産経新聞報道に見る自民党議員の場合と野党議員の場合の扱いの違い

まず自民党議員で第四次安倍内閣政務官に就任した工藤彰三氏の政治資金規正法違反事例の場合。

会費制集会の収入記載せず 工藤彰三政務官政治団体

2018.10.15 13:00
 自民党工藤彰三(しょうぞう)国土交通政務官が代表を務める2つの政治団体が、会費制の集会を開いて得た収入を当初、政治資金収支報告書に記載していなかったことが15日、分かった。このうち一部について工藤氏側は今年9月に訂正している。
 不記載だったのは工藤氏が代表の政治団体「彰友(しょうゆう)会」と「自民党愛知県第4選挙区支部」。事務所などによると、彰友会は平成26、27年に「総会」と「国政報告会」を計3回、同支部では25、26年に「工藤彰三を励ます会」を1回ずつ開催。計5回の集会はいずれも会費制で支援者ら数百人が集まった会もあったという。
 しかし、両団体の各年の収支報告書には、いずれの収入も記載されていなかった。工藤氏の事務所は今年9月に彰友会の報告書を訂正。26年分に総会2回の収入として49万円と約52万円を、27年分には国政報告会の収入190万円を追加し、差額約27万円を次年度に繰り越した。
 事務所は同支部の記載についても確認し次第、訂正するという。不記載の理由について事務所は「収支均衡だったため、当時の秘書が記載する必要がないと誤解した」と釈明した。
 政治資金規正法は、政治活動の透明性確保のため、政治団体に全ての収入の記載を義務づけている。工藤氏は「政治資金パーティという感覚はなかった。チェックが甘かった。確認を怠った自分に責任がある」と説明。その上で自身の責任について「政務を全うしたい」と述べた。
 工藤氏は名古屋市議を2期務め、24年衆院選で愛知4区から初当選。今月の内閣改造で国交政務官に就いた。

https://www.sankei.com/affairs/news/181015/afr1810150019-n1.html

次に立憲民主党議員の近藤昭一氏の同類(?)事例の場合。

立憲民主・近藤昭一副代表、会費制集会の収支不記載 政治資金規正法違反か

2018.10.21 01:00
 立憲民主党近藤昭一副代表=衆院愛知3区=が代表の政治団体が、平成26年に開いたパーティー収入を同年分の政治資金収支報告書に記載していないことが20日、分かった。政治資金規正法違反(不記載など)に当たる可能性がある。
 近藤氏が発行している会報によると、近藤氏側は26年6月1、8両日に毎年恒例という「こんちゃん・サマーパーティー」を名古屋市内で開き、計1200人が集まった。26年5月発行の会報ではその日に「こんちゃんのビアパーティー」を大人3700円、小中学生1500円の会費制で開くと告知し、申込先は「近藤事務所」だった。
 政治資金規正法は事業ごとの収支の記載を求めている。近藤氏の事務所は取材に「イベントが実際に行われたか、どこが主催していたか調査中だ。仮に事務的なミスがあった場合は収支報告書を訂正したい」とコメントした。自民党工藤彰三国土交通政務官衆院愛知4区=は自らが代表の政治団体が会費制集会の収入を収支報告書に記載せず、報告書を訂正、謝罪した。

https://www.sankei.com/west/news/181021/wst1810210005-n1.html

タイトル

自民党議員の場合には「会費制集会の収入記載せず」の主語が「工藤彰三政務官政治団体」であるかのように記載されていますが、野党の場合は「立憲民主・近藤昭一副代表、会費制集会の収支不記載」と議員本人を主語にしています。そして、野党の場合のみ「政治資金規正法違反か」という文言をタイトルに入れていますね。

内容

自民党議員の場合は「会費制の集会を開いて得た収入を当初、政治資金収支報告書に記載していなかった」と過去形で報じ、既に問題は解決しているかのように報じています。一方の野党議員の場合は「パーティー収入を同年分の政治資金収支報告書に記載していない」と現在形で報じています。
ちなみに自民党・工藤議員が「今年9月に彰友会の報告書を訂正」したというのは、4月以降たびたび朝日新聞に本件に関して取材されていたうえで9月になって訂正したと10月に回答したという経緯があります。

