返答です。
当該記事は、片親引き離し症候群(PAS)をうそだと決めつけ、その根拠に挙げた「アメリカ心裡学会(APA)がPASを否定されている」と主張が、虚偽であることを指摘しています。
実際には、APAの主張は、単にデータの不足を指摘し単純に裁判で用いるべきではない、とするものでPASそのものを否定するものでありません。2008年の声明を読めばわかりますが、「1996年の声明ではPASという用語の使用に懸念を表明したが、APAはPASに対して公式の見解を持っていない」*1とあるように、APAは、PASを否定しているわけではありません。むしろ、2008年声明は、「証拠が不足している」とする1996年声明の事実上の撤回と解するべきでしょう。

現在、PASに関しては”症候群”と呼ぶかどうかの呼称の問題に過ぎない状況で、片親疎外という事実自体は全く否定されていません。そして片親疎外という症状の原因のひとつに同居親の洗脳があることも疑い得ない事実です*2

それを踏まえて。

母と父とでは違うと思う。母は子を自分の分身と思うが、父はそうではない愛情を注ぐ。子がどちらの親を嫌っているようにみせるか?みえるか?については、子供の非常に複雑な感情が込められていることも多い。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648#c

一般論としてなら、特に否定するつもりもありません。しかし、家族のありようは個々の家族で異なるものであり、全ての家族に一般論を当てはめるのは間違いです。

父が世間一般的なdvではない、と結論付けられることになっても、子にしてみれば、「母を不幸にした、悲しませている」だけで、父を嫌うものである。まして幼子なら特に。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648#c

仮にそういう家庭を対象として話をするにしても、離婚しなければ、そういう父であっても父子関係は一時的な感情の揺らぎを修復し改善して継続していくものです。ところが離婚し、あるいは別居したことで、母親が子供を囲い込んだ時点で、父子関係は修復される事無く引き裂かれていく、それを日本の現行制度は黙認する。司法の現状を知っている弁護士は、子供の連れ去りを依頼人に唆す。
どのような家族であれ、親子喧嘩などは一度は経験するでしょう。しかし、喧嘩したからといって引き離し、関係修復の機会すら奪うことが「子の福祉」の名に値するかといえば違うでしょう。

自分には優しく、母にも特段暴力をふるうわけではなくとも、そういった子の心をくみすることのできる弁護士さんだと思う。私は、助けてもらったから言わせてもらう。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648#c

弁護士が依頼人を助けようとするのは当たり前のことです。しかし、一般的に離婚裁判に関わる弁護士は、子供の代理人ではなく親の代理人です。親が助けられたからといって、子供が助けられたとは限りません。父子関係が悪くなかったのに、父母間の争いに巻き込まれて父子が引き離された場合、子供の精神はひどく傷つけられますが、弁護士にはそれを配慮する義務はありません。
引き離された子供自身も自己の精神を守ろうと、父が居なくなったことを正当化できる理屈を作ります。父が悪い人だったから、とかです。もちろん、そういったいびつな”作られた”認識は、自己肯定感の喪失や対人関係の構築ができないなどの影響を産み、子供自身苦しむ事になりますが、子供をその苦しみから助け出せる父との交流を母に断たれている以上、どうにもなりません。

KLMさんの個別の事情はよくわかりませんので言及できませんが、あなたが救われたとしても、それは他の人まで救われた事は意味しませんし、救ってくれた人が誤ったことを言っている場合でもそれを擁護しなければならない義務を負うわけでもありません。

最近、日本人会で話題になって、このあたりのブログを検索した。ひどいぶろぐが多いものだ。非難するだけではないか。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648#c

具体的な反論でもあればよいのですが、「非難するだけ」としか書かないのではちゃんと読めていないように思えます。

事実が違う、解釈が違う、などあれば、そういった指摘は喜んで伺いますよ。

*1:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648

*2:もちろん、それ以外の可能性もあることから、裁判所で慎重に判断すべきという全米少年裁判所/家庭裁判所裁判官協議会(NCJFCJ)の見解が出されているわけです。