中国古典由来の「昭和」とか「平成」とかをDisってるという理解でいいのかな?

こんなことを言っている人たちがおりまして。

 自民党総裁でもある安倍首相に代わって党務を預かる二階幹事長は、「素晴らしい元号だ」「日本古来の万葉集の中からとったというのは、たいへんよかった」などと評価したうえで、「国民のみなさんとともに心から祝したい」と述べた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190402-00010006-fnnprimev-pol

 維新の片山共同代表は、中国の古典ではなく日本の「万葉集」を典拠としていることに「たいへんよろしゅうございました」とご満悦。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190402-00010006-fnnprimev-pol

安倍に向かって揉み手しながらゴマを摺っている図以上の光景には見えませんけど、とりあえずこの人たちは、中国古典由来の「昭和」とか「平成」とかについてはよろしくないと思っているということでしょうかねぇ。



新元号発表を4月1日にした理由が統一地方選での政治利用だったんだろうし、そりゃ支持率は上がるだろうよ。

↓だそうです。

元号「令和」を好感73% 西暦との併用45%で最多

2019/4/2 21:29 ©一般社団法人共同通信社
 共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、政府が「平成」に代わる新元号として公表した「令和」について73.7%が「好感が持てる」と回答した。「好感が持てない」は15.7%だった。普段の生活や仕事で主に使いたいのは新元号か西暦かを尋ねたところ、両方が45.1%で最多。西暦34.0%、新元号18.8%の順だった。内閣支持率は52.8%で3月の前回調査比9.5ポイントの大幅増。不支持は8.5ポイント減の32.4%となった。
 新元号公表を巡る高評価が内閣支持率の押し上げに影響した可能性がある。

https://this.kiji.is/485706045695116385

まあ、漢字2文字の組み合わせなので、「凶」とか「悪」とか「鬼」とか「死」とか「糞」とか明らかに不適切な文字を避けてさえおけば、世間一般は特に批判したりはしないでしょうし、そもそも今のメディアが積極的にネガティブな意見を集めたりするわけもないですからねぇ。例えるなら、他人の子どもの命名みたいなもので、どんな名前が付けられても、面と向かってそれにケチつける人なんてまずいないって話です。
「「令和」について73.7%が「好感が持てる」と回答した」というのもさもありなんという感じ。

それに元号問題の背景には天皇制という触れえざる問題があるわけで、否定的な声を上げにくい雰囲気はどうしても避けられませんし、そもそも好感を持とうが持つまいが、公文書にはそれが使われるわけで、一般市民がどう足掻いてもそれを止めることもできませんからね。
“国民に受け入れられるように~”とか言ってますけど、国民生活と切り離せない行政がそれを使用するという時点で、国民はそれから逃れようがありませんから実態としては強制に近いわけで。

もっとも元号が「令和」だろうが「安久」だろうが「光文」だろうが、国民生活に具体的な支障を来たすわけでもありませんけどね。ある日突然、公務員同士の挨拶の掛け声が「ハイル・ヒトラー」に変わっても国民生活に具体的な支障を来たすわけではないのと同じです。


ところでFNNがこういう下らないニュースを流していました。
新元号「令和」を“各党トップ”はどう見た? “党首コメント”に垣間見える「立場」に注目!(4/2(火) 19:08配信 FNN.jpプライムオンライン)

主要な政党で元号に批判的なコメントをしたのは、社民党共産党くらいなものですが、「「何でも批判」というイメージがありがちの野党だが、新たな元号については必ずしも批判一辺倒というわけではなかった」などという事実に基づかない*1印象操作に余念がないのは、さすがフジサンケイグループだと思いました。



*1:法案採決ではほとんどの法案(共産党でも6割以上、民主党系では9割以上)が賛成しており、「何でも反対」「何でも批判」という野党に対するネガティブなフレーズが事実に基づかない都市伝説の類。

朝鮮日報が誤報を出している件。

この記事。
(朝鮮日報日本語版) 京畿道議会「戦犯ステッカー」条例案、発議した議員が上程保留(3/29(金) 8:42配信 )