朝日新聞「工藤政務官、集会収入すべて不記載 識者「最悪ケース」」(沢伸也、竹井周平2018年10月15日05時05分))
 朝日新聞は4月以降、複数回にわたって工藤氏側に取材。工藤氏の事務所は3回目の回答となった今月9日、「収支報告書の作成担当の元秘書に確認したところ、いずれも会費を徴収した集会であり、収支トントンの事業であったことから、収支報告書に記載する必要がないと考え、記載しなかった」とし、9月に報告書を訂正したことを明らかにした。同法では収支の差額が0円でも記載しなければならない。

https://digital.asahi.com/articles/ASLBG4WVWLBGUTIL00F.html

立憲民主党・近藤議員に関して「パーティー収入」と記載しているのも、政治資金問題の文脈で「パーティー収入」と言えば普通“政治資金パーティー”のことだと解釈されると思いますが、この場合は集会の名前が「サマーパーティー」や「ビアパーティー」だったというだけで高額の会費をとる政治資金パーティーとはかなり毛色が違う集会です。「大人3700円、小中学生1500円」という実費相当の会費です(会場となった丸栄ビアガーデンの入場料金と同額。)。
むしろ、自民党・工藤議員のケースの方が、会費2万円で一般的な認識でいう“政治資金パーティ”に見えます

 彰友会の会長は、東海・関東地区で20の医療機関を展開する医療法人「偕行会(かいこうかい)」グループ(本部・名古屋市)の会長で、彰友会の内部資料などによると、同グループの総務部の担当者が15年の国政報告会の出席を取引先に依頼した。呼びかけた取引先は少なくとも60社を超え、会費は2万円で、約100人が参加したと記録されている。

https://digital.asahi.com/articles/ASLBG4WVWLBGUTIL00F.html

集会の様子もこんな感じ(場所はヒルトン)。
ameblo.jp

www.kudoshozo.jp
www.kudoshozo.jp
www.kudoshozo.jp

ちなみに立憲民主党・近藤議員のケースで問題視された集会はこんな感じ。
www.kon-chan.org

あと、産経は野党議員の場合のみ「政治資金規正法違反(不記載など)に当たる可能性がある。」との一文を入れていますが、自民党議員の報道には「政治資金規正法は、政治活動の透明性確保のため、政治団体に全ての収入の記載を義務づけている」とは述べているものの「違反」の可能性などといった文言は使っていません。

立憲民主党・近藤議員のケースはそもそも法的に全く問題ない可能性が高いように思うのだが

近藤議員ですが、2018年にも同じサマーパーティーを開催しています。

 今年もやります!恒例のサマーパーティー!2日間行いますのでご都合の良い日に!
 期日:6月3日(日)、6月10日(日)
 時間:両日とも16:00~18:00
 会場:栄ど真ん中ビアガーデン(丸栄屋上)
 参加費:3,800円
 ※小中学生1,500円 小学生未満は無料です
事前の申し込みが必要です。
お申込み、お問い合わせは近藤昭一事務所内サマーパーティー実行委員会まで!

https://www.kon-chan.org/wp/wp-content/uploads/2018/05/152.pdf

産経報道では「大人3700円、小中学生1500円の会費制で開くと告知」と書いてありますが、少なくとも2018年の告知では「参加費」となっています。まあ、参加費であってもこれを近藤事務所が徴収してその中から費用分を支出していたなら自民党・工藤議員と同様に政治資金規正法に抵触するとは思います。
ただ、会場となった「栄ど真ん中ビアガーデン」ですが、16時以降の2時間料金が1人3900円、小中学生だと1600円なんですよね。

http://www.beergarden.co.jp/shop.html

参加費が通常の入場料金より100円安くなってるのが、もし近藤事務所が肩代わりしていた場合はそちらの方が相当問題で違法性も高いと思いますが、単純に団体割引で100円安くなっているだけなら、参加者は実費のみを払ったことになります。そして、その実費を入場の際に店側が直接参加者から受け取っていた場合は、近藤事務所としては収入にも支出にもならないわけですから、記載されていないことに問題があるようには思えないんですよね。
ビアガーデンという形態の性質上、客の入場の管理を店が直接やってないとも考えにくいですし。
少なくとも、工藤議員のようなヒルトンホテルで会費2万円を取って開いた政治資金パーティーと同種とはちょっと言いがたいように思いますね。

メディアにはこの辺をちゃんと取材してほしいところです。



社民党が2018年10月15日(安倍政権が消費税率の予定通り引き上げを表明した当日)に出した談話

消費税率引き上げとそれに伴う対応について(談話)

