「私が先に連れ去れば良かったのか」というと、残念ながら今の日本の現状では“その通りです”と答えるしかない

この件。
親権裁判、逆転敗訴の父「私が先に連れ去れば良かったのか」苦悩語る、母側は安堵の声(弁護士ドットコム 離婚・男女問題 2017年01月26日 20時56分)
これは一審は千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)で2016年3月に下ったもので、自身が親権者となった場合は面会交流日数年間100日を認めるという点を考慮して父親を親権者として子の引渡しを求めた内容です。離婚は正式には成立してないようで、その状態で母親が当時2歳の子を連れ去り、6年間会わせなかったという事件です。離婚未成立であれば、父親も未だ親権者ですが、“親権”とか“監護権”といった書類よりも現実に子どもの身柄をおさえている方が圧倒的に強いというのが日本の現状。
それを覆し、離婚後も別居親と子どもの関係を大事にする方が親権者・監護者にふさわしいと考えるのが、フレンドリーペアレントという考え方で、松戸判決はこれを採用したわけです。
このように一審はかなり画期的な判決でしたが、世の中の流れが逆転しつつある感じですね。

親子断絶防止法関連の反対派の主張の中で、「世界的には共同親権や面会交流をめぐってDVの問題が噴出し、むしろこれを再考・制限する方向に動いている」といったものが出されました。

オーストラリアの親子断絶防止法は失敗した―小川富之教授(福岡大法科大学院)に聞く

千田有紀 | 武蔵大学社会学部教授(社会学) 2016/12/12(月) 6:36
またフレンドリー・ペアレント条項は、「虐待やDVについていくらそれが真実でも 口にすると、親権すら取れず、自分が面会交流を極端に減らされてしまうのでは?」という危惧を親にもたらします。虐待として認定されるハードルは高く、多くの親は子どもを失うことを恐れるあまり、実際にある虐待について沈黙せざるを得ませんでした。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/sendayuki/20161212-00065383/

この記事にはたくさんのブクマがつきました。“フレンドリー・ペアレント条項を採用していたオーストラリアでは別居親による虐待が頻発したため、法改正でフレンドリー・ペアレント条項を取り消した”という趣旨の記事で、ダーシー・フリーマンという少女が別居親により殺害された事件を挙げたことから、リベラル側がいっせいに親子断絶防止法を叩いたわけです。

ただ、この記事、嘘と誇張が物凄く多いんですよね・・・。
まず、オーストラリアの家族法からフレンドリー・ペアレント条項が無くなってはいません*1
問題となったのは、虐待について虚偽の申立てを行った場合に罰金を科す条項の存在で、この条文が削除され、虐待リスクの通報義務の条文が追加されたのが大きなところです。
フレンドリー・ペアレント条項については表現が変更されたものの、現在もこのような条項が残っています。

現行家族法

60CC How a court determines what is in a child’s best interests

Determining child’s best interests
(3) Additional considerations are:
(c) the extent to which each of the child’s parents has taken, or failed to take, the opportunity:
(i) to participate in making decisions about major long‑term issues in relation to the child; and
(ii) to spend time with the child; and
(iii) to communicate with the child;

(子の最善の利益を決定する際の追加考慮事項として)
(c)互いに相手に対して以下の機会を与えたか、失わせたかの程度:
(i)子どもとの関係における重大かつ長期的な問題に関する決定への参加;
(ii)子どもと過ごす時間;
(iii)子どもとのコミュニケーション;

https://www.legislation.gov.au/Details/C2016C01106

松戸判決で重視された内容と近い内容です(違いは、オーストラリア家族法では、“これまでどうだったか”を見ている点。)。

ダーシー・フリーマンの事件についても、千田記事では「母親を苦しめるために娘を殺した」とだけ書き、フレンドリー・ペアレント条項がDV夫による児童虐待を誘発するかのような書き方をしています。ただ、ダーシー・フリーマン事件については加害者の父親がそもそも精神的に病んでいたという話や事件直前に面会が制限されるような動きがあったという話もあって、DV夫がどうこうという単純な話でもないんですよね。
それに、同じオーストラリアのほぼ同じ時期に、精神を病んだ親権者母によって子供が殺害される事件も起きています。その動機は子供の親権を奪われることを心配して、というものです。父親は別に親権変更を申し立ててもいなかったと言います。

