1944年5月頃の天津における強制連行の事例

(「黄土の村の性暴力」P291)
「被害状況」は、以下の通りであった。「民国三三年四〜五月頃、楽戸連合会が突然、天津特別市政府の偽警察局に呼ばれた。会長が急病で休養していたため、文書係の周謙が会長の代わりに偽警察局に行った。偽警察局長は周謙に対して、天津日本軍防衛司令部から一五〇人の妓女を徴集して河南省の日本軍の前線基地へ慰労に行かせるようにとの命令を受けたので、明日までに要求された人数の妓女を出すようにと命じた。周謙は妓女らが困惑することや一家の生活を支えている等の事情を伝え、徴集を免除してくれるように頼んだが、許されなかった。周謙は、『明日まで』という期限を延ばしてもらい、早速楽戸連合会の代表を集めて相談した。相談の結果、やはり徴集を免除してもらおうということになり、再び偽警察局に行き、その旨を懇談した。しかし、科長から厳しく叱責されたうえに、科長は『明日出発するので、徴集した妓女を警察医院に集合させるよう』命令した。周謙は楽戸連合会に戻って結果を伝えた。連れ出されるのを恐れて妓女が逃げ出したり、楽戸が店を閉めたりしたため、結局その翌日、送られる妓女はいなかった。そこで、多数の警官が妓院に行き八〇人の妓女を捕らえ、天津の日本軍防衛司令部に連行した。妓女たちは司令部で検査をうけ、列車で南方に送られた。妓女たちは二ヶ月余りのちに解放された」。

日本の傀儡政権警察による日本軍司令部までの強制連行です。

もっとも現在の安倍自民党政権は、軍人が女性らを売春させる目的で慰安所に連行し脅して売春を強要しても、慰安婦の強制連行にあたらない、と公式に答弁しています*1ので、上記事例も強制連行とはみなさないでしょうね。

それと最近の話題で「さらわれて花嫁に…キルギス女性が恐れる「誘拐婚」の実態」というニュースがありましたが、これも安倍晋三首相の認識では、強制連行でも誘拐でもなく自由意志の結婚となるのでしょう。

こんなのが現在の日本の首相であり、参院選でほぼ確実に日本の有権者に信任される人物の認識です。

参院選自民党に投票する人には、キルギスの「誘拐婚」も北朝鮮の拉致も、非難する資格はないと私は思います。