台湾関係雑感5・学生側が代表を派遣できない理由

馬総統は学生らが代表を総統府に派遣し、前提条件抜きでサービス貿易取り決めの問題について対話を行うことを受け入れ、話し合いの全行程を公開する用意がある

馬総統、学生抗議デモを理性的と評価 国会占拠の解除を呼びかけ/台湾

中央社フォーカス台湾 3月31日(月)12時8分配信
中央社フォーカス台湾
台北 31日 中央社)中国大陸との「サービス貿易取り決め」の撤回を求める学生団体によって30日午後、総統府前で行われた参加者11万6000人(主催者側発表で50万人)の抗議活動を受け、総統府の李佳霏報道官は同日夜、事態が平和的で理性的に収束したことを馬英九総統は評価しており、人々の要求についてもしっかり耳を傾けたと述べた。
李報道官は学生らに対して憲政体制を尊重し、国会の正常な運営を回復するため一日も早く立法院の占拠を解いて退出するよう呼びかけるとともに、馬総統は学生らが代表を総統府に派遣し、前提条件抜きでサービス貿易取り決めの問題について対話を行うことを受け入れ、話し合いの全行程を公開する用意があるとした。
この日の抗議活動は午後7時40分過ぎに終了したが、最後に壇上でスピーチを行った学生団体の林飛帆代表は、台湾の代議制民主主義が党紀や個人の意思に縛られ機能しなくなり民意を反映していないとし、サービス貿易取り決めの撤回や取り決め監督条例の立法の後で審査を行うなどの要求に対し、馬総統が具体的な約束を何もしていない以上、立法院の占拠を終わらせるわけにはいかないと強調した。
(李淑華/編集:谷口一康)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140331-00000001-ftaiwan-cn

「馬総統は学生らが代表を総統府に派遣し、前提条件抜きでサービス貿易取り決めの問題について対話を行うことを受け入れ、話し合いの全行程を公開する用意がある」というのは、馬政権側の最大限の譲歩でしょうね。これに対して「馬総統が具体的な約束を何もしていない以上、立法院の占拠を終わらせるわけにはいかない」という回答は、立法院不法占拠を政権側に約束を強いる交換条件に使っているわけですから、この状況では、交渉を断っているのは学生側だと言えますし、そろそろそういう指摘が一般でも出てきそうに思えます。
学生側が交渉に応じないのは、意見を取りまとめることができていないからと思います。だから代表に一任できず、派遣も出来ない。2週間続いた占拠を終わらせる落としどころを見失っている状態ですね。
学生側、特に林飛帆氏にとっての正念場です。意見を取りまとめ、強硬な反対派を抑えて非難覚悟で代表として総統府に赴いてある程度でも条件を勝ち得れば、市民運動の英雄ですが、同時に多くの者を敵にまわすことにもなるでしょう。しかし、意見のとりまとめができず内部崩壊すれば、ただの騒動屋として忘れ去られることでしょう。

言うまでもないですが、10万人規模のデモが整然と行われたということは、このデモが政権打倒などと言った動きにならないことを暗示しています。馬政権にすれば、暴発が起きることが一番の懸念ですが、デモが整然となされたことでその可能性はかなり低くなったと言えます。後は立法院を占拠している学生らが根をあげるか、民衆が飽きるかするまで、交渉の用意を示しつつ待てばいいだけです。

さてどうなりますかね。