その理屈だと“「徴用工」の賃金は日本政府にも流れていた”ということになるのだが

最近はやりのデマである下記の件。
「徴用工」の賃金は共産党に流れていた(12/1(土) 7:31配信 デイリー新潮)
金賛汀朝鮮総連」の記載自体は未確認ですが、上記記事などで引用されている内容が正しいという前提で、それ以外の部分を指摘しておきます。

「強制労働者の未払い賃金」

「最大の財源になったのは帰還していく強制労働者の未払い賃金等であった。1946年末までに朝連中央労働部長名で強制連行者を雇用していた日本の各企業に未払い賃金の請求が出された。
 その請求額は4366万円に達し、朝連はかなりの金額を企業から徴収し、それらのほとんどは強制連行者の手には渡らず朝連の活動資金に廻された」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181201-00552666-shincho-kr

敗戦直後に朝鮮人連盟が日本企業から「強制労働者の未払い賃金」を徴収したという話です。それ自体は間違っていないと思いますが、今回の韓国大法院で下された賠償命令は、不法な植民地支配下の不法な侵略戦争に直結した企業活動としての強制動員によって環境で不当な労働を強いられたことに対する慰謝料であって「未払い賃金」の支払い命令ではないんですよね。

朝鮮人連盟が共産党再建に協力したのは事実だろうけど

日本共産党の資金に

 当時の4366万円がどれほどの大金かは言うまでもないだろう。少なく見積もっても現在の価値に換算すれば数十億円になるのは間違いない。
 そして同書はこの莫大な金の行先について驚くべき指摘をしている。
「これらの豊富な資金は日本共産党再建資金としても使用された。1945年10月10日、連合国最高司令官・米国太平洋陸軍司令官総司令部(GHQ)は府中刑務所に収容されていた徳田球一、金天海ら16名の共産主義者などを釈放した。彼らを府中刑務所門前で出迎えたのは日本の各地からトラックに分乗して集まってきた数百人の朝鮮人だった」
 釈放された徳田らは、すぐに日本共産党再建委員会を組織して、7人の中央委員を選出した。
「こうして日本共産党は活動を再開したが、金天海が中央委員に選出されたこともあって、日本共産党再建初期の活動資金のほとんどは朝連が拠出した。こうして朝連と日本共産党の強い結びつきが成り立ったのであった」
 まとめると、朝鮮総連が企業から金を徴収し、それを日本共産党献金した、という具合に金が流れたのだ、と金氏は指摘している。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181201-00552666-shincho-kr

「強制労働者の未払い賃金」の請求を出したのは「1946年末まで」で、共産党員の釈放は1945年10月10日。徳田球一衆議院議員に当選するのは1946年4月の衆院選。時系列的には「強制労働者の未払い賃金」がそのまま「日本共産党の資金に」なったとは考えにくいところです。
また、1946年の選挙ですが、この時既に日本政府は朝鮮人らから日本国籍を取り上げ選挙権も与えていませんでした。敗戦になるまで日本が起こした侵略戦争朝鮮人を協力させた挙句、戦争が終わった途端に、支援対象からも民主化からもはじき出したわけです。数十万人に上る朝鮮人らの意見を政治の場に届けられる政党のひとつが共産党であって、投票以外の手段として資金援助するのは至極当然の話でしかありません。

共産党が代々木のビルを売って、遺族の方に返せばいいではないか」?

