東京12区の得票数の推移
ざっと2000年からの東京12区衆院選結果を追ってみます。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/data03_03.html(2000年衆院選)
候補者名 政党 得票数 割合 藤田幸久 民主 64,913 (24.7%) 山岸光夫 共産 45,482 (17.3%) 栗本慎一郎 自由連 20,902 ( 8.0%) 八代英太 自民 90,208 (34.3%) 合計 -- 221,505 -
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/h15shu_skai.html(2003年衆院選)
候補者名 政党 得票数 割合 太田昭宏 公明 98,700 (44.1%) 山岸光夫 共産 30,251 (13.5%) 藤田幸久 民主 95,110 (42.4%) 合計 -- 224,061 -
2000年時は自民党が候補者を出していましたが、2003年から公明党が候補者を出すように変わります(自公連立は1999年以降)。
2000年も2003年も有効投票は22万程度で変わりませんが、民主党が得票数を大きく伸ばし公明党に迫っていることがわかります。共産党は1.5万票減らし強い支持者と見られる3万票のみとなっています。この当時既に政権交代が現実感を増していたのか、あるいは小泉政権に対する反発からか、元々は共産党支持と思われる有権者が多く民主党に流れたように見えます。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/data/data01.html(2005年衆院選)
候補者名 政党 得票数 割合 藤田幸久 民主 73,943 (28.1%) 野々山研 共産 26,068 ( 9.9%) 太田昭宏 公明 109,636 (41.7%) 八代英太 (自民) 44,279 (16.9%) 合計 -- 253,926 -
2003年で僅差に迫った民主党ですが、2005年衆院選では2万票減らしています。原因は「小泉劇場」です。“刺客”と称する与党内の権力争いを観劇しただけの選挙でしたが、これにメディアと国民は踊らされました。本来なら与党内でまとめるべき郵政民営化の是非を、選挙という場で利用して野党の票を盗むことに成功したわけです。この類似形が2014年衆院選でも使われます。
民主党内で政策の不一致があれば「ガバナンス(党内統治)の欠如」*1だとか批判するメディアも、2005年の郵政民営化や2014年の消費税先送りにおける与党内不一致は不思議なことにスルーすることが多いですね。税金使って記者を接待する行為は有効だということなのでしょう。
この2005年選挙は投票者数が3万人増え25万人余りとなっています。そして、与党内の立ち回りを演じた公明党太田氏が11万票、自民党八代氏が4.4万票を得ています。両名とも与党であることを考慮すれば、与党候補者だけで実に15万票集めたことになります。与党の集票力は2000年、2003年を見る限り9万票程度ですが、2005年はそれに6万票が上乗せされたことになります。小泉劇場に魅せられて、普段投票しない有権者らが自公に投票しただけではなく、民主支持層や共産支持層でさえ、小泉劇場に騙されたということになります。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h21syugiin/h21shu_skai.html(2009年衆院選)
候補者名 政党 得票数 割合 太田昭宏 公明 108,679 (41.4%) 池内沙織 共産 31,475 (12.0%) 青木愛 民主 118,753 (45.2%) 与国秀行 -- 3,813 ( 1.5%) 合計 -- 262,720 -
小泉政権の化けの皮がはがれ始め、小泉首相の後継者ら*2が遺産を食い潰していった2009年、政権交代が確実視された中での選挙では、小泉劇場の時より投票者がさらに1万人増えます。公明太田氏は死に物狂いの抵抗をしましたが、ここで民主候補に敗れます。とは言え、2005年同様の11万票を獲得する強さを示しています。
しかし3年後の2012年、民主候補として当選した青木氏は未来候補となっており、以前の集票力を失います。この選挙では有効投票数が2009年から4万人も減っているにも拘らず、公明太田氏の得票数は5000票増やしていますが、民主瓦解の影響のように思えます。同時にこの時、共産党は2000年選挙以来12年ぶりに4万票を超えています。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2014/kaihyou/ya13.html(2014年衆院選)
候補者名 政党 得票数 割合 太田昭宏 公明 88,499 (41.6%) 池内沙織 共産 44,721 (21.0%) 青木愛 生活 40,067 (18.9%) 田母神俊雄 次世代 39,233 (18.5%) 合計 -- 212,520 -
安倍政権下での脅迫解散となった2014年がこの結果です。有効投票数は2012年から1万人程度しか減っていないにもかかわらず、公明太田氏の得票数は2.5万票も減っています。しかし、2000年からの流れを見る限り、元々自公支持層は9万人程度の規模であり、2005年・2009年・2012年の得票数が基本的な支持層に上乗せがあったように思われます。その上乗せ分が2014年には次世代に流れ、瓦解した民主支持層からも流れたのでしょう。