私は以前、「普通に考えれば、これらの条例案はまず成立しないでしょうし、したとしても原形が無くなるくらいに修正されるでしょうね」と述べましたが、上程保留ということでほぼ予想通りでしたね。

で、そうすると「条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ」と報じた朝日新聞牧野愛博記者の記事(2019年3月20日付)は誤報だったということになりますね。

 ステッカーの添付が義務づけられるのは、時価20万ウォン(約2万円)以上の製品で、毎年、保有状態を確認して公開するという。条例案は4月初めにも議会本会議で採択される見通しだ。(ソウル=牧野愛博)

https://www.asahi.com/articles/ASM3N2TFJM3NUHBI00H.html

まあ、それはともかく冒頭の朝鮮日報記事にもおかしなところがあります。

 黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した。この条例案は、首相室が発表したリストに基づいて20万ウォン(約2万円)以上の「戦犯企業」製品について京畿道教育監(教育庁トップ)が実態調査し、該当製品であることを認識させるステッカーを貼るというものだ。しかし、「排他的民族主義に基づく発想で外交・通商や国のイメージに否定的な影響を与える」との批判があった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00080004-chosun-kr

この部分です。「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に「京畿道教育庁日本の戦犯企業製品表示に関する条例案」を発議した」とあり、普通に読めば、発議した議員27人は全て共に民主党所属議員としか読めません。

ですが、この条例案の発議に加わった議員は共に民主党議員だけではありません。
条例案の情報(韓国語)によれば発議議員は以下の通りです。

황대호 김경근 김미리 김미숙 김봉균
김용성 민경선 박덕동 박세원 방재율
성준모 송치용 심규순 엄교섭 오명근
오지혜 왕성옥 유광혁 이애형 이원웅
이진  조광희 조재훈 천영미 최경자
최승원 추민규

黄大虎(황대호)議員はじめ27人中26人は共に民主党議員ですが、李愛炯(이애형)議員は自由韓国党議員です。したがって、朝鮮日報日本語版記事の「黄大虎道議は15日、同じ共に民主党所属議員26人と共に」という記載は誤報という他ありません。正確には、“共に民主党所属議員25人および自由韓国党議員1人と共に」と記載すべきでした。あるいはそもそも政党名自体書く必要が無かったかも知れませんね。
27人中1人(3.7%)だからといって一部の例外ともいえません。京畿道議会の議員数は142人、そのうち共に民主党は135人、自由韓国党は4人(2.8%)、正義党は2人(1.4%)、正しい未来党は1人(0.7%)という構成になっていますので、構成比率的にも不自然さはありませんし、4人しかいない自由韓国党議員の1人が共同提案に加わったという点からも、同条例案に対して、自由韓国党として特に反対の立場をとっていなかったと見てよいでしょう。

どうも、これらの条例案に対して、“進歩派の文政権、民主党政権であるから”みたいな解釈を示す論者が散見されますので、一応指摘しておきます。



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韓国の戦犯企業表示条例案に関する産経記事の件

この記事。
日本製品に「戦犯ステッカー」 韓国自治体で条例案提出の背景(3/28(木) 10:15配信 産経新聞)

まあ、条例案に対する与党も含む韓国内の反応については以前書きました。
嫌韓バカがはしゃいでいるソウル市での「日本製品不買条例案」に関する件 - 誰かの妄想・はてなブログ版
戦犯企業との随意契約制限条例案とか戦犯企業表示条例案とかに対する韓国国内の反応 - 誰かの妄想・はてなブログ版

産経・水沼啓子記者の記事は、一応上記の内容を押さえています。条例案に対する反応としてはまずまずちゃんと書かれている気がします。
記事タイトルの「条例案提出の背景」については、有用な内容が何もありませんけど。

せっかくなので少し突っ込んでおきます。

 ソウル郊外の京畿道(キョンギド)の議会で、戦時中に朝鮮半島から労働者を徴用した日本企業を“戦犯企業”とみなし、これらの企業の製品であることを示すステッカーの貼付を道内の学校に義務付ける条例案が、与党議員らが中心となって提出された。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

