児童虐待の場合でも親子再統合が目指される一方で、離婚後別居親は虐待が無くとも一方的に引き離される

1 家族再統合とは

 家族再統合(家族機能再生)=親子が安全かつ安心できる状態でお互いを受け入れられるようになること

 児童虐待は子どもに対する重大な権利侵害であり、虐待問題への取り組みは、子どもの侵害された権利を回復するためになされるべきであり、何よりも被虐待児童の最善の利益(=福祉)を最優先した対応が考慮されなければならない。
 ここで言う家族再統合とは、「親子が親子であり続けられる親子関係・親子形態の再構築」であり、「親子が安全かつ安心できる状態で互いを受け入れられるようになること」で、必ずしも親子が一緒に住み暮らすことではない。
 「多面的な支援を提供して、子どもと家族との関係を再構築していく過程で、最適とされる統合形態」がその家族にとっての再統合の形である。従って、虐待の重症度、分離の有無にかかわらず、家族機能の再生・回復を広く家族再統合と考える。また、ここでの家族は、子どもを養育する環境の担い手と広義に捉える。従って、核家族のみならず、祖父母や親類も含む拡大家族なども含む。子どもと家族との関係を再構築する一連の支援プロセスの結果、最適とされる統合形態は、何よりも子どもの利益に立つという視点が明確に貫かれ、子どもと家族のニーズを考慮し、さらに子ども、家族、援助者が納得できる形で導き出されることが必要である。
 児童虐待、特に緊急性の高い重症事例では、親は虐待を否認していることが多く、そのため介入に対して怒りや被害感が生じ、支援機関と関係を結ぶことが困難になる。たとえ子どもの安全を保障するためになされた意思決定であっても、子どもは家族から離れることを望まず、家族からの分離が心理的な外傷体験となることも少なくない。そのため分離を余儀なくされた後の子どもと家族への手厚い支援プログラムが必要となる。子どもと家族に対して、初期対応における支援方針のみならず、中・長期的な支援プランの中での家庭復帰の見通しを告げた上で、虐待行為と向き合えるような支援とケアを行うことが必要となる。

https://www.pref.aichi.jp/owari-fukushi/jiso/annai/manyu/chiiki/manyu_chiiki_1.html

児童虐待を行った場合でも、基本的には親子が再統合できるように配慮されますし、法律上も公的機関は「児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮」をした指導・支援を行うことになっています(児童虐待防止法第4条)。

ところが離婚した途端、別居親は虐待の有無に関わらず、再生・再統合の価値のない他人として疎外されるのが今の日本の現状で、それはおかしいと私は考えています。

支援があっても、「危険」は回避できない―監視付き面会交流は、子どもの利益か?」と主張する千田有紀氏は、こういった家族再統合にもおそらく反対なのでしょう。
千田氏は「親子が安全かつ安心できる状態で互いを受け入れられるようになること」に全く興味がないか、少なくとも別居親はその対象外という認識のようです。
どうにも困ったものです。