台湾関係雑感3・馬総統見解

日本では、TPPに批判的な勢力とTPP賛成だけど反中無罪な勢力共闘して台湾立法院占拠デモを支持しています。真摯に自由貿易を支持するが故に台湾立法院占拠デモに対して批判的という勢力がいても良さそうなものですが、不思議なことに見かけません。
TPP賛成している連中が反中無罪なバカばっかなせいかも知れません。

それはさておき、このおかしな共闘関係のおかげで、台湾政府の見解がなかなか伝わっていないように思いますので、以下に引用しておきます。

発信日時:2014/3/24

馬英九総統が「両岸サービス貿易協議」について国際記者会見を開催

 3月23日、馬英九総統は『両岸サービス貿易協議』について、国際記者会見を開いた。馬総統の談話の主旨は以下の通りである。
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一、政府は学生ならびに台湾経済に関心を寄せている
 この数日間、国民は学生たちによる立法院(国会)の議場占拠、長期抗争への発展および両岸サービス貿易についての話し合いに関心を寄せている。私は多くの人々と同様にこれらに関心を寄せると共に、憂慮もしている。私が本日この場において内外メディアに対し、私の見解を明確に述べる次第である。

二、若者が国是に関心を寄せてこそ、国家に前途はある
 立法院の議場にいる学生たちについては、サービス貿易の問題に対する多くの人々の懸念を私は理解しており、各位の情熱とその出発点も評価している。私も大学および米国留学時代に、国是に関心を寄せており、学生運動にも参加したことがあった。若者が国是に関心を寄せ、勇敢に参加することによってこそ国家に前途があることを十分に理解している。

三、台湾の民主主義による法治はたやすく得られたものではなく、安易に放棄してはならない
 しかし、私は厳粛に国民に対し報告しなければならない。台湾の民主主義発展の成果はたやすく得られたものではない。この20年余にわたり、国会の全面的改選、5回の総統直接選挙、7回の憲法修改正を経て、現在、華人社会の民主主義の手本となっている。法治は民主主義の基礎であり、法治がなければ、民主主義もないのである。しかも法治の堅守は、中華民国(台湾)の立国の根本でもある。
 両岸サービス貿易協議は未だ立法院において審議の段階であり、そのプロセスは終了しておらず、現在も可決していない。一部の人々がサービス貿易協議に対し、いかなる意見があろうとも、今後審議の過程の中で、まだ十分に意見を表明できる余地がある。しかし、学生は国会審議のプロセスに不満があることから、法律に違反する方法で立法院の議場を占拠し、国会の運営を5日間にわたり全面的に麻痺させており、立法、行政など5院の運営にも深刻な影響をもたらしている。冷静に考えてみようではないか。まさか、これこそが我々の必要としている民主主義なのか? 必ずこのような方法を用いて、法治を犠牲にしなければならないのか? 我々は台湾の民主主義による法治を誇りとしていたのではないのか? 中華民国の総統として、私は憲法に基づき、民主主義を守り、法治を堅持していかなければならない。法治がなければ、民主主義の護持はできないのである。これは政府の揺るぎない基本的立場である。

