小野寺話法

2018年9月28日の小野寺防衛大臣記者会見。

Q:韓国が来月に予定している国際観艦式について、各参加国に対して、国旗と太極旗のみの掲揚を求めるという通知を出しているということですが、防衛省自衛隊としてこの通知を受け取っているかどうかをお聞かせください。

A:防衛省としては、本年10月11日に韓国において実施される国際観艦式に、海上自衛隊護衛艦を派遣する予定であります。御指摘のありました通知に関しては、相手国の関係もあり、お答えは差し控えさせていただきますが、自衛艦旗の掲揚については、自衛隊法等の国内法令において義務付けられております。また、自衛艦旗国連海洋法条約上、国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す外部標識に該当するものであります。防衛省としては、今般の国際観艦式に自衛隊艦艇を派遣する場合には、このような国内法令等に則って対応する考えであります。いずれにしても、防衛省自衛隊としては、今後も、インド太平洋地域の平和と安定のため、日韓防衛協力をさらに深化・進展させていきたいと考えております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

記者の質問中には「国旗と太極旗のみの掲揚を求めるという通知を出しているということですが」とありますが、防衛大臣は「御指摘のありました通知に関しては、相手国の関係もあり、お答えは差し控えさせていただきます」と具体的な通知の内容について触れていません。後の10月5日には後任の岩屋防衛大臣が具体的な通知の内容についてしゃべっています*1ので「相手国の関係もあり」という理由にはモヤモヤするものがあります。

Q:国内法令に則ってということではありますが、韓国側から、万が一、自衛艦旗を下げてほしいとの要請が続いた場合には、参加の取りやめということもあり得るのでしょうか。

A:国内法令において、自衛艦旗の掲揚については義務付けられておりますし、国連海洋法条約上も国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す外部標識に該当するものと判断しておりますので、当然、これを掲げるということになると思います。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

ここは答えになっていないやり取り。

Q:韓国が自衛艦旗に対して意見を言うようになったのは最近のことであると思いますが、自衛隊は2008年と1998年に韓国の観艦式に参加しておりますが、その時はどのような対応をしたのでしょうか。

A:その時も、自衛隊法等の国内法令に基づき、そして国連海洋法条約上の規定に基づき、船舶の国籍を示す外部標識を掲揚したというふうに報告を受けております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

ここだけは質問に対する答えになっていますが、問題はここから後のやり取りです。

Q:大臣は旭日旗が旧軍から使われてきたものだということについてはどう考えますか。

A:自衛艦旗というのは、外部標識に該当するという判断で掲揚しているということである思います。

Q:旧軍が使ってきたものを、そのまま海上自衛隊が使っていることについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:いずれにしても、今の外部標識は既に定着したものと考えております。

Q:旧軍が使っていたものを、現在の海上自衛隊自衛艦旗として使っていることについてどうお考えでしょうか。

A:この外部標識に該当します旭日旗のデザインについては、太陽をかたどっており、大漁旗や出産、節句の祝い旗として日本国内で広く使われているものと私ども承知をしております。

Q:旧海軍が使っていたものを現在、海上自衛隊がそのまま使っていることについて大臣はどうお考えでしょうか。

A:私どもとしては、既にこの外部標識は定着しているものと考えております。

Q:旧海軍が使っていたものを現在の海上自衛隊がそのまま使っていることについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:繰り返しになりますが、この旭日旗のデザインについては、太陽をかたどっており、大漁旗や出産、節句の祝いの旗として日本国内で広く使われておりますし、また既に自衛隊艦艇の外部標識として定着しているものと考えております。

http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/09/28a.html

おそらく同一記者でしょうが、「旧軍が使っていたものを、現在の海上自衛隊自衛艦旗として使っていることについてどうお考えでしょうか」という質問を五回も繰り返しているにもかかわらず、小野寺防衛大臣は一切質問に対して答えず、話をそらそうとしています。

まあ、首相が首相だし、官房長官官房長官ですから、防衛大臣もこの程度ってことでしょうねぇ。