ブクマだけでじゃ言葉不足になるので、エントリーに挙げておきます。
id:sionsuzukaze氏の最初のエントリはとにかくまとまりがなく何が言いたいのか分からなかったのだが、私が問題視して「無理解」と評したのはこの部分。
また第十八条規定に至っては、「奴隷的拘束・苦役」と「兵役」を同一視するような発想は危険と言える。本来の十八条規定が指し示すそれは「懲罰的」なものであり、そもそも「兵役」(徴兵制)と関連づけるならば、徴兵制自体が膨大な全国民的「苦役」となる。しかし、そんな馬鹿げた話だとすると、そもそも現状徴兵制を導入している(過去していた)国は全て監獄国家なのか(だったのか)、という疑問は当然呈されるべきで、結論としては「そんなことはない」でしかない。
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20110701/1309496907
「本来の十八条規定が指し示すそれ(引用者:苦役)は「懲罰的」なもの」
まずここ。
日本国憲法第18条の「苦役」が「懲罰的」なものであると言っているのですが、条文は以下の通り。
第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
条文では、わざわざ「犯罪に因る処罰の場合を除いては」と制限をつけて「苦役」を禁止していますので、犯罪に因る処罰の場合以外、つまり懲罰的なものではない「苦役」を想定してそれを禁止しています。
ですので、「本来の十八条規定が指し示すそれは「懲罰的」なものであり」は間違いです。
「全て監獄国家なのか」
sionsuzukaze氏の中では、苦役=懲罰、となっているため、もし、兵役=苦役ならば、徴兵制を導入している国家=監獄国家、という論理になっているようです。
しかし、上述したように苦役=懲罰とは限りませんので、「全て監獄国家なのか」という問いは無意味です。
結論としては「そんなことはない」でしかない。
とのことですが、前提条件となる「本来の十八条規定が指し示すそれは「懲罰的」なものであり」が間違っていますので、結論が意味不明です。
憲法第18条は、犯罪による処罰、つまり懲罰的な苦役は認めていますが、それ以外の苦役は認めていません。政府解釈は、兵役を懲罰的でない苦役とみなして「許容されない」とした、そう読むべきでしょう。
以上が無理解と評した点。
で、自分は過去に日本国憲法第18条が徴兵制否定の根拠法として求められてきていることも、現状そう解釈されていることも「知った上で」、その解釈では「危ういのではないか」と問うているわけだが、どこが無理解だったろうか?教えて頂ければ幸いである。
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20110702/1309580635
何か違った方向からの説明が返ってきましたが、私も、sionsuzukaze氏が「自分は過去に日本国憲法第18条が徴兵制否定の根拠法として求められてきていることも、現状そう解釈されていることも「知った上で」、その解釈では「危ういのではないか」と問うている」の知った上で、上記の点について「無理解」と評しています。
ご理解いただけましたでしょうか。
なお、「その解釈では「危ういのではないか」」という意見については同意はしませんが、理解はしてますよ。