起訴猶予って「何も問題がなかった」わけじゃないと思うが・・・

この件。

音喜多駿都議の“OL強姦”疑惑が発覚!

週刊文春 7月27日(水)16時1分配信
 今回の都知事選で小池百合子氏を支援している音喜多駿都議(北区選出、無所属・32)にOLへの“強姦”疑惑が明らかになった。
 当選前の2010年、音喜多氏は飲み会で知り合った大手企業勤務のOLと性的関係を持ったが、同年5月、その女性が警察に対して「音喜多氏に強姦された」と訴えたという。
 音喜多氏は検挙され、事情聴取は数回に及んだが、同年8月に起訴猶予処分となった。
 音喜多氏は、小誌の取材に対し、「事実関係として女性と性的関係はあり、女性との行き違いから警察にご協力はしましたが、何も問題がなかったので円満に解決しています」と語った。
 詳細は「週刊文春」7月28日発売号で報じている。
週刊文春2016年8月4日号『スクープ速報』より>
週刊文春」編集部

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160727-00006416-sbunshun-pol

おときた議員は「事実関係として女性と性的関係はあり、女性との行き違いから警察にご協力はしましたが、何も問題がなかったので円満に解決しています」と言ってるようですが、起訴猶予処分を受けたのなら、法的には被疑事実が明らかにあったということになりますよね。

法務省サイト)
不起訴
  検察官の行う終局処分のうち,公訴を提起しない処分を不起訴処分といいます。不起訴処分の態様には,主に次のようなものがあります。

訴訟条件を欠く場合   被疑者が死亡したとき,親告罪について告訴が取り消されたときなどです。
被疑事件が罪とならない場合  被疑者が犯罪時14歳に満たないとき,被疑者が犯罪時心神喪失であったときなどです。
犯罪の嫌疑がない場合   被疑者が人違いであることが明白になったとき,又は被疑者がその行為者であるかどうか,若しくは被疑者の行為が犯罪に当たるかどうかの点について認定すべき証拠がないことが明白になったとき,又はこれらを認定すべき証拠が不十分なときなどです。
起訴猶予  被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときなどです。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji09.html

法務省のサイトの「起訴猶予」の説明には「被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないとき」とはっきり書かれています。

刑事訴訟法
第二百四十八条  犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

法務省統計によれば、おときた議員による強姦事件があったとされる2010年の強姦事件*1の既済人員は1408人でそのうち起訴されたのは568人(40.3%)で、起訴猶予は42人(3.0%)に過ぎません。不起訴の多くは嫌疑不十分(413人(29.3%))や告訴取消等(165人(11.7%))となっています*2
おときた議員が言うように本当に「何も問題がなかった」のなら、嫌疑不十分や告訴取消になっていたように思われます。

少なくとも「円満に解決」とは言えないでしょう。

*1:強姦・強姦致死傷・集団強姦・集団強姦致死傷

*2:10-00-08 [被疑事件の受理及び処理状況] 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001078043&disp=Other&requestSender=dsearch