よくわからないのですが「ソウル郊外の京畿道」というのは韓国で使う表現なんでしょうか?
“ワシントンDC郊外のメリーランド州バージニア州でも可)”とか、あるいは“北京郊外の河北省”とかと似た違和感を覚えるのですが・・・。

 “戦犯企業”排除の動きは、京畿道だけではない。ソウル市議会でも今年1月、同市と市教育庁などが“戦犯企業”の物品を購入しないよう制限する条例案が提出されている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

ソウル市の条例案随意契約を制限するものですので厳密には違いますね。

 「積弊清算」を掲げ、歴史の見直しを進める文在寅ムン・ジェイン)政権。左派・革新系の文政権を支えているのは民主化運動のまっただ中、学生時代を送った世代で親北反日性向が強い。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

民主化運動で反軍事政権や反親日派(ここでは植民地時代に宗主国日本に取り入って財を成したり権力を手にした勢力を“親日派”と呼びます)というならわかりますが、「親北」というのは光州事件で民衆を弾圧した軍事政権韓国の言い分そのままですし、「反日」というのはまるで的外れですよね。

ちなみに軍事政権時代に韓国政府は北朝鮮スパイ疑惑をかけて市民を逮捕しまくったわけですが、それに対して日本の政権与党は黙認し、日本の左派勢力は釈放を訴えていました。釈放を要求された逮捕者リストの中に、北朝鮮のスパイがいたのは確かで、後に日本国内で左派勢力を攻撃する材料とされましたが、それ以外に普通の市民も数多くいました。日本の右派勢力や自民党は、軍事政権韓国で弾圧された市民を見捨てたわけで、そういう理由から「反日」という性向を持ったというならわからなくもありませんが。

 レーダー照射問題、いわゆる徴用工判決そして地方自治体で相次ぐ日本排除の動き。最近、韓国で頻発する反日の動きを、文政権が対日無策で野放しにしている側面もある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

レーダー照射は事実関係が不明ですし、そもそも実務者協議で片付く程度の内容を騒ぎ立てて外交問題化させたのは日本側ですよね。
徴用工判決は2012年の差し戻し審で今回の大法院判決が予測できたにもかかわらず、被告企業に和解を拒絶させて大法院判決に突っ込ませたのも日本側ですよね。
韓国地方自治体の条例案の段階で「日本排除の動き」とか言ってますが、自治体レベルの交流に抗議して日韓交流を中止させている事例が日本で頻発していることを無視しすぎです。
どうも日本発で頻発している嫌韓の動きについては鈍いようですね。まぁ産経だから仕方ないでしょうけど。

 一方で、本来、左派の行き過ぎにブレーキをかけるべき保守の低迷ぶりも一因となっている。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が弾劾されて以来、保守系が声を上げられない状況が続く。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

国保守派は現在回復傾向にありますので、現状分析を間違っているように思えます。つい直近も文大統領を北朝鮮のスポークスマン呼ばわりしてたのは保守派の自由韓国党なのに。

 ソウル市議会も京畿道議会も与党の牙城だ。“戦犯”条例化の動きは、来年の総選挙を見据え、国政を目指す地方議員らが公認を得るため、文政権にこびを売る政治パフォーマンスを行っているとの指摘もある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

条例案を提出した議員には自由韓国党の議員もいるんですが・・・。

 韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は21日、地方議会のこうした動きについて「議会の審議過程で慎重に検討されるべきだ」と懸念を表明。京畿道教育庁も20日、戦犯ステッカー条例案について、戦犯企業に関する明確な定義や法的根拠がなく、混乱をもたらす恐れがあるとして「受け入れ難い」といった意見書を道議会に送った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

