フィンランドでの米朝の非公式会合が日本大使館で行われるという情報は何だったんだろう?

3月18日から19日にかけて、こんなニュースが流れました。

ヘルシンキ日本大使館か、米朝が非公式接触へ

2018年03月19日
 【ソウル=岡部雄二郎】韓国の聯合ニュースは18日、北朝鮮外務省で米国を担当するチェ・ガンイル北米局副局長が同日、米国の元政府高官との非公式接触のためフィンランドに向かったと報じた。
 北京の空港での取材にチェ氏は「今は話すことはない」と語った。
 同ニュースは複数のフィンランドメディアを引用する形で、相手が米国のスティーブンス元駐韓大使で、ヘルシンキ日本大使館で接触するとしている。
2018年03月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000301/20180319-OYT1T50011.html

北朝鮮外相、スウェーデン外相と会談 副局長はフィンランド

朝鮮半島
2018/3/18 17:00
 【ソウル=鈴木壮太郎】北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は15日から17日までスウェーデンを訪問し、バルストロム外相と会談した。朝鮮中央通信の18日の報道を朝鮮通信(東京)が伝えた。「両国関係と相互の関心事について討議した」と伝えたが、具体的な内容には触れていない。李氏はロベーン首相を表敬訪問した。
 韓国の聯合ニュースは18日、北朝鮮外務省で米国を担当するチェ・ガンイル副局長が18日、北京からフィンランドに向かったと報じた。スティーブンス元駐韓米国大使と会談するとの現地メディアの報道を紹介。場所はヘルシンキにある日本大使館との見方を伝えている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28287000Y8A310C1FF8000/

韓国の聯合ニュースフィンランドメディアを引用する形で報じたとのことですが、さすがにフィンランドメディアは調べてません。
聯合ニュースのサイトには3月19日付の「北朝鮮高官と韓米の元当局者ら フィンランドで20日会合(2018/03/19 09:29)」という記事はありましたが、18日付のニュースはもう削除されたのか見つけられませんでした。

上記読売・日経報道では、18日時点の聯合ニュース報道を基に、北朝鮮のチェ・ガンイル北米局副局長と米国のスティーブンス元駐韓大使の会談予定を報じていますが、19日付の聯合ニュースは、「韓国と米国の元当局者や研究者、北朝鮮の当局者が出席する会合」となっていて、韓国側のメンバーも参加する旨を報じています。

 会合には北朝鮮からチェ・ガンイル外務省北米局副局長が出席する。米国からはスティーブンス元駐韓大使や北朝鮮専門家のカーリン氏らが参加する。カーリン氏が北朝鮮側と接触し、実務作業を行ってきたという。
 韓国からは申ガク秀(シン・ガクス)元駐日韓国大使や辛正承(シン・ジョンスン)元駐中韓国大使、白鍾天(ペク・ジョンチョン)世宗研究所理事長、チョ東昊(チョ・ドンホ)国家安保戦略研究院長らが出席する。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2018/03/19/0300000000AJP20180319000400882.HTML

この19日付報道の中には、以下のように場所に関する情報が記載されています。

 フィンランド政府は会合の趣旨などの説明を受け、場所の提供などの支援を行っている。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2018/03/19/0300000000AJP20180319000400882.HTML

場所が日本大使館であれば、フィンランド政府が支援したというのはおかしな感じです。

実際、会談終了後のNHKが報じた内容では、「首都ヘルシンキ近郊にあるフィンランド政府の施設」で行われたとなっています。

「建設的に意見交わされた」北の幹部参加の会合

(2018年3月22日)

フィンランドで行われていた北朝鮮外務省の幹部とアメリカや韓国の元政府当局者による安全保障に関する会合は、21日に終わり、会場を提供したフィンランドの政府は建設的に意見が交わされたとして今後の朝鮮半島情勢の改善につながることへの期待感を示しました。

この会合は、北朝鮮外務省でアメリカを担当する北米局のチェ・ガンイル副局長やアメリカや韓国の元政府当局者らが出席して、首都ヘルシンキ近郊にあるフィンランド政府の施設で21日までの2日間、行われました。
フィンランド外務省は、会合について信頼を醸成し、朝鮮半島の緊張緩和に向けて、前向きな雰囲気のなかで建設的な意見交換が行われたと発表しましたが、具体的な内容については明らかにしませんでした。また、フィンランドのソイニ外相は「朝鮮半島情勢の改善につながることを期待したい」と述べて、会合を評価する考えを示しました。
一方、チェ副局長らは報道陣の問いには一切答えず帰国の途に就きました。
各国の関係者からは具体的な発言は無かったものの、会合に参加した韓国の大学教授は「朝鮮半島の緊張が緩和し、首脳会談がうまくいくことを望むことで、みなが考えを共にした」と述べていて、南北首脳会談のほか、初めてとなる米朝首脳会談も含めた幅広いテーマについて議論が行われたものと見られています。
国連の法律・条約専門家も参加
国連のデュジャリック報道官は21日の定例記者会見で、この日までフィンランドで行われていた北朝鮮外務省とアメリカや韓国の元政府当局者による会合に国連の法律や条約部門の専門家を派遣していたことを明らかにし、北朝鮮と関係国との対話を支援していく考えを示しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/northkorea_provocation/?utm_int=detail_contents_special_003

