群馬の件

この件。

強制連行追悼碑:群馬県が「政治利用」と許可更新に応じず

毎日新聞 2014年04月18日 11時20分(最終更新 04月18日 14時01分)
 第二次世界大戦中の強制連行で犠牲になった韓国・朝鮮人を追悼しようと、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に建てられた石碑を巡り、県が「政治利用されている可能性がある」として設置許可の更新に応じていないことが分かった。碑を管理する市民団体「追悼碑を守る会」は「平和と友好を誓った碑を撤去せざるを得なくなる」と懸念している。
 市民団体が県の設置許可を得て、2004年4月に追悼碑を建立。高さ1.8メートルで、「わが国が朝鮮人に対し、多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を深く記憶にとどめ、二度と過ちを繰り返さない決意を表明する」などと刻まれている。
 県や守る会によると、12年から「碑文が反日的なので撤去して」との苦情が計約100件あった。その後、県は、12年の追悼集会で参加者が高校授業料無償化の対象から朝鮮学校を除外する政府方針を批判したことなどについて、「政治的行事を行わないと定めた設置許可条件に抵触する可能性がある」と問題視するようになった。
 県は今年1月に「政治的発言と考えるか」などとの質問を出したが、守る会は「集会が丸ごと政治喧伝(けんでん)の場であったかのように決めつけている」として回答を拒否。碑の設置許可は10年間だが、県は更新申請を保留し、1月に期限が切れた。
 守る会の猪上輝雄事務局長(84)は「韓国や中国との関係がぎくしゃくしているこの時代にこそ、碑の意味がある」と訴える。県都市計画課は「再度の回答要請も含めて対応を検討中」としている。【塩田彩】

http://mainichi.jp/select/news/20140418k0000e040188000c.html

撤去や許可取り消しを露骨に求めているのが救いようの無い排外主義者であることは言うまでもありませんが、社会的により有害なのは「政治的行事を行わないと定めた設置許可条件に抵触する可能性がある」という行政側判断に乗っかって“どっちもどっち”とみなそうとする自称中立の主張の方です。
以下はその見本。

the_sun_also_rises 行政は市民から苦情がある場合対応の必要がある。更に政治的なものを集会で取り上げ県も問題視。そこで質問状を出したが市民団体側は回答を「拒否」。拒否はまずいよね。訴訟してもこの経緯なら県に軍配があがるよ。 2014/04/18
tanaka_yuuma 思いっ切り「政治利用」だな。群馬県には頑張ってほしいですね、手口の汚さは世界一、慰安婦捏造をはじめとして恐喝、詐欺、捏造、窃盗が国技の南朝鮮反日は叩き壊しましょう。 2014/04/18

http://b.hatena.ne.jp/entry/mainichi.jp/select/news/20140418k0000e040188000c.html

しかしながら「12年の追悼集会で参加者が高校授業料無償化の対象から朝鮮学校を除外する政府方針を批判したこと」も県からの質問に対して「回答を拒否」したことも、撤去や許可更新を認めない正当な理由にはならないと考えます。仮に訴訟になったとしても、追悼碑を守る会の言い分が通る可能性の方が高いでしょう。

「12年の追悼集会で参加者が高校授業料無償化の対象から朝鮮学校を除外する政府方針を批判したこと」は「政治的行事」か?

行事内で政治に関連した発言が出たからと言って政治的行事とみなされるか、と言えば一般的な感覚で言っても答えはNOでしょう。航空自衛隊の基地祭で来賓が民主党政権を誹謗した事件がありましたが、だからと言って基地祭を「政治的行事」扱いした人はほとんどいなかったでしょう。
上記のような感覚的な話を除いて、「政治的行事を行わないと定めた設置許可条件」の法的根拠から考えてみても、許可更新を認めない正当な理由とはなり得ない可能性が大です。
設置許可条件の根拠は以下の条例によります。

群馬県立公園条例
(公園施設の設置等の許可)
第十二条 県有公園において、公園施設を設置し、又は管理しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。許可を受けた事項を変更しようとするときも同様とする。
2 前項の許可を受けようとする者は、第九条第一項各号に定める事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。この場合申請書には、第十条に定める設計書等を添付しなければならない。
3 公園施設を設け、又は管理する期間は、十年を超えることはできない。これを更新するときの期間についても同様とする。
4 知事は、第一項の許可に県有公園の管理上必要な範囲内で条件を付することができる。

http://www.pref.gunma.jp/s/reiki/333901010023000000MH/333901010023000000MH/333901010023000000MH_j.html

