産経新聞はなぜ嘘をつくのか?(2013年8月7日「主張」)

盆と法事で忙しくアップするタイミングを失っていましたが、とりあえずアップしときます。

産経新聞はなぜ嘘をつくのか?」シリーズは、河野談話慰安婦碑に関する8月4日前後の産経新聞の嘘を主な対象とするつもりでしたが、産経新聞と価値観を共有する安倍政権下で嘘をついても追及される恐れがないからか、とにかくひどい嘘が続いています。この8月だけで産経新聞はどれほど嘘を重ねるつもりなのか、(一応)全国紙でここまであからさまな嘘、個人に対する名誉毀損に該当するデタラメ・中傷を他のメディアや有権者*1がどこまで許容黙認し、社会の低レベル化に加担するのか。産経新聞の嘘を通してそれらが見えてくるかもしれません。

産経新聞は、広島市の秋葉前市長を政治的に嫌っており、事実に反したデマで秋葉氏に対する誹謗中傷を行っています。

【主張】
広島平和宣言 「北の核」批判を評価する
2013.8.7 03:21
 広島は68回目の原爆の日を迎えた。松井一実広島市長は平和宣言で「北朝鮮の非核化と北東アジアにおける非核兵器地帯の創設に向けた関係国の更なる努力が不可欠だ」と述べ、初めて北朝鮮の核問題に言及した。
 秋葉忠利前市長時代の平和宣言は、北の核問題には全く触れず、むしろ米国の「核の傘からの離脱」を求めたりする内容だった。日本が直面する最大の核の脅威に向き合い、それを平和宣言に取り入れた松井市長の判断を評価したい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130807/lcl13080703220000-n1.htm

秋葉忠利前市長時代の平和宣言は、北の核問題には全く触れず」という嘘

産経新聞「主張」(2013/8/7)では、「秋葉忠利前市長時代の平和宣言は、北の核問題には全く触れず」と書いていますが、これも明らかに事実に反します。広島市のホームページを見れば過去の平和宣言を読むことが出来ます。
秋葉市長時代の平和宣言は、1998年から2010年までの13回あり、そのうち2003年、2004年、2005年、2009年の4回、北朝鮮に言及し核兵器廃絶を訴えています。北朝鮮の核開発が問題化した大きな契機は、2003年のNPT脱退表明と、2006年、2009年、2013年の核実験です。このうち2006年の実験は失敗した可能性が高く、北朝鮮に核保有国としての疑惑が高まるのは2009年以降です。広島市の平和宣言は全ての核兵器廃絶を基調としていますので、言及される国の多くは既に核兵器保有している国です。2006年の核実験以前の2003年〜2005年と3回連続で北朝鮮に言及したのは、むしろ北朝鮮の核問題にかなり触れた方だと言えるでしょう。
しかし、産経新聞は過去の秋葉市長時代の平和宣言を一切調べることなく、あるいは調べた上で秋葉氏を中傷するために意図的に紙面で虚偽を述べて、秋葉氏という一個人に対する名誉毀損を行っています。

2003年平和宣言

その光を掲げて、高齢化の目立つ被爆者は米国のブッシュ大統領に広島を訪れるよう呼び掛けています。私たちも、ブッシュ大統領北朝鮮の金総書記をはじめとして、核兵器保有国のリーダーたちが広島を訪れ核戦争の現実を直視するよう強く求めます。何をおいても、彼らに核兵器が極悪、非道、国際法違反の武器であることを伝えなくてはならないからです。同時に広島・長崎の実相が世界中により広く伝わり、世界の大学でさらに多くの「広島・長崎講座」が開設されることを期待します。
2003年(平成15年)8月6日
広島市長  秋 葉 忠 利

https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111639989958/index.html

2004年平和宣言

その結果、米国の自己中心主義はその極に達しています。国連に代表される法の支配を無視し、核兵器を小型化し日常的に「使う」ための研究を再開しています。また世界各地における暴力と報復の連鎖は止(や)むところを知らず、暴力を増幅するテロへの依存や北朝鮮等による実のない「核兵器保険」への加入が、時代の流れを象徴しています。
このような人類の危機を、私たちは人類史という文脈の中で認識し直さなくてはなりません。人間社会と自然との織り成す循環が振り出しに戻る被爆60周年を前に、私たちは今こそ、人類未曾有(みぞう)の経験であった被爆という原点に戻り、この一年の間に新たな希望の種を蒔(ま)き、未来に向かう流れを創(つく)らなくてはなりません。
2004年(平成16年)8月6日
広島市長 秋 葉  忠 利

https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1135059535289/index.html

2005年平和宣言

しかし、今年の5月に開かれた核不拡散条約再検討会議で明らかになったのは、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン北朝鮮等の核保有国並びに核保有願望国が、世界の大多数の市民や国の声を無視し、人類を滅亡に導く危機に陥れているという事実です
これらの国々は「力は正義」を前提に、核兵器保有を入会証とする「核クラブ」を結成し、マスコミを通して「核兵器が貴方(あなた)を守る」という偽りの呪(まじな)いを繰り返してきました。その結果、反論する手段を持たない多くの世界市民は「自分には何もできない」と信じさせられています。また、国連では、自らの我儘を通せる拒否権に恃(たの)んで、世界の大多数の声を封じ込めています。
被爆60周年の今日、「過ちは繰返さない」と誓った私たちの責任を謙虚に再確認し、全(すべ)ての原爆犠牲者の御霊(みたま)に哀悼の誠を捧(ささ)げます。
「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」
2005年(平成17年)8月6日
広島市長 秋 葉  忠 利

https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1154593972880/index.html

2009年平和宣言

採択後の筋書は、核実験を強行した北朝鮮等、全(すべ)ての国における核兵器取得・配備の即時停止、核保有国・疑惑国等の首脳の被爆地訪問、国連軍縮特別総会の早期開催、2015年までの核兵器禁止条約締結を目指す交渉開始、そして、2020年までの全(すべ)ての核兵器廃絶を想定しています。
2009年(平成21年)8月6日
                    広島市長 秋 葉 忠 利

https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1281048141523/index.html


産経新聞社は政治的に嫌悪している相手に対しては、事実を改竄・捏造してでも誹謗中傷を繰り返す政治的に異常に偏向した社風を持っています。


ちなみに、以前にも産経新聞のデマを指摘する記事を書いています。もう4年も前ですね。その後、広島市産経新聞などのデマを否定していますが、相変わらず産経新聞はデマを広げています。日本の恥、人類の恥です。


*1:といっても有権者は今後3年間は国政選挙がないと予測される状況ですから、ほとんど興味を失っているのかも知れません。「しょうがない」と言いながら日本国憲法に書かれた「不断の努力」を怠るのでしょうが、その結果どうなるかを考えるとひどい未来図しか浮かびません。未来から目をそむければ、今を安逸に暮らせるのかもしれませんが、あまりにも刹那的で悲しくなります。