確かに「合流」という言葉を使ってはいないが

12月6日に立憲民主党代表の枝野幸男議員が、共同会派代表者会談で以下のような申し入れを行っています。

 立憲民主党は、これまで、理念政策をともにする方が個人として入党いただけるなら歓迎するとの立場でした。
 しかし、この間、共同会派結成にあたっての合意に基づき、一体となった国会対応で成果をあげることができたことは、会派を共にする皆さんが、それぞれ寛容な心でご尽力をいただいた結果だと感謝しています。このことを通じて、私は、会派を共にする皆さんとは、十分、理念政策の共有をしていただいていると考えます。
 以上のことを踏まえ、今般、私は、より強力に安倍政権と対峙し、次の総選挙で政権を奪取して『まっとうな政治』を取り戻し、国民生活と公平公正な社会を守るため、会派結成にあたって合意した考え方に基づき、共同会派を共にしていただいている政党、グループの皆さんに幅広く立憲民主党とともに行動していただきたいと思うに至りました。
 安倍政権に代わって政権を担いうる政党を築き上げ、次期総選挙での政権交代を現実のものとするため、会派を共にする、国民民主党社会民主党社会保障を立て直す国民会議、無所属フォーラムの皆さんに立憲民主党とともに闘っていただけるようお呼びかけいたします。

https://cdp-japan.jp/news/20191206_2409

質疑で枝野氏は「今日私の文章に「合流」という日本語は含まれておりません」と言っている通り、確かに「合流」という文言は含まれていません。

“野党合流”だと報じているメディアはその意味では不正確と言えるかもしれませんが、さりとて、既に共同会派を結成している上で、個人としての入党を歓迎する立場以外での「立憲民主党とともに行動していただきたい」「立憲民主党とともに闘っていただけるよう」という呼びかけの含意するところとして「合流」以外に何があるのかが明らかにされているわけでもありません。

少なくとも呼びかけられた対象の一つである国民民主党は「政党合流」だと認識しているようです。
「地方の声を大事にする」 全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議を開催 - 国民民主党

国民民主党現有議席数(衆院38、参院22)と資金力で優れていますが支持率は低迷していますので、はっきり言って立憲民主党にとって国民民主党と合流するメリットがそれほどあるとは思えないんですけどね。ただ、地方組織あたりでのしがらみがあるでしょうから、党レベルでの合流を求める声もそのあたりではあるのかも知れませんが。
国民民主党は枝野代表の呼びかけに対して「(1)衆参一体での対応(2)対等な立場で協議交渉(3)参議院での信頼醸成、という3点を枝野代表に申し上げたとの説明」*1したとのことですが、その通りに対等合併となったら、枝野代表にとっても自殺行為としか思えません。

もともと小池・希望の党と前原・民進党の策謀によって排除され殲滅される寸前だった枝野氏が、政党の対等合併というリスク要因を好んで抱え込みたいとも思えませんしね。小池・希望の党と前原・民進党の流れをくむ国民民主党に対して、組織の血統からの嫌悪感を覚えるようなことは無いかもしれませんが、民主党政権時代の経験からも多頭制に対する懸念はあるでしょうし、党内を確実に掌握し求心力を維持する方が重要だと思ってそうな気はします。

とは言ってもお金の問題もあるわけですが。
参照:枝野氏への個人献金7割減 「ブーム去った」の声も(斉藤太郎 2019年11月29日18時00分)

ま、結党した2017年に個人献金が多かったのは判官びいきの影響でしょうから、それが長期に続くわけもないのは驚くところではありませんけどね。
政党交付金の制度上の問題に振り回されているのは民主主義の理念からは外れた話で、これはこれで何とかすべき問題です。

個人献金政党交付金以外では企業・団体献金がありますが、これに期待するとなると連合の意向としての国民民主党との合流という圧力が強まるわけですからねぇ。

交付金依存度、4割台変わらず=18年の政党収入

 2018年の政治資金収支報告書によると、(略)
 今年4月に解散した自由党を除き、年間収入に対する政党交付金の割合が最も高いのは国民民主党(84.8%)で、立憲民主党(75.8%)が続いた。自民党は66.5%、共産以外で最も低いのは公明党の19.8%だった。
 国民、立憲両党は機関紙発行による事業収入がそれぞれ188万円、961万円で、自前の集金力が課題となっている。自民は政治資金団体国民政治協会」からの寄付24億3000万円や党費9億3560万円など、幅広く資金を得ている。
 政党交付金の額でみると、自民が174億8990万円でトップ。国民55億7350万円、公明29億4840万円、立憲27億6430万円の順だった。
 各党は、衆参両院から会派に支給される立法事務費も収入として扱っている。同費を含む税金依存度も立憲が90.9%、国民が90.7%と高く、日本維新の会は81.3%、自民は76.8%だった。 

https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-seijishikin-seitou

事業収入が1000万円にも満たないわけですから、普通に考えるならそれなりの議席数を確保しつつ時間を稼いで政党交付金を増やすというのが順当な感じがします。ブームに頼らず、目先の利益に釣られず、時期を待つという感じで。