ヘルシンキ日本大使館で接触する」という情報はいったいどうして出てきたのか、単なる間違いなのか、「フィンランド政府の施設」で行われた会合以外に、日本大使館で行われた非公開の会談があったのか、まあ、後者は無いかな。



北朝鮮関連問題に関する大雑把な予測

平昌五輪以降の北朝鮮問題の進展がとにかく早いという印象。
五輪から南北首脳会談につなげるのはある程度想像できましたが、4月とは思いませんでしたし、その後5月頃米朝首脳会談が約束されるというのも予想外でした。
そして拙速という感じではなく、十分な根回しがされている印象もあり、文政権が政権発足1年もせずにここまで準備したことに感嘆せざるを得ません。

五輪前までの予測としては、五輪で南北融和が図られたとしても、その後米韓合同演習などで再び緊張状態となって南北首脳会談にこぎつけるまでに何ヶ月もかかり、米朝首脳会談も期待だけで実現は難しいかな、というものだったんですけどね。

もちろんまだ予断は許さない状況なのは確かですが、色々と出されてるシグナルがまず好意的な感じですので、良い方向に動くと言う期待をある程度持って良いかなと思っています。
良い方向というのは具体的には、朝鮮半島における軍事的な緊張状態の緩和のための朝鮮戦争終戦協定の締結、在韓米軍の段階的撤退と同時に北朝鮮核兵器の段階的放棄の開始の合意、合意履行期間における核実験・弾道ミサイル実験の停止、米韓演習への北朝鮮軍のオブザーバー参加あたりと考えています。
中距離弾道ミサイルについては、朝鮮戦争が正式に終結すれば完全廃棄の必要性はなく、それによって日本の安全保障が脅かされることもないと考えますので、この件で日本が余計な主張をすべきとは思いません。
拉致問題に関しても、軍事的緊張が緩和され、南北・米朝関係が正常化した後の交渉で特に問題は生じないと考えます。正常化までに何年も待つ必要があるならともかく、南北・米朝首脳会談を待ってからでも遅くはないでしょう。今の今まで圧力一辺倒を主張しろくな交渉もしていなかったんですから。

米朝首脳会談に関する北朝鮮の公式発表がない点

もともと言論の自由がなく、事前に米朝会談の開催についてあれやこれやの意見を交わす環境が北朝鮮国内にありませんから、公式発表がないこと自体をいぶかしむ必要はあまり無いと思います。
というより、北朝鮮の政治状況・言論状況を踏まえれば、北朝鮮政府が米朝首脳会談について発表するのは、会談での成果が十分に期待できる程度に下準備(水面下での事前交渉)が固まってからと考えるべきだと思いますよ。北朝鮮政府としては、“我らの指導者が米国と交渉して偉大な成果を持ち帰った”と報じたいわけでしょうから。そして当然、下準備の段階で不首尾ならば、そもそも首脳会談の予定があったことも報じられない、と。
北朝鮮国内にどう報じるべきか悩んでいるとか政府内に反対派がいるからだとか、はあまり実態を表していないんじゃないかなと思います。

目標は朝鮮戦争終戦協定

南北首脳会談で終戦後の南北関係の大枠について合意し、米朝首脳会談で終戦協定の方針を確認し、その後、米朝韓で正式に終戦協定を交わすという流れになるかなと予測しています。まあ、半分は願望だと思ってください。
今回、中朝首脳会談が行われたのは、朝鮮戦争での同盟国として終戦協定の方針で合意しておく意味合いがあったんじゃないかなと見ています。だからこそ、“敵国”である韓国や米国よりも先に会談しておく必要があったんじゃないかと。

朝鮮戦争終戦協定であれば関係国は、韓国、北朝鮮、米国、中国の4カ国です。但し、中国は国家として参戦したわけではないので、3カ国という見方もできます。*1
それを考慮したと見られるのが、2007年10月の金正日盧武鉉の首脳会談での「南北関係の発展と平和繁栄のための宣言」(2007年10月4日)です。