 常に日本の戦争責任に厳しい共産党の従来からの路線に則った主張なのだろうが、過去の清算を率先して行う気持ちはあるのだろうか。
 上念氏は同番組で「共産党が代々木のビルを売って、遺族の方に返せばいいではないか」と語っている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181201-00552666-shincho-kr

どうも上念氏らをはじめとする嫌韓ウヨ連中は、朝鮮人連盟から献金を受けた共産党に過去の精算責任があると思っているようです。
その思考回路の根幹は、朝鮮人連盟が集めた資金は連盟乃至共産党にしか流れていないという思い込みにあるのでしょうが、実は違います。
1949年9月8日、朝鮮人連盟は日本政府によって強制解散させられていますが、その際に朝鮮人連盟所有の財産も日本政府によって接収されています。

日本政府は接収した財産をどう使うか思案し、1950年に解散団体財産収入金特別会計法(法律第六十六号(昭二五・三・三一))を成立させ、その特別会計に接収財産を繰り入れます*1

昭和25年度(1950年度)の解散団体財産収入金特別会計の歳入額は、実に3億7979万8000円に達します*2
日本政府は、朝鮮人連盟が各企業に請求した金額を遥かに超える財産を強制的に接収したわけです。

さて、朝鮮人連盟から資金援助を受けた共産党に過去の精算責任があるというならば、朝鮮人連盟を解散してその財産を接収した日本政府にも当然過去の精算責任があるということになりましょうね。
すなわち、「日本政府が国有資産を売って、遺族の方に返せばいいではないか」ということになります。



「徴用工」の賃金は共産党に流れていた

12/1(土) 7:31配信 デイリー新潮
 韓国で三菱重工業にも賠償を支払う判決が出たことで、徴用工問題はますます泥沼化している。そんな中で、14年も前に刊行された本の記述がネット等を中心に話題となっている。
 11月28日、経済評論家の上念司氏が、「真相深入り! 虎ノ門ニュース」(DHCテレビ)で取り上げたのは、2004年に刊行された『朝鮮総連』(金賛汀・著)。金氏はノンフィクション作家で内容紹介によれば「かつて組織内に身を置いた著者が、痛恨と義憤の思いで綴った」一冊だ。
 注目を集めているのは、戦後間もない時期の朝鮮総連の活動資金に関する次のような記述だ。
「最大の財源になったのは帰還していく強制労働者の未払い賃金等であった。1946年末までに朝連中央労働部長名で強制連行者を雇用していた日本の各企業に未払い賃金の請求が出された。
 その請求額は4366万円に達し、朝連はかなりの金額を企業から徴収し、それらのほとんどは強制連行者の手には渡らず朝連の活動資金に廻された」

日本共産党の資金に

 当時の4366万円がどれほどの大金かは言うまでもないだろう。少なく見積もっても現在の価値に換算すれば数十億円になるのは間違いない。
 そして同書はこの莫大な金の行先について驚くべき指摘をしている。
「これらの豊富な資金は日本共産党再建資金としても使用された。1945年10月10日、連合国最高司令官・米国太平洋陸軍司令官総司令部(GHQ)は府中刑務所に収容されていた徳田球一、金天海ら16名の共産主義者などを釈放した。彼らを府中刑務所門前で出迎えたのは日本の各地からトラックに分乗して集まってきた数百人の朝鮮人だった」
 釈放された徳田らは、すぐに日本共産党再建委員会を組織して、7人の中央委員を選出した。
「こうして日本共産党は活動を再開したが、金天海が中央委員に選出されたこともあって、日本共産党再建初期の活動資金のほとんどは朝連が拠出した。こうして朝連と日本共産党の強い結びつきが成り立ったのであった」
 まとめると、朝鮮総連が企業から金を徴収し、それを日本共産党献金した、という具合に金が流れたのだ、と金氏は指摘している。
「しんぶん 赤旗」によれば、共産党志位和夫委員長は、一連の徴用工をめぐる判決について、「徴用工問題の本質は、侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題です。日本政府と該当企業は、過去の誤りへの真摯な反省を基礎にして、被害者の尊厳、名誉を回復するために努力すべきです」とコメントしたという(11月13日付記事)。
 常に日本の戦争責任に厳しい共産党の従来からの路線に則った主張なのだろうが、過去の清算を率先して行う気持ちはあるのだろうか。
 上念氏は同番組で「共産党が代々木のビルを売って、遺族の方に返せばいいではないか」と語っている。
デイリー新潮編集部
2018年12月1日 掲載

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181201-00552666-shincho-kr