この動きはいずれも水沼氏が「親北反日性向が強い」世代の支持を得ている与党からのものです。

 戦犯ステッカー条例案は委員会での審議を経て、4月初旬に本会議に付託される予定という。現在、京畿道議会の所属議員142人中、与党議員は135人で圧倒的多数を占める。本会議での採決には過半数の議員の出席が必要で、出席議員のうち賛成が半数を超えれば条例案は可決される。
 ソウル市議会の条例案は、委員会での審議過程で議員らが懸念を示して保留となっている。戦犯ステッカー条例案も、審議やり直しの権限を持つ京畿道の教育監(教育長に相当)が「韓日外交関係に非常に大きな影響を与える」と懸念を明らかにしているので、本会議に上程されることはない、との見方が大勢だ。果たして戦犯ステッカー条例案の行方は-。(編集委員 水沼啓子

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190328-00000516-san-kr

ソウル市議会も与党が圧倒的な議席数を持ちながら審議保留になってますから、与党議員の議席数を上げたところで京畿道での条例案の行く末を占うことはできないでしょうに。
そもそも、上でも指摘したように、これらの条例案の提出議員には自由韓国党などの保守派議員も含まれていて、単純に文政権だから提出された、なんて話じゃないんですよね。



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モラハラは男も女も加害者になりうるので「モラ夫」という表現は不適切だし差別的だと思う

大貫憲介弁護士の下記の記事について。
「お前が悪い」。モラ夫の支配・従属の強要で妻は「夫源病」に追い込まれる<モラ夫バスターな日々4>(2019.03.24)

モラハラの説明としては興味深いのですが、惜しむらくは“夫=加害者、妻=被害者”という固定観念に陥っている点です。

夫婦間あるいは家族内におけるモラハラに関して「夫を家長とする社会的文化的規範」が背景にあるというのは間違ってはいないと思いますが、これらの社会的文化的規範が夫を加害者とする場合もあれば、妻を加害者とする場合もあるという視点が大貫弁護士の視点から抜け落ちています。

夫の方が妻よりも年長であること、主たる稼ぎ手であること、結婚に際し夫の姓を選択すること及びその結果として夫側の親族との結びつきが強くなること、体格的に夫の方が腕力に勝ること、夫の方が生育において暴力に晒される経験が妻よりも多いこと、などは、現在の日本社会では一般的に多い事例と言えます。
こういった要因から、権力関係において夫が妻よりも優位にあることが多いと言えますが、それはあくまでも統計的な数値として比較すればの話であって、個々のケースは様々です。
妻の方が年上であったり、妻の収入の方が多かったり、妻の親族の支援を受ける状態であったり、夫が病弱であったり、妻の方が夫よりも暴力に順応した生育経験を持っていたり、そういうケースは多数派ではないものの、決して無視できるほど少ないわけでもなく、こういったケースでは権力関係において夫は妻より劣位になりえます。

そして「夫を家長とする社会的文化的規範」があるが故に、収入の少なかったり妻側親族の支援を受けていたりしてる上に暴力に慣れていないあるいは暴力的力関係においても妻に対して劣位にある夫は、妻からの抑圧・モラハラに晒された場合でも周囲に助けを求めることができなくなります。
なぜなら、“男なのに家族を養えない”、“尻に敷かれている”など男性が男性らしさを求められるが故の批判を受けるからです。


つまり「夫を家長とする社会的文化的規範」は、夫婦・家庭内でのモラハラを受ける被害者妻に対しては“夫には従うべき”という抑圧として機能し、被害者夫に対しては“男なのに家族を養えない”という抑圧として機能するわけです。

大貫弁護士の論説には、後者の視点が欠けています。

男性優位の社会構造が女性を抑圧するのはもちろんですが、同時に男性をも抑圧するという指摘は、例えばエマ・ワトソンの演説にも見られます。

「男性とはこうあるべきである」「仕事で成功しなければ男じゃない」という社会の考え方が浸透している為に、自信を無くしている男性がとても多くいるのです。つまり、男性も女性と同じようにジェンダーステレオタイプによって苦しんでいるのです。
男性がジェンダーステレオタイプに囚われていることについては、あまり話されることがありません。しかし、男性は確実に「男性とはこうであるべきだ」というステレオタイプに囚われています。彼らがそこから自由になれば、自然と女性も性のステレオタイプから自由になることが出来るのです。

https://logmi.jp/business/articles/23710

ここでいう「「男性とはこうあるべきである」「仕事で成功しなければ男じゃない」という社会の考え方が浸透している為に、自信を無くしている男性」は男性優位の社会構造によって抑圧されている男性であり、「夫を家長とする社会的文化的規範」のもとでも批判に晒されやすい存在であり、容易にモラハラ被害者になりうる存在でもあります。