 4、南と北は、現休戦体制を終わらせ、恒久的な平和体制を構築すべきだとの認識をともにし、直接関連した3者または4者の首脳が韓半島地域で会い、終戦を宣言する問題を推進するため協力していくことにした。
 南と北は、韓半島の核問題を解決するため、6者会談の9・19共同声明と2・13の合意が順調に履行されるよう共同で努力することにした。

http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=4&newsid=8840

「直接関連した3者または4者」というのは、韓国、北朝鮮、米国またはその3カ国に中国を加えた4カ国を指します。
韓国政府が主導している現状の動きは、2007年10月4日の南北宣言の4項を目指していると見ると説明しやすいように思えます。そう考えると今回の中朝首脳会談も、韓国政府にとっては想定内かあるいは予定の行動であって、現在も尚一連の情勢の主導権を韓国が握っているということになります*2

その意味で重要だなと思ったのが以下のニュース。

[速報]北朝鮮「金委員長が習主席に訪朝要請…受諾」

3/28(水) 8:55配信 聯合ニュース
[速報]北朝鮮「金委員長が習主席に訪朝要請…受諾」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180328-00000007-yonh-kr

米朝首脳会談がどこで開かれるのか未定ですが、まず南北境界線か中国あたりが有力でしょうから、そのいずれであっても米朝首脳会談の場に中国首脳が参加することが可能になります。そして、会談の場が板門店であれば、米朝首脳会談にあわせて中国首脳が訪朝することで韓国首脳を含めた四者会談が可能です。2007年10月4日の南北宣言の4項の実現にはおあつらえ向きの舞台でしょう。
と思っていたら、四者会談に言及するような状況にまでなってました*3。やはり早いなぁ。

核問題の解決

日本政府やメディアなどでは北朝鮮が実際に核放棄するまでは圧力を、という論調が出ていますが、核放棄するための具体的な処理やその確認などの作業を考慮すれば、それらが対北強硬派が満足するレベルまで確認されない限り、軍事的圧力をかけ続けるというのは現実的ではありません。
強硬派は北朝鮮に無条件降伏させて武装放棄させるつもりかもしれませんが、北朝鮮はそんなつもりではないでしょうし、客観的にもそうではありませんからねぇ。
あくまで対等の立場での終戦である、というスタンスで会談に臨むはずですから、国内に向けてリップサービスするくらいならともかく協議の場で城下の誓いを迫るが如き態度では合意は成立しません。

その意味では現状況下で、拉致問題や中距離弾道ミサイルで騒ぐ日本は緊張緩和の妨害要因でしかないでしょう。
ただ、安倍日本政府にとって朝鮮半島の軍事的緊張は解決してほしくはないでしょうから、外交的手段での妨害はある意味当然の対応ですし、場合によってはトンキン湾事件のようなものをでっち上げる可能性すら否定できないでしょうね。



*1:休戦協定に署名した軍人の所属国ということであれば、韓国を除いた3カ国とも言えますが、現状で韓国を除外した選択肢はまあ無いので無視していいでしょう。

*2:突然の中朝首脳会談、先を越された韓国は・・・」とかいった韓国が焦ってるかのような報道がありますが、本文記載の理由により多分そんなことはなかろうと思っています。

*3:http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30191.html

直近の朝鮮半島情勢に関して、韓国・北朝鮮の思惑を推量するのに踏まえておくべき内容

朝鮮半島情勢に関する論評が色々出ていますが、素人の私から見てもあまりにも薄い内容が多いので、日本の論壇のレベルは大丈夫かと思っています。まあ、大丈夫ではないんですが。

韓国や北朝鮮がどういった解決を目指しているのか、それを全く把握せずに論評しても意味はありません。で、その目指すところについては別に秘密にされているわけでもなく、公表されているものが結構あります。

南北関係の発展と平和繁栄のための宣言(全文)

これは2007年の10月の南北首脳会談で出された南北共同宣言です。韓国側は盧武鉉大統領、北朝鮮側は金正日国防委員長の名義です。
これの第4項にはこうあります。

 4、南と北は、現休戦体制を終わらせ、恒久的な平和体制を構築すべきだとの認識をともにし、直接関連した3者または4者の首脳が韓半島地域で会い、終戦を宣言する問題を推進するため協力していくことにした。
 南と北は、韓半島の核問題を解決するため、6者会談の9・19共同声明と2・13の合意が順調に履行されるよう共同で努力することにした。

http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=4&newsid=8840

予定されている南北首脳会談、米朝首脳会談、直近の中朝首脳会談、そして中国が3月9日にアメリカに対して米中南北4カ国による平和協定の締結を提唱したこと*1などは、2007年南北共同宣言第4項前半に沿った内容だとわかります。