条例12条4項にあるように設置許可条件は「県有公園の管理上必要な範囲内で」のみ付することが出来るに過ぎません。つまり政治的行事か否かを判断するに際して、政治的発言があったかどうかではなく、「県有公園の管理上」許可を認めないことが「必要な」程度の「政治的行事」であったかを判断する必要があるわけです。
要するに、行事そのものが「県有公園の管理」を損なうレベルでの「政治的行事」であったことが許可を認めない条件として必須なわけです。当然、行事内で政治に言及したことで即「県有公園の管理」を損なうことはまずありえませんから、許可は更新されるべきと考えるのが普通です。

県からの質問に対して「回答を拒否」したことは問題?

自称保守兼反中活動家は「拒否はまずいよね。」と発言していますが、実際にまずいのはどちらかと言えば県の対応の方です。民間団体が行った行事に対して「「政治的発言と考えるか」などとの質問」を出すって、事実上の検閲ですよ。
行事内で「政治的発言」があったとして、それがどのように「県有公園の管理上」問題となるのかが明らかにされていない以上、たとえ県からであってもそのような質問に答える義務はありません。県ができるのはせいぜい、集会時の様子を聴取するくらいまでで、その上で「県有公園の管理上」認められない「政治的行事」か否かを総合的に判断するべきです。言葉尻一つとって問題視するのは、行政のやり方ではありません。

以上の理由から仮に訴訟になれば、団体側が勝利するのはほぼ確実と考えます。

もっとも群馬県知事も県も許可更新には積極的であるようですが。

強制連行碑の更新保留 群馬県「追悼時に政府批判」

2014年4月24日 朝刊
 戦時中に国内に強制連行された韓国・朝鮮人を追悼するため、市民らが群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)に建てた石碑をめぐり、県が「政治的行事をしない」という設置条件が守られなかった可能性があるとして、三月末の設置許可の期限を過ぎても更新していないことが分かった。一方、大沢正明知事は二十三日の記者会見で、碑を管理する市民団体と「しっかりと意見交換したい」などと述べ、更新に柔軟な姿勢を示した。
 追悼碑は二〇〇四年、市民や有識者らの呼び掛けで建立。県内で中国人の強制連行犠牲者も多かった歴史を踏まえ、「アジアの平和と友好の発展を願う」と刻んでいる。市民団体「記憶 反省 そして友好の追悼碑を守る会」(前橋市)が管理し、毎年、碑の前で追悼集会を開いてきた。碑の設置許可は十年ごとに更新することになっていた。
 しかし、県は、一昨年の集会で政府批判があり、「政治的行事を行わない」と定めた設置条件に触れる可能性もあると判断。三月末の期限を過ぎても更新を保留している。守る会によれば、集会は昨年から会場を碑前から移さざるを得なくなったという。
 県によると、碑の内容や設置更新を批判する声が県に寄せられているが、県は「先の大戦のさなか多くの朝鮮人が全国の鉱山や軍需工場に動員された」などと書かれた碑文については問題視していない。
 この日の記者会見で大沢知事は、県が昨年四月に中国に上海事務所を開き、知事自ら現地訪問するなど友好に努めていることに触れ、「中国とは非常にいい関係。慎重に審議して結論を出したい」と述べた。
 十九日に高崎市内であった追悼集会には在日関係者らも出席したが、この日は政治的な発言はなかった。
 集会に参加していた守る会の神垣(かみがき)宏さん(77)=前橋市=は「これまでも、集会では中国人を含めた強制連行の史実に触れた発言があっただけだ。政治的な発言の場にするつもりはなく、県に分かってもらえるまで、いくらでも話し合いを続けたい」と話していた。
 追悼碑の建立に協力し、中国で強制連行の調査をした経験がある日中友好協会前橋支部の飯塚由美子支部長は「県は歴史を真摯(しんし)に受け止め、石碑をきちんと残してほしい」と求めた。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014042402000118.html

東京新聞の記事は良いほうですが、「この日は政治的な発言はなかった」の部分は多少どうかと思います。政治的発言の有無は問題の本質ではないにもかかわらず、これが踏み絵とされる前例とされる恐れを生じされますので、その点を記事で指摘するべきだったと思います。