あと、オーストラリアでの2006年法改正で「最も残念なことは、このような法律を作っても、面会交流は全体としては大きな増減はありませんでした」と言っている部分も、少なくとも統計上、全く面会できてなかった親子が28%から24%に減少していますので法改正の効果を否定できないと思うんですよね*2
こんな感じで、千田記事にはかなり嘘や誇張が入っているのですが、なぜここまで、特にフレンドリーペアレント条項を攻撃したのかと最初は不思議に思いました。でもおそらくこれですね。

なぜ千田氏らが多くの国で親権者判断の際の考慮事項になっているフレンドリーペアレント条項をデマを交えてまで執拗に攻撃してるのか、不思議に思ってたんですが、どうも松戸判決*4の高裁判断が年明けに出るので、高裁がフレンドリーペアレント条項(寛容性の原則)を破棄するように世論形成したいんだろうなぁ、という予測。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161222/1482335709

東京高裁の判断が千田記事に影響されたかどうかはわかりませんが、「世界的には共同親権や面会交流をめぐってDVの問題が噴出し、むしろこれを再考・制限する方向に動いている」と断言した記事が2016年末にかなり注目されたわけですから、東京高裁の裁判官の目に留まらなかったとも思えないんですよね。
伊藤和子弁護士が“片親疎外は米国で否定されている”という嘘を裁判所に提出したこともあるようですが*3、千田記事も“フレンドリーペアレント条項は世界的に否定される傾向”という誤認を誘うという伊藤弁護士と似たような役割を果たしたのかも知れません。

高裁判決について

で、高裁判決では松戸判決が破棄され、同居している母親に親権を認めたようです。面会交流の条件については別途家裁での審判で判断するようですが、おそらく月一回程度を超えることは無いでしょうね。
父親側は最高裁まで争うようです。

現実問題として、子供は6年間、父親を排除した環境下で母親と一緒に暮らしているわけですから、今からこの環境を変えるのは子供の負担が大きい、という判断はそれなりに間違ってはいません。面会交流の条件については高裁は判断していないようですので、親権者を決めるだけなら、こういう判断になるのはわからなくもありません。
ただ、この事件で問題なのは連れ去ってからの6年間、子供を父親に会わせていない点なんですよね。

子供を相手に会わせないまま6年間経過して、子供は現在の環境になじんでいるから連れ去った側を親権者とする、面会交流については高裁は知らないので家裁で決めろ、そういう判断です。
こういう状況であれば、連れ去られた側の結論として「私が先に連れ去れば良かったのか」になって当たり前です。

現実問題として今の日本では離婚後も親子関係を維持したいのなら、相手より先に子供を連れ去る以外にありません。
裁判所に訴えても多くの場合、時間と労力の無駄で子供の身柄を押さえている親から子供を取り返すことはほぼ不可能ですからね。連れ去ったら離婚が成立するまで相手親には会わさないのが定石で、離婚が成立した後も面会はなるべく避ける必要があります。なぜなら面会交流を利用して相手方に連れ去られた場合、今度は逆に親権・監護権を奪われる恐れがあるからです。
裁判所は連れ去りの過程の如何に関係なく、現時点で子供の身柄を押さえている方の味方をする傾向にあります。
子どものためを考えれば、離婚後も双方の親と交流できるようにするべきだと思うのですが、そのように“フレンドリー”な親は子供を失い、子供はその“フレンドリー”な親を失うような仕組みになってますのでねぇ。

最高裁判決まで面会しない?

ただし、父側は「これまで『甘い罠』に釣られて、引き離されてきた親が何人もいる」として、最高裁の決定が出るまで、長女と面会しない考えを示している。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

その点を批判する声もあります。
え?娘さんに会わないの?
まあ、その批判は尤もだと思います。
高裁判決が不服だとしても、出来る限り面会するべきだとは思いますし。
ただ、これまで6年間も面会できてなかったわけですし、面会交流の条件もこれから家裁の審判で詰めていくという状況ですから、その辺の判断は難しいとも思います。

母親は弁護士を通じて、「夫にも穏やかな気持ちで娘に再会してほしいと願っています」とコメント。条件が折り合わず実現しなかったが、もともと母側は父親に対し、複数回、面会交流を提案していた。
今後は、東京家裁で続いている面会交流審判の中で、父側と面会条件の協議を進めたい考え。父子が何年も会っていないことから、第三者機関の力を借りながら、徐々に父子の信頼関係を築いてもらいたいとしている。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

と母親側はコメントしていますが父親と子供の再会を望んでいるのなら、面会条件の協議成立とか待たずにとりあえず会わせるべきじゃないですかね?
面会交流審判を行っている家裁も離婚裁判の結果と関係なく、面会交流の早期再開を積極的に進めるべきですよね?

