有権者が小選挙区制の特性を理解していないだけだと思う

自民圧勝に戸惑いも…「少ない方が」52%
読売新聞 12月19日(水)7時56分配信

 読売新聞社の緊急全国世論調査(電話方式)では、自民党の政権復帰を約60%の人が好ましいとしたが、衆院選で294議席を獲得して大勝したことへの戸惑いもみられた。
 自民党議席が「少ない方がよかった」との回答は、全体の52%と半数を超えている。特に無党派層(全体の28%)では、「少ない方がよかった」が60%に達した。民主支持層の77%がそう感じるのは当然だが、自民支持層でも28%が「少ない方がよかった」と答えた。2006年に発足した安倍内閣は、衆院の3分の2を超える与党勢力のもとで強気の国会運営を進め、自民党は07年参院選で大敗した。多くの有権者が「自民党を勝たせ過ぎた」と感じている背景には、同じことが繰り返されるのではないかという懸念があるとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000224-yom-pol

自民圧勝に戸惑いを感じるのは”バランス感覚”の最たるものですが、議席数の大量占有は小選挙区制の特徴であって戸惑うようなことではありません。
そもそも有権者自身、2009年の政権交代選挙でも今回の選挙でも「決められない政治」「停滞する政治」を嫌っていたはずで、そのために2009年は民主党に、2012年は維新にと票がながれたわけですが、そうであれば議席数が大きく偏る小選挙区制は、その意に沿う制度です。

2009年の選挙で民主党は309議席という今回の自民党よりも多くの議席を獲得しましたが、3分の2である320議席には届かなかったため、ねじれ国会になってから政権運営に苦しみました。これに対して今回自民党公明党と合わせて325議席という3分の2超を獲得したため、ねじれ国会をそれほど意に介する必要性がなく、議席上は政治を停滞させる要因はかなり少なくなっています。少なくとも、菅政権、野田政権が苦しめられた特例公債法案の成立妨害という兵糧攻めを心配する必要がありません。

読売の世論調査で「自民党議席が「少ない方がよかった」と」回答した52%の人も、別に「政治の停滞」を望んでいるわけではないでしょうから、こういった「戸惑い」は多分に制度に対する理解不足から来ていると思います。

もっとも個人的には「政治の停滞」が悪いこととは思いません。様々な意見があり、それを調整するのに時間がかかるのは当然のことで、民主主義における当然のコストでしょう。調整が国民から見えない場所で行われない限り、調整にかかる時間について許容すべきだろうと考えます。