安倍晋三は総理大臣なのか、それとも靖国神社という宗教団体のスポークスマンなのか

言うまでも無く、現在の靖国神社は民間の一宗教団体に過ぎません。たとえ靖国神社のようなカルト団体であっても、反社会的行為を実践・煽動しない限りは、信教の自由として法で保護されるべき存在です。

靖国にヒーローはいない」 安倍首相、海外記者に説明

2014年1月23日05時13分
 安倍晋三首相は22日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加している各国メディア幹部らとの会合で、昨年末に靖国神社に参拝した理由について「いわゆるA級戦犯を称揚するためではない。そこには(戦争の)ヒーローがいるのではなく、戦争に倒れた人々の魂があるだけ。憎しみもないし敵意もないし、人を辱めようというつもりはない」と述べた。
 中国メディアが「戦争犯罪者を英雄だと思っているのか」と質問したのに答えた。首相はさらに「ただ魂を慰霊したい。その人たちに感謝したいという思いがあるだけ。国のために戦った人に手をあわせるのは、世界のリーダーの共通の姿勢だ」と説明。「二度と再び戦争の戦禍で人々が苦しむことがない世界をつくりたいという思いだ」とも述べた。
 出席者から尖閣諸島をめぐる中国との軍事衝突の危険性への認識を問われると、首相は「軍事的衝突は日中両国にとってダメージだ」とした上で、「偶発的な衝突が起こらないようにすることが重要だ。コミュニケーションチャンネルを作ろうと申し入れている」と述べた。

http://www.asahi.com/articles/ASG1Q7WBDG1QUTFK017.html

これまた言うまでも無く、ただ戦没者を慰霊したいというのであれば、靖国神社に参拝する必要性などはありません。まして公人である首相が、民間の一宗教団体(しかもカルト)での慰霊にこだわること自体が異常であって、国立の千鳥ヶ淵戦没者墓苑に行くのが筋でしょう。

靖国戦没者の魂がある”というのは靖国教の教義に過ぎず、宗教団体である靖国神社とその信者の間でのみ共有されている幻想に過ぎません。安倍氏は首相の立場で「いわゆるA級戦犯を称揚するためではない。そこには(戦争の)ヒーローがいるのではなく、戦争に倒れた人々の魂があるだけ。憎しみもないし敵意もないし、人を辱めようというつもりはない」などといっていますが、靖国に戦争のヒーローがいるかどうかは民間宗教団体たる靖国神社が自らの教義に基づいて決めることであり、靖国神社を代表しているわけでもない(はずの)安倍首相が靖国神社の教義に関わる内容を代弁するのは極めておかしな話です。

安倍晋三氏はダボスにおいて、総理大臣として発言したのでしょうか、それとも靖国神社という宗教団体のスポークスマンとして発言したのでしょうか?