以前指摘しましたが、具体的な内容についても少し書いておきます。

談話の中身

1.安倍首相は、本日午後の臨時閣議で、消費税率を来年10月1日から予定通り10%に引き上げることを表明した。社民党は、逆進性があり、国民生活や景気の悪化を招く消費税率の10%への引き上げには断固反対である。

まず増税そのものに対して明確に反対していますね。ここはわかりやすい。

2.安倍首相は、前回、駆け込み需要や、増税後の反動、需要減など、増税後に消費などが落ち込んだことから、2019・20年度予算で増税対応の特別措置をとることを表明した。自動車関連税制の減免の拡充、住宅購入・改修への支援、中小店舗でキャッシュレス決済をした人への2%分のポイント還元などの対策が検討されている。しかし、逆進性の高い消費税率を引き上げながら、住宅や自動車といった高額商品への購入支援を進め、高所得層を優遇することには、疑問が残る。そもそも消費増税がばらまきと歳出膨張を招くようでは、本末転倒であり、増税自体を中止するよう求める。

次に増税に伴う消費の冷え込みを避けるための安倍政権の措置に対する批判です。
これも「逆進性の高い消費税率を引き上げながら、住宅や自動車といった高額商品への購入支援を進め、高所得層を優遇することには、疑問が残る」と指摘していてわかりやすいですね。
低所得層を苦しめる増税を行いながら、高所得層を優遇する対策をとることに対する批判です。

3.消費税率10%への増税と同時に、「軽減税率」が実施されるというが、税率8%への「据え置き」にほかならない。税率アップ以前に、消費税の持つ欠陥である逆進性に対し、実効性ある緩和策を講じるよう求める。

ここはそもそも「軽減税率」を適用したところで「据え置き」に過ぎないのだから、増税以前に逆進性を緩和すべきという主張です。これもわかりやすい。

4.安倍首相は、教育無償化を拡充するなど、高齢者向け給付が中心となっている社会保障制度を見直し、「全世代型」の社会保障に改革するとしている。教育の無償化は進める必要があることは言うまでもない。しかし、消費税収の使途とされる医療、介護、年金、子育ての4経費に教育を加えことで、ウナギ上りに税率引き上げにつながる余地が生まれかねない。また、他の社会保障の負担増・給付カットや、財政再建への影響も懸念される。

安倍政権がぶら下げたアメである教育無償化への消費税増税分の適用に対して、教育無償化自体は賛成するが元々の使途に教育を加えることで、今後も税率が上がるんじゃないかという懸念、教育予算への配分により他の社会保障予算の減額などを懸念しています。
この辺は、1ビットの単純思考の人たちには理解が困難かも知れませんね。

5.安倍政権は、消費税を増税する一方、この6年間で社会保障の自然増のカットを毎年5000億円以上行うなど、社会保障の自己負担増や給付削減を進めてきた。しかも「骨太方針2018」では、社会保障を「歳出改革の重点分野」として、19~21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、さらなる自然増の抑制、患者・利用者への負担増や給付カットを徹底する方向を打ち出している。安倍首相の「全世代型の社会保障改革」は、日本経団連の「持続可能な全世代型社会保障制度の確立に向けて」などで強調されている、「痛みを伴う改革に向けて、聖域なく速やかに取り組むことが不可欠」との主張そのものであり、教育を引き合いに、全世代に消費税増税を押し付け、社会保障の負担増を強いることは許されない。

ここは安倍政権が社会保障の自然増をカットしてきたこと、それにも関わらず消費増税を行なうことにたいする批判ですね。“社会保障のためだとか言いながら違うじゃねーか”
的な感じ。

6.「高齢者偏重の社会保障」といっても、高齢者の貧困、「老老介護」、「認認介護」による夫婦共倒れや、介護心中・自殺の悲劇、育児と介護のダブルケア、多重介護やヤングケアラー世帯の負担増、介護離職の増加、高止まりする親族間の高齢者虐待といった現実を直視すべきである。

「高齢者偏重の社会保障」というレッテルに対する批判ですね。

7.民主党政権が進め、民自公三党合意となった、消費税と社会保障を「一体」のものとしている「税と社会保障の一体改革」は、消費税増税の再延期と社会保障の改悪によって、それ自体が破たんした。あるべき安心の社会保障ビジョンを改めて描き、消費税ありきではなく、不公平税制の是正と法人税所得税はじめ税制全体をパッケージとして、国民合意に基づいて負担のあり方を見直す、「一体改革」のやり直しが必要である。

