税金回避を目論む富裕層と国家の対立の問題なんですけど、韓国ってだけでそれが見えなくなる人が多いんでしょうね。

この件。
UAE富豪、投資紛争で韓国政府との仲裁申し立て
簡単に言えば、アラブの富豪が株式売買にあたって税率の低い国に作ったペーパーカンパニーを通して税金を安く済ませようとした、というセコい話です。それに対して国家側が脱税のためのペーパーカンパニーは認めないという対応をとったわけです。

税の公平性から言えば、国家側の対応の方が正当です。海外にペーパーカンパニーを作れるだけの財力を持った富裕層は財力のない一般市民よりも税率を低く抑えることができる、というのは公平ではありませんから。
富裕層対一般市民という視点で見れば、富裕層のやり方の方がセコくずるいやり方で、何とかして正当な税を課そうとするのが当然の対応でしょう。その意味では韓国政府の取った対応が特に責められるものとは思えません。
富裕層の視点で見れば、税率の高い国に税金なんか払ったりしたくないわけで、そこで税金を逃れる手段を色々考えるわけですが、これを富裕層視点でしか考えられない一般市民様は飼いならされてるなぁと思わざるを得ませんね。

日本の場合で考えれば、日本国内で金儲けをしていながら、税金は日本政府ではなく税率の低い国に払っている、という状況です。

法人税率を下げないと富裕層が海外に逃げ出してしまう”的な論説は良く聞きますが、今回の件も同じような構図なわけです。

富裕層様に税金を国内に落としていただくために各国間で法人税ダンピング競争をやるべきか、それとも富裕層の税逃れを認めない仕組みづくりをするか、そのあたりがこの件での論点になるべきだと思うんですけど、嫌韓フィルタにかかるとそういう問題は見えなくなるんでしょうね。
困ったものだ。

記事入力 : 2015/05/22 09:17

UAE富豪、投資紛争で韓国政府との仲裁申し立て

 アラブ首長国連邦UAE)の富豪、シェイク・マンスール・ビン・ザイド・アルナヤン氏(45)が保有する企業がこのほど、韓国政府を相手取り、投資家・国家間紛争(ISD)条項に基づく1800億ウォン(約200億円)規模の仲裁申し立てを行った。米プライベート・エクイティー投資会社、ローンスターが起こした5兆ウォン(約5500億円)規模の訴訟に続き2件目のISD訴訟となる。
 韓国国税庁によると、UAE国営の国際石油投資会社(IPIC)の子会社「ハノカル・インターナショナル」と「IPICインターナショナル」は現代オイルバンクの株式売却に絡む課税問題で先月30日、世界銀行傘下の仲裁機関、国際投資紛争解決センター(ICSID)に韓国政府との間の国際仲裁を申し立てた。ICSIDは今月20日、申し立てを受理し、仲裁団の構成などの手続きに入った。国際仲裁は通常、申し立てから1−2年後に審理が始まる。
 英プレミアリーグマンチェスター・シティーFCのオーナーとして知られるマンスール氏は、UAEの副首相を務め、アブダビ首長国の王子でもある。個人資産は30兆ウォン(約3兆3000億円)を超え、年収は4兆7000億ウォン(約5200億円)に達するとされる。
 IPICはオランダに設立した子会社ハノカルなど2社を通じ、1999年に現代オイルバンクの株式50%を取得後、2010年に現代重工業に1兆8381億ウォン(約2030億円)で売却した。当時現代重工業源泉徴収分として、譲渡代金の10%に相当する1838億ウォン(約203億円)を国税庁に納付した。ハノカルなどは、韓国とオランダが結んだ租税条約(二重課税防止協定)によれば、韓国政府はオランダ企業の株式投資利益に課税権はないはずだと主張。国税庁を相手取り、韓国の裁判所に提訴したが、一、二審ともに敗訴し、現在は大法院(最高裁に相当)で上告審が続いている。
 国税庁関係者は「ハノカルなどオランダ企業は一種のペーパーカンパニーであり、韓国とオランダの租税条約は適用されず、韓国とUAEによる租税条約に基づき課税したものだ。課税に何ら問題はない」と説明した。
尹柱憲(ユン・ジュホン)記者
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

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