朝鮮日報が誤報を出している件。

この記事。
(朝鮮日報日本語版) 京畿道議会「戦犯ステッカー」条例案、発議した議員が上程保留(3/29(金) 8:42配信 )

私は以前、「普通に考えれば、これらの条例案はまず成立しないでしょうし、したとしても原形が無くなるくらいに修正されるでしょうね」と述べましたが、上程保留ということでほぼ予想通りでしたね。

で、そうすると「条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ」と報じた朝日新聞牧野愛博記者の記事(2019年3月20日付)は誤報だったということになりますね。

 ステッカーの添付が義務づけられるのは、時価20万ウォン(約2万円)以上の製品で、毎年、保有状態を確認して公開するという。条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ。(ソウル=牧野愛博)

https://www.asahi.com/articles/ASM3N2TFJM3NUHBI00H.html

まあ、それはともかく冒頭の朝鮮日報記事にもおかしなところがあります。

 黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した。この条例案は、首相室が発表したリストに基づいて20万ウォン(約2万円)以上の「戦犯企業」製品について京畿道教育監(教育庁トップ)が実態調査し、該当製品であることを認識させるステッカーを貼るというものだ。しかし、「排他的民族主義に基づく発想で外交・通商や国のイメージに否定的な影響を与える」との批判があった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00080004-chosun-kr

この部分です。「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した」とあり、普通に読めば、発議した議員27人は全て共に民主党所属議員としか読めません。

ですが、この条例案の発議に加わった議員は共に民主党議員だけではありません。
条例案の情報(韓国語)によれば発議議員は以下の通りです。

황대호 김경근 김미리 김미숙 김봉균
김용성 민경선 박덕동 박세원 방재율
성준모 송치용 심규순 엄교섭 오명근
오지혜 왕성옥 유광혁 이애형 이원웅
이진  조광희 조재훈 천영미 최경자
최승원 추민규

黄大虎(황대호)議員はじめ27人中26人は共に民主党議員ですが、李愛炯(이애형)議員は自由韓国党議員です。したがって、朝鮮日報日本語版記事の「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に」という記載は誤報という他ありません。正確には、“共に民主党所属議員25人および自由韓国党議員1人と共に」と記載すべきでした。あるいはそもそも政党名自体書く必要が無かったかも知れませんね。
27人中1人(3.7%)だからといって一部の例外ともいえません。京畿道議会の議員数は142人、そのうち共に民主党は135人、自由韓国党は4人(2.8%)、正義党は2人(1.4%)、正しい未来党は1人(0.7%)という構成になっていますので、構成比率的にも不自然さはありませんし、4人しかいない自由韓国党議員の1人が共同提案に加わったという点からも、同条例案に対して、自由韓国党として特に反対の立場をとっていなかったと見てよいでしょう。

どうも、これらの条例案に対して、“進歩派の文政権、民主党政権であるから”みたいな解釈を示す論者が散見されますので、一応指摘しておきます。



(朝鮮日報日本語版) 京畿道議会「戦犯ステッカー」条例案、発議した議員が上程保留

3/29(金) 8:42配信 朝鮮日報日本語版
 京畿道内にある学校の備品のうち、日本の「戦犯企業」製品に、該当製品であることを表示するステッカー=写真=を貼るという条例案を代表発議した京畿道議会の黄大虎(ファン・デホ)道議=共に民主党・水原4=が、常任委員会の審議前日だった28日、「十分な熟議過程を通じて道民の意思をさらに集約することにした」と述べた。これにより、京畿道議会第1教育委員会は審議をひとまず保留することを決定した。
 黄大虎道議は同日午後に配布した資料で、「条例案に対する関心と懸念が、条例案の正確な理解によるものではないと判断されたため、公論化を通じて社会的合意を経た上で条例審議を再度準備する」と述べた。チョン・ヨンミ第1教育委員長=共に民主党=は「条例案の発議趣旨に共感するが、法理的側面と執行の可能性、効果を総合的に考慮し、客観的に審議しなければならない。十分な公論化を経た上で再び論議する」と述べ、今後の審議に余地を残した。黄大虎道議はこれより前の同日午前開かれた京畿道議会臨時会本会議5分間自由発言で、「児童・生徒たちに対して戦犯企業とは何で、どのようなことを犯したか、そして、その犠牲によって作られた製品を使用しているということを知らせるべきだと考えた」と述べ、ほかの道議たちに支持を訴えた。
 黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した。この条例案は、首相室が発表したリストに基づいて20万ウォン(約2万円)以上の「戦犯企業」製品について京畿道教育監(教育庁トップ)が実態調査し、該当製品であることを認識させるステッカーを貼るというものだ。しかし、「排他的民族主義に基づく発想で外交・通商や国のイメージに否定的な影響を与える」との批判があった。
 また、京畿道教育庁も受け入れ不可の見解を伝えた。道教育庁は「戦犯企業」の不確実性や管理主体の問題、「戦犯企業」と生産製品に対する中央政府の明確な実態調査資料がないこと、ステッカー付着およびホームページ公開に伴う訴訟提起問題、中央政府地方自治体の「戦犯企業」に対する関係法令がないことなどを理由に挙げている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00080004-chosun-kr