また、この2007年南北共同宣言では「6・15共同宣言の精神」が重視されています。これは、2000年の南北首脳会談における全訳6.15南北共同宣言(2000年6月15日)のことです。韓国側は金大中大統領、北朝鮮側は金正日国防委員長の名義です。
この2000年南北共同宣言の第2項にはこう書かれています。

2.南と北は国の統一のために、南側の連合体案と、北側の低い段階の連邦制案が互いに共通性があると認め、今後はこの方向から統一を指向していくことにした。

https://thekoreanpolitics.com/archives/206

南北統一の方向性ですね。現状、日本の論壇に現れる朝鮮半島統一は、どれも北朝鮮主体で韓国を吸収するかのようなデタラメがまかり通っており、北朝鮮の高麗連邦案と共通性があるとされた「南側の連合体案」については触れられることがほとんどありません*2
韓国政府が構想する朝鮮半島統一の方策について記事に書きましたが、韓国側による統一構想である「民族共同体統一方案(민족공동체통일방안)」について日本側で全く言及されないこと自体がかなり異常だと思いますね。しかも、現在のような緊張緩和の情勢下においてなお、それを無視し続ける神経は理解しがたいものがあります。

2007年南北共同宣言第4項の後半には核問題の解決方針が記載されています。
六者協議の9.19共同声明と2.13合意に言及されています。
9.19共同声明とは2005年の「第4回六者会合に関する共同声明(2005年9月19日)」を指し、非核化を進める上での重要な内容になっています。
2.13合意は2007年の「共同声明の実施のための初期段階の措置(平成19年2月13日)にある合意で、2005年の9.19共同声明を実施するための初期の措置について規程したものです。

9.19共同声明の第1項にはこうあります。

1.六者は、六者会合の目標は、平和的な方法による、朝鮮半島の検証可能な非核化であることを一致して再確認した。
 朝鮮民主主義人民共和国は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰することを約束した。
 アメリカ合衆国は、朝鮮半島において核兵器を有しないこと、及び、朝鮮民主主義人民共和国に対して核兵器又は通常兵器による攻撃又は侵略を行う意図を有しないことを確認した。
 大韓民国は、その領域内において核兵器が存在しないことを確認するとともに、1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言に従って核兵器を受領せず、かつ、配備しないとの約束を再確認した。
 1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言は、遵守され、かつ、実施されるべきである。
 朝鮮民主主義人民共和国は、原子力の平和的利用の権利を有する旨発言した。他の参加者は、この発言を尊重する旨述べるとともに、適当な時期に、朝鮮民主主義人民共和国への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意した。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/ks_050919.html

北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」について言及する根拠になっており、同時にアメリカは朝鮮半島に核を持ち込まないこと、韓国は領域内に核兵器が存在しないことを約束する内容になっています。

「行動対行動」の原則、段階的措置

2005年の9.19共同声明ではこう書かれています。

5.六者は、「約束対約束、行動対行動」の原則に従い、前記の意見が一致した事項についてこれらを段階的に実施していくために、調整された措置をとることに合意した。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/ks_050919.html

2007年の2.13合意ではこう書かれています。

I. 六者は、2005年9月19日の共同声明を実施するために各者が初期の段階においてとる措置について、真剣かつ生産的な協議を行った。六者は、平和的な方法によって朝鮮半島の早期の非核化を実現するという共通の目標及び意思を再確認するとともに、共同声明における約束を真剣に実施する旨改めて述べた。六者は、「行動対行動」の原則に従い、共同声明を段階的に実施していくために、調整された措置をとることで一致した。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/6kaigo5_3ks.html

これに則るとするなら、北朝鮮側が一方的に核兵器を放棄し検証が完了するまで、国際社会が経済制裁を続けるというのは了承し得ないでしょうね。

ともあれ、少なくとも、2000年南北共同宣言、2005年9.19共同声明、2007年2.13合意、2007年南北共同宣言、そして北朝鮮の高麗連邦構想と韓国の民族共同体統一方案を踏まえれば、現状、韓国や北朝鮮が何を目指しているのかわかりやすくなりますし、個々の発言や行動についても理解しやすくなります。

中朝首脳会談に関して北朝鮮や中国の意図をあれこれ邪推した日本側の論壇の意見よりも、2007年南北共同宣言第4項に沿った行動として解釈する方がよほどしっくり来ますよね。「段階的措置」や「朝鮮半島の非核化」についても、これまでに何度か言及されてきたものであって、その流れで理解すべきでしょう。
少なくとも、それらを一切踏まえていない論考にはあまり価値はないと思いますね。