これが出来ない理由も何となく想像はできますが。

ただし、父側は「これまで『甘い罠』に釣られて、引き離されてきた親が何人もいる」として、最高裁の決定が出るまで、長女と面会しない考えを示している。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

父親側が「最高裁の決定が出るまで、長女と面会しない考えを示している」というのは確かに疑問ですが、面会すると最高裁では“子供と交流出来ているなら親権を現に監護している母親にしても問題ない”という判断になることを恐れているのかも知れません。それでも面会できるなら良いと言う考えもありますが、裁判中は面会させるけど裁判が終わった途端に面会を止めるという事例も山ほどありますからねぇ。
面会交流の判決なんて無視しても同居親には全く不都合が生じません*4ので、他の裁判を有利に進めるために裁判中は面会交流に応じる姿勢を示すというのも定石ではあるんですよ。

また、母側代理人の萩原得誉弁護士は、父親側が主張する、「連れ去り」について、育児はほぼ母親が行なっていたことから、置いていけば「置き去り」になる、と母親の思いを代弁した。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

千田記事に見られるように日本では離婚時の子の連れ去り行為が社会的に容認されていますが、ハーグ条約や親子断絶防止法関連の動きで少しずつ連れ去り行為の不当性が指摘されるようになってきています。
「育児はほぼ母親が行なっていたことから、置いていけば「置き去り」になる」という言い分はそういった背景を踏まえてのものだと思いますが、ただ、この説明は6年間父子面会できなかったことの説明としては不足していますね。

「子どもの利益」

●母側は「親の利益ではなく、子どもの利益に立った判決」と評価
一方、勝訴した母親側弁護団は、安堵の表情で記者会見に臨んだ。判決について、斉藤秀樹弁護士は、「親の権利とか利益ではなく、子どもの利益に立って、親権者や面会を考えるべきだという裁判所の判断が示された」と評価した。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

少なくとも記事にある限りでは、高裁判決は面会交流について何ら指示しているわけでは無さそうですので、「子どもの利益に立って、親権者や面会を考えるべきだという裁判所の判断が示された」というのは違うのではないかと思います。
高裁が判決にあたって、母親側に対し父親との相当の面会交流を認めるように求めたのなら別ですが、それが無いなら月1回程度という母親側提案を容認し、これまで6年間の実績を踏まえてそれすら守られるかどうかわからないことについても高裁としては配慮していないことになりますね。

面会交流が子どもの利益になるという前提に立てば、高裁判決がそれに触れていない時点で、子どもの利益に立った判決ではなく裁判所の論理によるこれまで通りの、離婚後の親権は現に子どもの身柄を押さえている側の実績を重視するという継続性の原則を適用したに過ぎません。

ちなみにオーストラリア家族法で考えてみると

オーストラリア家族法が離婚後の親子関係について判断する際の基準がこれです。

Parenting cases - the best interest of the child

裁判所が監護命令を決める際、家族法1975は、子どもの最善の利益を最も重要な考慮事項として考えることを求めている。離婚する両親が養育計画を立てる場合もこの原理を用いることを推奨する。
家族法は、以下の2点を明記している:
・子どもが18歳になるまで子どもの監護と福祉に双方の親が責任を負う。
・両親間で責任を分担し協力する取決めが子どもの最善の利益に適うことを前提とする。

2段階的で考慮されるべき内容

何が子どもの最善の利益にあたるかを決定する際、同法は裁判所に優先考慮事項と追加考慮事項という2段階での考慮を求めている。

優先考慮事項:

・双方の親と有意義な関係を持つことによる子どもの利益
・虐待、ネグレクト、家庭内暴力に巻き込まれたりさらされたりするという物理的あるいは心理的な被害から子どもを保護する必要性
・裁判所は、被害から子どもを保護する必要性の考慮により大きな重みを与えるべきと考えている。

追加考慮事項:

