個人的に今回の立法院占拠は、民進党系の中の反中強硬派や李登輝派などがシンパの学生らと共謀して起こしたデモで、それに経済協定に不安を覚える民衆が同調したものだと思っています。したがって、反国民党の政治目的・政局的な参加者から、経済協定に不安な民衆、反中強硬派の活動家、単純な民進党支持者などの寄り合い所帯が現在のデモ民衆の構成内容だという判断です。行政府占拠(3月23日)などはデモ内の強硬派の暴発で、ために容易に強制排除されたのでしょう。
実際、アメリカ政府も行政府に進入した学生らの強制排除に対しては何ら懸念を示していません。
Marie Harf
Deputy Spokesperson
Daily Press Briefing
Washington, DC
24-Mar-14QUESTION: On Taiwan, there have been massive student demonstrations in Taiwan against the government’s handling of a trade pact with the Chinese mainland. Do you have any comment on that? And the student demonstrators have taken over the legislature. They tried to move into the Executive Yuan but were put out by riot police.
MS. HARF: Mm-hmm.
QUESTION: How do you see the government’s handling of the situation? Do you have any concerns?
MS. HARF: Well, we certainly support Taiwan’s vibrant democracy, which allows for this kind of robust political dialogue on a range of issues. The agreement on cross-strait trade in services that I think you’re referencing is an issue for Taiwan to decide. We hope that the discussion can be conducted peacefully and civilly. We have welcomed steps taken by both sides on the Taiwan Strait that they’ve taken to reduce tensions and improve relations between Taipei and Beijing. We’d encourage them to continue this constructive dialogue. And again, the specific, I think, agreement you’re referring to is really an issue for them to decide.
QUESTION: Are you offering any counsel to the – President Ma’s government as to what to do and what not to do in terms how – in terms of how to deal with the demonstrators?
MS. HARF: Not to my knowledge. I’m happy to check.
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2014/03/223870.htm#TAIWAN
さらにこのやり取りからわかるように、アメリカ政府は中台協定に賛成の立場( We have welcomed steps taken by both sides on the Taiwan Strait that they’ve taken to reduce tensions and improve relations between Taipei and Beijing.)をとっています。アメリカ政府の要望が穏当かつ丁寧に収めること*1である以上、状況が立法院占拠に留まる限りは馬政権は持久戦をとって構わないことになります。
一見、馬政権が追い込まれているようにも見えますが、デモ側も要望を一本化することに成功しているとは言えず、内部分裂の危機をはらんでいます。
現実的に考えて、立法院を不法占拠している学生らに取り囲まれた状態で総統が公開対話するなどありえません。23日に馬総統は記者会見で見解を表明しています。福島香織氏は元産経新聞記者らしい反中思考で、馬会見をこきおろしています*2が、会見内容を見てみると結構誠実に対応しています。
反中無罪で立法院占拠を支持している連中の多くは嫌韓でもあると思いますが、彼らは以下の馬総統の発言をどう思うのでしょうか?
3月11日、韓国とカナダはFTAの調印を発表し、韓国はアジアで最初にカナダとFTAに調印した国家となった。今後、乗用車、車両部品、冷蔵庫、洗濯機など韓国の97.5%の物品はゼロ関税の優遇を受け、スムーズに輸出できるようになるのである。しかし、台湾からカナダへ輸出した物品は、関税を収めなければならず、これではどのようにして韓国と競争できるというのか?
韓国は台湾にとり貿易競争の上で最大のライバルであり、過去10年間、韓国は大統領が4名就任し、超党派で協力し合うことにより、FTAが1つであったのが、現在は欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)など40カ国あまりを含む11のFTAに調印した。韓国のメーカーは、世界各国で、開放された市場と優遇関税を受けている。しかし、台湾のメーカーは自分たちの競争力が次第に失われていくのをじっと見ているしかないのである。台湾は韓国より10年遅れており、現在追いつこうとしても間に合わないのであり、口ぐちに「急ぐ必要はない」と何ゆえに言うことができるのであろうか。ある首長が以前、台湾はサービス貿易協議が可決しなかった場合、最も喜ぶのは韓国であろうと指摘したことがあった。さらに問題なのは、サービス貿易協議は『両岸経済協力枠組み協議』(ECFA)の一部分であることだ。同協議が可決されなかった場合、台湾の国際的な信用、両岸関係および貿易自由化の努力を著しく損なうことになり、台湾の『環太平洋パートナーシップ協定』(TPP)および『東アジア地域包括的経済連携』(RCEP)参加の機会にも必ず影響を及ぼすことになるであろう。台湾の国際環境はより一層困難な立場となると共に孤立するであろう。
http://www.roc-taiwan.org/JP/ct.asp?xItem=487128&ctNode=1453&mp=202
貿易競争の上で台湾の最大のライバルである韓国に敗れるという危機感が現れていますが、反中無罪で立法院占拠を支持している連中は、中台協定が頓挫して台湾経済が落ち込み貿易競争で韓国に敗れ去っても構わない、と考えているのでしょうか?それとも、ECFAやFTA、TPPなど無くても台湾経済は大丈夫だと思っているのでしょうか?それはどんな根拠で?まさか日本のTPP反対派と同じ論理?なら、日本のTPPにも反対すべきですが、していますか?
反中無罪の愚かさ、矛盾、ダブスタが如実に現れていますが、彼らは自身がハダカであることにすら気付いていないようですね。