自民党のアジア太平洋戦争正当化勉強会に対する朝日記事の読み取り方が違うと思う

どこが未来志向やねん、と言いたくなるこの件。

東京裁判やGHQ政策など検証へ 自民総裁直属の新組織

2015年11月12日08時16分
 自民党は11日、日清戦争から東京裁判、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策などを検証する安倍晋三総裁(首相)直属の新組織を立ち上げることを決めた。結党60年を迎える今月中に発足させ、トップには谷垣禎一幹事長が就く。
 稲田朋美政調会長が6月、東京裁判について「判決理由にある歴史認識はあまりにもずさん。日本人による検証が必要だ」などと設置を明言した。ただ、こうした動きは歴史認識を重視する中国や韓国だけでなく、戦勝国・米国の反発を招く恐れがあるため、穏健派の谷垣氏をトップにし、結論はまとめない勉強会形式にした模様だ。

http://www.asahi.com/articles/ASHCC7KGQHCCUTFK00Y.html

自民党が「日清戦争から東京裁判、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策などを検証」というのは、字義通りの「検証」ではなく実態として大日本帝国の正当化なのは言うまでもないでしょう。
アレフがオウム裁判に対して「判決理由にある事実認識はあまりにもずさん。アレフによる検証が必要だ」と言うようなものですが、被害者意識で連帯感を醸成している今の日本人には受け入れられることでしょう。しかしまあ、四半世紀前までは比較的まともな感覚を維持していた日本社会もここまで劣化したのだなと慨嘆せざるを得ません。それも加速度的に悪化したのは自民党が野党となって歴史修正主義に全面的染まり安倍を担ぎ上げたここ5年くらいと言っていいでしょうから、わずかな期間でこうまで変わるのかと悪い意味で驚きます。

戦勝国・米国の反発を招く恐れがあるため、穏健派の谷垣氏をトップにし、結論はまとめない勉強会形式にした模様」てのは違うと思う

穏健派(笑)の谷垣氏をトップにしたのは、自民党内での踏み絵的な儀式でしょ。
“お前は皇国史観に忠誠を誓うか”と問いかけてるようなもんです。安倍の意に沿わない展開にすればネトウヨ右翼団体からの猛攻撃に曝され、安倍の意のままに展開すれば歴史修正主義との批判の矢面に立たざるを得ないわけですから、安倍首相が谷垣氏に対して旗幟を鮮明にするように迫っていると見るのが正しいと思いますよ。

「結論はまとめない勉強会形式にした」のが「米国の反発を招く恐れがあるため」と言うのは間違ってはいないでしょうが不十分で、結論をまとめてしまえば、それに対する歴史学的なものをはじめとする様々な批判が生じますから、それを避けるためというのが最大の理由でしょうね。要するに安倍政権にとっては、日本による侵略戦争や植民地支配、国家主義軍国主義とそれに伴う国内弾圧などに対して、否定的な印象を国民が抱くように操作できればそれで良く、新しく歴史認識の体系を作るつもりはないんですよ。安倍政権がやりたいのは歴史研究ではなく政治、それも国民に一方的な被害者意識を刷り込み、海外に対する警戒心や反発を植えつけることによって“日本人意識”を強化・結束させ国内での自らの求心力を高めると言う政治です。
「結論はまとめない勉強会形式」であっても、安倍政権や日本会議自虐史観とみなしている歴史に対しては、それを否定できるかのような切り取った情報を、安倍政権御用メディアである産経新聞や読売新聞あたりが“報道”するのは、いちいち指摘する必要もないでしょう。

今年(2015年)の1月に私はこう書いたことがあります。

右傾化というのは、権力者が直接明言して命令しなくても、権力におびえる者や権力に媚を売る者たちが“自発的に”権力者の意図を忖度し、相互監視や自主規制を強めていくことでも成立します。
この動きはもう止められません。
遠からず、南京事件が否定され、強制連行は無かったことにされ、アジア太平洋戦争は“正義の戦争”にされるでしょう。
そして、“正義の戦争”に殉じた日本軍を祀った靖国神社に首相が公式参拝することになるわけです。
日本人はもう一度80年前に先祖返りして、同じ愚行を繰り返すのでしょうね。
現在の日本人が歴史から何も学ばなかったツケを私たちの子や孫がその命で償うことになります。

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20150109/1420822478

予想よりも遥かに速いペースで懸念が現実化しつつありますが、書いた当時はこうも言われました。

「この動きはもう止められません」のあたりから先は理解できなくなった。特に根拠がない希望的観測ということでしょうか?
hsenyoのコメント 2015/01/11 12:23

http://b.hatena.ne.jp/entry/238686561/comment/hsenyo

今もそう思ってるのでしょうかね。