四、台湾はなぜ中国大陸とサービス貿易協議を締結しなければならないのか?
 この数日間、国民の多くは、立法院がなぜサービス貿易協議を必ず可決しようとしているのか訊ねている。これは完全に台湾経済の未来のためであることを私は再度、責任をもって各位に報告する次第である。
 台湾の国土は小さくとも開放された経済体であり、経済成長の7割は対外貿易に依存していることは周知のとおりである。台湾は外交上困難な立場もあり、各国は台湾とビジネスを行う意向はあるものの、自由貿易協定(FTA)の調印については躊躇している。これこそが、なぜ台湾が現在までにFTAあるいは経済連携協定(EPA)をわずか7カ国(その中で、主な貿易パートナーはわずか3カ国)と調印したのみで、シンガポール、韓国、日本、中国大陸よりはるかに遅れをとっているかということである。台湾が物品を輸出した場合、必ず納めなければならない関税は、これらの国々の物品の関税よりも3〜7%高い。そのため、台湾は必ずや迅速に各国との調印し追いつく必要があり、そうしてこそ辺境化されなくなるのである。地域経済の統合は、世界的な勢いであり、遮ることのできない流れである。台湾がこれに対処せず、参加しなければ、淘汰されるのを待つだけである。国家発展のために、台湾が今回本当に選択しなければ、もはや待つ時間はないのである。
 3月11日、韓国とカナダはFTAの調印を発表し、韓国はアジアで最初にカナダとFTAに調印した国家となった。今後、乗用車、車両部品、冷蔵庫、洗濯機など韓国の97.5%の物品はゼロ関税の優遇を受け、スムーズに輸出できるようになるのである。しかし、台湾からカナダへ輸出した物品は、関税を収めなければならず、これではどのようにして韓国と競争できるというのか?
 韓国は台湾にとり貿易競争の上で最大のライバルであり、過去10年間、韓国は大統領が4名就任し、超党派で協力し合うことにより、FTAが1つであったのが、現在は欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合ASEAN)など40カ国あまりを含む11のFTAに調印した。韓国のメーカーは、世界各国で、開放された市場と優遇関税を受けている。しかし、台湾のメーカーは自分たちの競争力が次第に失われていくのをじっと見ているしかないのである。台湾は韓国より10年遅れており、現在追いつこうとしても間に合わないのであり、口ぐちに「急ぐ必要はない」と何ゆえに言うことができるのであろうか。ある首長が以前、台湾はサービス貿易協議が可決しなかった場合、最も喜ぶのは韓国であろうと指摘したことがあった。さらに問題なのは、サービス貿易協議は『両岸経済協力枠組み協議』(ECFA)の一部分であることだ。同協議が可決されなかった場合、台湾の国際的な信用、両岸関係および貿易自由化の努力を著しく損なうことになり、台湾の『環太平洋パートナーシップ協定』(TPP)および『東アジア地域包括的経済連携』(RCEP)参加の機会にも必ず影響を及ぼすことになるであろう。台湾の国際環境はより一層困難な立場となると共に孤立するであろう。
 サービス業は台湾の産業の主力であり、その生産額は国内総生産(GDP)の7割近くになり、サービス業に従事する人口は6割近くになる。しかしサービス業の輸出はシンガポール、香港、韓国をはるかに下回っている。台湾のサービス業には、創意、人材、クオリティがあるが、市場が小さすぎ、消費人口にも限りがあり、その良さを発展させることができない。中国大陸は世界第2位の経済体であり、台湾にとり最大の貿易パ−トナーでもあり、現在積極的にサービス業が発展していることは事実である。『両岸サービス貿易協議』の可決は、中国大陸が台湾の関連業者に対し、より一層市場を開放し、台湾のサービス業者に他の海外資本よりもさらに優遇した措置を付与することになるのである。若者の夢は大きいものであり、我々は若者たちを台湾に縛っておくべきではなく、彼らがより大きな市場への進出、世界各国への発展を支援しようとするものである。また、台湾が中国大陸資本を開放してからすでに5年近く経っており、中国大陸資本の400社あまりが9,600名の台湾人労働者を雇用している。今後、サービス貿易協議が可決した後、台湾の国民の就業の機会も同じように増えることになるであろう。

