共同:潘氏、10億円「返還を」少女像撤去が条件なら
朝鮮日報:慰安婦:潘基文氏「少女像撤去条件なら10億円返すべき」
中央日報:潘基文氏「10億円は日本に返すべき…THAAD配備は支持」(1)
タイトルを見る限り、いずれも“10億円を返すべき”という部分に力点が置かれた感じです。
朝鮮日報の記事では、発言前後のつながりが多めに記載されています。
―日本軍の慰安婦問題に関する立場は。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/13/2017011300649.html
「慰安婦問題で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の勇気が歴史的に評価を受けると述べたのは、国連事務総長として韓日で長年の懸案だった問題で合意に至ったことを歓迎したものであって、具体的に何がうまくいったのかに言及したものではない。最近釜山に少女像を建てたことについて、日本がああだこうだ言っているが、万一(慰労金)10億円が少女像の撤去に関連したもだとすれば、それは間違いだ。それならばカネを返さなければならない話だ。私は日本の安倍晋三首相とクリスマスに電話で話したが、慰安婦問題など歴史問題については公平にアプローチし、未来志向的に解決すべきだとはっきり話した」
これを読むと“もし10億円が慰安婦像撤去の対価であるならば、10億円を返さなければならない”という趣旨であって、潘氏が大統領になったら“10億円を返す”という意味ではなく、“10億円は慰安婦像撤去の対価ではない”という意図で理解したほうが良さそうに思います。
つまり、仮に潘氏が大統領になっても、“10億円は慰安婦像撤去の対価である”証拠が出ない限り、すなわち朴政権と安倍政権の間で慰安婦像撤去の裏合意の存在が示されない限り、“10億円を返す”必要性は生じないし、慰安婦像の撤去が義務付けられるわけでもない、と。
中央日報やそれをひいている共同記事では、潘氏発言を“裏合意の存在を前提視した10億円返還の意思表示”であるかのように報じており、ちょいと不適切な感じです。
“裏合意”が存在する場合
朴政権と安倍政権との間に10億円を慰安婦像撤去の対価とする“裏合意”が存在した場合、法的根拠なく国民の財産権を侵害するような合意を朴政権が行ったことになります。
朴政権に対する追及は当然として、それ以外にも国会による立法という形での同意を得ない限り、韓国政府には慰安婦像を撤去する権限がありませんので、撤去自体不可能です。
その場合、韓国新政権としては、朴政権が権限のない行為を条件として合意したことを日本政府に説明し、10億円を日本に返還する以外ありません。
日本政府がそれを受け取るか否かに関わりなく、韓国政府には撤去の権限がないため撤去されないことに変わりありません。
“公道上に慰安婦像を置くことは違法だから撤去せよ”といった日本側の主張をよく見かけますが、日本の道路法上の「違法放置物件」でも撤去できる条件として「道路の構造に損害を及ぼし、若しくは交通に危険を及ぼし、又はそれらのおそれがあると認められる場合」*1が挙げられています。
韓国の法制も同様であるとすれば、道路の構造に損害を及ぼさず、交通の危険もないように設置された慰安婦像を撤去する権限がありません。
“公道上に慰安婦像を置くことは違法だから撤去せよ”と主張してる人たちが韓国のどのような法に基づき撤去せよと主張しているのかちょっとよくわかりません。
“裏合意”が存在しない場合
おそらく存在しないと思いますがその場合、10億円は慰安婦像撤去の対価ではありませんので、撤去しなくても10億円を返す必要性は生じません。
韓国新政権としては、「可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,適切に解決されるよう努力」していれば、それで合意を履行していることになります。
いつまでに成果を出すよう明記されているわけでも、適切な解決が撤去・移転であると書かれているわけでもありません。韓国政府としては可能な対応方向について関連団体と協議してればいいだけですし、開き直って、“関連団体と協議した結果、慰安婦像をそのままにしておくことが「可能な対応」であって適切な解決である”と主張することもできます。
もちろん日本政府は抗議するでしょうが、韓国政府としては解決済みだと突っぱねることができます。日本政府が日韓基本条約で解決済みだと突っぱねてきたやり方を、韓国政府が日本政府に対してやるようなものですね。
韓国新政権がそこまでえげつないやり方をするかどうかはともかく、そういう可能性もあるという話。
https://this.kiji.is/192455898172474877潘氏、10億円「返還を」少女像撤去が条件なら
2017/1/13 10:54
1/13 11:09updated
