2009年8月衆院選結果の簡単な考察(比例代表編)

総務省のサイトに今回の衆院選結果がUPされていたのでちょっと考察。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/shugiin45/index.html

比例代表結果(2009年・2005年)

     2009年8月 議席 2005年9月 議席
民主党   29844799 87 21036425 61
自民党   18810217 55 25887798 77
公明党   8054007 21 8987620 23
共産党   4943886 9 4919187 9
社民党   3006160 4 3719522 6
みんなの党 3005199 3 - -
国民新党  1219767 0 1183073 2
新党日本  528171 0 1643506 1
新党大地  433122 1 433938 1
幸福実現党 459387 0 - -
改革クラブ 58141 0 - -
新党本質  7399 0 - -
合計    70370255 180 67811069 180
ブロック別
     北海道  東北   北関東  南関東  東京都  北陸信越
民主党   1348318 2433836 3172577 3695159 2839081 2007770
自民党   805895 1491761 1945933 2233560 1764696 1333082
公明党   354886 516688 855134 862427 717199 333084
共産党   241345 315201 471138 601299 665462 274816
社民党   113562 316635 274030 369754 299032 225992
みんなの党 - 241445 597025 605358 419903 -
国民新党  - - 99354 102992 86046 240333
新党日本  - - 68191 79792 100381 73614
新党大地  433122 - - - - -
幸福実現党 20276 36295 46867 44162 35667 32312
改革クラブ - - - - - -
新党本質  7399 - - - - -
合計    3324803 5351861 7530249 8594503 6927467 4521003
     東海   近畿   中国   四国   九州  
民主党   3864328 4733415 1704242 973038 3073035
自民党   2182422 2592451 1388451 719594 2352372
公明党   891158 1449170 555552 293204 1225505
共産党   486974 1067443 244761 150171 425276
社民党   264957 411092 156291 94558 480257
みんなの党 404411 465591 - - 271466
国民新党  130212 169380 208208 - 183242
新党日本  72485 133708 - - -
新党大地  - - - - -
幸福実現党 57222 80529 32319 19507 54231
改革クラブ - 58141 - - -
新党本質  - - - - -
合計    8354169 11160920 4289824 2250072 8065384


地方政党として見ると、北海道ブロックの新党大地が強く、今後も議席数を確保することができる一方でそれ以上の発展は当面見込めない。
近畿ブロックの改革クラブは集票力が弱く、議席数を確保することは今後も困難だろう。
新党日本は、全体では53万票ありながらブロックごとに満遍なく得票数が散らばっているため、議席数確保がやはり困難。
国民新党は、中国・北陸信越で強いが議席数を確保するには今一歩足りなかった。
みんなの党は、都市部で強く、北関東・南関東・東京都で議席を確保した。本来なら、東海ブロックで40万、近畿ブロックで46万を得ているためそれぞれで各1議席確保可能だったが、名簿に記載された候補者が小選挙区でも立候補し供託金没収点以下の得票*1しかなかったため、規定により比例代表での復活が認められなかった。東海ブロックの議席民主党に、近畿ブロックの議席自民党へと流れている。

ちなみに近畿ブロックの民主党は名簿記載者が少なかったため、本来得られたはずの3議席を失っている。

全国政党としては、極めて小勢力幸福実現党は無視してよかろう。
五強中の最小の社民党は、総得票数300万でみんなの党と大差ない。比例代表議席数はみんなの党の采配ミスがなければ逆転していただろう。東北・南関東・近畿・九州で議席を確保している。革新勢力として共産党が強い地域では、南関東・近畿のように議席数の多いブロックでないと今後も議席確保は難しいだろう。東北・九州では共産党と同勢力であり結果として議席を確保できている状況。

共産党はさすがに組織力が強いのか2005年選挙時と総得票数は変わっていない(490万)。社民党と比べると都市部に強い傾向があるようで近畿で3議席取っているのが目立つ。今後も同レベルの議席数を確保できるだろう。

公明党は近畿・九州で強い傾向があり、組織力としても共産党を一回り大きくした感じだろうか。2005年選挙時から総得票数を減らしているものの(899万→805万)、なお800万の集票力を持っており、野党としても侮りがたい勢力と言える。ただし「比例は公明」と言ったこれまでの選挙戦術が次回以降は使えないため、自民の協力票が減る影響がどの程度かによって左右される。

自民党は前回の2590万から1880万と実に700万票以上総得票数を減らしている。全ブロックで民主党に得票数で負けており自民党の凋落を感じさせる結果。ただし300万についてはみんなの党に持っていかれたと考えられ、純粋に自民→非自民となった票数は400万票くらいか。負けたとは言え各ブロックで第二党であり野党として最も有力である。ただし、みんなの党分裂に見られたような分裂が今後も生じれば小政党のひとつに転落する可能性も否定できない*2。保守の政権政党という多少の方向性の違いを包含するだけの求心力を民主党に奪われた現在、自民党をこれ以上の凋落から救える人物が総裁となるかが鍵か*3

民主党は前回の2100万から2980万と900万票近くの総得票数増加を示した。自民政権に対する飽きと政権交代の現実味が集票につながった点が大きいだろう。自民・公明からおそらくは500万票、新党日本社民党から200万票、投票者増加分250万のうち200万票程度が、民主党に流れたのではないかと思う。比例代表での選挙戦術としては、概して民主党は名簿記載者数が少なく名簿割れギリギリだったブロックが結構あった。特に近畿ブロックで3議席を失ったのは結果から見て大きい。

*1:有効投票の10%未満

*2:社会党の轍を踏むかも

*3:もちろん、民主党の自滅と言う可能性もないではないが。