2012年の三党合意の当事者でない社民党も、前提が崩れていると指摘していますね。
まあ、4,5,6あたりは、別の意見を持つ人もいるでしょうが、全体的にまっとうな指摘ですし、安倍政権による消費増税実施表明に対する明確な反対となってますね。



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お前らは星条旗しか掲げていない米軍艦を不審船と間違えるのか、と。

こんなブコメ

日本にも戦闘旗を掲げて欲しかったのかな?軍艦旗を艦首、艦尾に掲げるなって言ったらマストに掲げるしかないじゃん。軍艦が軍艦旗掲げない訳無いんだから。不審船と間違われちゃうし。
mamezou_plus2のコメント2018/10/17 18:30

http://b.hatena.ne.jp/entry/372818870/comment/mamezou_plus2

米軍が国旗である星条旗をもって海軍旗としていることは何度も指摘したとおりです。
たぶん、mamezou_plus2氏は星条旗しか掲げていない原子力空母を見たら、不審船だと認識するんでしょうね。横須賀とか佐世保とか“不審船”だらけですねぇ。

あと、マストに軍艦旗を掲げたからって「戦闘旗」だとはなりません。自衛隊においてもそうです。

(満艦飾及び艦飾の方法)
第31条満艦飾を行うときは、各マストの最上部に自衛艦旗(支援船にあつては国旗。以下この条において同じ。)を掲揚し、かつ、各マストにわたり、艦首から艦尾に信号旗を連揚するものとし、艦飾を行うときは、各マストの最上部に自衛艦旗を掲揚するものとする。

http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1955/ax19551227_00044_000.pdf

満艦飾や艦飾では各マストに自衛艦旗を掲揚しますが、別に戦闘旗などではありませんよね。
それともmamezou_plus2氏は、満艦飾の護衛艦を見て“戦闘状態だ!”とか思うんですかね。



マスコミ・メディアの問題とも言えない

これまで“マスコミは事実だけ伝えろ、意見を言うな”的に叩いておいて、消費税の場合だけ“マスコミはなぜ反対を報じない”と問うのはあまりにも虫が良すぎるんじゃないかな。
各野党が消費増税・軽減税率に反対・批判の立場を示していることを取り立てて報じないのも、これまで国会以外の場での野党の批判をどれほど報じてきたと言えるか考えれば、“消費税だけ黙っている”なんて評価にもならないと思います。

そして特にネット民について言えることですが、各野党がどういう立場でどういう根拠でどのように批判・反対しているか、なんて別にマスコミが報じるかどうかに関係なく調べられますよね?積極的に野党の主張を紹介すれば良いんじゃないですかね。ネットで話題になってくれば、そのうちマスコミも取り上げるようになるでしょうし。
マスコミが報じるまでただ待ってちゃだめだと思うんですよね。

黙っていると、影響力あるブロガーが「野党はなぜ消費税増税や軽減税率の不合理を騒がないのだろう」とかデマをまき散らして状況が余計悪化していくわけですし。

まあ、それはそれとして。

ネット民は各野党の公式サイトに党の談話などを自分で見に行くことができます。
同時に、各メディアがどのような意見を持っているかを見に行くこともできます。

新聞の場合は社説という形で社の意見を述べています。

東京新聞

消費増税表明 無駄遣いをまず止めよ(2018年10月16日)

(略)
 税の原則は、公平・中立・簡素である。公平という観点から、消費税に問題があることは言をまたない。
(略)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018101602000167.html

東京新聞は消費増税を廃止しろとは言っていないものの、かなり強めに批判しています。

朝日新聞

(社説)消費増税対策 何でもありは許されぬ(2018年10月16日05時00分)

(略)
 防災や減災、国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策もとるというが、消費税対策として実施するのは筋違いではないか。
 対策の目的を見失い、何でもありのばらまきの道へ進むことは許されない。
 また、今回は食品などの税率は8%に据え置く軽減税率を入れるため、初めて消費税率が2種類になる。
 買う人にも、お店で売る人にもわかりやすいしくみにできなければ、限られた財源を削って入れる措置が、かえって混乱を招くことになりかねない。
(略)

https://digital.asahi.com/articles/DA3S13724874.html

朝日も消費増税を廃止しろとは言っていないものの、対策名目の無駄遣いに対する批判や軽減税率に対する懸念などを示しています。

毎日新聞

首相が増税準備を指示 過剰な景気対策は禁物だ(毎日新聞2018年10月16日)