五、サービス貿易についての誤解
 現在、巷間伝えられているサービス貿易について、数多くの誤解がある。たとえば、サービス貿易協議が可決した場合、中国大陸からの労働者および移民が大挙して台湾に入り、台湾人労働者は失業することになる。台湾の出版業は、中国大陸により牛耳られることになる。サービス貿易協議は大企業を支援するのみで、中小企業を軽視したものであり、中国大陸の建設業、電信業による台湾への投資により、台湾の国家安全保障に影響を及ぼすことになる。中国大陸の台湾への開放項目が不平等などであるが、これらは事実ではないと、述べる次第である。台湾は中国大陸からの労働者、移民あるいは出版業の来台運営を開放してはいない。現実の上でも、台湾は中国大陸資本による来台投資を開放し、5年近くになったが、台湾は事前の審査および事後の監督いずれもきわめて厳格であり、違法な中国大陸資本は直ちに処罰され、資本が締め出されることになっている。中国大陸が台湾に対して開放した80項目の中で、コンピューターサービス、不動産サービス、旅行社、市場調査、撮影、翻訳、建築のクリーニングなどは、いずれも台湾の中小企業にまで適用されるものであり、大企業が独占するものではない。全体的に見ると、サービス貿易協議は台湾の「台湾を主体とし、国民にプラスとなる」の原則に基づいて調印されたものであり、台湾にとりプラス面がマイナス面より大きい。行政部門が今後、立法院でのサービス貿易協議についての審議の過程において、実際の状況を明確に述べることができるようにしていきたい。
 世界各国は、市場の開放に直面し、国内が受ける影響について懸念している。しかし、台湾市場の自由化は今日始まったものではなく、すでに1980年代に米国のサービス業が台湾市場に進出してきている。当時これらの杞憂はあったが、結果はどうであっただろか。マクドナルド、ケンタッキー、スターバックスなどは進出してきたが、国内の関連産業はその経営モデルをすぐに学びとり、85℃などのような台湾式のコーヒーチェーン店を発展させ、創意的な付加価値さえもつけ、世界に進出している。実際のところ、サービス貿易協議の中で、台湾は中国大陸資本の64項目を開放するものであり、27項目はすでに開放し2年〜5年経過している。例えば、飲食、車のレンタル、漢方薬の卸売り、図書の卸売りおよび小売りなどは、台湾市場への影響は実に限られたものとなっている。影響を受ける可能性のある業種については、台湾の政府がすでに982億元(約3,500億円)の予算を計上しており、産業振興の指導、体質の調整、損害の補助など3種類の方法に分けて対処するものである。サービス貿易協議の中ではまだ、緊急で話し合うもの、国家の安全保障上の例外、実施の検討、修正規定などの条項があり、随時、各種の状況について効果的に対応していく所存である。

六、サービス貿易協議は条項ごとに審議し、条項ごとに表決していく
 学生たちはサービス貿易協議の条項ごとの審議および表決を希望しており、一昨日、与党はこれについて一致した支持を決議した。学生たちは速やかに立法院の議場から撤収し、立法院が正常な運営に戻ることができるよう呼びかける次第である。その他の4院の法案と予算は立法院との関係が密接であることから、これは多数の民意が望んでいることである。私も立法院の王金平・院長と与野党が、速やかにサービス貿易協議の議事日程を正常に戻し、最も適切な処理ができるよう願っている。
 私はここにおいて、比類なき厳粛さと切実なる心情で各位に対し、国家は継続して前進しかなければならず、台湾の経済が辺境化されることがあってはならないことを報告するものである。多くの人々がサービス貿易の問題について話し合うことを私は希望しており、その際には、台湾の前途をもって考えなければならず、政党の利益を顧みるのみであってはならない。「台湾を主体とし、国民にプラスとなる」は私の執政以来の基本的信念であり、サービス貿易協議およびその他の自由貿易協定への推進はいずれも、「国民のビジネスにプラスとなり、台湾の競争力向上」のためであり、我々の次の世代に、より一層素晴らしい未来があることを保障するものである。
【総統府 2014年3月23日】

http://www.roc-taiwan.org/JP/ct.asp?xItem=487128&ctNode=1453&mp=202

安倍首相なんかよりよほど誠実に回答していると思いますけどね。これにも不満だというなら台湾民衆の民度は日本より遥かに高いようですね。