これを素直に読む限り、”憲法第18条では「懲罰的でない苦役」は禁止していない”というのが、sionsuzukaze氏の解釈となりますが、それでよろしいでしょうか。
第13条、第14条、第20条をも同時に「問題ない」と判断できるものであれば、憲法上は「課し得る」という解釈です。第18条で禁止しているのは一部のもののみ、という解釈であることは先般から述べている通りです。上段で述べた「災害時の動員」のようなものは法整備次第では「有り得る」と考えます。
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20110703/1309669256
?
sionsuzukazeさんは当初、憲法18条の苦役を、「「懲罰的」なもの」に限定して解釈していました。
本来の十八条規定が指し示すそれ(苦役:引用者)は「懲罰的」なものであり
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20110701/1309496907
「苦役」=「懲罰的」だから、「兵役」=「苦役」*1ならば、「兵役」=「懲罰的」
したがって、
しかし、そんな馬鹿げた話だとすると、そもそも現状徴兵制を導入している(過去していた)国は全て監獄国家なのか(だったのか)、という疑問は当然呈されるべきで、結論としては「そんなことはない」でしかない。
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20110701/1309496907
とsionsuzukazeさんは論理展開したわけです。
「第13条、第14条、第20条をも同時に「問題ない」と判断できるもの」が、sionsuzukazeさん的には「「懲罰的」なもの」となる根拠がよくわからないので、説明して欲しいですね。
私の考えを簡単に言うと、
- 憲法18条は、懲罰的でない苦役を禁止している
- 政府解釈で、兵役は苦役とみなしている
- 私も、常識的に兵役は苦役という考えに同意している
- 政府解釈では、兵役は懲罰的なものではないからこそ18条が徴兵制禁止の根拠になる
- 私も、兵役は懲罰的なものではないので18条で徴兵制が禁止されるという考えに同意している
- したがって、徴兵制を導入しているからといって、監獄国家ではない
とこうなります。兵役が苦役だからといって、監獄国家とかいう話にはならないんですよね。
兵役を苦役と見なしたら「徴兵制を導入している国は全て監獄国家なのか」となるsionsuzukazeさんの論理が、私にはちょっと理解不能です。
そもそも、兵役が懲罰的な苦役なら、憲法18条は義務兵役を禁止する根拠には全くならないんですよね。だって、18条には、
犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
とあり、懲罰的な苦役は禁止除外になって、義務兵役OKになってしまいますから。
最新のエントリはともかく、最初のエントリの「徴兵制を導入している国は全て監獄国家なのか」などの書き方はかなり杜撰ではなかったか、という感想です。
*1:具体的な発言「徴兵制自体が膨大な全国民的「苦役」となる。」