(略)
 消費税は高齢化で増え続ける社会保障費の安定財源である。今は多くを借金に頼り、将来世代につけ回ししている。これに歯止めを掛けるため増税は避けて通れないものだ。
 そうした観点から増税を予定通り行うのは妥当だ。問題は年内に決める景気対策の規模と中身である。
(略)
 ばらまきに陥りそうなものも目立つ。需要喚起のため公共事業費を積み増す案があるが、相次ぐ災害に便乗して非効率な事業が紛れ込む恐れがある。自動車や住宅の減税は需要の先食いに終わりかねない。
(略)

https://mainichi.jp/articles/20181016/ddm/005/070/035000c

毎日は増税そのものは容認していますが、景気対策に対する懸念を示している点は朝日と同じです。

読売新聞

消費税10%表明 実施へ首相の覚悟が問われる(2018年10月16日 06時06分)

(略)
 景気は緩やかながら、息の長い回復を続けている。首相が予定通り消費税10%を実施する方針を示したことは評価できる。
 高齢化で増大する社会保障費を支えるには、景気に左右されにくい消費税の税率引き上げが避けられない。子育て支援など、若年層向けの社会保障を充実させるためにも、新たな財源が要る。
 米中の貿易摩擦新興国経済の変調など、先行きの懸念材料はある。だが、今後、リーマン・ショック級の深刻な景気悪化が起きない限り、確実に消費増税を実現しなければならない。
(略)

https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181015-OYT1T50163.html

読売は明確に増税歓迎のスタンスで、もっと景気対策を求める姿勢で、せいぜい準備不足を懸念している程度でそれも、それを理由に中止・延期を主張するのではなく、準備を急がせるべきだと主張している有様です。

日経新聞

消費増税、反動減対策の歳出は厳選せよ (2018/10/16付)

(略)
自然災害への対応などは財政が機動的に対応すべき分野だ。真に必要なお金をきちんと出せるように、消費増税対策に名を借りたバラマキは慎むべきだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO36520030V11C18A0EA1000/

日経は増税そのものは容認しつつも、景気対策に対して懸念を表明するというスタンス。

産経新聞

【主張】消費税率10% 混乱回避へ万全な対策を(2018.10.16 05:00)

(略)
 安倍首相は景気などに配慮し、2度にわたって増税を延期した。だが消費税は少子高齢化を背景に急増する社会保障費を支えるための重要財源である。将来世代に対する無責任なつけ回しを防ぐためにも、現在の世代が一定の負担増を受け入れるのは避けられまい。
(略)

https://www.sankei.com/column/news/181016/clm1810160002-n1.html

産経も日経と似たスタンスで増税は容認あるいは歓迎で、景気対策に対して懸念を表明し、読売同様準備を急がせるべきだと主張しています。

全国紙+東京新聞

読売・日経・産経が増税容認・歓迎、少なくとも肯定的立場を示しており、東京・朝日・毎日がどちらかと言えば否定的な立場を示しています。マスコミが、特定の問題に対して世論喚起するには、意見だけを述べるようなことはしません。その問題に関わる具体的な事実やそれに対する世間の反応などを報じるというやり方を取ります。
野党を含む各政党の意見を報じることもないではありませんが、主でもありません。

森友問題にしても、具体的な土地売却価格の問題から始まり、様々な事実が明るみに出るたびにそれを報じて世論喚起につながったわけです。

消費増税・軽減税率について言うなら、軽減税率による混乱や増税対策としての現金配布案などを報じること*1でそれに対する否定的な世論が形成され、とても増税できる状態じゃないという世論にまで至れば、増税反対というムーブメントが出来上がります。
マスコミによる世論喚起というのは、そういうものでしょうよ。

消費増税に反対ならば、マスコミが何故反対しないのか、という前に、自ら反対の声をあげるべきですし、あげている政党・政治家を支援し盛り上げるべきで、その結果マスコミが取り上げたくなる状況を作るのが本来の在り方ではないかなと思いますよ。



