日本語としてもおかしいJ-CAST記事、あるいは違法行為を擁護するメディア

百田尚樹氏が、NHK番組内のアナウンサー発言に対して経営委員の立場を利用して経営委員会で威圧・干渉した事件に関連して。
J-CASTが相変わらず露骨に偏向して産経新聞同様に百田擁護の論調を取っていますが、その中で日本語自体がおかしいデタラメを記載しています。

大越健介キャスターの発言については、週刊新潮も2014年7月24日発売号で取り上げ、専門家からも疑問が出ていると報じた。国民徴用令で連れて来られたコリアンのうち、日本に留まったのは245人だけで、それも自由意志だったとして、強制連行とは必ずしも言えないとしている。

http://www.j-cast.com/2014/07/25211525.html?p=2

徴用でつれてこられたのであれば、自由意志などではないのは間違いないにもかかわらず、「国民徴用令で連れて来られたコリアンのうち、日本に留まったのは245人だけで、それも自由意志だった」というもうめちゃくちゃな論法になっています。
法律上の強制ではないという理由で徴用以外を強制連行ではないと擁護し、法律上の強制である徴用に対しても「自由意志だった」と擁護し、結局強制連行はただの一件もなかったという完全否定の歴史修正主義です。
さすがに頭が悪すぎる擁護だと思いますが、安倍政権を支持するような知的レベルでは理解できないかもしれませんね。

さて、「国民徴用令で連れて来られたコリアンのうち、日本に留まったのは245人だけ」というのもあやふやな言い方で事実をごまかそうとするJ-CASTの作為ですね。「245人」と言うのは、戦後10年以上経過した1959年時点で日本に在住していた在日朝鮮人約61万人のうち、さらに関係省庁が調査して来日の事情がわかった者のうち、戦時中に徴用労務者としてきた者の人数であって、徴用された朝鮮人の総数などではありません。調査した1959年時点で日本におらず帰国したり死亡したりしていた朝鮮人徴用者はこの人数に含まれていません。
1959年時点の日本在住の徴用被害者である朝鮮人245人だけが被害者ではありませんし、当時の在日コリアンに限定しても戦後から1959年までに亡くなった方もいるわけで、245という数字をろくに説明することなく記載するのは、悪質な誘導でしかありません。

参考エントリ1
参考エントリ2

明白な違法行為に対して無理筋の擁護

百田氏の行為は、明らかに放送法32条に抵触する違法行為ですが、極右メディアや安倍首相の息のかかった経営委員らは擁護する姿勢をとっています。

(委員の権限等)
32条 委員は、この法律又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない。
2 委員は、個別の放送番組の編集について、第3条の規定に抵触する行為をしてはならない。

http://www.houko.com/00/01/S25/132.HTM

ちなみに第3条は以下。

(放送番組編成の自由)
第3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

百田氏の恫喝・圧力が、仮に「意見や注文」ではなく「感想」だとしても、経営委員会の場で経営委員の立場で語られている以上、放送番組に対する干渉とみなすのが当然です。
それに対して、J-CASTは以下のような理由を挙げて違法行為を擁護しようとしています。

大越キャスターの発言については、直後からネット上で「強制連行となぜ断定できるのか」などと物議を醸していた。慰安婦の強制などを否定している百田氏には、ツイッター上で経営委員としての対処を求められ、百田氏も「そんな事実に反することを、ニュースで言ったとなれば、大きな問題ですね」と返していた。

http://www.j-cast.com/2014/07/25211525.html

個別の番組に対して「経営委員としての対処」を求めるということ自体、ネトウヨが違法行為を唆しているに過ぎませんが、それに乗せられて違法行為を犯した百田氏が免罪されるわけもありません。
ツイッターで違法行為を唆されたという理由で、違法行為を免罪するJ-CASTの記事は社会正義にも反すると言えるでしょうね。