男性と女性は別物という考えをやめるべき

男性も女性も繊細であって良いのです。男性も女性も強くあって良いのです。男性と女性というジェンダーを2つの全く異なった両極端のものであるという考え方から自由になり、男性と女性をひとつのものとして考えるのです。

https://logmi.jp/business/articles/23710

という考え方を基本とするならば、“夫=加害者、妻=被害者”という固定観念は間違っているとしか言いようが無く、あるのは「夫を家長とする社会的文化的規範」に抑圧される者と抑圧する者ということになります。
「夫を家長とする社会的文化的規範」は確かに夫婦・家庭内でのモラハラの根源ではあるでしょうが、それは必ずしも“夫=加害者、妻=被害者”という図式に集約されるわけではないことには注意が必要です。
抑圧され被害を受けているにもかかわらず、男だからという理由で被害の存在を無視されるのはセカンドレイプとしか言いようがありません。

もちろん、一般的に“夫=加害者、妻=被害者”という図式が多いであろうというだけなら問題はありません。ただ、その一般的な図式に当てはまらない被害者の存在を無視してはいけないという話です。

ちなみに「「モラ夫」という表現 - 誰かの妄想・はてなブログ版」という記事を書いたことがありますが、どうもその懸念が当たってきてるようで残念な感じです。

その他関連記事:「モラハラに関する話、あるいは、モラハラという言葉は被害当事者以外が加害者を非難する文脈で使用されるべきではない件 - 誰かの妄想・はてなブログ版



“離婚後単独親権なのは日本と北朝鮮だけじゃない!アフリカとか中東とかインドとかも離婚後単独親権だ”というのはフォローになっているのだろうか?

違憲判決を得るのは厳しいと思うものの興味深い裁判です。
「離婚後の単独親権は違憲」 共同親権導入求め、男性が国賠提訴(3/26(火) 16:40配信 弁護士ドットコム)

ただ、この記事中の以下の部分にかみついている人も散見されます。

作花弁護士は会見で、共同親権の重要性を次のように語った。
「現在、法務省では離婚後も共同親権が持てるよう、法改正するべきではないかと動き始めています。この裁判では、その立法を後押ししたいと思っています。世界の国の中で、離婚後に単独親権をとっているのは日本と北朝鮮ぐらいです。他の国は共同親権が基本です。なぜなら、離婚は夫婦関係の解消であり、親子関係に関係するものではないという考え方です。
法務省のこうした動きの背景には、多発する児童虐待の問題があります。離婚して単独親権を持った親の新しい配偶者が子どもを虐待するケースが非常に多い。その場合、親権を失った親はその子どもを救う手段が持てない。共同親権によって児童虐待がすべてなくなるわけではありませんが、その手段の構築につながると思いました」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190326-00009428-bengocom-soci

「世界の国の中で、離婚後に単独親権をとっているのは日本と北朝鮮ぐらいです。他の国は共同親権が基本です」という部分で、千田有紀氏などが単独親権は日本と北朝鮮だけではないと批判しています。