続きを読む

北朝鮮が次の核実験を用意と煽る日本外務省、動向注視しつつ非核化の進展と平和定着の努力をすると答える韓国外交部

この件。

北朝鮮が次の核実験を用意と河野外相

2018/3/31 18:42©一般社団法人共同通信社
 河野太郎外相は31日午後、高知市で講演し、北朝鮮が新たな核実験への準備と受け取れる動きを見せているとの見方を示した。「核実験をした実験場でトンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命やっている」と指摘した。

https://this.kiji.is/352749994639459425

河野外相「北朝鮮が核実験用意」 日朝会談に慎重

毎日新聞2018年3月31日 19時38分(最終更新 3月31日 20時46分)
 河野太郎外相は31日、高知市で講演し、北朝鮮が新たな核実験に向けた準備と受け取れる動きを見せていると明らかにした。「(過去に)核実験をした実験場で、トンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命やっているのも見える」と述べた。米国提供の衛星画像を踏まえた発言とみられる。
 実現の見通しが立っていない日朝首脳会談について、河野氏は「日本は何もしなくていいのかという評論家がいるが、別に何もしなくても構わない」と強調。「北朝鮮から『さあ、平壌へ来てください』と言われ、みんながこぞっていくようなことになったら足元をみられる。焦る必要は全く無い」と説明した。(共同)

https://mainichi.jp/articles/20180401/k00/00m/010/045000c

共同記事では「米国提供の衛星画像を踏まえた発言」とありますが、ソースはちょっとよくわかりませんでした。英語記事をいくつか検索してみましたけど、“日本の外務大臣が警告している”みたいな記事*1以外にそれらしい報道を見つけられませんでした。

河野発言のソースと同じかどうかわかりませんが、寧辺の核施設に再稼働の動きがあること自体は「北朝鮮・寧辺の核施設:5000キロワットの原子炉に稼働の兆候あり 新しい軍営地の設置も」といった感じで報じられてはいます。ただ「(過去に)核実験をした実験場で、トンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命やっているのも見える」という報道は、38NORTHでも見かけません。

で、寧辺の核施設に関する件については、韓国外交部も記者との質疑で言及しています。

2018年3月29日 外交部報道官定例会見<질문> 외신에서 영변에 북한 핵단지 안에 있는 경수로의 가동조짐이 있다는 보도들이 나오고 있는데요. 거기에 대해서 우리 정부의 입장은 어떻습니까? (연합뉴스 조준형 기자)

機械翻訳、以下同)<質問>外信で、寧辺北朝鮮の核だけにある軽水炉の稼働兆しがあるという報道が出てきていますよ。そこに対して、韓国政府の立場はいかがでしょうか?(聯合ニュースジョジュンヒョン記者)

<답변> 관련 동향을 예의주시하고 있습니다. 정부는 남북, 북미 정상회담의 성공적 개최를 통해 실질적 비핵화 진전과 한반도 평화 정착의 이정표를 마련할 수 있도록 적극적으로 노력해 나갈 것입니다.

<回答>関連動向を注視しています。政府は南北、北米サミットの成功開催を通じて実質的非核化の進展と朝鮮半島の平和定着のマイルストーンを用意することができるよう、積極的に努力していきます。

http://www.mofa.go.kr/www/brd/m_4078/view.do?seq=368000&srchFr=&srchTo=&srchWord=&srchTp=&multi_itm_seq=0&itm_seq_1=0&itm_seq_2=0&company_cd=&company_nm=&page=1



2件の殺人で懲役4年なら十分な温情判決だと思うが

この件。
digital.asahi.com

2件の殺人のうち、未成年時に起こした1件目(2003年5月、15歳)はともかく、2件目(2014年7月、27歳頃)は成人後の殺害なので、「被告人は当時すでに成人しており、手段を尽くして殺害を避けるべきだった」という指摘が的外れとは思いません。
裁判長も1件目については「十分に同情できる」とし、2件目についても「妊娠までの経緯を「強く責めることはできない」」が、「当時すでに成人しており、中絶手術も経験していたことからすると、手段を尽くして殺害を避けるべきだった」と言っています。

まず、18歳(2006年頃)と20歳(2008年頃)の妊娠では中絶しているので、中絶という手段がありえたことは知っており、義父と母の支配も20歳(2008年頃)の離婚で3ヶ月ほど離れて生活したという経験もあり、また就労もしていたことを考慮すると、27歳の時点で義父から逃げるという選択肢が全く考えられない状態だったとは判断しにくいところです。

これらを踏まえると、2014年の妊娠でも中絶と言う選択肢があったことや行政に支援や助けを求めるなどの手段が存在することも認識した上で、そして、15歳の時に出産した子供の殺害を強いられた経験と義父の性格から、2014年の妊娠の際も義父から子どもを殺害するように求められることも予測できていた状態で、出産・殺害に至ったと考えるのが自然でしょう(そうじゃない状況の可能性については後述)。
つまり、2014年の妊娠発覚後については、このまま中絶せずに出産すれば子を殺害せざるを得ないことを認識した上で、「手段を尽くして殺害を避ける」ための行動をとったとは言えない、というのが司法の判断ということになるでしょうか。

