「日中中間線の中国側約26キロの地点」を「日中双方の主張が重複する海域」とみなす安倍政権

領土問題に関しても、安倍自公政権だけでなく野党やメディアまでもが冷静さを失っています。

東シナ海>中国がガス採掘の新施設…政府が抗議
毎日新聞 7月3日(水)12時2分配信
 菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、東シナ海のガス田開発を巡り、中国が日中中間線の中国側約26キロの地点で、新たな採掘施設の建設とみられる作業に着手したとの認識を示した。菅氏は日本政府としても建設作業を確認していることを明らかにした上で、外交ルートを通じて「中国側に重大な懸念を伝えた」と述べた。
 政府関係者によると、中国の大型海上クレーン船の作業海域は、日中両政府が共同開発で合意に至っていないガス田「樫」(中国名・天外天)付近。菅氏は会見で「東シナ海の境界が未画定のなか、日中双方の主張が重複する海域で、中国側が一方的に開発することは認められない」と批判した。【鈴木美穂】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130703-00000031-mai-pol

この記事の中だけでも矛盾する内容があるのに、それに気づかないあるいは黙殺するというのは正気の沙汰ではありません。

タイトルで書きましたが、「日中中間線の中国側約26キロの地点」というのは「日中双方の主張が重複する海域」ではありません。詳しく言うとここで言っている「日中中間線」とは日本側が主張している中間線であって、中国側の主張する中間線はそれよりずっと東側にあります。「日中双方の主張が重複する海域」とは、日本側主張の日中中間線の東側で中国側主張の日中中間線の西側の領域(下図の「争議海域」と書かれた部分)であって、日本側主張の日中中間線の西側ではありません。
日本側主張の日中中間線の西側は、日本も認める中国のEEZで、新たな採掘施設ができているのはその領域内です。

日本も認める中国のEEZでの中国の開発に対して「日中双方の主張が重複する海域で、中国側が一方的に開発することは認められない」とする菅官房長官の発言は、ヤクザの言いがかりに等しいと言えます。