献金した人が外国人であることを「なかなか類推できなかった」から問題ないと安倍首相が答弁したことにちゃんと言及するメディアを見かけない

立憲民主党の辻元議員が外国籍の人物から1万円の寄付を受けていたことが問題視され大騒ぎになっています。

立憲・辻元氏、外国人から献金1万円 「すでに返金」

寺本大蔵 2019年2月6日21時05分
 立憲民主党辻元清美国会対策委員長は6日、自身の政治団体が2013年に外国籍の男性から1万円の寄付を受けていたと明らかにした。政治資金規正法は外国人からの献金を禁じている。辻元氏はすでに返金したと説明。国対委員長は辞任しない意向だ。
 6日に夕刊フジが報じたのを受け、国会内で記者団の取材に応じた。
 辻元氏によると、献金を受けた政治団体大阪府高槻市に事務所を置く「辻元清美とともに!市民ネットワーク」。4日に夕刊フジから取材を受けて調べたところ、男性が13年5月に「寄付金は外国籍の方からはできません」と記された振込用紙を使って1万円を寄付していたことが発覚。5日に全額を男性側に返金し、収支報告書の訂正手続きを進めているという。
 この男性は14年に後援会費として1万2千円を入金。その後、寄付に変更したいと申し出たことで政治団体の会計責任者が外国籍と気づき、寄付への変更をやめている。辻元氏は「さかのぼって確認していなかった」とした上で「再発防止のため、さらにどう対応すればいいか考えないといけない」と述べた。国対委員長を辞任する意向を問われると、「そこまでは至らないと思う」と否定した。
 外国人献金問題では、11年に前原誠司外相(当時)が自らの政治団体で計25万円を受け取っていたことが発覚して辞任。菅直人元首相や野田佳彦前首相の資金管理団体でも外国人から献金を受けていたことがわかり、問題となった。(寺本大蔵)

https://www.asahi.com/articles/ASM265TVRM26UTFK01L.html

辻元氏に外国人献金 規正法抵触恐れ「直ちに訂正、よかった」

2019.2.6 20:44|社会|事件・疑惑
 立憲民主党辻元清美国対委員長政治団体が、平成25年と26年の2回にわたり韓国籍の男性弁護士から政治献金を受けていたことが6日、分かった。夕刊フジの報道を受け、辻元氏が国会内で記者団に明らかにした。外国人からの献金受領を禁じた政治資金規正法に違反する恐れがあるが、辻元氏は役職の辞任は否定した。
 辻元氏の説明や辻元氏の政治団体辻元清美とともに! 市民ネットワーク」(通称「つじともネット」)の政治資金収支報告書によると、男性弁護士は同団体に対し25年5月に1万円、26年6月に1万2千円の計2万2千円の献金をした。
 26年分については、外国人ということが受領後に判明して収支報告書を訂正、献金を「後援会費」に計上し直したという。
 25年分に関しては、報道を受けて収支報告書を精査し、日本国籍保有していないことを把握したという。5日に返金し、収支報告書の訂正手続きに入った。また男性弁護士は、27年については「後援会費」を納めたという。
 辻元氏は記者団に「こうした間違いがあったことに自分自身にショックを受けている。今後、再発防止のために、どう対応すべきかを考えなければならない」と述べた。一方、「直ちに訂正できてよかった」と述べ、訂正したことで問題は解決したとの認識を示し、役職辞任の可能性については「そこまでは至らない」と否定した。
 外国人からの献金をめぐっては、民主党政権の23年、当時の前原誠司外相が京都市で焼き肉店を営む在日外国人の女性から献金を受けていたことが発覚し、外相を辞任した。自民党石破茂元幹事長は在日韓国人が経営する3つの会社から約5年間にわたり計75万円の献金を受けていたことが24年に明らかになった。
 政治資金規正法は、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じている。政治や選挙への外国の関与、影響を防ぐための措置で、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。

https://www.sankei.com/affairs/news/190206/afr1902060051-n1.html

同様の外国人献金問題の事例として、産経新聞前原誠司議員、菅直人議員や野田佳彦議員など元民主党の政治家のみをあげており、朝日新聞は前原議員の他に自民党石破茂議員の事例をあげています。