そうすると、責任能力がある状態での殺人であったことは否定できず、殺人罪は確定します。

ところで刑法上、殺人の法定刑は死刑又は無期若しくは五年以上の懲役となっています。

(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045

しかし、この事件の地裁判決は懲役4年でした。
これは、情状を酌量して減軽していると言えるでしょう。

(酌量減軽
第六十六条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
(法律上の減軽の方法)
第六十八条 法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
三 有期の懲役又は禁錮減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045

ブクマの反応はこれを理解しているとはちょっと思えないものが多かったですね。
ちなみに「浮気した妻を殺した夫は執行猶予付き懲役三年、性的虐待を受け続け四度義父の子を孕まされた女性は懲役四年」と言ってるブコメもありますけど、「浮気した妻を殺した夫は執行猶予付き懲役三年」というのは2017年の東大阪の事件を指していると思いますが、これは殺人ではなく傷害致死ですので法定刑が三年以上の有期懲役です。
東大阪の事件は殺害の意図が無かったが傷害の結果死に至らしめたもので、殺害の意図をもって実行した今回の事件とは適用される刑法の条文が違います。
で、執行猶予は3年以下の懲役でなければ付けられませんので、法定刑が5年以上の懲役になる殺人罪で有罪になれば基本的に執行猶予は付けられません。
もう一つ参考までに「浮気した妻を殺した夫」とは逆に「浮気した夫を殺した妻」が執行猶予付きの懲役3年になったケースもあります*1。念のため。


酌量の話に戻ります。
刑法上、情状酌量すべきものがあるときは法定刑の半分にすることができるわけで、殺人で有罪であっても最短で懲役二年半にすることは可能です。そして懲役が三年以下になるならば、執行猶予が適用できるようになります。

(刑の全部の執行猶予)
第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045

ですから、技術的には今回の事件も、殺人で有罪でありながら執行猶予付きの判決が出る可能性はありましたし、実際弁護側はそれを求めていました。

もちろん、この女性には同情すべき点が多々あるわけですが、それでもなお殺害した人数は2人であることと、この女性が親や周囲の大人から守られるべきだったというのと同様に、殺害された2人の乳児も親から守られるべきだったという点を考慮すると、さすがに懲役3年まで減軽するのが適切かどうかは個人的にはちょっと厳しいかなと思いますね。
少なくとも、3年に減軽されて当然だとまでは思えませんので、裁判員裁判としておかしな判決とはちょっと言えません(2人殺害だと死刑が視野に入りますし、後述しますが、心神耗弱状態の母親が子供を殺害した事件で懲役3年執行猶予5年の判決が出ており、殺害人数からこれより軽い罪にはまずできないでしょう)。

心神耗弱状態であったとみなす場合

裁判手続 刑事事件Q&A

Q. 心神喪失又は心神耗弱とは何ですか。

A. 刑罰法規に触れる行為をした人の中には,精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のない人や,その判断能力又は判断に従って行動する能力がが普通の人よりも著しく劣っている人がいます。
 刑法では,これらの能力の全くない人を心神喪失者といい,刑罰法規に触れる行為をしたことが明らかな場合でも処罰しないことにしています。また,これらの能力が普通の人よりも著しく劣っている人を心神耗弱者といい,その刑を普通の人の場合より軽くしなければならないことにしています。
 これらは,近代刑法の大原則の一つである「責任なければ刑罰なし」(責任主義)という考え方に基づくもので,多くの国で同様に取り扱われています。

http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_21/index.html

女性が2回目の犯行当時、心神耗弱だったと仮定しても、執行猶予をつけるのは難しいと言えます。
例えば、以下のような事例があります。

また、前橋地裁で、当時3歳の長男の顔に布団をかぶせて窒息死させた母親に対する裁判員裁判の判決がありました。この裁判では、被告人が犯行当時心神耗弱状態にあったことが認められ、懲役3年、保護観察付執行猶予5年の判決となりました。

http://keijibengoshi.jp/%E5%BF%83%E7%A5%9E%E5%96%AA%E5%A4%B1%E3%83%BB%E5%BF%83%E7%A5%9E%E8%80%97%E5%BC%B1%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BD%9E%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%81%AE%E5%88%91%E4%BA%8B%E5%BC%81%E8%AD%B7/

