年齢に関して注意すべきこと

基本的にはmujinさん法華狼さんが指摘している通りです。
高齢者の言う年齢は満年齢と数え年での違いをまず考慮する必要があります。

しかし、この数え年も当時、新暦と旧暦のどちらを基準にしていたかによってずれることがあります。
戦前は日本でも旧暦はよく使われていましたが、朝鮮でも旧暦が一般的に使われていました。一方、公文書では新暦が使われていますので、記録上はかなりややこしいことになります。

さらに、そもそも戸籍に登録される生年月日すら戦前は結構いい加減です。現在では病院出産が多いのでかなり正確ですが、戦前は次男を違う家の長男として届け出たり、苗字を守るために跡継ぎのいない家の子として登録したりと事実と異なる登録自体が少なくありませんでした*1。場合によっては、生まれてすぐは登録せず、何年か経ってから登録することもありました。乳幼児の死亡率が高かったからですが、これは朝鮮でも同じです。
生まれて何年か経ってからの登録ですから生年月日を誤ったりすることも多かったでしょうし、縁起を担いで生年月日をずらすこともあったでしょう*2。そうなると、戸籍上の年齢と自己の認識している年齢はずれてもおかしくありません。
そういう時代だったのです。

まあ、嘘だと思うのならご自身の父祖の戸籍(除籍謄本)を調べてみれば良いでしょう。かなりの確率で複雑な事情が生じていると思います。私の場合、父には3人の妹がいましたが全て1歳くらいで亡くなっていましたし、父の戸籍登録は遺漏のため、生後4年経ってから改めて戸籍に登録されていました。それが1940年代の日本でのことです。3代くらい前までさかのぼると、男子がいないため養子を取っている場合や女子が家督相続して戸籍筆頭者になっている事例、その女性が20代くらいで隠居して妹に家督を譲り、妹が結婚して、その夫が戸籍筆頭者になるなど、まあ複雑です。
慰安婦らの場合、1920〜30年頃の朝鮮での戸籍事情になりますので、当然に様々な混乱が生じていて不思議じゃありません。


慰安婦の年齢についてギャースカ言っている人たちは、日本の戸籍事情に詳しくないようですので、ひょっとしたら日本人じゃないのかも知れませんね。


ま、上記もろもろ考慮したうえで、さらに本人の記憶が混乱している場合などがあるわけですがそれらを踏まえれば、見かけの整合性に齟齬が生じても「捏造」とか「デマ」とか非難することはまあありえません。そのようなことをすれば、全ての高齢者を嘘つき呼ばわりしなければならないでしょう*3。そんなことは人でなし以外はしません。

*1:http://okwave.jp/qa/q4024569.html

*2:例えば丙午の年に女児が生まれた場合は生年をずらしたかも知れませんね。

*3:場合によっては高齢者に限りません。精神的な傷を負った人にとって記憶に混乱を生じるのは珍しいことではありません。児童虐待や強姦の被害者にとって被害の記憶は思い出すことも辛く、過剰な自責の念などから整合性のとれた記憶にすること自体が困難です。結果として出来事の前後を間違えて覚えていたりすることがよくあります。