民主・自民・公明の三党合意で入っていた景気弾力条項を安倍政権が反故にしたくせに民主に責任を押し付けるってのは、いかも安倍らしいやり方

自民党の無責任な政治家がこんなことを言っているようで。

社会保障安定には消費税上げるべきだ」 自民・逢沢氏

2016年5月22日16時37分
逢沢一郎自民党1億総活躍推進本部長
 (来年4月の消費税10%への引き上げは)すでに法律で決まっていて、しかも一度先送りした経緯がある。東日本大震災や、リーマン・ショックのようなことが起きない限り(予定通り引き上げる)、と安倍晋三首相は重ねておっしゃっている。ただ、世界経済は非常に不透明感を増している。今年は主要7カ国(G7)の議長国だから、G7で協調しながら、世界の経済を成長させる大きな役割を担っているのも事実だ。さまざまなことを考えて、最終的に首相が適切に判断するだろう。
 ただ、私は野党時代、社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の理事をやった。誰が首相でも、どの党が政権を取っても、財政の健全化を目指す、そして特に社会保障を安定させる、それにはやっぱり消費税だという自民、公明、当時の民主の大きな了解であの法律を通した。その立場からすると、やはり、ここは消費税を上げるべきだと思う。上げられる状況に近づいてきている、そう思っている。(NHKの番組で)

http://www.asahi.com/articles/ASJ5Q53PWJ5QUTFK004.html

そもそも2012年の民主党自民党公明党の三党が合意して成立した消費増税法には景気弾力条項がついていました。

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消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)
 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
 2 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/sh20120330g.htm

名目経済成長率3%、実質経済成長率2%を目指した経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置によって「経済状況を好転させることを条件として」消費税率の引上げを行うことになっている内容です。
経済状況の判断もちゃんとやれということになっています。
もしこの付則18条が生きているなら、名目経済成長率3%、実質経済成長率2%に程遠いアベノミクス下の経済状況(2015年度の年次GDP成長率は名目2.2%、実質0.8%*1)では、増税に待ったをかける判断が当然にありえたわけです。

ところがこの付則18条、「平成二十四年八月二十二日法律第六十八号」の一部は安倍政権によって未施行にされてしまいました。

平成26年11月18日
安倍内閣総理大臣記者会見
安倍総理
 来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html

そもそも2012年の民自公三党合意には景気弾力条項があり、2014年に10%への増税を延期したのもその条文によるものでした。それを安倍政権が増税延期を衆院選に利用した際に景気弾力条項を外してしまったため、2017年4月には「確実に上げ」なければならなくなりました。
いわば、安倍首相が勝手に政権公約として2017年4月の増税決定を掲げたわけですから、来年消費税を上げなければならない原因は安倍政権にあるとしか言いようがなく、責任とは自民党公明党にのみあります。

安倍政権・自民党公明党は「平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたい」と言って、2014年の衆院選を行なったわけです。

安倍首相は2014年11月18日の記者会見でこうも述べています。

公約に書いていないことを行うべきではない。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html

じゃあ、公約した2017年4月の増税は安倍政権の責任でやるんですよね?「平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げる」というのは安倍政権の2014年衆院選における公約ですよね?
わざわざ景気弾力条項を外して、経済状況に関わらず増税するといった安倍首相本人です。

まあ、こういう安倍晋三という詐話師のような男を信用して自民党に投票する有権者が、こういう首相による虚言や詐欺を容認しているわけですから救いのない話ですが。