・子ども自身の視点とその視点に影響を与える、例えば子供の成熟度と理解度といった要因。
・子どもとそれぞれの親との関係、及び子どもと祖父母やその他の親戚を含めたその他の人との関係。
・子どもと他方の親との緊密かつ継続的な関係を促進、奨励しようとする親の意欲と能力。
・子どもを親や子どもと一緒に生活している人(祖父母や他の親族を含む)から分離することを含む状況の変化が子どもに与える影響。
・子どもが親と一緒に過ごす、あるいは通信をする上での困難さやその費用。
・子どもが必要とすることを提供できる親(及び他の人)の能力。
・成熟度、性別、ライフスタイルや子供のと子の両親のいずれかの生活背景、及び裁判所が関連すると考える子どものあらゆる特徴。
アボリジニトレス海峡諸島の子どもが自身の文化を楽しむ権利、及び提案された監護命令がその権利にあたえる影響。
・それぞれの親の子どもに対する態度と親の責任に対する態度。
・子どもや子どもの家族に対するあらゆる家族内暴力。
・子どもや子どもの家族に適用されるあらゆる家庭内暴力停止命令(family violence order *1):
 --命令が最終命令である場合
--命令作成が争われた結果である場合
・子どもとの関係について裁判所によるさらなる調査やヒヤリングがされる可能性がほとんどない命令を作成することが好ましいか否か。
・裁判所が関連性があると考えことを他のあらゆる事実・状況。

裁判所はそれぞれの親が親としての責任を果たしてたか、あるいは果たしていなかったか、を判断しなければならない。特に以下の程度を考慮する。
・子どもに関する重要で長期的な問題について意思決定に参加したか、子どもとどの程度の時間を過ごしたか
・子どもと関わり、子どもの状態を維持する義務を果たし、かつ子どもの人生において他方の親の関わりを促したか(否か)
もし子どもの両親が既に分離している場合は、裁判所は分離以降の事象および状況を考慮しなければならない。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161214/1481649091

松戸判決のケースについて、オーストラリア家族法で考えてみると、日本の親権・監護権にあたる同居親は母親になるとは思います。既に分離されていて、その状況が6年間続いているわけですから、それはやむをえないと思います。
ただし、その6年間において、母親側が父親側に対し、子どもの養育に関する重要な意思決定に参加するように促したか、ついては指摘されるでしょう。
また「子どもが18歳になるまで子どもの監護と福祉に双方の親が責任を負う」という原則から今後、父親側に相当の関わりが出来るよう面会交流の条件を調整すると思います。本件について「虐待、ネグレクト、家庭内暴力に巻き込まれたりさらされたりするという物理的あるいは心理的な被害」は想定しなくとも良いでしょうから、「双方の親と有意義な関係を持つことによる子どもの利益」ということが考慮されます。

面会交流の頻度については、オーストラリアの統計では実施率が月2回以上の面会が47.8%、月1回の面会も含めると56.8%に上ります(週1回以上は3割程度)。裁判所が規定する養育計画がこれを下回る可能性はほぼ無いでしょうね。
宿泊付面会の実施率も半数近くが年に1回は別居親と宿泊し、年の半分以上を別居親(既に別居親と言えるのかどうか・・・)と宿泊する子どもも5.7%います*5
本件で母親側が提案している「月1回の面会」を裁判所が認めることはほぼありえないでしょうね。
おそらくは、月2回以上の面会で何日かの宿泊も認める内容の面会交流を裁判所命令として決めると思います。これに背いて面会交流の妨害が続くと監護者の変更が認められるかも知れませんね。

もちろん、本件は日本の事件ですので家裁による面会交流の命令などいくら無視しても親権者の地位が揺らぐことはありませんが。
むしろ、下手に面会交流を認めて子どもの身柄を相手に押さえられたら親権者の地位が揺らぎますので、日本では親権者の地位を守るために面会交流を妨害した方がお得という状況なんですけどね。



親権裁判、逆転敗訴の父「私が先に連れ去れば良かったのか」苦悩語る、母側は安堵の声

両親が子どもの親権をめぐって争っていた裁判で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は1月26日、母親を親権者と判断した。一審の千葉家裁松戸支部は昨年3月、長女(当時8歳)と6年近くも会っていない父親に親権を認め、母側が控訴していた。
高裁は、親子がどれだけ多く会えるかという「寛容性」を重視した一審判決を退け、従来通り、同居している親に親権を認める「継続性」重視の判断を下した。
判決後、司法記者クラブで両者がそれぞれ会見。母親は代理人を通じ、「子どもにとって、どちらが親権者にふさわしいか的確に判断していただいた」とコメントした。対する父親は、「私が先に連れ去ったら良かったのか」と険しい表情で語り、最高裁に上告することを明かした。

