2017年1月9日(月)の午後10時00分からBS1で「BS1スペシャル▽文化大革命50年知られざる“負の連鎖”語り始めた在米中国人」の再放送があります。
以前の記事で言及した番組です。
文化大革命の事実の発掘は中国では進んでいない。歴史を風化させてはならないと語り始めたのが、アメリカ在住の中国人たち。証言からは従来の見方とは違う実態が見えてきた…。文革の恐ろしいうねりを広げたのは、紅衛兵とよばれる若い知識層ではなく、対立する造反派と呼ばれる若者と労働者だった。何があったのか。浮かび上がる群集心理。そして、負の連鎖の記憶を後世に残そうと声を上げ始めた人たち。50年目の思いと実像
http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2017-01-09/11/25486/2737014/
この番組に言及した梶谷氏は「明らかに権力による白色テロという側面」と言っていますが、番組ではそういった点は特に強調していません。
NHKサイトの番組説明からわかるように、「紅衛兵とよばれる若い知識層」に加えて「対立する造反派と呼ばれる若者と労働者」に焦点が当てられ、暴力が拡大している「負の連鎖」を「群集心理」から紐解こうとした構成になっています。
もし白色テロとしての側面を語るのならば、政治・軍事の指導者層の動きを詳細に説明しなければなりませんが、番組では「群集心理」に影響を与えた政治的な出来事を二つ、三つほど簡単に触れるだけです。
番組だけでは政治的背景や流れを知ることはできませんので、別に学んだほうが良いと思います。そもそも番組の内容は1966年〜1968年くらいが対象範囲になっていて紅衛兵運動の時期ですが、文革はそれ以降も続き下放や林彪事件などがあります。
権力闘争のプレイヤーも目まぐるしく変わるため、個々の事件、人物の評価がかなり複雑にならざるを得ない状況です。
毛沢東を悪魔化しておしまい、といった単純思考で見るとほぼ間違いなく論理破綻すると思います。
番組はそういった評価を対象とせず、民衆レベル、特に様々な紅衛兵(造反派含む)の立場から、暴力の負の連鎖を描いています。