どうも正式な通知は「自国の国旗と韓国国旗をマストに掲揚する」っぽい。

2018年10月5日の岩屋防衛大臣が記者会見で韓国側からの統一指示として以下のように明言しています。

Q:来週、韓国で国際観艦式があると思いますが、それに関連して韓国政府から日本政府に自衛艦旗である旭日旗の掲揚をしないという通知があったと思うのですが、それへの防衛省自衛隊としての対応は如何でしょうか。

A:経緯はおっしゃった通りでございまして、今回の観艦式の参加に関しまして、韓国海軍から全参加国に対して、「自国の国旗と韓国国旗をマストに掲揚する」及び「艦首及び艦尾の旗は掲げない」旨の統一指示が示されたところでございます。わが国としては、マストに両国の国旗を掲げるということは可能なのですが、自衛艦旗については、自衛隊法等の国内法令によりまして、艦尾への掲揚が義務付けられております。また、国際法上も国の軍隊に所属する船舶であることを示す外部標識に該当するものでございます。したがって、わが国が本観艦式に参加する場合には、艦尾に自衛艦旗を掲揚するということになります。こういう日本の立場については、累次韓国側にも説明をしてきているところでございます。こういったことを踏まえて、もうあまり時間もありませんが、対応につきましては決定してまいりたいと思います。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/10/05a.html

はっきりと「韓国海軍から全参加国に対して、「自国の国旗と韓国国旗をマストに掲揚する」及び「艦首及び艦尾の旗は掲げない」旨の統一指示が示された」と言っており、文脈上も旭日旗掲揚ができない理由に対応するのが「艦首及び艦尾の旗は掲げない」旨の通知であると思われます。
韓国海軍が参加国に正式に通知した内容は「自国の国旗と韓国国旗をマストに掲揚する」(8月31日)、「艦首及び艦尾の旗は掲げない」(10月3日)の二つだと理解して良さそうです。

従って観艦式に参加した軍艦の多くがメインマストに自国の国旗と韓国国旗の他に軍艦旗を掲げていたことは、韓国側の通知に何ら違反していないことになります。動画で確認できた範囲では唯一艦尾に軍艦旗を掲げていましたのでインドだけが、韓国側の通知に従っていなかったと言えるでしょうね。

ちなみにオーストラリアとかロシアとか、以前の観艦式では艦首艦尾に旗を掲揚していました。

f:id:scopedog:20181017020522p:plain
2002年国際観艦式
今回はメインマストのみに掲揚していましたので、むしろ韓国側の通知に誠実に従ったといえます。

「自国の国旗と太極旗“だけ”を掲揚」という話はどこから出たか?

どうも韓国国防部報道官が9月27日にブリーフィングで説明した際に近い表現を使ったようです。
ヘッドライン済州にこのような記載がありました。

국제관함식 욱일기 논란에 "사열때는 자국기 게양 요청"

홍창빈 기자 headlinejeju@headlinejeju.co.kr 승인 2018.09.27 14:49:00

해군은 27일 국방부에서 진행된 일일 정례브리핑에서 일본 군함의 욱일기 게양 논란과 관련해 이같이 밝혔다.
해군 관계자는 "해군은 지난달 31일 관함식 참가국 전체를 대상으로 해서 관함식의 제반협조사항을 전파하면서 '해상사열 시 자국의 국기와 태극기를 게양하는 것이 원칙'이라고 공지한 바 있다"고 말했다.
이 관계자는 "일반적으로 항해 시에는 자국의 국기만 게양하는 게 일반적인 항해 원칙"이라며 "그런 원칙을 좀 준수해 줄 것을 우리가 강조했다고 보시면 될 것 같다"고 설명했다.
"사열할 때는 국기와 태극기를 달고, 정박할 때는 일본 일장기하고 욱일기를 단다는 말인가"라고 묻는 기자의 질문에 대해 해군 관계자는 "해상사열 시에는 그런 원칙을 준수해 달라고 공지를 드린 것"이라고 말했다.
이어 "국제법이나 국제관례에 (깃발 게양에 대해)어떤 강제할 수 없는 게 원칙"이라면서도 "다만, 욱일기에 대한 어떤 국민적인 우려를 해소하기 위해서 노력하고 있다"고 말했다.