●父側「両親の愛情を感じて育ってほしい」

一審では、母親が父側に月1回の面会しか認めなかったのに対し、母子が年間100日面会することなどを認めた父親の提案を評価。長女が「両親の愛情を受けて健全に成長することを可能とするため」に、父親に親権を認めた。判決は「フレンドリーペアレントルールを採用した判決」として、注目された。
しかし、今回の高裁判決では、両家の距離の遠さや長女の心身の負担などが考慮され、面会が多いことが「必ずしも長女の健全な生育にとって利益になるとは限らない」と、改めて継続性が重視された。
判決に対し、父側代理人の上野晃弁護士は、「子どもを連れ去って、そのまま生活しているから、というだけの結論だ。夫婦喧嘩が起きたら、仲直りするより、先手を打つようになってしまう」と語り、「連れ去り別居」の増加を懸念した。
父側が母親に対し、面会などで寛容な条件を提示したのは、「娘に両親の愛情を感じて育ってほしい」という思いからだという。
敗訴した父親は、上告する意思を明かし、「最高裁は迅速に審議してほしい。子どもの成長は1年1年がものすごく大切。娘は父親を知らないまま、どんどん大人になってしまう」と思いを語った。
長女は今年4月から小学4年生。最高裁の判断が出るまでは、1〜2年程度かかる見通しで、仮に父親が親権者になっても、長女はより「難しい年頃」になってしまう。最後に会ったのが2歳のころなのだから、なおさらだ。
それでも、父親は、「最初は怖がるかもしれないが、数カ月すれば、分かってくれると信じている。『子の意思』というと、美しい言葉で正しいように思うけれど、『学校行きたくない』という子の意思を尊重するのか。子の健全な成長を考えるのが親の責務」と話した。

●母側は「親の利益ではなく、子どもの利益に立った判決」と評価
一方、勝訴した母親側弁護団は、安堵の表情で記者会見に臨んだ。判決について、斉藤秀樹弁護士は、「親の権利とか利益ではなく、子どもの利益に立って、親権者や面会を考えるべきだという裁判所の判断が示された」と評価した。
また、母側代理人の萩原得誉弁護士は、父親側が主張する、「連れ去り」について、育児はほぼ母親が行なっていたことから、置いていけば「置き去り」になる、と母親の思いを代弁した。
母親は弁護士を通じて、「夫にも穏やかな気持ちで娘に再会してほしいと願っています」とコメント。条件が折り合わず実現しなかったが、もともと母側は父親に対し、複数回、面会交流を提案していた。
今後は、東京家裁で続いている面会交流審判の中で、父側と面会条件の協議を進めたい考え。父子が何年も会っていないことから、第三者機関の力を借りながら、徐々に父子の信頼関係を築いてもらいたいとしている。
ただし、父側は「これまで『甘い罠』に釣られて、引き離されてきた親が何人もいる」として、最高裁の決定が出るまで、長女と面会しない考えを示している。

https://www.bengo4.com/c_3/n_5626/

母子面会「年100回」 寛大な父に親権 千葉家裁松戸支部

2016年03月31日 10:31 | 無料公開
 5年以上別居状態の夫婦が長女(8)の親権を争った訴訟の判決で、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は30日までに、自分が親権を持った場合、離婚後も相手に認める長女との面会交流の日数について「年間100日間程度」を提案した夫を親権者と定め、妻に同居の長女を引き渡すよう命じた。
 妻は「月1回」を希望していた。夫の代理人弁護士によると、面会交流に寛容な点を重視し、子どもと別居中の夫を親権者とした判断は異例という。
 判決によると、夫婦は関係がうまくいかなくなり、2010年5月に妻が夫に無断で長女と実家に戻った。夫と長女が会ったのは同年9月が最後だった。
 妻が離婚や親権を求めて提訴。「長女を慣れ親しんだ環境から引き離すべきではない」と主張したが、判決は「両親の愛情を受けて健全に成長するのを可能にするために、父親を親権者とするのが相当」とした。

http://www.chibanippo.co.jp/news/national/314338

*1:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161219/1482160210

*2:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161220/1482251436

*3:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20120410/1334015648

*4:面会交流を命じる判決をもらった別居親の知り合いがいますが、判決後すぐにも面会できなくなり、家裁に再度調停を申し立てたら、面会を中止すべきだと言われて調停を止めて子供と会うことを諦めてしまいました。同じ境遇の別居親の中には自殺した人や精神を病んだ人もいると聞きます。

*5:http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20161221/1482252678