しかしもっと直近の2014年に発覚した次の事例が何故か挙げられていません。

宮沢洋一経産相に外国人企業が献金 パチンコ店の経営会社から40万円

宮沢洋一経済産業相は10月27日、外国人が株式の過半数を持つ広島県の企業から、2007年と2008年に計20万円の政治献金を受けていたことを明らかにした。26日に全額返金したと、経産省で記者団に説明した。
朝日新聞デジタルでは宮沢氏の事務所の説明として、問題の企業がパチンコ店を経営している広島県福山市の会社だと報じた。政治資金規正法では、外国人もしくは外国企業が株式の過半数保有する企業から政治献金を受けることを原則として禁止している。
宮沢氏の資金管理団体「宮沢会」が2010年、広島市内のSMバーに政治活動費を支出していたことが判明。23日には「監督不行届であり大変反省している」と陳謝した。

https://www.huffingtonpost.jp/2014/10/27/miyazawa-pachinko_n_6052132.html

第二次安倍政権下で発覚した外国人企業による献金の事例です。
今も続く安倍政権下での大臣で発覚した外国人献金事例に一切触れないのは、前原議員や石破議員の事例を挙げていることを踏まえると不自然に思えます。

この宮沢大臣の外国人献金問題が発覚した時、野党であった民主党は国会で安倍政権を追及しています。なぜなら、安倍首相は民主党政権下で発覚した外国人献金問題の際には、辞任に値すると強く抗議していたからです。
しかし、結果から言えば、宮沢大臣は何の責任もとらされることなく、2015年の内閣改造で大臣を退任するまで経済産業大臣の職を務めました。

そして、その時安倍首相は次のように答弁しています。
第187回国会 予算委員会 第4号( 平成二十六年十月三十日(木曜日))

○細野委員 (抜粋)もちろん、政治資金の問題は重要です。したがって、総理がそれこそ、外国人企業からの献金について、外国人献金については田中大臣に対しては辞任を求めて、そして今度、外国人企業からもらった献金があってもそれは問題ないという発言は、ダブルスタンダード以外の何物でもない。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/187/0018/main.html

安倍内閣総理大臣 今の質問にお答えする前に、先ほど私がダブルスタンダードではないか、外国人献金ですね、それについては説明をさせていただきたい。
 ダブルスタンダードと国民の前で決めつけられましたから、一応説明をさせていただきたいと思いますが……(細野委員「では、簡潔にお願いします」と呼ぶ)簡潔に説明させていただきます。
 田中元法務大臣の件については、寄附を受けた民主党神奈川県第五区総支部の平成二十一年の収支報告書に、寄附をした法人の代表者名が外国籍名で記載されていました。そして、田中法務大臣と寄附をした法人の代表者が日ごろから親しくつき合っていたという点。そして、田中大臣は、記者会見において経営者の国籍はどういう形でお知りになったのですかと聞かれて、去年の三月十一日の震災のときに台湾の方に一時帰っているということでしたので、そう思っているということでありましたので、外国人であるという認識をしていたということであります。そして、それ以後一年半の間、何の調査も返金もしていなかったということであります。
 一方、宮沢大臣は、平成十九年、そして二十年に、大臣が代表を務めていた政党支部が、日本法人であり、そしてかつ法人名からは外国人が過半数の株式を保有することはわからなかった。そしてまた、経営者は日本名であったということでありまして、これはまさに本人がなかなか類推できなかったという状況でありますから、全く違うということであります。
(略)

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/187/0018/main.html

要するに“外国人であることを知らなかったから問題ない”と強弁して、自らの内閣閣僚に対する外国人献金問題を正当化したわけです。
刑事告訴はもちろん、議員辞職も大臣辞任も何の責任も取ることなく、宮沢洋一議員は内閣改造による退任まで約1年間、経済産業大臣の職に留まり続けました。

“外国人であることを知らなかった”と主張すれば一切の責任を免れる前例が安倍政権によって作られているわけで、マスコミもそれ以上の追及ができていません。

そして今、辻元議員に対する外国人献金問題に対しては、政治資金規正法違反だと騒ぎ立てています。宮沢経産大臣の事例を忘れたかのように。

安倍政権の閣僚であれば無罪、安倍政権に批判的な野党議員であれば有罪、いつから日本のメディアはそんな忖度をするようになったんですかね?