http://www.headlinejeju.co.kr/?mod=news&act=articleView&idxno=345589

参加国に通知した内容としては「 '해상사열 시 자국의 국기와 태극기를 게양하는 것이 원칙'(海上査閲時自国の国旗と太極旗を掲揚することが原則)」で、自国旗と太極旗の掲揚を求めていますが、それ以外の掲揚を禁止するような通知ではありません。
報道官は通知内容とは別に、一般的な内容として「 "일반적으로 항해 시에는 자국의 국기만 게양하는 게 일반적인 항해 원칙"(一般的に、航行時には自国の国旗だけ掲揚するのが一般的な航海原則)」と説明しています。これ自体は観艦式に限定しない一般的な内容です。それに続いて「"그런 원칙을 좀 준수해 줄 것을 우리가 강조했다고 보시면 될 것 같다"(そのような原則をいくつか順守してくれるよう韓国側として強調したと理解してほしい*1)」と述べ、正式な通知とは別に軍艦旗ではなく国旗のみを掲揚してほしいという意図を暗に示したようです。

“普通、航行中は自国の国旗だけ掲揚するでしょ。そういったところを踏まえてくださいよ”的な感じでしょうかね。ちなみに韓国軍艦は普段、軍艦旗ではなく国旗を掲揚しているようですが、その理屈が他国にも通じるわけではありませんから、国内向けのブリーフィングとしてそのような表現を使ったように思われます。

それを朝日などが報じる際に、'해상사열 시 자국의 국기와 태극기를 게양하는 것이 원칙'と "일반적으로 항해 시에는 자국의 국기만 게양하는 게 일반적인 항해 원칙"が混ざり、次のように報じられたのではないでしょうかね。

韓国海軍「海上自衛隊旗揚げないで」 観艦式で間接要請

 韓国海軍の報道官は27日、済州島で10月10~14日に他国の海軍との交流などを目的に開く「国際観艦式」に関し、日本などの参加国に「自国の国旗と太極旗(開催国である韓国の国旗)だけを掲揚するのが原則」だと8月31日付で通知した、と明らかにした。

https://digital.asahi.com/articles/ASL9W5284L9WUHBI02V.html

韓国側報道官が旭日旗を掲揚しないように求める主旨でそのように発言したのは間違いないのでその意味では朝日記事は主旨を外しているわけではないのですが、各参加国に通知した内容という意味では誤ったのではないかな、と思われます。



*1:この辺の訳はあまり自信ありません・・・。

消費税増税や軽減税率の不合理に騒いでいない野党ってどこにいるの?

なんか「野党はなぜ消費税増税や軽減税率の不合理を騒がないのだろう」とか言ってる人がいるんですが。

国民民主党

 その中で国民民主党は、来るべき消費税率の引き上げの際に、低所得者対策として「給付つき税額控除」が最適であることを提案してきましたが、政府与党は「軽減税率」を採用しようとしています。
 軽減税率は、(1)消費の多い富裕層ほど恩恵を受ける(2)品目ごとの適用やレシートの発行など、事業者の大きな負担と混乱を招く、といった問題の多い制度です。私たちは軽減税率を伴う消費税率引き上げには賛成できません。

https://www.dpfp.or.jp/article/200678/%E3%80%90%E8%AB%87%E8%A9%B1%E3%80%91%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%AE%E7%B7%8F%E7%90%86%E8%A1%A8%E6%98%8E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

軽減税率の不合理を批判していますね。

共産党

2018年10月16日(火)

増税しないことが「万全の対策」小池書記局長が批判

 日本共産党小池晃書記局長は15日、国会内で記者会見し、安倍晋三首相が臨時閣議で、来年10月の消費税10%増税を表明し、「万全の対策」を指示したことについて「増税しないことが万全の対策だ」と批判しました。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-16/2018101601_02_1.html

どう見ても消費増税反対の立場で批判していますね。

社民党

2018年10月15日

消費税率引き上げとそれに伴う対応について(談話)

社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.安倍首相は、本日午後の臨時閣議で、消費税率を来年10月1日から予定通り10%に引き上げることを表明した。社民党は、逆進性があり、国民生活や景気の悪化を招く消費税率の10%への引き上げには断固反対である。

http://www5.sdp.or.jp/comment/2018/10/15/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E7%8E%87%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E8%AB%87/

間違えようもないくらい明確に反対してますね。

自由党


ツートップが黒田日銀総裁の見解を批判していますね。

希望の党

2018.10.15 | 党声明・談話

安倍総理の消費税増税表明に対しての松沢代表のコメント

安倍総理の消費税増税表明について」
党として、消費税増税に反対する。

https://kibounotou.jp/news/detail/nid:393

これも明確に反対してますねぇ。

その他

ええっと、他に野党っていうと、沖縄社会大衆党日本維新の会くらいかな?