【ソウル共同】韓国紙、中央日報は13日、同国大統領選に出馬意欲を見せている潘基文・前国連事務総長が、従軍慰安婦問題の日韓合意で日本が韓国に拠出した10億円を巡り、ソウルの日本大使館前の少女像撤去が条件なら「(日本に)金を返してやらねばならない」と述べたと報じた。
潘氏は、12日に韓国に移動した飛行機内で同紙に「10億円が少女像の撤去と関連したものなら、(合意は)間違ったものだ。それならいっそ金は返してやらねば。話にならない」と述べた。
記事入力 : 2017/01/13 09:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/13/2017011300649.html慰安婦:潘基文氏「少女像撤去条件なら10億円返すべき」
■潘基文前国連事務総長、帰国機内インタビュー
「10年ぶりに故国に戻るのがこんなにつらいのか。恐怖を感じる。複雑に絡まった乱脈ぶりをどのように解決していくのか、悩みは本当に多かった」
11日に10年間働いた米ニューヨークを離れ、帰国の途に就いた潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長の表情には興奮と恐怖が入り混じっていた。仁川空港に向かう機内で2回、2時間かけて行われたインタビューで、潘氏は自身が韓国大統領選に出馬する理由、自分の競争力、国をどのように率いていくのかなどについて持論を語った。潘氏は同日朝、年末の退任から1週間の休暇を過ごしたニューヨーク州北部の山荘を出発し、ジョン・F・ケネディ国際空港へと直行した。潘氏は14時間の移動中、3時間しか眠らず、「第4次産業革命」などの本を読んでいた。潘氏は「事務総長の任期中もそうやって過ごしてきた」と語った。―日本軍の慰安婦問題に関する立場は。
「慰安婦問題で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の勇気が歴史的に評価を受けると述べたのは、国連事務総長として韓日で長年の懸案だった問題で合意に至ったことを歓迎したものであって、具体的に何がうまくいったのかに言及したものではない。最近釜山に少女像を建てたことについて、日本がああだこうだ言っているが、万一(慰労金)10億円が少女像の撤去に関連したもだとすれば、それは間違いだ。それならばカネを返さなければならない話だ。私は日本の安倍晋三首相とクリスマスに電話で話したが、慰安婦問題など歴史問題については公平にアプローチし、未来志向的に解決すべきだとはっきり話した」
http://japanese.joins.com/article/639/224639.html潘基文氏「10億円は日本に返すべき…THAAD配備は支持」(1)
2017年01月13日07時49分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] comment171 sharemixi
潘氏は米ニューヨークから仁川空港に向かうアシアナ航空便に同乗した中央日報の記者のインタビューで、政治交代のための戦略と構想の一部を表した。まず潘氏は自身を「進歩的な保守主義者」と規定した。また、釜山(プサン)少女像撤去をめぐる日本との葛藤および財閥改革問題に対し、与野党を行き来する立場を明らかにした。潘氏は「(日本が12・28慰安婦合意に基づき拠出した)10億円が少女像撤去と関係があるものなら間違っている」とし、政府を批判した。さらに「むしろお金を返すべきであり、話にならない」と述べた。少女像と10億円を結びつけた裏面合意が存在するのではと言いながら10億円の返還を要求する野党側の主張とは似た趣旨の発言だった。
潘氏は「財閥があらゆることを統制するため、中小企業が生きる道がない」とし「財閥改革は避けられない」とも述べた。「財閥の影響があまりにも大きいので階層間の葛藤が生じる。下請け企業が(大企業と)同じことをしても60%の賃金しか受けられなければ不公正で不公平な社会」と話した。
高高度ミサイル防衛(THAAD)体系配備問題については「支持する。韓米同盟は最も重要な防衛軸」と話した。中国のTHAAD撤回圧力に関しては「韓中関係は韓国だけに重要なものではなく、中国にも重要だ。外交で解決することができる」と主張した。どちらか一方の陣営に傾かず事案別に回答を出した潘氏は結局、第3地帯に外縁を拡張するという意向を明らかにした。
潘氏は「金鍾仁(キム・ジョンイン)、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)元共に民主党代表、安哲秀(アン・チョルス)元国民の党代表に会う準備ができている。時間があまりないので会って実質的な対話をしたい」とし「これからは私を支える政党と組織がなければいけない。国民統合と社会・経済的大妥協のために力になる人なら誰とでも一緒にする用意がある」と説明した。潘氏は「正しい政党の候補として出馬する考えはないのか」という質問に対し、「今すぐ既存の政党に合流する考えはない」と答えた。