子どもを1人殺害したものの心神耗弱により減軽されたケースです。
今回の事件では2人殺害しているのに、このケースと同等に扱えるかと言うと相当疑問です。殺人の法定刑最低限である懲役5年を本件で懲役3年にまで減軽するのは、上記ケースに照らしても無理があります。1人殺しても2人殺しても同じ、という判決になり、社会に与える影響と言う点でも適切とは思えません。
懲役4年というのは、殺人に至った経緯について酌量すべき情状が十分あることを踏まえた上で、それでもなお、2人殺害したことの重みを考慮すれば、まず妥当な判決だろうと思います。

支配の影響

義父に支配されていたための犯行という考え方ですが、要するに心神喪失状態であり、責任能力が問えないと言う考え方です。
しかし、尼崎事件でさえ心神喪失状態は認められていませんから、本件でこれが適用されるべきかというとこれも難しいところでしょう。ただ、考え方として本件に限らず、他者に支配されるなどして心神喪失・耗弱状態に陥り他害行為を行った事件を現行の取り扱いよりも幅広く捉えるべきだというのはあり得ますし、そういう考え方ならある程度は賛同できます。
例えば、心神喪失者等医療観察法の対象を拡大して、医療的な対応だけでなく、心神喪失状態で犯した罪の自覚と更生を促進するような対応を整備するなどは有意義かも知れません。

心神喪失者等医療観察法

医療観察法制度の概要について
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)は、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度です。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/gaiyo.html

それでも精神疾患や薬物などで医学的に心神喪失耗弱状態になったのであれば、それが裁判でも認められるのはわかりやすい話であるのに対し、他者からの支配などの抑圧や洗脳で心神喪失耗弱状態というのは、あり得る話ではあっても、裁判で認めるかどうかはハードルが高い状態を避けられません。

例えば、オウム事件の実行犯は基本的に教組の命令に逆らえる状態ではありませんでした。ホロコースト下のドイツで法的根拠を伴った上でのユダヤ人虐殺に係る業務従事をどの程度逆らえたかというのも難しい話です。家庭レベルでも尼崎事件のような支配下にある者が、命令に逆らうことができるかというとやはり難しいでしょう。
閉じた集団内での固着した権力構造の下で下位にある者が、自力でそこから抜け出せないことは珍しいことではありません。ホロコーストからカルト教団ブラック企業、小学校でのいじめ、家庭内でのDV・虐待まで、こういった状況はよく見られます。追い詰められた権力下位の者は、倫理に反する反社会的行為でも違法行為でも命じられれば逆らうことが難しく、自死以外に抵抗の手段も思いつかないものです。
その意味では、この事件の女性も義父に逆らえない支配された状態であったことは考えれます。

ただし、それでもやはり法的な責任は問われるべきだと個人的には思います*2
様々な事情から追い詰められて、当人にとっては他に手段なく罪を犯さざるを得なくなるというのは、程度の差はあれ多くの犯罪で起こることです。それらの情状は酌量されるべきではあるものの、心神喪失・耗弱状態とは言えず、適切な刑罰を科されて贖罪すべきことであろうと思います。

本件の加害者の女性は、自ら「罪をつぐないたい」という意志を示して控訴しなかったとのことです。

(記事有料部分)
 弁護側は裁判で、義父の支配から逃れられない状況だったとして、執行猶予付きの判決を求めていたが、控訴せず、懲役4年の刑が確定した。裁判でも「罪をつぐないたい」と話していた意志を、弁護人は尊重したという。

https://digital.asahi.com/articles/ASL3M5QWDL3MUOHB00P.html

実際、無罪放免にされたとしたら、女性は納得してそれに甘んじることができたか、それが自らの子どもを二人も殺害したことに対する自責の念を消失させることになるかと言えば、おそらくそうはならなかったのではないでしょうか。
彼女自身が犯した罪に向き合い、納得できる罪の償いに導くという意味で、科される刑罰・環境がそれに適したものかという問題はあるものの何らかの刑罰が必要であろうと個人的な意見としてそう思います。

同時に女性自身は長期にわたり虐待を受けてきたわけですから、適切な治療を施す必要もあり、その点については改善すべき点は多々あろうと思いますね。

義父の裁判は?