まあ、作花弁護士は「離婚後に単独親権をとっているのは日本と北朝鮮ぐらい」と言っていて“日本と北朝鮮のみ”とは言ってませんので、言いがかり感が半端ありませんが、それ以前に日本と北朝鮮以外の離婚後単独親権の国って、イスラム教国家とかインドとかアフリカとか(多分イスラム教関連)でフェミニズム的には参考にすべきでない婚姻制度を持っている国ばかりな気がします・・・。
ちなみに「日本は北朝鮮並みの拉致国家」と言っているのは、例えばアメリカの別居親団体ですね。北朝鮮並みどころか、北朝鮮以下だと言われていました(北朝鮮拉致被害者を5人返したが、日本は拉致した子どもを一人も返していない、と非難されていました。)。
(参考:子どもの拉致大国・日本 - 誰かの妄想・はてなブログ版謝罪文 - 誰かの妄想・はてなブログ版

離婚後単独親権制度を採用しているのは先進国では日本ぐらいですから、あれこれ理由をつけて離婚後共同親権に反対するような時代では既になく、離婚後共同親権制度への移行に積極的に協力すべきだと思うんですけどね。

本来左右関係ない話ですが、と言うよりむしろ右派・保守派の方が強く反対しそうな事案なんですが、何故か目立つ反対派*1は左派なんですよねぇ・・・。




他の国の離婚後親権制度

参考資料:離婚後面会交流及び養育費に係る法制度(2015年)

アメリカ(カリフォルニア州):離婚後共同親権が子どもの福祉のために望ましいとする家族法
イギリス(イングランドウェールズ):父母は離婚後も親責任を共同して負うと規定
フランス:民法典にて別居・離婚しても両親が共同親権を持つことが原則
ドイツ:親子関係法にて離婚後も父母が共同親権を持つことを規定。
韓国:民法にて離婚後に単独親権か共同親権かを選択可能にする規定。

上記は「親権」と記載しましたが、各国「親責任」や「親の配慮」など色々な名称となっています。

*1:離婚後共同親権に直接反対を主張しないものの、様々な理由を挙げて著しく採用が困難になるハードルを科すなど共同親権採用に極めて消極的な論者も含めて「反対派」としています。

2016年仲裁裁判所判決に照らせば沖ノ鳥島起点のEEZは認められないのだが、どうしても不満なら仲裁裁判所に提訴してみればいいと思う。

この件。

中国船、沖ノ鳥島EEZで海洋調査 海保が中止要求

2019.3.23 18:36|政治|政策
 23日午後0時30分ごろ、沖ノ鳥島(東京都小笠原村)から東北東約165キロの排他的経済水域EEZ)で、中国の海洋調査船「嘉庚」(カコウ)がロープのようなものを海中に垂らして航行しているのを海上保安庁の航空機が発見。目的を確認したところ、「海水温度の調査にあたっている」と応答した。海保は、海洋調査を実施していると判断し、無線で中止を求めたが、同船から応答はなかった。
 約1時間後、同船はロープを垂らした状態で沖ノ鳥島の東北東約160キロのEEZを西向けに航行を続け、海保は巡視船を向かわせている。
 国連海洋法条約では、他国のEEZでの無断の海洋調査は認められていない。

https://www.sankei.com/politics/news/190323/plt1903230018-n1.html

2016年7月の仲裁裁判所判決は、EEZを形成する島の条件として、外部からのリソースに依存することなく安定した居住地と経済活動が形成されていることという条件を明示しています。

Under the Convention, islands generate an exclusive economic zone of 200 nautical miles and a continental shelf, but “[r]ocks which cannot sustain human habitation or economic life of their own shall have no exclusive economic zone or continental shelf.” The Tribunal concluded that this provision depends upon the objective capacity of a feature, in its natural condition, to sustain either a stable community of people or economic activity that is not dependent on outside resources or purely extractive in nature.

http://thediplomat.com/wp-content/uploads/2016/07/thediplomat_2016-07-12_09-15-37.pdf

この仲裁裁判所の定義に従うなら、沖ノ鳥島はただの岩であって島ではなく、故にEEZを形成しないことになります。
産経新聞はそういった判決の存在を隠蔽していますが、まあ、日本政府が本気で、沖ノ鳥島EEZを形成する島であって中国の海洋調査は国連海洋法条約違反と考えるのなら、仲裁裁判に訴えてみれば良いと思いますよ。

絶対、やらないでしょうけどね。