小野寺話法

2018年9月28日の小野寺防衛大臣記者会見。

Q:韓国が来月に予定している国際観艦式について、各参加国に対して、国旗と太極旗のみの掲揚を求めるという通知を出しているということですが、防衛省自衛隊としてこの通知を受け取っているかどうかをお聞かせください。

A:防衛省としては、本年10月11日に韓国において実施される国際観艦式に、海上自衛隊護衛艦を派遣する予定であります。御指摘のありました通知に関しては、相手国の関係もあり、お答えは差し控えさせていただきますが、自衛艦旗の掲揚については、自衛隊法等の国内法令において義務付けられております。また、自衛艦旗国連海洋法条約上、国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す外部標識に該当するものであります。防衛省としては、今般の国際観艦式に自衛隊艦艇を派遣する場合には、このような国内法令等に則って対応する考えであります。いずれにしても、防衛省自衛隊としては、今後も、インド太平洋地域の平和と安定のため、日韓防衛協力をさらに深化・進展させていきたいと考えております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

記者の質問中には「国旗と太極旗のみの掲揚を求めるという通知を出しているということですが」とありますが、防衛大臣は「御指摘のありました通知に関しては、相手国の関係もあり、お答えは差し控えさせていただきます」と具体的な通知の内容について触れていません。後の10月5日には後任の岩屋防衛大臣が具体的な通知の内容についてしゃべっています*1ので「相手国の関係もあり」という理由にはモヤモヤするものがあります。

Q:国内法令に則ってということではありますが、韓国側から、万が一、自衛艦旗を下げてほしいとの要請が続いた場合には、参加の取りやめということもあり得るのでしょうか。

A:国内法令において、自衛艦旗の掲揚については義務付けられておりますし、国連海洋法条約上も国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す外部標識に該当するものと判断しておりますので、当然、これを掲げるということになると思います。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

ここは答えになっていないやり取り。

Q:韓国が自衛艦旗に対して意見を言うようになったのは最近のことであると思いますが、自衛隊は2008年と1998年に韓国の観艦式に参加しておりますが、その時はどのような対応をしたのでしょうか。

A:その時も、自衛隊法等の国内法令に基づき、そして国連海洋法条約上の規定に基づき、船舶の国籍を示す外部標識を掲揚したというふうに報告を受けております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

ここだけは質問に対する答えになっていますが、問題はここから後のやり取りです。

Q:大臣は旭日旗が旧軍から使われてきたものだということについてはどう考えますか。

A:自衛艦旗というのは、外部標識に該当するという判断で掲揚しているということである思います。

Q:旧軍が使ってきたものを、そのまま海上自衛隊が使っていることについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:いずれにしても、今の外部標識は既に定着したものと考えております。

Q:旧軍が使っていたものを、現在の海上自衛隊自衛艦旗として使っていることについてどうお考えでしょうか。

A:この外部標識に該当します旭日旗のデザインについては、太陽をかたどっており、大漁旗や出産、節句の祝い旗として日本国内で広く使われているものと私ども承知をしております。

Q:旧海軍が使っていたものを現在、海上自衛隊がそのまま使っていることについて大臣はどうお考えでしょうか。

A:私どもとしては、既にこの外部標識は定着しているものと考えております。

Q:旧海軍が使っていたものを現在の海上自衛隊がそのまま使っていることについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:繰り返しになりますが、この旭日旗のデザインについては、太陽をかたどっており、大漁旗や出産、節句の祝いの旗として日本国内で広く使われておりますし、また既に自衛隊艦艇の外部標識として定着しているものと考えております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

おそらく同一記者でしょうが、「旧軍が使っていたものを、現在の海上自衛隊自衛艦旗として使っていることについてどうお考えでしょうか」という質問を五回も繰り返しているにもかかわらず、小野寺防衛大臣は一切質問に対して答えず、話をそらそうとしています。

まあ、首相が首相だし、官房長官官房長官ですから、防衛大臣もこの程度ってことでしょうねぇ。