これも誤解しているブコメが多いようですが、記事には「義父(67)=殺人と死体遺棄の罪で起訴」とあり、殺人で裁かれることになっています。女性が実行したからといって義父が殺人罪に問われないわけではなく、そして女性のように情状酌量の余地もないことから、法定刑の懲役5年以下になることはまず考えられません。普通に10年を軽く超える懲役が科されるのはまず間違いないところでしょう。

ただ、女性が2人の子どもを殺害するに至ったのにそれまでの環境といった同情すべき理由があったように、性的虐待と殺人を強いたこの義父にもそのような人間に至る環境があったはずで生まれついての犯罪者ではないという点についても留意しておくべきです。
誰かひとりを悪魔化して糾弾すればいい、なんてことは世の中あまり無いと思いますので。



2018年3月第4週の韓国政権支持率抜粋

2018年3月第4週*1

年齢別
年齢 支持率 不支持率
全体 69.8% 25.2%
19~29歳 79.4% 18.4%
30代 77.2% 22.0%
40代 77.3% 20.4%
50代 65.1% 28.3%
60代~ 55.8% 33.7%

2018年2月第1週はこうでした*2

年齢 支持率 不支持率
全体 62.9% 32.4%
19~29歳 63.2% 33.0%
30代 77.9% 20.1%
40代 74.5% 24.0%
50代 54.5% 39.5%
60代~ 49.4% 41.6%

20代の若者の支持率が80%近くまで上昇しています。また、比較的支持率が低かった世代である50代・60代以上の支持率も50%を超えています。

地域別
地域 支持率 不支持率
全体 69.8% 25.2%
ソウル(서울) 71.6% 23.9%
京畿・仁川(경기/인천) 70.2% 25.3%
大田・忠清・世宗(대전/충청/세종) 72.3% 22.8%
江原(강원) 80.4% 17.2%
釜山・慶南・蔚山(부산/경남/울산) 65.0% 27.8%
大邱・慶北(대구/경북) 54.1% 41.4%
光州・全羅(광주/전라) 82.1% 13.6%
済州(제주) 76.8% 13.7%
首都圏(수도권) 70.8% 24.7%

2018年2月第1週はこうでした*3

地域 支持率 不支持率
全体 62.9% 32.4%
ソウル(서울) 63.0% 33.6%
京畿・仁川(경기/인천) 62.6% 30.4%
大田・忠清・世宗(대전/충청/세종) 61.8% 35.4%
江原(강원) 58.0% 33.0%
釜山・慶南・蔚山(부산/경남/울산) 62.6% 34.9%
大邱・慶北(대구/경북) 48.8% 45.0%
光州・全羅(광주/전라) 79.6% 16.7%
済州(제주) 75.3% 24.7%
首都圏(수도권) 62.7% 31.7%

いずれの地域でも上昇していますが、特に江原(강원)では支持率が20%以上上がっています。また、賛否拮抗していた大邱・慶北(대구/경북)でも支持率が不支持率より10ポイント近く差をつける状態になっています。大邱・慶北(대구/경북)は保守派の強い地域ですが、そこですら文政権は支持されているということです。


関連:「2018年2月第3週の韓国政権支持率抜粋 - 誰かの妄想・はてなブログ版



河野太郎もたまには正気に戻るんだな。

この件。

河野外相「本当に非核化なら、金正恩氏の顔立つように」

3/30(金) 17:55配信 朝日新聞デジタル

河野太郎外相(発言録)
 米国のティラーソン国務長官と「北朝鮮が本当に『非核化』を言うなら、国内で金正恩委員長の顔が立つようにする必要がある。(金委員長が)『国際社会が(北朝鮮に)屈服したから核をやめる』と言っても、(日米は)怒る必要はない」という話をしたことはある。
 (北朝鮮は)国内的に(非核化を)言及していないし、現実に核関連施設での活動もあるから、(非核化の)意思はまだ明確になっていないのではないか。
 最終的に金委員長の意図をどう測るのか。「国内的にも(非核化を)宣言しろ」とせまるのが良いか、あるいは何らかの形で(非核化の)意思があるよということが分かれば良いのか。あるいは分かる方法があるのか。じっくり国際社会で意見交換する必要がある(衆院外務委員会で)
朝日新聞社

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180330-00000073-asahi-pol

北朝鮮が本当に『非核化』を言うなら、国内で金正恩委員長の顔が立つようにする必要がある。(金委員長が)『国際社会が(北朝鮮に)屈服したから核をやめる』と言っても、(日米は)怒る必要はない」というのは、そりゃその通りで、“北朝鮮が無条件降伏したから何でも条件を追加しろ”的な対応をとれば、ご破算になるのはわかりきった話。

ただ、日本社会がその思考回路を持てるのか、というのが最大の問題で実際、非核化に言及して米朝韓中で首脳会談に動いている最中に、日本が拉致問題も同時に解決しないなら圧力だ、とか喚いてるわけだ。拉致問題の解決を拉致被害者が日本に帰国できるようにすることと定義するなら、軍事的緊張が緩和された後に交渉した方がやりやすいでしょうに。

まあ、とはいえ“圧力をかけたから北朝鮮が折れてきた”という認識を日本国内にばら撒いておいて、北朝鮮「国内で金正恩委員長の顔が立つようにする」対応ができるものかねぇ。