NNN世論調査で内閣支持率53%というのはそんなもんだと思うよ。

この件。

安倍内閣の支持率53% 世論調査

11/25(日) 22:19配信 日テレNEWS24
NNNと読売新聞が週末に行った世論調査で、安倍内閣の支持率は前月より4ポイント上がり、53%だった。
安倍内閣を「支持する」と答えた人は53%、「支持しない」は36%だった。
政府が目指している外国人労働者の受け入れ拡大については、賛成が48%、反対が42%だった。この外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案については、「今の臨時国会での成立にこだわらず議論する」が73%と最も多く、「廃案にする」が14%、「今の臨時国会で成立させる」が9%だった。
一方、先の日露首脳会談で、歯舞群島色丹島の引き渡しを明記した「日ソ共同宣言」を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意したことについては、「評価する」が64%だった。
北方領土の返還に向けたロシアとの交渉にどう臨むべきかについては、「2島の返還を先に実現し、返還交渉を続ける」が最も多く58%、「4島一括返還」が25%、「2島返還で決着」が11%だった。
ただ、「北方領土問題が解決に向かうと思うか」との問いには、「思わない」が62%、「思う」が27%だった。
来年10月の消費税率引き上げへの対策として政府が検討している、クレジットカードなどで買い物をすれば5%分のポイントを還元する案については、反対が62%、賛成が29%だった。
一方で、同じく政府・与党が検討している、購入金額に一定額を上乗せした「プレミアム付き商品券」については賛成が48%、反対が44%だった。
■NNN・読売新聞世論調査
11/23~25 全国有権者に電話調査
 固定電話 535人(回答率58%)
 携帯電話 517人(回答率44%)
  合計 1052人が回答
http://www.ntv.co.jp/yoron/

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20181125-00000027-nnn-pol

もちろん何でこんな内閣を支持するのかねぇという呆れた気持ちでいっぱいなんですが、現状の安倍政権の支持率の実態としても大体こんなもので調査がおかしいとかいうことはまず無いと見ていいと思いますよ。
質問内容による誘導というのも無いではないでしょうが、少なくとも支持率については質問内容は毎回同じはずですから時系列的にはバイアスが入りにくく、支持率増減については世論の反映としてまず信頼していいでしょうね。

安倍政権の支持率が高い理由

一言で言えば、メディア対策の効果ですね。
第一に、メディアに対する恫喝と懐柔を5年以上続けた結果、鋭く政権批判を行うメディアはほぼ消滅し形だけの批判や単発あるいはシングルイシューでの批判ばかりになってしまったのが大きいでしょう。ニュース・報道のワイドショー化もそれに拍車にかけ、芸人を起用した報道紛いのバラエティは政権擁護色が強いという傾向があり、それによって世論が誘導されているという感じですね。
また、民衆レベルで溜まっているルサンチマンが、生活保護叩きや排外主義といったより弱い存在への攻撃に誘導されていることも安倍政権にとってはプラス要因でしょうね。

おかしな質問の事例

さて、支持率はまあ信頼して良いと思いますが*1、逆に支持率以外の質問については怪しいところもあります。

[ 問10] 政府は、これまで医師や研究者など、専門的な技能を持つ人に限ってきた外国人労働者の受け入れを、単純な労働に就く人にも拡大する法案を、今の国会に提出しています。あなたは、外国人労働者の受け入れ拡大に、賛成ですか、反対ですか。
(1) 賛成 48 %
(2) 反対 42 %
(3) 答えない 10 %

http://www.ntv.co.jp/yoron/201811/soku-index.html

この問10は、背景情報を知らないと答えようがありません。労働力不足の解決すべきとか来日希望者を制限すべきでないといった認識に基づけば賛成するでしょうし、労働条件の悪化や移民の拡大につながる懸念といった視点に立てば反対するでしょう。賛否拮抗の結果は国民レベルでは論点整理がされていないことを示唆しているとも言えます。

[ 問11]
政府は、外国人労働者の受け入れを拡大する法案を、今の国会で成立させ、来年4月から新しい制度をスタートしたい考えです。この法案について、次の3つの中から、あなたの考えに最も近いものを、1つ選んで下さい。
(1) 今の国会で成立させる 9 %
(2) 今の国会での成立にこだわらずに議論する 73 %
(3) 廃案にする 14 %
(4) 答えない 4 %

http://www.ntv.co.jp/yoron/201811/soku-index.html

この問11はわかりやすい誘導質問です。問10の結果が示唆しているように国民レベルでは論点整理がされていない状況なら、議論すること自体に反対する人はまずいません。したがって多くが「今の国会での成立にこだわらずに議論する」と回答して当たり前です。

[ 問12]
安倍首相とロシアのプーチン大統領は、首脳会談を行い、平和条約を結んだ後に、北方領土の4島のうち歯舞、色丹の2島を引き渡すとした日ソ共同宣言を基礎に、条約の交渉を加速させることで合意しました。この合意を、評価しますか、評価しませんか。
(1) 評価する 64 %
(2) 評価しない 25 %
(3) 答えない 10 %

http://www.ntv.co.jp/yoron/201811/soku-index.html

これも誘導質問ですね。十分な情報を把握していない状態で領土問題や平和条約交渉を進めること自体に反対する人はまずいません。この交渉の過程で日本政府が択捉・国後の領有権主張については放棄する可能性もあるなどの一文を質問中に追加したら、結果は全く違ったものになったでしょう。

[ 問13]
政府は、北方領土の返還に向けて、ロシアとの交渉に、どのような姿勢で臨むのがよいと思いますか。次の3つの中から、1つ選んで下さい。
(1) 4島が一括して返還されるようにする 25 %
(2) 2島の返還を先に実現し、残りの島の返還交渉を続ける 58 %
(3) 2島の返還で決着させる 11 %
(4) 答えない 5 %

http://www.ntv.co.jp/yoron/201811/soku-index.html

サラミスライス戦略”が日本人のお好みということですかね。質問としては、やはりこれだけでは判断のしようが無く“四島全て日本のもの”という前提で一部については先に利益確定した方が無難といった程度の認識が示された感じです。それぞれの選択肢にあるメリット・デメリットが論点整理されていない以上、その程度の回答しか得られていないとしか言いようがありませんね。

[ 問14]
あなたは、今後、北方領土問題が解決に向かうと思いますか、そうは思いませんか。
(1) 思う 27 %
(2) 思わない 62 %
(3) 答えない 11 %

http://www.ntv.co.jp/yoron/201811/soku-index.html

唯一、これが国民の感覚としてそのまま理解して良い結果が出ていますねぇ。

とまあ、個々の質問項目については誘導されている可能性は高いと言えるでしょう。それでも同じ質問内容で繰り返し聞けば、傾向の変化などは興味深いものになるとは思いますが、この手の質問は単発が多いですからねぇ。



*1:少なくとも同じ会社での世論調査を時系列でみる限りは